発表年:1968年
ez的ジャンル:北欧系女性ジャズ・シンガー
気分は... :コレはジャケ買いするでしょう!
今回はスウェーデンの国民的女性シンガー『Kom I Min Varld』(1968年)です。
前々から欲しい1枚でしたが、今年遂にCD化が実現し、手元に置くことができました。このキュートなジャケを見ただけで名盤決定!な1枚ですね(笑)
キュートな北欧女性シンガー作品として再評価を高めているLill Lindforsの紹介は、『Du Ar Den Ende』(1966年)に続き2回目となります。
サバービア好きの人にとってLill Lindforsは、デンマークの女性シンガーBirgit Lystagerと並ぶキュート系の北欧女性シンガーの代表格として再評価が高まった女性シンガーですよね。
そのLill Lindforsの再評価のきっかけとなったのが、本作『Kom I Min Varld』(1968年)に収録されたブラジリアン名曲「Tristeza」のカヴァー「Teresa」です。
同じ「Tristeza」の北欧ボッサ・カヴァーは、Birgit Lystagerのヴァージョン「Christina」(アルバム『Birgit Lystager』収録)も人気ですね。
共に子供達のコーラス入りの好カヴァーですが、リリース年から推察すると、Birgit LystagerヴァージョンはLindforsヴァージョンをお手本にしたのでしょうね。
その意味では、本作『Kom I Min Varld』とBirgit Lystager『Birgit Lystager』(1970年)はセットで聴くことをオススメします。
Birgit Lystager『Birgit Lystager』(1970年)
アルバムには「Teresa」以外にも、英米、欧州のさまざまなタイプの曲のスウェーデン語によるカヴァーが収録されています。個人的には、「Kom I Min Varld」、「Var Frihet」、「Har Ar Jag」あたりがオススメです。
ジャケのLill Lindforsの表情にグッときた方は迷わずゲットすべきでしょう!
全曲紹介しときやす。
「Teresa」
前述の通り、このオープニングが本作のハイライト。Haroldo Lobo/Niltinho作のブラジリアン名曲「Tristeza」のカヴァー。当ブログでは前述のBirgit Lystagerヴァージョン以外に、Sergio Mendes & Brasil'66、Elis Regina、、Carlos Lyra、Sonido 5のヴァージョンを紹介済みです。本ヴァージョンは子供達のコーラスを配したキュート&ラブリーなカヴァーに仕上がっています。Lindforsの無邪気な歌声は子供達のコーラスとのシナジー大ですね。聴く者をハッピーな気分にしてくれる至極のカヴァーです。
https://www.youtube.com/watch?v=_T1_Yc-lqmM
「Om Du Gar Din Vag」
Jacques Brel作「Ne Me Quitte Pas」のカヴァー。英語ヴァージョン「If You Go Away」でも知られる曲ですね。当ブログではDusty Springfield、Freda Payneの英語カヴァーを紹介済みです。ここでは哀愁モードの切ない歌声をLindforsが聴かせてくれます。
「Kom I Min Varld」
タイトル曲はなんとJohn Lennon/Paul McCartney作品。PaulがCilla Blackのために書いた「Step Inside Love」のカヴァーです。オリジナル同様、ボッサな出だしとスウィンギン・ロンドンなサビのコントラストが印象に残るドラマチックな仕上りです。
「I Mej Finns En Sang」
Chopin(ショパン)の「練習曲作品10第3番ホ長調(別れの曲)」をスウェーデン語歌詞で歌っています。ピアノとオーケストレーションをバックに情感豊かな歌声を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=uLi8p1IFFNA
「Kom Vi Gor En Karneval」
Sonny Rollins「Don't Stop The Carnival」のカヴァー。開放的で陽気な仕上りです。
「Om Vi Hade En Dag」
Michel Fugain「Je N'aurai Pas Le Temps」のカヴァー。John Rowlesの英語ヴァージョンでも知られる曲です。オルガンの音色が印象的な切ないカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GT-2uc7kzRs
「Jag Ar Fran Topp Till Ta」
Marlene Dietrichが主演映画『Der Blaue Engel(嘆きの天使)』(1930年)で歌った「Ich bin von Kopf bis Fuss auf Liebe Eingestellt(また恋したのよ)」をカヴァー。ロマンティックなアレンジのバックを従え、しっとりと歌い上げます。
「Var Frihet」
USのR&BグループSand PebblesのR&Bヒット「Love Power」(1967年)をカヴァー。グルーヴィーなR&BサウンドにのってLindforsのヴォーカルも躍動します。
「Den Forsta Sommaren」
Tino Rossi「Cette Nuit-La」のカヴァー。美しいバックとロマンティックなLindforsの歌声がよくマッチしています。
「Satt Lite Fart」
Nina Simone 「Don't Take All Night」のカヴァー。ブルージーな仕上りですが、スウェーデン語での歌い回しが独特の味わいを与えてくれます。
「Tills Det Blir Tid For Dej Att Ga」
Buffy Sainte-Marie「Until It's Time For You to Go」。オリジナルとは雰囲気がかなり異なるロマンティックな仕上りです。
「Har Ar Jag」
Gladys Knight & The Pips「Take Me In Your Arms And Love Me」をカヴァー。これは選曲の妙ですな。この曲自体が北欧ポップ・サウンドやLindforsのキュートな歌声によくマッチしていると思います。曲全体の躍動感がいいですね。
「Nu」
Bee Gees「Words」をカヴァー。オリジナルの雰囲気を受け継いだカヴァーですが、本作の空気によくマッチしています。
「Igelkottaskinnet」
ラストはトラディショナルのリメイク。遊び心のある小粋なスウィング感がいいですね。
『Du Ar Den Ende』(1966年)
『Fritt Fram』(1975年)
『Du Ar Det Varmaste Jag Har』(1978年)