2016年03月25日

Phajja『Seize The Moment』

素直なヴォーカル&コーラスが楽しめる女性R&Bグループ作品☆Phajja『Seize The Moment』
phajja seize the moment.jpg
発表年:1997年
ez的ジャンル:90年代女性R&Bグループ
気分は... :苦節10年・・・

今回は90年代女性R&BグループからPhajja『Seize The Moment』(1997年)です。

Phajjaはボストン出身のKaren Johnson、シカゴ出身のKena EppsNakia EppsというEpps姉妹による3人組R&Bグループ。

1987年に結成された5人組ガールズR&BグループNot Your Average Girlsが前身です。Not Your Average Girlsは1991年にレコーディング契約を結びましたが、その後立ち消えとなり1993年に解散してしまいます。そして、Karen、Ken、Nakiaの3人がPhajjaとして再スタートを切り、ようやく辿り着いた1stアルバムが『Seize The Moment』(1997年)です。

まず目を引くのは、故Roger Troutmanが2曲でプロデュースし、トークボックスまで披露いてくれている点です。

それ以外にもSomethin' For The PeopleCurtis "Sauce" WilsonJeff "Fuzzy" YoungRochad "Cat Daddy" Holiday)、H.O.P. Productions(Emanuel Officer/Donald Parks/John Howcott)、Cutfather & JoeLil RickKevin JacksonMichael GoodsTroy PattersonSandra St. Victor(The Family Stand)Keith Andesがプロデュースを手掛けています。

また、僕が好きなUS女性ソングライターAndrea Martinや実力派R&BシンガーEric Robersonがソングライティングで参加しています。

流行のサウンド主導ではなく、ミディアム〜スロウ中心に彼女達のヴォーカル&コーラスの素晴らしさを中心に据えた女性R&Bグループ作品に仕上がっているのが印象的です。この時代にこういう素直なアルバムを創れたというのがいいですね。裏を返せば、だから売れなかったと思いますが・・・

Roger Troutman絡みの「Ohh Ahh」「Why You Wanna Pick On Me?」、1stシングルにもなった「So Long」、Somethin' For The Peopleの手腕が冴える「This Time」、名曲「Love T.K.O.」風の「What Are You Waiting For?」あたりが僕のお気に入りです。

90年代女性R&Bグループ好き、Roger Troutman好きの人はチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Never Be Hurt Again」
Keith Sweatと関連が深いH.O.P. Productions(Emanuel Officer/Donald Parks/John Howcott)プロデュース。タイトル曲は哀愁モードのラブ・バラード。3人のヴォーカルが確かなものと実感できるオープニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=mWDeF91aAZg

「I Need You」
Michael O'Hararプロデュース。Andrea Martinらによるソングライティングの良さと、グループの巧みなヴォーカル・ワークが見事な1曲に仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=bTq3BxuVUKQ

「What Are You Waiting For?」
デンマーク出身の人気プロデュース・チームCutfather & JoeとMichael O'Haraのプロデュース。Teddy Pendergrassでお馴染み、Womack & Womack作の名曲「Love T.K.O.」風のトラックで、しっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=yh7a07TyNUY

「So Long」
Lil Rick/Kevin Jacksonプロデュース。アルバムからの1stシングル。奇をてらわない正攻法スロウですが、グループの歌の巧さを素直に実感できる素敵な1曲に仕上がっています。ヴォーカルに安心感があるのがいいですね。ソングライティングでEric Robersonが参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=2uq_8ZoJG2Q

「Ohh Ahh」
Roger Troutmanプロデュース。Roger好きは歓喜するトークボックス入りのキャッチーなファンク・グルーヴ。ただし、自身の色を出すのみならず、きちんとPhajjaの魅力を引き出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=vq9s6PAyEro

「Why You Wanna Pick On Me?」
Roger Troutmanプロデュース。こちらはRogerのメロウな側面を活かした仕上がりです。ここでもRogerのトークボックスが効いています。アルバムからの2ndシングルにもなりました。サイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=Q6ryOaOeRTI

「This Time」
Somethin' For The Peopleプロデュース。売れっ子プロデュース・チームである彼らの手腕が存分に発揮されたキャッチーなミディアムに仕上がっています。Roger絡みの2曲からの流れもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=UfuoQ-k0I84

「I Don' Wanna Feel」
Michael O'Hara/Michael Goods/Troy Pattersonプロデュース。この時期の女性R&Bグループらしいヒップ・ホップ・ソウルな仕上り。派手さはなくとも華があります。
https://www.youtube.com/watch?v=MKUricSrowk

「Sailing」
Troy Patterson/Sandra St. Victorプロデュース。Christopher Crossの全米チャートNo.1ヒットをカヴァー。オリジナルは大ヒット・アルバム『Christopher Cross』(1980年)に収録されています。少し抑えめのヴォーカル・ワークが逆にいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=iks3NnakqTI

「Sad Story」
Keith Andesプロデュース。美しく感動的なバラードですが、曲タイトルがグループのその後を暗示しているかのような・・・なんて思いながら聴いていると切なくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=i4uXoF3Cmjo

グループは本作の後、シングル「Checkin for Me」(1999年)をリリースし、さらには同曲を含むアルバム『Meeting in the Ladies Room』を制作したものの、プロモ盤が出回ったのみでお蔵入りとなり、2000年に解散した模様です。
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2016年03月24日

Steve Marshall『Do What You Will』

レア・グルーヴ人気作。サックス/フルート奏者によるディスコ作品☆Steve Marshall『Do What You Will』
Do What You Will
発表年:1978年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系インスト・ディスコ
気分は... :オシャレ・ポイントはバックル?

今回はレア・グルーヴ人気作からSteve Marshall『Do What You Will』(1978年)

Steve Marshallはベイエリアを拠点とするサックス/フルート奏者。

これまで『Do What You Will』(1978年)、『Another Way』(2003年)という2枚のアルバムをReynolds Recordsからリリースしています。

また、レア・グルーヴで人気の高いベイエリア産ソウル作品Steve Parks『Movin' In The Right Direction』(1981年)にも参加しています。

ディスク・ガイド『Rare Groove A to Z』で、そのSteve Parks『Movin' In The Right Direction』の1つ前に紹介されているアルバムが本作Steve Marshall『Do What You Will』(1978年)です。

本作が注目されるきっかけとなったレア・グルーヴ人気曲「Maintain」をはじめ、前半4曲が女性コーラスを配したディスコ系ダンス・チューンで占められ、後半3曲がジャズ/フュージョン系の演奏となっています。

レコーディングにはSteve Marshall(sax、fl)以下、Tom Poole(tp)、Cal Lewiston(tp)、David Hardiman(tp)、Julian Priester(tb)、Curtis Shaw(tb)、Herb Lashner(english horn)、Kathleen Johnson(bassoon)、Hermann Eberitz(p、el-p、clavinet)、Ramon Robles(g)、Mark Anthony Williams(b)、Bob Marshall(ds、per)、Jerry Marshall(ds、per、malimba)、Donna (Dee Dee) Dickerson(vo)、Ngoh Madibawea(vo)、Marsha Ann Taylor(vo)等が参加しています。

女性コーラス隊のうち、Donna (Dee Dee) Dickerson、Ngoh Madibawea(Ngoh Spencer)は、Pharoah Sanders『Journey To The One』(1980年)収録のクラブジャズ人気曲「You've Got To Have Freedom」のヴォーカルを歌っていた二人です。

前半4曲のディスコ・チューンにおけるSteve Marshallは、自身のプレイというより、サウンド全体のクオリティを重視しているようです。一方、後半3曲ではMarshall自身のプレイを楽しめる演奏となっています。

また、CDにはボーナス・トラック6曲が追加収録されており、その中の1曲は前述のSteve Parksとの共同名義でレコーディングした「Still Thinking Of You」のインスト・ヴァージョンです。

The Salsoul Orchestraあたりのインスト系ディスコ作品がお好きな方であれば気に入るのでは?

全曲紹介しときやす。

「Do What You Will」
クラヴィネットが先導するディスコ・チューンでアルバムは幕を開けます。ブレイクもキマってキャッチーな仕上りです。
https://www.youtube.com/watch?v=IA4F9Mj3-ek

「This Choiceless Awareness」
女性コーラス隊の魅惑のヴォーカルが先導するスピード感のあるディスコ・チューン。壮大なオーケストレーションが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Bc2bx0EnD4Q

「Disco Rhapsody」
タイトルからして、いかにもなディスコ・チューン。The Salsoul Orchestraからナスティな部分を薄くして、ベイエリア風に仕上げたような感じでしょうか。
https://www.youtube.com/watch?v=hvWK8BzSKqc

「Maintain」
本作のキラー・チューン。冒頭のブレイクからキマっています。女性コーラス隊とホーン隊の絡みやメロウ・エレピの煌びやかな響きなど、いろいろ楽しめるディスコ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=8M8EC-1WkH8

「In The Country」
Marshallのフルートが楽しめる、軽やかに疾走するジャズ・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=n7RHIjj2fOM

「Children Of The Mind」
前半のディスコ・テイストとジャズ/フュージョン的なフィーリングの中間的な演奏です。Marshallのフルートやマリンバの音色が印象的です。

「You Are The World」
ラストはMarshallのフルートが先導する哀愁バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=WI0mx0sh9tc

CDには「Maintain (12 Inch Version)」「Do What You Will (12 Inch Version)」「Maintain (7 Inch Version)」「Creative Happiness (7 Inch Version)」「Still Thinking Of You (Flute Solo)」「Maintain (Undercover Brother Big Disco Edit)」の6曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

前述のようにSteve Parksとの共同名義でレコーディングした「Still Thinking Of You」のインスト・ヴァージョンに注目です。

Steve Parks & Steve Marshall「Still Thinking Of You」
※Vocalヴァージョン
 https://www.youtube.com/watch?v=NRaOKDd8HGU

『Another Way』(2003年)
Another Way
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2016年03月22日

Billy Griffin『Respect』

元Miraclesのリード・シンガーによるアーバンなソロ作品☆Billy Griffin『Respect』
Respect
発表年:1983年
ez的ジャンル:ファルセット系男性ソウル・シンガー
気分は... :煌びやか・・・

今回は80年代ソウル作品からBilly Griffin『Respect』(1983年)です。

Billy Griffinは1950年ボルチモア生まれの男性ソウル・シンガー/ソングライター。

Smokey Robinsonの後釜として1972年にThe Miraclesへ加入し、1975年にはシングル「Love Machine」を全米No.1ヒットへ導いています。

しかし、その後はヒットに恵まれず、ソロ活動に転身したGriffinは、80年代に『Be With Me』(1982年)、『Respect』(1983年)、『Systematic』(1985年)という3枚のアルバムをリリースしています。

1stアルバム『Be With Me』(1982年)からはシングル「Hold Me Tighter in the Rain」がUKチャートTop20に入っています。また、3rdアルバム『Systematic』(1985年)ではLeon Wareがプロデュースを手掛けています。

また、90年代にはThe PasadenasTake ThatBad Boys IncといったUKアーティストのプロデュース、ソングライティングも手掛けています。

制作陣や参加ミュージシャンは前作『Be With Me』(1982年)とほぼ同じ顔ぶれ。

John Barnes がプロデュース、アレンジを手掛け、John Barnes(key、prog)、Derek Nakamoto(key、prog)、Gabe Veltri(prog)、Ed Greene(ds)、Donald Griffin (g)、Munyungo(per)、David Kitay(per)、Gerald Albright(sax)、Clay Lawrey(tb)、Raymond L. Brown(tp)、Marlon Jackson(back vo)、Marva King(back vo)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

また、元Crackin'Lester Abramsがソングライティングで参加しています。

アルバム全体はシンセ・サウンド主体のアーバンなブラコン作品という印象です。
今聴き直すとシンセ・ドラムがビミョーな部分もありますが、そうした短所を補って余りある魅力に溢れています。

特にミディアム〜スロウ系が充実していますね。

AOR的な魅力もある人気曲「Serious」、煌びやかなダンサブル・サウンドの「Save Your Love For Me」、Billyの声質の良さが栄えるアーバン・ミディアム「Don't Ask Me To Be Friends」、スティール・パン風のシンセ・サウンドがいい感じの「So Many Ways」あたりがオススメです。

80年代ブラコン/アーバン・ソウル好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Respect」
Billy Griffin/John Barnes/Lester Abrams作。シングル・カットされたダンサブル・チューン。今聴くと、シンセ・ドラムがビミョーですが、Billyのファルセット・ヴォーカルが栄えるアーバンな仕上りです。
https://www.youtube.com/watch?v=-7bc28OxLUQ

「Don't Stop Lovin' Me」
Billy Griffin/John Barnes作。切ないラブ・バラードです。Billyの安定したファルセット・ヴォーカルは聴いていて安心感がありますね。
https://www.youtube.com/watch?v=iIkvjZkIWUE

「Serious」
オススメその1。Billy Griffin/John Barnes作。本作で最も人気が高いのはアーバン・メロウな本曲なのでは?AOR的な魅力もあるミディアム・チューンです。シングル・カットされ、全米R&Bチャート第37位となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=S975LTiG_Rg

「Save Your Love For Me」
オススメその2。Billy Griffin/John Barnes作。80年代ブラコンらしい煌びやかなサウンドが魅力のダンサブル・チューン。Billyのファルセット・ヴォーカルと女性コーラスの絡みもいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=y6DFaqySolE

「Don't Ask Me To Be Friends」
オススメその3。Billy Griffin/John Barnes/Steven A. Williams作。アーバン・ソウル好きの人は気に入るであろうミディアム・グルーヴ。Billyの声質の良さとサウンドが実にマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Q8CRDv68ugg

「So Many Ways」
オススメその4。Billy Griffin/John Barnes作。スティール・パン風のシンセ・サウンドがいい感じの哀愁アーバン・ソウル。AOR好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6Ma6Cpmlg7I

「Hit Me With The Beat」
Billy Griffin/John Barnes/Steven A. Williams作。ダンサブル・チューンですが、奇声のようなコーラスが少しマイナスかな?
https://www.youtube.com/watch?v=YMaIjKJUQWk

「Dreaming」
Billy Griffin/John Barnes/Lester Abrams作。ラストはしっとりとしたバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=sYItMzauOws

再発CDには「Respect (12")」「Save Your Love For Me (7")」「So Many Ways (7")」「Serious (7")」の4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています

ご興味がある方は『Be With Me』(1982年)、『Systematic』(1985年)もチェックを!

『Be With Me』(1982年)
Be With Me

『Systematic』(1985年)
billy griffin systematic.jpg
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2016年03月21日

Nicola Conte Presents Stefania Dipierro『Natural』

マエストロと女性ジャズ・シンガーのコラボ作品☆Nicola Conte Presents Stefania Dipierro『Natural』
ナチュラル(NATURAL)(直輸入盤帯ライナー付国内仕様)
発表年:2016年
ez的ジャンル:マエストロ系ブラジリアン・ボッサ・ジャズ
気分は... :妖艶なオトナの・・・

連休なので2日続けて新作の紹介を!

今回は新世代ヨーロピアン・ジャズのマエストロNicola Conteが彼の作品でお馴染みの女性ジャズ・シンガーStefania Dipierroとコラボした新作『Natural』です。

イタリアを代表するクラブジャズ・プロデューサー/アーティストNicola Conteに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の4枚。

 『Other Directions』(2004年)
 『Rituals』(2008年)
 『Love & Revolution』(2011年)
 『Free Souls』(2014年)

本作はNicola ConteStefania Dipierroのコラボ作品ですが、まだ自身のアルバムをリリースしていなかったDipierroの初アルバムをマエストロが好サポートしているといった雰囲気です。勿論プロデュースはNicola Conte

サウンド的にはマエストロお得意のブラジリアン・ボッサ・ジャズでDipierroのヴォーカルの魅力を伝えてくれます。

レコーディングにはFabrizio Bosso(tp)、Gaetano Partipilo(as、fl)、Pietro Lussu(p、el-p、org)、Mirko Signorile(p、el-p、)、Luca Alemanno(b)、Nicola Angelucci(ds)、Marco Valeri(ds)、Dario Congedo(ds)、Fabio Accardi(ds)、Pierpaolo Bisogno(congas)、Liviana Ferri(per)、Emanuele Ferrari(tambourine)、Melanie Charles(back vo)、Fabrizio Savino(g)、Nicola Conte(g)といったNicola Conte作品でお馴染みのミュージシャン達が多数参加しています。

アルバムの構成はブラジル人アーティストのカヴァー、ポピュラー・スタンダードのカヴァー、オリジナル曲がバランス良く配されています。

リズミックな「Maracatu Atomico」「Softly As In A Morning Sunrise」、爽快メロウな「Ainda Mais Amor」「The Meaning Of Love」、エレガントな疾走感の「Open The Door」、妖艶な「I Feel The Sun On Me」、素敵なメロウ・ボッサ「Caminhos Cruzados」「Que Maravilha」あたりが僕のお気に入りです。

これから春夏と重宝する1枚だと思います。

Far Out Recordingsからのリリースです。

全曲紹介しときやす。

「Maracatu Atomico」
Jorge Mautner/Nelson Jacobina作。Gilberto Gil等のカヴァーで知られる楽曲。作者Jorge Mautner/Nelson Jacobinaのヴァージョンは『Arvore Da Vida』(1988年)に収録されています。パーカッシヴなアフロ・ブラジリアン色の強いサウンドをバックに、Dipierroが凛としたヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=pTzF_LKh14E

「Softly As In A Morning Sunrise」
Oscar HammersteinU作詞、Sigmund Ronberg作曲、ミュージカル『New Moon』の挿入歌のスタンダード「朝日のごとくさわやかに」をカヴァー。当ブログでは、Wynton KellySonny RollinsLarry Youngのカヴァーを紹介済みです。ミステリアスなアフロ・ブラジリアン・グルーヴとDipierroと艶やかなヴォーカルがよくマッチしています。Fabrizio Bossoのミュート・トランペットも効いています。

「A Gira」
Beto Scala/Umberto Silva作。Pietro Lussuのハモンドが効いた哀愁グルーヴ。ここでもDipierroの大人のヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZPK6kYHKyLs

「Within You And I」
Nicola Conte作。Dipierroの妖艶なヴォーカルにグッとくる大人のバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=qI-I965XxcU

「Open The Door」
Betty Carter作。US女性ジャズ・ヴォーカリストBetty Carterの名曲をカヴァー。初期Nicola Conte作品のグルーヴ感と近年のNicola Conte作品のエレガントさが融合した感じがいいですね。Gaetano Partipiloが雰囲気のあるアルト・サックスで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=KE_RcXx7aKo

「Ainda Mais Amor」
Federico Savina/Nicola Conte/Stefania Dipierro作。Pietro Lussuのメロウ・エレピが心地好い夏向けのブラジリアン・グルーヴ。聴いているだけで幸福ホルモンが分泌してきます。
https://www.youtube.com/watch?v=FnPZMvz21sI

「Caminhos Cruzados」
Antonio Carlos Jobim/Newton Mendonca作。ロマンティックな雰囲気に包まれた素敵なメロウ・ボッサに仕上がっています。僕の場合、この曲といえば、当ブログで紹介したIve Mendes『Magnetism』(2014年)のヴァージョンが大好きなのですが、Ive Mendesヴァージョンの雰囲気に近いですね。
https://www.youtube.com/watch?

「The Meaning Of Love」
Steve Kuhn作。爽快な疾走感が心地好いです。爽快サウンドとDipierroの吐息混じりの大人のヴォーカルとFabrizio Bossoのトランペットが恋する気分へ誘います。
https://www.youtube.com/watch?v=X8wvz0lvlgY

「Natural」
Federico Savina/Nicola Conte/Stefania Dipierro作。Nicola Conteのギターが目立つタイトル曲が一番のDipierroとマエストロの共演らしいかもしれません。北欧ブラジリアン・ジャズのような透明感も感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=K7LydesWy5I

「I Feel The Sun On Me」
Federico Savina/Nicola Conte作。オトナのジャズ・グルーヴといった趣のクールネスがいいですね。妖艶なジャケの雰囲気がフィットする演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=D9b3uyvVr5I

「A Menina Danca」
Luiz Galvao/Moraes Moreira作。ブラジルの伝説的グループOs Novos Baianosのカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Acabou Chorare』
(1972年)に収録されています。また、当ブログではMarisa Monteのヴァージョンも紹介済みです。小気味良いヴォーカル&演奏で清々しい印象を与えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=NXD_q_9XhLc

「Vento Bravo」
Edu Lobo/Paulo Cesar Pinheiro作。この曲の持つミステリアスな雰囲気がDipierroのヴォーカルに合っています。
https://www.youtube.com/watch?v=Bf8niijzukg

「Que Maravilha」
Jorge Ben/Toquinho作。当ブログではSom Okey 5Heraldo Do MonteOsmar Militoのカヴァーも紹介済みです。ここでは素敵なメロウ・ボッサでしっとりと聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=rtZJWjtKsd4

「Joia」
ラストはCaetano Velosoをカヴァー。彼の名作『Joia』(1975年)のタイトル曲です。ただし、本ヴァージョンは当ブログでも紹介したGal Costaヴァージョンを手本にしたものだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=4IBYEPY865M

Nicola Conteの他作品もチェックを!

『Jet Sounds』(2000年)
Jet Sounds

『Bossa Per Due』(2001年)
Bossa Per Due

『Jet Sounds Revisited』(2001年)
Jet Sounds Revisited

『Other Directions』(2004年)
Other Directions

『Rituals』(2008年)
リチュアルズ

『Love & Revolution』(2011年)
ラヴ&レヴォリューション

『Free Souls』(2014年)
nicola conte free souls.jpg
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2016年03月20日

Anderson .Paak『Malibu』

西海岸R&B/Hip-Hopシーンで最も旬な才能の自信作☆Anderson .Paak『Malibu』
MALIBU [国内仕様盤 / 帯・解説付き](ERECDJ218)
発表年:2016年
ez的ジャンル:西海岸Hip-Hop/R&B
気分は... :この才能を聴き逃すな!

今回は新作アルバムから、今最も注目を集める西海岸Hip-Hop/R&BアーティストAnderson .Paakの最新作『Malibu』です。

Anderson .Paak(本名:Brandon Paak Anderson)は1986年生まれのL.A.を拠点に活動する男性R&Bシンガー/ラッパー/プロデューサー/ドラマー。

カリフォルニア州オックスナードで韓国出身の母親とアフリカ系アメリカ人の父親の間に生まれたPaakは、フルタイムで働きながらミュージシャンを志し、2007年にはL.A.の音楽大学に入学し、本作にも参加しているMatthew "Callum Connor" MarisolaJose RiosKelsey Gonzalezといった盟友ミュージシャン達と出会います。

そして、Breezy Lovejoy名義でラッパー/プロデューサーとして活動を開始しますが、チャンスに恵まれず窮地に陥ります。そんな彼を救ったのが、L.A.のプロデューサー/クリエイター・ユニットSa-Ra (Sa-Ra Creative Partners)Shafiq Husayn

Shafiqは自身のソングライティング/プロデュース活動のアシスタント業務をPaakに任せると同時に、Paakの創作活動をサポートしました。

そんな支えもあったおかげで、Paakは2012年にBreezy Lovejoy名義で『O​.​B​.​E. Vol​.​1』『Lovejoy』といった作品をリリースしています。

その後、更なるステージ・アップを目指してアーティスト名をAnderson .Paakを改め、2013年にカヴァー集のEP『Cover Art』をリリースします。そして、2014年にはAnderson .Paak名義の初アルバム『Venice』をリリースし、ポスト・インターネット時代のR&Bアーティストとして注目されるようになります。

2015年にはKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にもプロデューサーで参加したニュージャージー出身のプロデューサーKnxwledgeと意気投合し、二人のユニットNxWorriesを結成します。

そして、NxWorriesで制作したトラック「Suede」を、西海岸Hip-Hopシーンの大御所Dr. Dreが気に入り、Dreが健在ぶりを示した大ヒット・アルバム『Compton』(2015年)にPaakが参加することになります。

全く無名のアーティストながら、『Compton』で6曲もフィーチャリングされたことで、Anderson .Paakの名が世界中のHip-Hopリスナーに知れ渡ることになります。

その後もThe Game『The Documentary 2.5』といったメジャー作品に客演する一方で、SiR『Seven Sundays』といったL.A.インディR&Bの良作にも参加しています。

ちなみに『Seven Sundays』には、KnxwledgeChris Dave(元Robert Glasper Experiment)も参加しています。

話が少し逸れましたが、全世界がAnderson .Paakに注目する中で届けられた新作が『Malibu』です。

Anderson .Paak自身、DJ KhalilMadlib9th WonderMatthew "Callum Connor" MarisolaPOMOJose RiosKaytranadaLikeChris Dave & the DrumhedzHi-TekDem JointzVicky Farewell Nguyenといった面々がプロデュースを手掛けています。

また、BJ the Chicago KidSchoolboy QRapsodyThe Free Nationals United Fellowship ChoirThe GameSonyae EliseTalib KweliTiman Family Choirといったアーティストがフィーチャリングされています。

さらにSam Barsh(key)、Robert Glasper(key)、Pino Palladino(b)、Kelsey Gonzalez(g)等のミュージシャンがレコーディングに参加しています。

細かくは書きませんが、こうした参加ミュージシャンのピープルツリーを辿るだけでも、本作が現行Hip-Hop/R&Bシーンの縮図のような魅力を持った作品であることが確認できるはずです。

僕の場合、今年に入ってから『Venice』を購入し、その直後に本作『Malibu』がリリースされたため、ほぼ2枚同時並行で聴いている状態です。

『Venice』はアンダー・グラウンドなエレクトロニカ色が印象的ですが、それと比較すると、『Malibu』は生演奏の比重が増し、ソウル/ネオソウル色の強い楽曲も目立ちます。豪華ゲストを迎えて、よりキャッチーな仕上りを意識したようにも感じます。

個人的には『Venice』のアンダー・グラウンド感もかなり好みなのですが、『Malibu』にはKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』に通じるようなスケール感を感じます。

Kendrick Lamarを引き合いに出すのは時期尚早ですが、本作の充実ぶりを聴けば、そんな期待を抱いてしまいます。

この新たな才能をお聴き逃しなく!

全曲紹介しときやす。

「The Bird」
Anderson .Paakプロデュース。生演奏を重視したメロウR&Bなオープニング。本作における生演奏重視、メロディ重視のスタンスが窺えます。
https://www.youtube.com/watch?v=KXdW0g6jAxE

「Heart Don't Stand a Chance」
売れっ子Hip-HopプロデューサーのDJ Khalilによるプロデュース。"今ジャズ"注目のイスラエル出身ベーシスト、Avishai Cohenのトリオに参加していたピアニストSam Barshがキーボードで参加しています。Sam BarshはKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にもにも参加しています。Paak自身の派手なドラミングと共に始まるネオ・ソウル的なミディアム・グルーヴ。Sam Barshのメロウ・エレピが全体に柔らかさを加えています。
https://www.youtube.com/watch?v=O5mcLhuUfG0

「The Waters」
奇才Madlibプロデュース。シカゴ出身でMotown所属の男性R&BシンガーBJ the Chicago Kidをフィーチャー。BJ the Chicago KidもPaakと同じくDr. Dre『Compton』でフィーチャリングされ、注目を浴びたアーティストですね。奇才MadlibとAnderson .Paak、BJ the Chicago Kidという若き才能の顔合わせというだけで興味が湧いてくる1曲です。Madlibの生み出すブラック・フィーリング溢れたトラックに、BJ the Chicago Kidの妖しげなセクシー・ファルセット、Paakの個性的な声質のフロウが絡みます。
https://www.youtube.com/watch?v=J2R2ticmolk

BJ the Chicago Kidの最新作『In My Mind』も素晴らしいR&B作品なので要チェックです!
BJ the Chicago Kid『In My Mind』(2016年)
In My Mind

「The Season/Carry Me」
9th Wonder/Matthew "Callum Connor" Marisolaプロデュース。9th WonderとPaakの顔合わせも興味深いですね。コズミックな前半から中盤以降はソウル感覚で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=niDDE91qBgI

「Put Me Thru」
Anderson .Paakプロデュース。ロッキンなポップ・テイストがキャッチーでいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=pK2-XuLByuQ

「Am I Wrong」
カナダ出身のプロデューサー/マルチ奏者POMOのプロデュース。2014年に『Oxymoron』が大ヒットしたL.A.出身のラッパーSchoolboy Qをフィーチャー。今流行のブギー・ファンク調のダンサブル・チューンで盛り上げてくれます。ホーン・セクションも加わったアルバムで1、2を争うキャッチーな仕上りなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=vvPeJLcK2Lk

「Without You」
9th Wonderプロデュース。Rapsodyの女性ラップをフィーチャー。Hiatus Kaiyote「Molasses」をサンプリングしたメロウ・ブーンバップ。アングラHip-Hop好きの人は気に入りそうな仕上りです。紅一点のシンガーNai Palm擁するオーストラリアのフューチャリスティック・ハイブリッド・バンドHiatus Kaiyoteをサンプリングした時点で降参です。
https://www.youtube.com/watch?v=lq1ugGPCClY

「Parking Lot」
Anderson .Paak/Jose Riosプロデュース。Paakのポップなセンスが反映された1曲。キラキラ感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bIG35tCV7ws

「Lite Weight」
The Internet『Ego Death』(2015年)にも参加していたHip-HopアーティストKaytranadaのプロデュース。The Free Nationals United Fellowship Choirをフィーチャー。Kaytranadaによるフューチャリスティックなトラックの儚い雰囲気がいいですね。

「Room in Here」
Likeプロデュース。The Game & Sonyae Eliseをフィーチャー。The Gameが自身の作品への客演に対するお返しで参加しています。ノスタルジックなジャジー・トラックに合わせて、PaakがThe Gameに貫録敗けしないフロウを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QJBB3q0MDPQ

「Water Fall (Interluuube)」
Chris Dave & the Drumhedzプロデュース。RGE時代の盟友Robert Glasper(key)やSoulquariansの一員として名を馳せたPino Palladino(b)も参加しています。そんなメンツを考えると、単なるインタールードで片付けられないRGE的な雰囲気のジャジー・トラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=7-JFieViDzc

「Your Prime」
DJ Khalilプロデュース。Paak自身のドラム、Sam Barshの鍵盤らが生み出す生音サウンドから現行L.A.シーンの流れを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=aFJgxn70tDk

「Come Down」
Talib Kweliとのコラボでも知られるシンシナティ出身のプロデューサーHi-Tekプロデュース。Hi-Tekによるオルタナ色の強いトラックとPaakの少しクセのある声質がよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=-mlg-fFJZGA

「Silicon Valley」
Dem Jointzプロデュース。彼もDr. Dre『Compton』参加組です。壮大なサウンドとオートチューンによるヴォーカルワークが哀愁ソウル・モードを演出します。
https://www.youtube.com/watch?v=cWyQg74AK3E

「Celebrate」
Anderson .Paak/Vicky Farewell Nguyenプロデュース。Kelsey Gonzalez、Jose Rios、Vicky Farewell Nguyen、Ron Avantらによる生演奏の味わいを重視した歌心のある仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=5SKpOW_o8Do

「The Dreamer」
Matthew "Callum Connor" Marisolaプロデュース。Talib Kweli & Timan Family Choirをフィーチャー。タイトルの通りなドリーミーなトラックで傑作アルバムを締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Jv95aptVSUk

Anderson .Paak関連の他作品もチェックを!

Anderson .Paak『Venice』(2014年)
Venice

NxWorries『Link Up & Suede』(2015年)
Link Up & Suede -Mcd-

Dr. Dre『Compton』(2015年)
Compton
posted by ez at 00:44| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする