発表年:1974年
ez的ジャンル:夫婦ジャズ・コーラス系ヴォーカリーズ
気分は... :仲睦まじく・・・
今回は長年、夫婦ジャズ・コーラス・デュオとして活躍してきたJackie & Royの異色作『A Wilder Alias』(1974年)です。
Jackie & Royは、Roy Kral(1921-2002年)とJackie Cain(1928-2014年)による夫婦ジャズ・コーラス・デュオ。
1946年のデュオ結成からRoyが亡くなる2002年までおしどり夫婦のジャズ・コーラス・デュオとして、コンスタントに活動しました。1949年に二人は結婚しています。
本作『A Wilder Alias』(1974年)は、『Time & Love』(1972年)に続くCTI移籍第2弾となります。
爽快な男女ユニゾン・コーラスのイメージが強いJackie & Royですが、彼らのディスコグラフィの中にあって、本作は実験的な異色作という位置付けかもしれません。
アルバム全体を包むのはプログレッシヴなクロスオーヴァー・サウンド。歌詞があるのは「Niki's Song」のみで、それ以外はスキャット・コーラスとなっており、トータルなサウンドに重きを置いたアルバムという印象を受けます。
レコーディング・メンバーは、Jackie Cain(vo)、Roy Kral(vo、el-p)、Roy Pennington(vibe)、Joe Farrell(ts、ss)、Harvie Swartz(b)、Steve Gadd (ds)、Hubert Laws(fl)。
Creed Taylorがプロデューサー、Don Sebeskyが音楽ディレクターとしてクレジットされています。アレンジはRoy Kral自身が手掛けています。
全5曲と曲数は少なめですが、サウンドとコーラスが調和した充実の演奏を楽しめます。
「A Wilder Alias」と「Waltz for Dana」が僕のオススメです。
全曲を紹介しときやす。
「A Wilder Alias」
Roy Kral作。変拍子にサンバとSteve Gaddの変幻自在なドラミングが牽引するオープニング。2人のスキャット・コーラスもサウンドの一部として見事に調和しています。終盤のアヴァンギャルド感も本作ならではです。
https://www.youtube.com/watch?v=J7uEpiPqL8U
「Niki's Song」
Jackie Cain/Roy Kral作。前述のように唯一の歌詞付きです。ミステリアスなメロウネスが漂うのバラードをJackieがていねいに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=fu8sAfnsI-o
「Waltz for Dana」
Roy Kral作。グルーヴィーなワルツ・チューンに2人のスキャット・コーラスが絡むヨーロピアン・テイストの仕上り。個人的には一番のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=LOkQGZmeeZY
「The Way We Are」
Roy Kral作。2人のスキャット・コーラスにHubert Lawsのフルートが寄り添う抜群の夫婦ヴォーカルを楽しめる1曲。ドラムブレイクをはじめ、Steve Gaddのドラミングもスリリングです。
「Good and Rich」
Richard Druz/Roy Kral作。ラストは10分超の大作。4ビート・ジャズながらも、Royのエレピの音色が印象的であり、演奏全体にプログレッシヴな雰囲気が漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=GINLBMghPfc
Jackie & Royの他作品もチェックを!
『Jackie and Roy』(1948年)
『Jackie and Roy』(1955年)
『Storyville Presents Jackie and Roy』(1955年)
『The Glory of Love』(1956年)
『Free and Easy』(1958年)
『Lovesick』(1967年)
『Grass』(1969年)
『Time & Love』(1972年)
『Concerts by the Sea』(1978年)
『East of Suez』(1981年)
『High Standards』(1982年)