発表年:1978年
ez的ジャンル:Malaco系レディ・ソウル
気分は... :MoreではなくMoore・・・
今回はサザン・ソウルの名門Malacoレーベルの歌姫Dorothy Mooreの『Once Moore with Feelin』(1978年)です。
Dorothy Mooreは1946年ミシシッピ州ジャクソン生まれ。幼少期からゴスペルを歌い、大学生の時にはThe Poppiesというグループのメンバーとしてデビューしています。
彼女がシンガーとして注目を浴びるには70年代半ばにMalacoと契約してからです。1976年に「Misty Blue」が全米チャート第3位、同R&Bチャート第1位になり、Malacoの歌姫として活躍するようになります。80年代に入ると一時期Malacoを離れますが、90年代に入り再びMalacoに復帰しています。
ゴスペル、R&B、カントリーを歌いこなす実力派シンガーですが、必ずしも僕の嗜好にフィットするタイプのアーティストではないかもしれません。
しかしながら、本作『Once Moore with Feelin』(1978年)はフリーソウル人気盤ということからも察しがつくように、僕好みのメロウな1枚に仕上がっています。何といってもフリーソウル・クラシック「Girl Overboard」が収録されていますからね!
James Stroud、Tommy Couch、Wolf Stephensonがプロデュースを務め、James Stroud(ds)、Carson Whitsett(key)、Dino Zimmerman(g)、Fred Knobloch(g)、Don Barrett(b)というMalaco Rhythm Sectionがバックを務めます。
今日的には前述のフリーソウル・クラシック「Girl Overboard」がハイライトでしょうが、「Special Occasion」、「The Going Ups And The Coming Downs」、「(We Need More) Loving Time」あたりも実力派シンガーDorothyの魅力を味わえるオススメ曲です。
また、ダンサブルな「What Am I To」やメロウ・エレピが印象的な「Being Alone」などでアルバム構成にメリハリがついている点もいいすね。
Peter Fioreによる水彩画調ジャケもいいですね。
全曲紹介しときやす。
「Special Occasion」
Sam Dees作。男性サザン・ソウル・シンガーBill Brandonのヴァージョンでも知られるバラード。Dorothyの堂々とした歌いっぷりを満喫できるオープニングです。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=IJ3SZCz51jM
「What Am I To」
Ralph Graham作。作者Ralph Grahaのヴァージョンは『Extensions』に収録されています。フィリー風の軽快なダンサブル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=aDmWJb5bh9I
「Girl Overboard」
Frederick Knight/Sam Dees作。前述のように本作のハイライトとなる至極のメロウ・チューン。曲良し、歌良し、サウンド良し!文句のつけようがない名曲です。夏の終わりのこの時期に聴くとフィットするのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=2-dhfJS8iH0
この曲といえば、『The 3 Faces Of Snowboy』(1992年)収録のSnowboyのカヴァーもサイコーですね。僕の場合、オリジナルよりも先にAnna Ross(Yo Yo Honey)をフィーチャーしたSnowboyヴァージョンをかなり聴き込んだので、その影響でこの曲への思い入れが強くなっています。
Snowboy feat. Anna Ross「Girl Overboard」
https://www.youtube.com/watch?v=b_5AbeD51KY
「Write A Little Prayer」
King Floyd作。ニューオリンズ風の仕上がり。本来のDorothyであれば、こういったアーシーな雰囲気が似合っているのでしょうが。
「The Going Ups And The Coming Downs」
Jim Weatherly作。Gladys Knight & The Pipsのカヴァー(オリジナルはアルバム『I Feel A Song』収録)。この曲自体がDorothyに合っていますね。Dorothyの豊かな表現力を満喫できる好カヴァーだと思います。
「(We Need More) Loving Time」
A. D. Prestige/Charles McCollough/Joe Shamwell作。シングルにもなりました。The Dramaticsも取り上げた楽曲です。シングル・カットが頷ける完成度の高いメロウ・バラードです。メロウなイナたさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=J4MpZNNjLh0
「Being Alone」
Jim Weatherly作。エレピのメロウな響きが心地好いバラード。味わい深いDorothyのヴォーカルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=fKsOUD-snrQ
「If I Could Just Find My Way Back To You」
Jim Weatherly作。男性カントリー・シンガーRay Priceも歌っていた楽曲です。ゴスペル仕込みのDorothyのヴォーカルを存分に楽しめるゴスペル調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=nXk3Gicd-xk
「He Knows Just Where To Touch Me」
Jim Weatherly作。ラストは、しっとりしたバラードを高らかに歌い上げ締め括ってくれます。
『Misty Blue』(1976年)
『Dorothy Moore』(1977年)
『Definitely Dorothy』(1979年)
『Time Out for Me』(1988年)
『Winner』(1989年)
『Stay Close to Home』(1992年)
『I'm Doing Alright』(2005年)