2015年07月02日

Third World『You've Got The Power』

Stevie Wonderプロデュース!人気曲「Try Jah Love (Jah Jah Love)」収録☆Third World『You've Got The Power』
You've Got the Power
発表年:1982年
ez的ジャンル:レゲエ親善大使系レゲエ・ディスコ
気分は... :なでしこ決勝進出なるか!

いよいよサッカー女子W杯準決勝「日本対イングランド」ですね。

その前に昨日行われた準決勝のもう1試合「アメリカ対ドイツ」はアメリカが強さを見せつけましたね。なでしこが勝ち上がっても、ロンドン五輪のとき以上に厳しいかな、という印象を持ちました。

日本人にはFWワンバックの印象が強いですが、今大会のモーガン、ロイドの2トップはワンバック以上に日本にとって厄介な存在になりそうですね。

まずその前にイングランド戦ですね。個人的には、前回W杯で唯一黒星を喫していることが、なでしこ全体に王者ではなく、チャレンジャーの意識を持たせ、プラスに作用するような気がします。特にイングランド・リーグでのプレー経験を持つ、大儀見、大野の2トップの意地に期待しています。

今回は70〜80年代に人気を博したジャマイカのレゲエ・グループThird Worldのヒット・アルバム『You've Got The Power(邦題:ラブ・アイランド)』(1982年)です。

Third Worldは1973年にジャマイカ、キングストンで、レゲエ・グループInner Circleの元メンバーが結成されたレゲエ・グループ。

Island Recordsとの契約に成功したグループは1976年に1stアルバム『Third World』をリリース。1978年の3rdアルバム『Journey to Addis』からのシングル「Now That We Found Love」Heavy D. & The Boyzヴァージョンでも知られるThe O'Jaysのカヴァー)がUKチャート、USチャートでヒットしたことにより、一気に知名度が上がりました。

「Now That We Found Love」
 https://www.youtube.com/watch?v=XXeY74ttezU

これを機に、レゲエの枠に囚われないソウル、ファンク、ディスコ、ポップスのエッセンスを採り入れたクロスオーヴァー路線でリスナー層を一気に拡大させていきます。そんなグループの絶頂期を示したアルバムが本作『You've Got The Power(邦題:ラブ・アイランド)』(1982年)です。

ちなみに上記ジャケがオリジナルですが、『ラブ・アイランド』のタイトルで発売された国内盤のジャケは下記のとおりです。

『ラブ・アイランド』
ラヴ・アイランド

本作におけるメンバーはRugs Clarke(vo、g)、Ibo Cooper(key、vo、g)、Cat Coore(g、vo)、Richie Daley(b、g)、Carrot Jarret(per、back vo)、Willie Stewart(ds)という6名。

本作『You've Got The Power』の大きな話題は、ソウル界のスーパースターStevie Wonderが2曲をプロデュースしている点です。特にシングルにもなったレゲエ・ディスコ「Try Jah Love (Jah Jah Love)(邦題:ラブ・アイランド)」のインパクトは大きかったですね。

当時高校生でレゲエにはさほど興味を持っていなかった僕でさえも、Stevie絡みということも手伝い、シングル「ラブ・アイランド」とThird Worldというグループ名は確実にインプットされた記憶があります。

このThird Worldのポップ/クロスオーヴァー路線は当時も賛否両論あった気します。大した知識もないのに「レゲエ=Bob Marley」だと勝手に思っていた僕にとって、Third Worldの軟派路線は当時あまり好きになれませんでした。どちらかといえば、ネガティヴな印象を持っていたかもしれません。

しかしながら、今回久々にアルバムを通しで聴いてみると、大きくレゲエを逸脱しているのは「Try Jah Love」のみで、レゲエ作品としても十分楽しめる1枚に仕上がっていると思います。

レゲエ親善大使と呼ばれた彼らのサービス精神をプラスに受け止め、楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Try Jah Love (Jah Jah Love)」
Stevie Wonderプロデュースの1曲目。前述のようにシングル・ヒットもしたレゲエ・ディスコ・チューン。Stevieはピアノで参加しています。ここまでくるとレゲエ・チューンとは言い難いかもしれませんが、夏向けダンス・チューンとして純粋に楽しめます。こうしたアプローチがあったからこそAswad等が後に続いたのでしょう。ユーロ・ハウスのRobey B.がカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=HdQqlj4GNgc

「Ride On」
「Try Jah Love (Jah Jah Love)」からのギャップが大きすぎるルーツ・ロックなレゲエ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=RLJSwB_1_BQ

「You're Playing Us Too Close」
Stevie Wonderプロデュースの2曲目。Stevieはフェンダー・ローズで参加しています。「Try Jah Love (Jah Jah Love)」とは異なり、コチラはちゃんとレゲエしています(笑)。レゲエらしいうねりのあるベースがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Xo3Sb64dQxQ

「Before You Make Your Move (Melt With Everyone)」
フォーキー・ソウル・レゲエとでも呼びたくなる趣の仕上がり。なかなか味わい深くてグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=oWfxbP47hik

「Jah, Jah Children Moving Up」
レゲエ・バンドとしての魅力を楽しむには、このタイプの曲もいいのでは?ヴォーカル&演奏共に充実しています。女性ソウル・シンガーCrystal Blakeがバック・コーラスで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=u4J0mWPj3P4

「You've Got The Power (To Make A Change)」
クロスオーヴァー路線らしいメロウな味わいの仕上がり。メロウ・ソウルあたりと組み合わせてもフィットするはずです。
https://www.youtube.com/watch?v=AJXrnV1vaT8

「Inna Time Like This」
軽快なリズム・セクションとロッキン・ギターが印象的です。このバンドらしいといえば、らしいのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=pBBq-nx_zd4

「I Wake Up Cryin'」
US男性R&BシンガーChuck Jackson、1961年のヒット曲をカヴァー。こういうR&Bのレゲエ・カヴァーって大好きです。レゲエ・カヴァーされるために生み出されたR&Bチューンという気すらしてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=6FCRNw63gvg

「Low Key -Jammin'」
意外に好きなのがこの曲。レゲエならではの大きなうねりのあるグルーヴって好きなんですよね。この間合いに思わず吸い込まれてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=yrg0CmoWktQ

Third Worldの他作品もチェックを!

『Third World』(1976年)
Third World

『96° in the Shade』(1977年)
96 Degrees in the Shade

『Journey to Addis』(1978年)
Journey to Addis

『The Story's Been Told』(1979年)
Story's Been Told

『Prisoner In The Street』(1980年)
Prisoner in the Street

『Arise in Harmony』(1980年)
Arise in Harmony

『All The Way Strong』(1983年)
All The Way Strong by Collectables 【並行輸入品】

『Sense of Purpose』(1985年)
Sense of Purpose

『Committed』(1992年)
Committed

『Under the Magic Sun』(2012年)
Under the Magic Sun
posted by ez at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月01日

Camera Soul『Dress Code』

イタリア発、大人のスムース・ソウル・バンド☆Camera Soul『Dress Code』
ドレス・コード
発表年:2015年
ez的ジャンル:イタリアン・スムース・ソウル・バンド
気分は... :笑顔がドレス・コード・・・

今回は新作アルバムからイタリアのスムース・ソウル・バンドCamera Soulの3rdアルバム『Dress Code』です。

Camera Soulはイタリア南部の港町バーリを拠点に活動する大所帯ソウル・ユニット。リーダーは、PieroPippoLombardo兄弟。

これまで『Words Don't Speak』(2011年)、『Not for Ordinary People』(2013年)という2枚のアルバムをリリースしています。

彼らのオフィシャル・サイトで確認すると、現在のメンバーはPippo Lombardo(leader、key)、Piero Lombardo(leader)、Maria Enrica Lotesoriere(vo)、Liviana Ferri(per)、Beppe Sequestro(b)、Fabio Delle Foglie(ds)、Antonio Tosques(g)、Gianluca Cardellicchio(g)、Piero Dotti(back vo、per)、Elio Arcieri(back vo)等14名です。メンバーにはUSでの配給元TIMKAT Entertainmentの社長を務め、本作のコンポーザーにも名を連ねるデンバー在住の女性ジャズ・ピアニストKathryn Ballard Shutも含まれます。

それ以外にゲストとして、Daniele Scannapieco(ts)、Gianfranco Campagnoli(tp、flh)の2名がレコーディングに参加しています。

ソングライティングはLombardo兄弟、本作から加入した女性シンガーMaria Enrica Lotesoriere、前述のデンバー在住の女性ジャズ・ピアニストKathryn Ballard Shutが手掛けています。

The Brand New HeaviesIncognitoに代表される90年代のUKアシッド・ジャズ的な音作りが強調されていますが、そればかりではありません。イタリアのグループらしいラテン/ブラジル・フレイヴァーのクラブジャズ的なエッセンスを取り入れた曲や、大人のアーバン・ソウル/スムース・ソウル的な曲も含む、とてもバランスの良い構成になっています。

楽曲自体も粒揃いなので、サウンドの良さが余計に際立ちます。さらリード・ヴォーカルMariaが歌が実に安定している点もアルバムの魅力アップに大きく貢献していると思います。

斬新さはありませんが、この安定感とセンスには捨て難い魅力があります。

これから夏に向けて重宝する1枚になるはずです。

全曲紹介しときやす。

「The Purpose」
George Benson風のギターとThe Brand New Heaviesばりのジャズ・ファンク・サウンドにアーバンなスパイスを効かせたオープニング。

「Bring Me Back」
ダンサブルな疾走感にIncognito好きの人は気に入るはずです。

「More And More」
大人のジャジー・メロウ。Mariaのしっとりとしたヴォーカルにグッとくる自愛バラード。迷ったとき、自分を見失いそうになったときに聴くと、優しく励ましてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=fQyfZevm1K4

「This Rain」
Mariaの素敵なヴォーカルが際立つスムース・ソウルなミディアム・チューン。男性バック・ヴォーカルやゲスト2人の素晴らしいホーン・アンサンブルも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=AbDvb34HsI8

「Dress Code」
タイトル曲はイタリアのバンドらしい小粋なセンスが加わったラテン・フレイヴァーの効いたアーバン・ソウル。"笑顔があれば、それがドレス・コード"というポジティヴなメッセージがそのまま音にも反映されています。
https://www.youtube.com/watch?v=oFA-LAL5jxg

「Push Play」
気分をバカンス・モードにしてくれるミディアム・グルーヴ。Incognito好きの人向けの1曲です。この曲もラテン・フレイヴァーが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=mnseWPLknAY

「Glow」
このアッパーかつ爽快な疾走感はドライヴ・ミュージック向きですね。アッパーであっても大人向けな感じがいいですね。ここでもホーン隊がいい仕事しています。

「You Think You Know About Love」
ア・カペラと共に始まるメロウ・ミディアム。サンセット・モードのラブ・ソングって趣がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=XPt_V6V7VB8

「Eu Quiero Sambar」
この曲に限ってはクラブジャズ好き向けのブラジリアン・グルーヴです。このあたりのクラブジャズ的センスもイタリアのバンドらしくていいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=2E2PoPsWrh4

「A Day With You (In London)」
タイトルにもあるようにUKソウル的なエッセンスを感じるミディアム・チューン。R&B好きの人にはコレが一番フィットするかも?
https://www.youtube.com/watch?v=bzwHSl8Fu_0

「Colours of Music」
大人のスムース・ソウルという点では一番気に入っている曲です。夏向けな感じやポジティブなヴァイヴスが伝わってくる点も含めて大好き!
https://www.youtube.com/watch?v=MfuZQinVbN8

「Around The World」
躍動感という点はアルバム屈指の1曲。ジャズ・ファンクとクラブジャズ両方のエッセンスを巧みにミックスしているのがいいですね。何故だか初期Roman Andrenと一緒に聴きたい気分になりました。
https://www.youtube.com/watch?v=Ey7b9pm1EqI

「Scent of Wisteria」
この曲もIncognitoタイプの仕上り。終盤のエレガントなアレンジも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=jeLfdirkegA

「Imperfect Rose」
ラストは素敵なスムース・ソウルで締め括ってくれます。Mariaのヴォーカルの魅力とこのバンドの音作りの巧みさが見事に噛み合っています。
https://www.youtube.com/watch?v=mD-DazghfbI

『Not for Ordinary People』(2013年)
Not for Ordinary People
posted by ez at 01:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする