2016年02月17日

Tribe『Rebirth』

Carl Craigの呼び掛けに応じた伝説のジャズ・レーベルの面々☆Tribe『Rebirth』
リバース [カール・クレイグ・プロデュース] [日本盤ボートラ付]
発表年:2009年
ez的ジャンル:復活系ブラック・ジャズ
気分は... :今年のグラミーは・・・

毎年、つまらないと批判しながらついつい観てしまうグラミー賞・・・
今年も文句を言いつつ、しっかり観てしまいました。

正直、主要4部門をはじめ、受賞そのものについては全く関心がなく、観ていても退屈でしたが、パフォーマンスは結構楽しめましたね。

特にLady GagaによるTribute to David Bowieと、Johnny Deppも参加したThe Hollywood VampiresTribute to Lemmyが圧巻でしたね。

一方、Tribute to Glenn FreyJackson Browneは老いが目立ちましたね。

それ以外ではKendrick Lamarのパフォーマンスはインパクトありましたね。彼が主要部門を受賞すれば、もう少し興味が湧いたのかもしれませんが・・・

今回はデトロイトの伝説のジャズ・レーベルTribeで活躍したジャズ・ミュージシャン達が、デトロイト・テクノの巨人Carl Craigの呼び掛けに応じて再集結したアルバムTribe『Rebirth』(2009年)です。

Tribeは、Phil RanelinWendell Harrisonによって設立されたデトロイトのジャズ・レーベル。ブラック・ジャズの代表的なレーベルの1つとして、70年代ジャズ・シーンに軌跡を残しました。

そんな70年代の伝説のジャズ・レーベルを甦らせたのが、デトロイト・テクノの巨人Carl CraigInnerzone OrchestraThe Detroit Experimentに代表されるように、テクノとジャズの融合を図ってきたCarl CraigがTribeのジャズ・ミュージシャン達へアプローチしたのは自然な流れだったのかもしれません。

Carl Craigの呼び掛けに応じたのは、Tribeの創設者であるPhil Ranelin(tb)、Wendell Harrison(sax)、さらにはMarcus Belgrave(tp)、Doug Hammond(ds)、といったかつてのTribe所属ミュージシャン達です。

プロジェクトは2007年の「Livin' In A New Day」、2008年の「Vibes From The Tribe」といった12"シングルで始動し、2009年にフル・アルバムとなる本作『Rebirth』をリリースしました。

Carl Craigがプロデュース&ミックスを手掛け、レコーディングには前述の4名以外にAmp Fiddler(key、org)、John Arnold(g)、Kelvin Sholar(el-p)、Karriem Riggins(ds)等のミュージシャンも参加しています。

Carl Craigが自分の色を出し過ぎず、Tribeの伝説的ミュージシャンを主役に据え、ブラック・ジャズに徹しているのが印象的です。

「Vibes From The Tribe」「Glue Finger」「13th And Senate」「Where Am I」といった、かつてのTribe名曲の再演もいいですが、「Son Of Tribe」「Ride」といった今日的な格好良さを持つ演奏にもグッときます。

Tribeのサウンドとスピリッツの影響力を再確認できる1枚です。

全曲を紹介しときやす。

「Livin' In A New Day」
Phil Ranelin作。前述のように、プロジェクトの始動となったシングル曲。デトロイトのDNAを受け継ぐミュージシャン達をバックに、Wendell Harrison、Marcus Belgrave、Phil Ranelinが健在ぶりを示すプレイを聴かせてくれます。70年代ブラック・ジャズを実にスマートに再現している感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=AlfVsSt6Tqs

「Glue Finger」
Marcus Belgrave作。『Gemini II』(1974年)収録曲の再演。フリーキーなアフロ・ファンクであったオリジナルと比較して、トライバルなエッセンスが強調されたパーカッシヴな演奏となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=QXe4pcT0YLk

「Denekas Chant」
Doug Hammond作。ブラック・ジャズのエッセンスを分かりやすいかたちで聴かせてくれます。Ralphe Armstrongのベースに先導されたWendell HarrisonのクラリネットとPhil Ranelinのトロンボーンが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=uNjIDHdpG58

「Vibes From The Tribe」
Phil Ranelin作。『Vibes From The Tribe』(1975年)収録のジャズ・ファンク・クラシックの再演です。オリジナルの雰囲気を受け継ぎつつ、今日的な隠し味を加え、2009年ならではの「Vibes From The Tribe」を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=O0waO6mNaHY

「Son Of Tribe」
Carl Craig/Marcus Belgrave/Wendell Harrison作。この曲はCarl CraigとTribeのブラック・ジャズの融合感がありますね。Damon WarmackとDamon Warmackのリズム隊にグッときます。僕の一番のお気に入り!
https://www.youtube.com/watch?v=wL-c2luYVO0

「Jazz On The Run」
Wendell Harrison作。John Arnoldのファンキー・ギターとKelvin Sholarのエレピに先導され、Marcus BelgraveのトランペットとWendell Harrisonのフルートが小粋なアンサンブルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=GZzTR8GueDA

「Ride」
Wendell Harrison作。Tribe云々に関係なく、疾走感のあるグルーヴにグッときます。そんな格好良いバックに呼応し、Wendell Harrison、Marcus Belgraveがソロをきめてくれます。

「Lesli」
Lawrence Williams作。Wendell Harrison、Marcus Belgrave、Phil Ranelinのアンサンブル、ソロを楽しむための演奏ですね。ミステリアスな大らかさがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=xBepbwss5SM

「13th And Senate」
Phil Ranelin作。『The Time Is Now!』(1974年)収録曲の再演。Doug Hammondがドラムで参加し、オリジナルの雰囲気を再現してくれます。オールド・ジャズな味わいがいいですね。Kelvin Sholarのエレピがいいアクセントになっています。

「Where Am I」
Wendell Harrison作。『An Evening With The Devil』(1972年)収録曲の再演。ここではJoan Belgraveの女性ヴォーカルをフィーチャーしたビューティフル・バラードに仕上げています。

「Livin' In A New Day (Carl Craig Remix)」
CDボーナス・トラック。「Livin' In A New Day」のCarl Craigによるリミックス。本来のCarl Craigらしいサウンドを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=atVZO7ujgCg

ご興味がある方は70年代のTribe作品もチェックを!

Wendell Harrison『An Evening With The Devil』(1972年)
アン・イヴニング・ウィズ・ザ・デヴィル (紙ジャケット仕様)

Phil Ranelin『The Time Is Now!』(1974年)
Time Is Now

Phil Ranelin『Vibes From The Tribe』(1975年)
Vibes From the Tribe

Marcus Belgrave『Gemini II』(1974年)
Gemini II
posted by ez at 01:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする