2015年07月08日

Diggs Duke『Offering For Anxious』

異才シンガーソングライター/マルチ・インストゥルメンタリストの1st☆Diggs Duke『Offering For Anxious』
オファリング・フォー・アンクシャス(タワレコ生産限定CD) Diggs Duke ディグス・デューク
発表年:2014年
ez的ジャンル:マルチ・インストゥルメンタリスト系異才ジャズ/ソウル
気分は... :圧倒的な個性!

昨年話題となった1枚、Diggs Duke『Offering For Anxious』です。

Diggs Dukeはワシントンを拠点とするシンガーソングライター/マルチ・インストゥルメンタリスト。Gilles PetersonのBrownswood Recordingsからリリースされた本作『Offering For Anxious』が1stアルバムとなります。

2014年2月にアナログ・リリースされ、話題となった1枚でしたが、CDはタワーレコード独占流通盤でした。僕自身はタワレコで購入して聴いていましたが、最近はamazon経由でも入手できそうなので、遅まきながら紹介したいと思います。

CDショップでR&Bコーナーに置かれていることが多い本作ですが、いざ聴いてみると、彼の音楽のベースにはジャズがあることを強く印象づけられます。その意味ではシンガーである以前に、マルチ・インストゥルメンタリストなんだなぁ、というのが率直な印象です。その意味ではBrownswood Recordingsからのリリースや、『Jazz The New Chapter 2』に本作が取り上げられていた点も納得です。

そんなジャズのベースに上に、ソウル、Hip-Hop、ビートミュージックのエッセンスを取り込み、独自の音世界に仕上げたのがDiggs Dukeの音楽です。特にビートミュージックからの影響が興味深いですよね。

一度その音を聴けば、"これはDiggs Dukeにしか創れない音"と思わせてしまうのが、この人の凄いところです。ゲストは限られており、殆どの楽曲のヴォーカル、演奏を彼一人で手掛けています。

派手さはなく、万人受けするアルバムではないかもしれませんが、Diggs Dukeという才能を実感するには十分な1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Harsh Words With The Oracle」
トライバルなリズム、審美的なピアノ、ソウルフルなDiggsのヴォーカル、さらにはJelani Brooksのサックスが絡むオープニング。彼のベースにジャズがあることを実感できるオープニング。

「Crazy Like A Fox」
ジャズとビートミュージックとソウルを自由に行き来する本作らしい仕上り。もっと長尺で聴きたいですが、コンパクトにまとめるあたりはビートミュージックの影響ですね。

「Is It Love?」
Flying Lotusの右腕としてもお馴染みの超絶ベーシストThundercat(Stephen Bruner)のカヴァー。オリジナルは『The Golden Age Of Apocalypse』(2011年)に収録されています。この曲をカヴァーすること自体にDiggsの音楽性を垣間見ることができますね。ここではVaughan Octaviaのヴァイオリンを配し、審美的に仕上げています。

「Sweat Like Sieves」
ソウルフルなオルガンと共に始まります。本編はトライバルなリズムのソウル・チューンに仕上がっています。ハンド・クラップを巧みに使っているのもいいですね。

「Born From You」
ヴォーカル・ワークとホーンをはじめとする素晴らしいアンサンブル、すべてDiggs1人でこなしており、彼のマルチ・プレイヤーぶりに感心させられます。

「Nine Winning Wives」
さり気ないですが、ジャズ、ソウルへの深い愛情を感じる素晴らしいヴォーカル&サウンドを堪能できます。

「Lion's Feast」
素晴らしいホーン・アンサンブル、ア・カペラ・コーラス、トライバルなスピリチュアル・ジャズ的な展開と1曲で3度楽しめます。

「Something In My Soul」
ビートミュージック経由のソウル・ミュージックみたいな感じがいいですね。1分45秒弱の尺というのもビートミュージック的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ifmOPYAYWOI

「Cause I Love You」
彼のジャズ・アーティストとしての側面に触れることができる美しいインスト。エレピの美しい響きがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=BmTFP0Cz6uk

「Mass Exodus」
J Dilla的ビートとDiggsらしいジャズ・センスが融合したジャジーHip-Hopトラック。

「Open Heart (Diggs Duke Remix)」
国内盤CDのボーナス・トラック。Brownswoodのレーベル・メイトでもある女性ジャズ・ヴォーカリストZara McFarlaneの『If You Knew Her』(2013年)収録曲のDiggsによるリミックスです。

アレルギーのせいか目がかゆくて仕方がありません。辛すぎる・・・
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2015年07月07日

The Louis Hayes Group『Variety Is the Spice』

クラブジャズ方面で再評価の高い1枚☆The Louis Hayes Group『Variety Is the Spice』
ヴァラエティー・イズ・ザ・スパイス
発表年:1979年
ez的ジャンル:クラブジャズ/レア・グルーヴ系ジャズ
気分は... :アメリカ強すぎ!

サッカー女子W杯の決勝は、アメリカが強すぎましたね。
前半のあっという間の4失点は昨年の男子W杯の準決勝「ブラジル対ドイツ」が再現されたようでした。

やはり、アメリカとの実力差は歴然としていましたね。
逆にいえば、トーナメント運に恵まれたこともありますが、なでしこがあの戦力で決勝まで勝ち進んだということは、今持っている力を出し切った証であり、その部分は評価すべきですよね。

考えてみれば、W杯準優勝で悔しがっているなんて、男子サッカーでは考えられないことだし、決勝で自国を応援できるというだけで幸せなことだと感じないといけませんね。なでしこの皆さん、感動をありがとうございました。

さて、今回は再評価の高いジャズ作品The Louis Hayes Group『Variety Is the Spice』(1979年)です。

Louis Hayesは1937年デトロイト生まれのジャズ・ドラマー。

1950年代からジャズ・ドラマーとして活躍し、Horace SilverCannonball AdderleyJohn ColtraneOscar Peterson等と共演してきました。

当ブログで紹介した作品でいえば、Oscar Peterson『Soul Espanol』(1966年)、Joe Henderson『Tetragon』(1968年)、Freddie Hubbard『The Black Angel』(1969年)、The Oscar Peterson Trio + The Singers Unlimited『In Tune』(1971年)といったアルバムでLouis Hayesの名がクレジットされています。

『Louis Hayes』(1960年)を皮切りにリーダー作もリリースしているLouis Hayesですが、そのなかでもクラブジャズ方面から再評価の高い1枚がThe Louis Hayes Group名義でリリースした『Variety Is the Spice』(1979年)です。

レコーディング・メンバーはLouis Hayes(ds)、Harold Mabern(p、el-p)、Cecil McBee (b)、Frank Strozier(as)、Titos Sompa(congas)、Portinhoper(per)、Leon Thomas(vo)です。

主役Hayesのドラム、Harold Mabernのピアノ、Frank Strozierのサックスが目立つアルバムです。オーソドックスなジャズなようで、リズミック/パーカッシヴな躍動感が増し増しになっているところが、クラブジャズ/レア・グルーヴ方面での再評価を高めているのでしょうね。アフロ・キューバン、ボッサ/ブラジルのエッセンスを織り交ぜてアクセントをつけているのもいいですね。

特に、「Little Sunflower」「What's Goin' On」「My Favorite Things」という3大カヴァーが本作のハイライトだと思います。3曲共に強力なオリジナルや決定盤カヴァーが存在する名曲ですが、そこに敢えてチャレンジし、それらに迫る名カヴァーを聴かせてくれます。

上記3曲以外にもグルーヴィーな「Dance With Me」も僕のオススメ!

とりあえず「Little Sunflower」「What's Goin' On」「My Favorite Things」の3曲を聴いて、気に入った人はぜひゲットを!

全曲紹介しときやす。

「Kelly Colors」
Harold Mabern作。オーソドックスなジャズながらも、アフロ・キューバンなアクセントや作者Harold Mabernのピアノや存在感のあるHayesのドラミングで聴き応え十分です。
https://www.youtube.com/watch?v=Trav46zglwc

「Little Sunflower」
本作のハイライトその1。Freddie Hubbard作の名曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Backlash』に収録されています。本曲といえば、Al Jarreauのヴォーカルをフィーチャーした『Love Connection』(1979年)収録ヴァージョンも有名ですね。当ブログではJerker Kluge's Deep JazzThe Jazzinvaders Featuring Dr. Lonnie Smithのカヴァーも紹介済みです。ここではLeon Thomasのヴォーカルをフィーチャーしたボッサ/ブラジリアンなスピリチュアル・ジャズが実にいい雰囲気を醸し出します。ボッサ/ブラジリアンもスピリチュアル・ジャズも大好きな僕としては、この合わせ技に脱帽です。
https://www.youtube.com/watch?v=O0gxt7X_iAQ

「Stardust」
Hoagy Carmichael作の有名スタンダードをカヴァー。お馴染みのメロディをFrank Strozierのアルトでブロウします。なかなかキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=BKjua-rVKy8

「What's Goin' On」
本作のハイライトその2。Marvin Gayeの不朽の名曲「What's Going On」をカヴァー。Harold Mabernの華麗なピアノ、Frank Strozierのサックス、Hayesのドラミングらが織り成す生命力に満ちた素晴らしいアンサンブルで魅了してくれます。この曲のジャズ・カヴァーの最高峰の1つでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=thmoggeuq1k

「Invitation」
Bronislaw Kaper作のスタンダードをカヴァー。Strozierのソロに続き、変幻自在のリズムで小粋な演奏を聴かせてくれます。Cecil McBeeの推進力のあるベースがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=jHu_E6psTZQ

「Nisha」
Louis Hayes/Leon Thomas作。Leon Thomasのヴォーカルをフィーチャーしたメロディアスなバラード。Strozierのアルトも素敵です。
https://www.youtube.com/watch?v=GYkFWre79Yw

「My Favorite Things」
本作のハイライトその3。Richard Rodgers/Oscar Hammerstein II作。ミュージカル『The Sound of Music』のために書かれたお馴染み名曲。本曲のジャズ・カヴァーといえば、John Coltraneヴァージョンが決定版ですね。そんなColtraneヴァージョンに見劣りしない、素晴らしい「My Favorite Things」を聴かせてくれます。演奏全体のパーカッシヴな躍動感がたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=IXeJfew2GGc

「Dance With Me」
Peter Brown/Robert Rans作。 Peter Brown、1978年のヒット曲をカヴァー。レア・グルーヴ/クラブジャズ好きの人は気に入るであろうグルーヴィーな演奏です。Mabernのエレピも効いています。

「A Hundred Million Miracles」
Richard Rodgers/Oscar Hammerstein II作。ミュージカル『Flower Drum Song』のために書かれた楽曲をカヴァー。Hayesのドラミングを存分に楽しめる演奏です。途中ドラムン・ベースのように聴こえるところもあるのが面白かったです。
https://www.youtube.com/watch?v=w83UQenHDW4

『Louis Hayes』(1960年)
Louis Hayes

Oscar Peterson/Milt Jackson/Ray Brown/Louis Hayes『Reunion Blues』(1973年)
リユニオン・ブルース

『Breath of Life』(1974年)
Breath of Life

『The Real Thing』(1977年)
Real Thing

Louis Hayes - Junior Cook Quintet『Ichi-ban』(1979年)
イチバン
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2015年07月06日

Conjunto Sambacana『Conjunto Sambacana Vol.3』

男女混成コーラスによる素敵なポップ・ボッサ☆Conjunto Sambacana『Conjunto Sambacana Vol.3』
コンジュント・サンバカーナ VOL.3
発表年:1969年
ez的ジャンル:ミナス系男女混成ボッサ・コーラス
気分は... :なでしこ、いざ決戦へ!

今回はブラジル、ミナス・ジェライス出身の作曲家Pacifico Mascarenhas(1935年生まれ)が率いる男女混成ボッサ・コーラス・グループConjunto Sambacana『Conjunto Sambacana Vol.3』(1969年)です。

Conjunto Sambacana(Sambacana)の紹介は、『IV Sambacana』(1976年)に続き2回目となります。

『Sambacana』(1964年)、『Muito Pra Frente』(1965年 ※Quarteto Sambacana名義)に続く3rdアルバムとなる本作『Conjunto Sambacana Vol.3』(1969年)では、ジャケに写るヴォーカル陣7名が参加しています。

リード・ヴォーカルは『IV Sambacana』にも参加していたBob TostesSuzana TostesのTostes兄妹とMagdaの3名。さらにDaltonOctavioLilitoFototeの4名がバック・コーラスを務めます。

それ以外にGeraldo VesparMeirelles等がレコーディングに参加し、Marcos de Castro等がアレンジを手掛けている模様です。

アルバムは全11曲で25分強という長さで、あっという間に聴き切ることができます。

しかしながら、楽曲の良さ、素敵なヴォーカル・ワーク、小粋なアレンジが見事に揃った充実な25分を楽しむことができます。特に男女混成ボッサ・コーラスの魅力を存分に堪能できるのがいいですね。全体的に爽快で品のあるポップなラウンジ・ボッサに仕上がっている点も気に入っています。

今聴いても色褪せないボッサ・コーラスを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Tarde Azul」
Pacifico Mascarenhas/Marcos de Castro作。品のあるポップな爽快感が心地好いオープニング。涼しげなフルートもいいですね。

「Moca」
Antonio Adolfo/Tiberio Gaspar作。ハープシコードの音色をバックに、7名の素敵なヴォーカル・ワークを楽しめます。

「Canto Puro Amor」
Tito Madi作。疾走するボッサ・サウンドをバックに女性ヴォーカル陣が可憐なヴォーカルを聴かせてくれます。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=93_AtEccYzM

「Saudade nos Olhos」
Pacifico Mascarenhas作。小粋なアレンジと息の合った男女コーラスが織り成す素敵なボッサ・チューン。

「A Bela da Feira」
Marcos de Castro/Alvaro Hosannah作。哀愁モードながらも本作らしい品の良さで湿っぽくならないのがいいですね。♪ラララ・コーラス大好きです。

「Perdido no Espaco」
Roberto Tostes Martins/Elmo de Abreu Rosa作。男女ヴォーカルの素晴らしさを実感できる素敵なボッサ・チューンです。もっと長尺で聴きたい。

「Giro」
Antonio Adolfo/Tiberio Gaspar作。本作らしい品のいいポップ・ボッサを楽しめます。

「Alem do Horizonte」
Pacifico Mascarenhas/Roberto Guimaraes作。素敵なアコースティック・サウンドと大人のボッサ・ヴォーカルが織り成すメロウ・ワールドにグッと惹かれます。

「Tudo Azul」
Wagner Tiso/Paulo Moura/Tiberio Gaspar作。ポップに躍動するサウンドが印象的です。それでもヴォーカルにはボッサな気怠さがあるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=LaT2lVYPG0I

「Por Que」
Pacifico Mascarenhas作。奇をてらわないクール・ボッサ。純粋にいいと思います。

「Em Canto Antigo」
Luis Claudio/Roberto Guimaraes作。ラストは素敵なサウンド、ヴォーカル・ワークの妙に惹かれるビューティフル・ボッサで締め括ってくれます。

ご興味がある方は他のSambacana作品もチェックを!

『Sambacana』(1964年)
SAMBACANA (サンバカーナ)

『Muito Pra Frente』(1965年)
ムイト・プラ・フレンチ(ずっと先に)

『Conjunto Sambacana Vol.3』(1968年)
Sambacana 3

『IV Sambacana』(1976年)
IV SAMBACANA (サンバカーナ4)

さぁ、サッカー女性W杯決勝まで8時間を切りました。
今晩は早く寝て体調万全で応援しようっと!
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2015年07月05日

The Internet『Ego Death』

Odd Futureの注目R&Bユニット。バンド編成となった3rdアルバム☆The Internet『Ego Death』
Ego Death
発表年:2015年
ez的ジャンル:Odd Future系R&Bバンド
気分は... :甘い戯言・・・

今回はOdd Futureの注目R&BユニットThe Internetの最新作『Ego Death』です。

Syd tha Kyd(vo)、Matt Martians (beats)というTyler the Creator率いるOFWGKTA (Odd Future Wolf Gang Kill Them All)のメンバー2人によって2011年にL.A.で結成されたユニットThe Internetについて、当ブログは1stアルバム『Purple Naked Ladies』(2011年)、2ndアルバム『Feel Good』(2013年)という2枚のアルバムを紹介してきました。

特に、2013年にデジタル配信され、2014年にCDリリースされた2nd『Feel Good』は、僕好みのオルタナティブなR&B作品であり、年末恒例の『ezが選ぶ2014年の10枚』にセレクトしたほどのお気に入りでした。

3rdアルバムとなる最新作『Ego Death』は、前作『Feel Good』から大きく変わった点があります。ジャケを見てお分かりのとおり、男女ユニットからバンド編成となりました。

Syd tha Kyd(vo)、Matt Martians (beats)に加え、ライブ・メンバーであったJameel Bruner(key)、Patrick Paige(b)、Christopher Allan Smith(ds)、Steve Lacy(g)が加わった6人組です。Jameel Brunerは超絶ベーシストThundercatの弟のようです。

1st『Purple Naked Ladies』と比較して、前作2nd『Feel Good』では生演奏の比重が高まっていたので、バンド編成への流れは自然だったのかもしれません。

ただし、6人組になったからといって、一気にバンド・サウンドが全面に出てきている訳ではありません。最もバンド感が出ているのは「Under Control」「Just Sayin/I Tried」あたりですかね。その意味でグループの過渡期における試行錯誤を楽しむべき1枚かもしれません。

アルバムにはJanelle MonaeVic MensaJames FauntleroyKaytranadaTyler, the Creatorといったゲストが参加しています。

正直、『Feel Good』の人気シングル「Dontcha」のようなキラー・チューンはありませんが、オルタナティブなR&B好きの人は要チェックの1枚だと思います。

切なさがたまらない・・・

全曲紹介しときやす。

「Get Away」
クールな哀愁サウンドとSyd tha Kydの憂いを帯びたヴォーカルが印象的なオルタナティブR&Bらしいオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=KZBxurtvmSY

「Gabby」
エキセントリックなディーヴァJanelle Monaeをフィーチャー。Steve Lacyのベース&ギターが効果的ですね。終盤のフューチャリスティックな展開が好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=NwkXZNWekAg

「Under Control」
本作らしいバンド・サウンドを楽しめる1曲。ジャジー・メロウな雰囲気はオルタナティブ・ネオソウルといった感じでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=8sOK9cE1kcc

「Go with It」
Vic Mensaのラップをフィーチャー。生音ジャジーHip-Hop好きの人は気に入るであろうジャジー・メロウ。パーカッシヴなスパイスが僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=xxxkl5JoudM

「Just Sayin/I Tried」
前半の「Just Sayin」ではシンプルながらも生演奏リズム隊の生み出すグルーヴがSyd tha Kydのヴォーカルを引き立てます。後半の「I Tried」はヴォーカル・ワークを含めて、白日夢のような美しくも幻想的な音世界が展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZB48I3tQziw

「For the World」
Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にも参加していた注目アーティストJames Fauntleroyをフィーチャー。と言いつつ、Syd tha Kydと共同でソングライティングしているものの、演奏後の談笑で登場しているのみだと思うで、フィーチャリングと呼ぶにはビミョーな気がします。それでもメロウな演奏自体は悪くないですよ。
https://www.youtube.com/watch?v=thwQ3GkyppA

「Girl」
Hip-HopアーティストKaytranadaをフィーチャー。Kaytranadaによるトラックにのって、Syd tha Kydが哀愁ヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zmY8mG4_3j4

「Special Affair」
虫やカエルの鳴き声が聴こえてくるストレンジな雰囲気の仕上がり。Syd tha Kydのヴォーカルに絡みつくSteve Lacyのベースが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ESxDzsv3CkI

「Somthing's Missing」
オルタナティブR&Bならではのクール&メロウな質感が心地好い1曲。こういったさりげないメロウ・チューン大好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=vtq2KmRqHZA

「Partners in Crime Part Three」
『Feel Good』に収録されていた「Partners in Crime Part Two」の続編という位置付けでしょうか。かなり雰囲気は異なりますが、ビートの効いたトラックが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=-xwSSaM8-i4

「Penthouse Cloud」
美しくも切ない哀愁メロウ・サウンドとSyd tha Kydの消え入りそうなヴォーカルが印象的です。この切なさがたまりません。終盤はガラっと展開が変わります。
https://www.youtube.com/watch?v=X9iRXsLSoK0

「Palace/Curse」
ラストは総帥Tyler, the CreatorとSteve Laceyをフィーチャー。「Palace」はTyler, the Creatorが存在感を示してくれるOdd Futureらしい仕上り。Steve Laceyをフィーチャーした「Curse」はメロウに躍動する感じが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=zsBQtklWNvA

未聴の方は1st、2ndもチェックを!

『Purple Naked Ladies』(2011年)
Purple Naked Ladies

『Feel Good』(2013年)
Feel Good
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2015年07月04日

Maxi Anderson『Maxi』

ジャジー&メロウとソウルフルな味わいが程良くブレンドした1枚☆Maxi Anderson『Maxi』
マキシ
発表年:1977年
ez的ジャンル:人気女性セッション・シンガー系コンテンポラリー作品
気分は... :狙われた男!

今回はL.A.の女性セッション・シンガーMaxi Andersonの唯一のソロ・アルバム『Maxi』(1977年)です。

Maxi Andersonは数多くのレコーディングに参加してきた人気セッション・シンガー。当ブログで紹介した作品でいえば、Starship Orchestra『Celestial Sky』(1980年)、Cherrelle『Fragile』(1984年)、Carl Anderson『Fantasy Hotel』(1992年)に参加しています。

Leon "Ndugu" Chanclerが率いたThe Chocolate Jam Co.にも参加し、作品をリリースしている彼女ですが、ソロ・アルバムということになると、今回紹介する『Maxi』(1977年)が唯一のアルバムです。

そんな唯一のアルバムはBlue Noteからリリースされたものです。

Billy PageGene Pageがプロデュースし、Gene Pageはアレンジも手掛けています。

レコーディングにはDavid T. Walker(g)、Jay Graydon(g)、Ray Parker, Jr.(g)、Rick Littlefield(g)、Henry Davis(b)、Scott Edwards(b)、Wilton Felder(b)、James Gadson(ds)、Greg Phillinganes(key)、Sonny Burke(key)、Jack Ashford(per)、Paulinho Da Costa(per)、Ernie Watts(fl)、Plas Johnson(as)、Gene Cipriano(horns)、Terry Harrington(horns)、Stella Castellucci(harp)、Dorothy Ashby(harp)が参加しています。

また、Augie JohnsonGregory MattaJim GilstrapというSide Effect勢やThe WatersJulia Tillman WatersMaxine Willard Waters等がバック・コーラスで参加しています。

こうした参加メンバーからも想像できるように、ジャジー&メロウとソウルフルな味わいが程良くブレンドしたサウンドが魅力の1枚に仕上がっています。主役のMaxiのヴォーカルもコントロールを効かせつつ、味わい深いヴォーカルを随所で聴かせてくれます。ポップな感じがあるのも特徴ですね。その意味でBlue Noteからのリリースという点に、あまり囚われない方がいいと思います。

フリーソウル人気曲「Lover To Lover」が有名だと思いますし、Van McCoy作の名曲「Walk Softly」やBarry Manilow「This One's For You」といったカヴァーも目立つかもしれませんが、個人的には「Dancin' To Keep From Cryin'」「The Perfect Day」「Glory, Glory」がオススメです。

ジワジワくる感じが心地好い1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Let Him In」
Gary Benson作。人気俳優John Travoltaもカヴァーしていた楽曲をカヴァー。作者Gary Bensonのオリジナルは『Don't Throw It All Away』(1975年)に収録されています。落ち着いたジャジー・メロウ感が心地好い1曲。Maxiの終盤のハイトーン・ヴォーカルはさすがです。
https://www.youtube.com/watch?v=JCnB9_c7xHI

「Dancin' To Keep From Cryin'」
Skip Scarborough/Tom Fauntleroy作。ファンキー・メロウな味わいが魅力のダンサブル・チューン。ただし、やりすぎず、あくまでMaxiのヴォーカルをメインに据えているのがでいいすね。Gene Pageのストリングス・アレンジも冴えています。
https://www.youtube.com/watch?v=yKKxOdZ8d8Y

「Walk Softly」
Van McCoy作。当ブログではMarlena Shawのカヴァーを紹介済みですが、それ以外にもCarl Graves、Aretha Franklin、Stanley Woodruff & The 'US' Trio、Billy "Crash" Craddock、Gladys Knight & The Pipsらが取り上げている名曲です。ソフトリーな中にもじわじわとソウルフルな味わいが増してくる素敵なメロウ・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=E_PZTfZlcuU

「The Perfect Day」
Clarence McDonald/Fritz Baskett作。ジャジー&メロウなサウンドが心地好い1曲。Patti Austinあたりと一緒に聴くと合いそうですね。

「This One's For You」
Barry Manilow/Marty Panzer作。Barry Manilowのオリジナルは『This One's For You』(1976年)に収録されています。Teddy Pendergrassもカヴァーしています。ポップとソウルとジャジーのバランスが絶妙なバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=cBdpybHPLLE

「Delta Road」
Skip Scarborough作。Maxiのていねいな歌いぶりにグッとくるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=6MT8g_lsc2c

「Lover To Lover」
Skip Scarborough作。前述のようにフリーソウル人気曲です。この曲に限れば、主役のMaxiというより、素敵なバッキングによる都会的なジャジー・メロウ・サウンドの魅力で人気を博しているといえるでしょう。Side Effect勢による男性コーラスも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=qPPz9F8DCwY

「Glory, Glory」
Glenna Session/Jim Smothers/Skip Scarborough作。Maxiのソウルフル・ヴォーカルを楽しめるメロウ・グルーヴ。Gene Pageによる素敵なストリングスも効果絶大です。
https://www.youtube.com/watch?v=Q_Y74RoMfxU

「By Your Side」
Lamont Dozier作。ジャジー・メロウとソウルフルな味わいがうまく調和したミディアム・チューン。The Watersのバック・コーラス隊との絡みもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=NgDT1VMbbZQ

「Music On My Mind」
Clarence McDonald/Deniece Williams/Lani Groves作。Nancy Wilsonもカヴァーしていた楽曲。落ち着いた中にも、緩急つけた展開で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=WOxgwcIlSIo

なぜ、これだけのシンガーがソロ・アルバム1枚なんですかね?
posted by ez at 11:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする