2016年03月13日

Submotion Orchestra『Colour Theory』

ヴォーカルやサウンドをじっくり聴かせる最新作☆Submotion Orchestra『Colour Theory』
Colour Theory
発表年:2016年
ez的ジャンル:UKダウンテンポ/エレクトロニカ
気分は... :淡いパープル・・・

今回は人力ダブステップ・バンド/ベースミュージックとして注目を浴びてきたUKのソウル・コレクティブSubmotion Orchestraの最新作『Colour Theory』です。

Ruby Wood(vo)、Simon Beddoe(tp、flh)、Taz Modi(key)、Chris Hargreaves(b)、Danny Templeman(per)、Tommy Evans(ds)、Dom Howard(programming、producer、engineer)という7組、Submotion Orchestraの紹介は、『Alium』(2014年)、『Finest Hour』(2011年)に続き3回目となります。

前作『Alium』はクラブミュージック/ベースミュージックにソウル、ジャズを融合させたクロスオーヴァーな音世界が印象的でした。

それに対して、最新作『Colour Theory』はヴォーカルやサウンドをじっくり聴かせることを重視したグッと落ち着きのある仕上がりです。従来の作品と比較して「静」の印象が強い作品です。ジャズ的エッセンスが少なくなった分、エレクトロニカ色が強くなった印象も受けます。

また、紅一点のヴォーカルRuby Woodに加え、Billy BoothroydAndrew AshongEd Thomasといったヴォーカリストをゲストに迎え、ヴォーカル・ワークにメリハリをつけているのも特徴です。

従来作品とのギャップを感じる1枚であり、それを成熟と捉えるか、迷走と捉えるか賛否が分かれる1枚かもしれませんね。

僕自身は『Alium』のようなアルバムを期待していた部分もあったので、最初聴いたときは正直戸惑いました。

それでも何度か聴き重ねているうちに、コレはコレで楽しめるようになりました。

本作らしい美しいヴォーカル・ワークが印象的な「More Than This」「Empty Love」、Andrew Ashongをフィーチャーしたフォーキーな味わいの「Needs」、ダビーなダンサブル・チューン「Illusions」あたりがオススメです。

全曲紹介しときやす。

「Red Dress」
美しくも虚しいダウナー・チューンでアルバムは幕を開けます。深遠なサウンドにRubyのヴォーカルが溶け込んでいきます。
https://www.youtube.com/watch?v=shqGAXf75EI

「More Than This」
Billy Boothroydをフィーチャー。美しいヴォーカル・ワークが印象的なビューティフル・エレジー。本作ならではの世界観に浸れる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=c7m17zT8kXM

「Kimono」
日本人には興味深いタイトルですね。ミニマルなダンサブル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=RgpNLB4-lhY

「In Gold」
ダークな美しさを持つサウンドがRubyのヴォーカルを引き立てるドラマチックな仕上り。スケール感のある1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=0Uou5wR43Cg

「Amira」
記号的サウンドの反復が脳内を侵食いているダンサブルなエレクトロニカ。
https://www.youtube.com/watch?v=14Nu-vvS2bE

「Needs」
ガーナ系イギリス人のR&BシンガーAndrew Ashongをフィーチャー。フォーキーなエッセンスを取り入れた温もりのあるエレクトロニカ・サウンドがAndrew Ashongのヴォーカルと調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=29c4jnYE-RI

「Empty Love」
Ed Thomasをフィーチャー。RubyとEd Thomasの男女ヴォーカルの美しくも空虚な感じにグッとくる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=271bgI02nzk

「Jaffa」
UKターンテーブリストのStillをフィーチャー。エクスペリメンタル/アンビエントなインスト・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=xZd4aITb0eo

「Illusions」
ダビーなダンサブル・サウンドとRubyの切ないヴォーカルの組み合わせにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=2wMSQ5jP248

「A0」
ロンドンを拠点にするDJ/プロデューサーであるCatching Fliesをフィーチャー。ビューティフルなインストで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JbbkZSUhjzI

Submotion Orchestraの他作品もチェックを!

『Finest Hour』(2011年)
Finest Hour

『Fragments』(2012年)
フラグメンツ

『Alium』(2014年)
Alium [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC448)
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2016年03月11日

Honey Cone『Sweet Replies』

代表曲「Want Ads」が初めて収録された2ndアルバム☆Honey Cone『Sweet Replies』
スウィート・リプライズ+2
発表年:1971年
ez的ジャンル:Hot Wax系女性ソウル・グループ
気分は... :1stと3rdの狭間で少し損しているかな?

今回はHolland-Dozier-HollandのHot Waxを代表する女性グループHoney Coneの2ndアルバム『Sweet Replies』(1971年)です。

Carolyn WillisEdna WrightShelly Clarkの3名によりL.A.で結成された女性グループHoney Coneの紹介は、3rdアルバム『Soulful Tapestry』(1971年)に続き2回目となります。

Honey Coneがブレイクするのは、次作『Soulful Tapestry』(1971年)からです。その象徴が同作からシングル・カットされ、全米R&Bチャート、全米チャート共に第1位となったグループの代表曲「Want Ads」ですが、実はこの曲が最初に収録されたアルバムが本作『Sweet Replies』(1971年)です。

Honey Coneの場合、ややこしいのはオリジナル・アルバム間で収録曲が重複している点です。その煽りを最も受けているアルバムが『Sweet Replies』かもしれません。

『Sweet Replies』は全12曲中5曲が1stアルバム『Take Me with You』収録曲、2曲が次作『Soulful Tapestry』にも再収録されました。再収録された「Want Ads」「The Day I Found Myself」の2曲は共にシングル・カットされ、ヒットしました。

話が少し逸れますが、現在ではHoney Coneのオリジナル・アルバム4枚の4in2CDが発売されています。その中で本作『Sweet Replies』の収録曲が不足していると勘違いしている人がいるようですが、不足しているのではなく1stと重複する5曲の二重収録を避けているだけで、実際には全曲収録されています。

このように1stと3rdの狭間で少し損をしている印象も受ける『Sweet Replies』ですが、そうした予備知識を外して純粋に1枚のアルバムとして聴けば、十分楽しめる1枚だと思います。

Ronald Dunbarがエグゼクティブ・プロデューサーとしてクレジットされ、Chairmen of the BoardのフロントマンGeneral JohnsonEdna Wrightと公私のパートナーとなるGreg Perryがプロデュースを務めています。

「Want Ads」がハイライトですが、それ以外であればファズ・ギターの効いた「Are You Man Enough, Are You Strong Enough」「Sunday Morning People」「Deaf, Blind, Paralyzed」や、歌いっぷりのいい「My Mind's on Leaving, But My Heart Won't Let Me Go」、スペイシーなイントロの「When Will It End」、サイケ&ピースフルな「Blessed Be Our Love」あたりが僕のお気に入りです。

いつ聴いてもEdna姐さんのパンチの効いたヴォーカルはいいですね。

全曲紹介しときやす。

「Want Ads」
General Johnson/Greg Perry/Barney Perkins作。前述のように『Soulful Tapestry』に再収録され、同作からの1stシングルとして全米R&Bチャート、全米チャート共に第1位となったグループの代表曲です。いつ聴いてもポップに弾けたヤング・ソウル感にグッとくるたエヴァーグリーンな名曲ですね
https://www.youtube.com/watch?v=r0V9K0ERzRo

Taylor Dayneが1987年にカヴァーしています。また、Otierre「Extrapolare」、Three the Hard Way「Young Single and Free」、Joint Ventures「Rock to the Rhythm」、Mary Mary「Heaven」、Molesta Ewenement「Nikt I Nic」、Prop Dylan「Big Hiphop」、Jim Jones feat. Lloyd「Believe in Magic」、Guizmo「Ma Ruche」等のサンプリングソースとなっています。
Taylor Dayne「Want Ads」
 http://www.youtube.com/watch?v=vERQOfOJw2M
Princess Ivori「Wanted」
 http://www.youtube.com/watch?v=9XceB3YbC18
Mary Mary「Heaven」
 http://www.youtube.com/watch?v=zCLk7zsYJAk
Molesta Ewenement「Nikt I Nic」
 http://www.youtube.com/watch?v=Ui6he69vGgw
Jim Jones feat. Lloyd「Believe in Magic」
 http://www.youtube.com/watch?v=ZMWBHlsBHF8

「You Made Me Come to You」
William Weatherspoon/Raynard Miner作。この時代らしい少しケバケバしいサウンドをバックに、Edna Wrightがサウンドに負けない張りのあるヴォーカルを聴かせてくれます。

「Blessed Be Our Love」
General Johnson/Greg Perry作。イントロは「Want Ads」タイプですが、本編はミディアム・グルーヴに仕上がっています。エレクトリック・シタールがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=uea7DCn9o8Q

「Are You Man Enough, Are You Strong Enough」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)作。1st『Take Me with You』収録曲の再登場その1。格好良さでいえば、アルバム随一かもしれませんね。ロッキン・モードのサウンドとパンチの効いたヴォーカル・ワークが調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=XZKWBkwTQHg

「When Will It End」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)作。本作がリリースされる前年にシングル・カットされていた曲。スペイシーなイントロで始まるファンキー・グルーヴ。Edna Wrightのスケールの大きなヴォーカルの魅力を存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=T_NJj6wj5gQ

「The Feeling's Gone」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)作。1st『Take Me with You』収録曲の再登場その2。込み上げ系のソウル・バラードです。

「Sunday Morning People」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)作。1st『Take Me with You』収録曲の再登場その3。サイケなファズ・ギターにグッとくるグルーヴィー・ソウル。60年代と70年代の狭間感がいい雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=ohY3-7xIFNc

「Deaf, Blind, Paralyzed」
William Weatherspoon/Raynard Miner作。ファズ・ギターとパーカッシヴなコンガが印象的なファンキー・グルーヴ。サイケ+スワンプといった感じがいいですね。

「Take Me with You」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)作。1st『Take Me with You』収録曲の再登場その4。1970年にシングル・カットもされています。この時代らしいピースフルな高揚感がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=bt0kFvKhs4k

「My Mind's on Leaving, But My Heart Won't Let Me Go」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)/General Johnson作。1st『Take Me with You』収録曲の再登場その4。華やかなストリングスをバックに、歌いっぷりのいいヴォーカル・ワークで盛り上げてくれます。

「We Belong Together」
General Johnson/Greg Perry/Ronald Dunbar作。軽快なサウンドの中にもラブ&ピースを感じるこの時代らしい仕上り。
https://www.youtube.com/watch?v=RO3Wf9ENsNM

「The Day I Found Myself」
Ronald Dunbar/Edyth Wayne(Holland-Dozier-Holland)作。『Soulful Tapestry』に再収録され、同作からシングル・カットされ、全米R&Bチャート第8位のヒットとなりました。少しレトロ調のイナたいメロウネスや女性ソウル・グループらしいコーラス・ワークがいいですね。Joell Ortiz feat. The Kickdrums「How to Change」のサンプリングソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=zRQ7SORpifg

Honey Coneの他作品もチェックを!

『Take Me with You』(1970年)
テイク・ミー・ウィズ・ユー+1

『Soulful Tapestry』(1971年)
ソウルフル・タペストリー

『Love, Peace & Soul』(1972年)
ラヴ、ピース&ソウル+5

お得な4in2CDもあります。

『Take Me with You/Sweet Replies/Soulful Tapestry/Love, Peace & Soul』
Take Me With You/Sweet Replies/Soulful Tapestry/Lo
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2016年03月10日

Alfonzo Hunter『Blacka Da Berry』

Erick Sermonプロデュースのセクシーな男性R&B作品☆Alfonzo Hunter『Blacka Da Berry』
alfonzo hunter blacka da berry.jpg
発表年:1996年
ez的ジャンル:セクシー&メロウ男性R&B
気分は... :隠れた逸品・・・

90年代R&B作品からAlfonzo Hunter『Blacka Da Berry』(1996年)です。

Alfonzo Hunterは1973年シカゴ生まれの男性R&Bシンガー/サックス奏者。

EPMDErick Sermonに見出され、彼のDef Squad Recordsからアルバム『Blacka Da Berry』(1996年)をリリースします。

その後、2ndアルバムも準備していたようですが、レーベル閉鎖の影響もあり、頓挫してしまったようです。それでも2000年代に入ってカムバックし、断続的に活動していた模様です。詳細は調べてません。ゴメンナサイ。

さて、本作『Blacka Da Berry』ですが、スロウ〜ミディアム中心のセクシーなR&B作品に仕上がっています。

Erick Sermonがメイン・プロデューサーを務め、Alfonzo Hunter自身も2曲プロデュースしています。それ以外に元BlackstreetDave HollisterKevin ChandlerMichael Peeples等がプロデューサーに起用されています。

Erick Sermonがメイン・プロデューサーですが、それ程Hip-Hop色の強調せずセクシー&メロウな雰囲気を重視した仕上がりになっています。何より、主人公Alfonzo Hunterの声質が良く、ヴォーカルに安定感があるので、スロウ〜ミディアム中心の構成でも飽きることなく最後まで聴かせてくれます。

「Just The Way (Playas Play)」「Weekend Thang」といったシングル曲や、Minnie Riperton「Baby, This Love I Have」ネタのタイトル曲「Blacka Da Berry」、ボコーダー使いの「Crazy」、Dave Hollisterをフィーチャーした「Everything」、ジンバブエの民族楽器ムビラの音色に癒される「Quiet Time」あたりがオススメです。

90年代男性R&Bの隠れた逸品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Weekend Thang」
オススメその1。Erick Sermonプロデュース。アルバムからの2ndシングル。Bill Withers「Grandma's Hands」ネタのベースラインが印象的なベッドタイム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=gc7qu6NdFd4

「Blacka Da Berry」
オススメその2。タイトル曲はErick Sermon/Sugarlessプロデュース。Minnie Riperton「Baby, This Love I Have」をサンプリングしたセクシー・メロウ・グルーヴ。Alfonzoのセクシーな魅力が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=jDrJSx63WkE

「When You're Ready」
Erick Sermonプロデュース。90年代男性R&Bらしいスロウ・ジャム。声質がいいのでセクシー・ヴォーカルがよくマッチします。
https://www.youtube.com/watch?v=z3FICz_qwWs

「Keep It Tight (Interlude)」
インタールード。

「Slow Motion」
Kevin Chandler/Michael Peeplesプロデュース。オーセンティックなスロウですが安定感があります。Michael Peeplesのメロウな鍵盤が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=uF23nwOxyso

「Crazy」
オススメその3。Erick Sermon/Hen-Geeプロデュース。僕好みのボコーダー使いが効果的なミディアム。Zapp「Computer Love」を少しテンポアップしたような雰囲気にグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=6Rl7NxQY_00

「Just The Way (Playas Play)」
オススメその4。Erick Sermonプロデュース。デビュー・シングルにもなったメロウなR&Bグルーヴ。Erick Sermonもラップを披露してくれます。Alfonzo Hunterの代表曲といえばコレになるでしょう。Alfonzoのセクシー&メロウな魅力が上手く引き出された1曲だと思います。Goodie Mob「Cell Therapy」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=JwcE_Y8rV4c

この曲といえば、リミックスも充実です。いずれもErick Sermonが手掛けたGrover Washington Jr.「Mister Magic」 ネタのThe RemixやMary Jane Girls「All Night Long」ネタのFemale Remix、BlacksmithによるGrover Washington Jr.「Knucklehead」ネタのBrixton Bass Club Mix等があります。

「Just the Way (The Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=wi-i4Jf2yHk
「Just the Way (Female Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=7zs_FN_llv4
「Just the Way (Brixton Bass Club Mix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=BIQwxIJGMv0

「Groove On」
オススメその5。Erick Sermon/Jazzy Fayeプロデュース。少しスモーキーな浮遊感にグッとくるセクシー・グルーヴ。下品ではないエロ・モードがいいですね(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=L28GkwmiJIg

「Would You Be Mine」
Kevin Chandler/Michael Peeples/Alfonzo Hunterプロデュース。美しいメロディ・ラインをセクシーに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=P91zTBiluls

「Everything」
オススメその6。Dave Hollisterがプロデュースし、ヴォーカルでも参加しています。ヴォーカル・ワークの良さを活かした感動的なバラードに仕上がっています。R. Kelly「The Sermon」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=JhHyURwgLLE

「Daddy's Little Baby」
Erick Sermonプロデュース。アコースティックな質感を活かした抑えたトーンがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=dPUgYm3d3m0

「Rest In Peace」
Kevin Chandler/Michael Peeples/Alfonzo Hunterプロデュース。オーセンティックなスロウですが、Alfonzoがヴォーカルのみならず素敵なサックス・ソロも披露してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nbJrXEGYXiU

「Quiet Time」
オススメその7。Erick Sermonプロデュース。The Heath Brothers「Smilin' Billy Suite Pt. II」をサンプリングしたジンバブエの民族楽器ムビラのループが印象的なトラックです。
https://www.youtube.com/watch?v=uX6MiFdMRQQ

寒暖差の激しい日が続いたので、体調不良気味です。
3月末に向けて忙しくなりそうなので、体調を優先せねば!
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2016年03月09日

Esperanza Spalding『Emily's D+Evolution』

才女ジャズ・べーシストの最新作はコンセプト・アルバム☆Esperanza Spalding『Emily's D+Evolution』
Emily's D+Evolution(deluxe)
発表年:2016年
ez的ジャンル:才女系ジャズ・べーシスト/ヴォーカリスト
気分は... :進化か?退化か?

注目の新作が多く、定番の週末の新作エントリーのみでは対応しきれないので、週中にも新作を取り上げたく思います。

ということで、才女ジャズ・べーシスト/ヴォーカリストEsperanza Spaldingの最新作『Emily's D+Evolution』です。

弱冠20歳のときに名門バークリー音楽学院の教壇に立ち、かのPat Methenyの持っていた講師の学院最年少記録を塗り替え、2011年のグラミー最優秀新人賞を受賞した才女Esperanza Spaldingの紹介は、『Esperanza』(2008年)、『Radio Music Society』(2012年)に続き2回目です。

本作『Emily's D+Evolution』は、誕生日の前夜に見た夢に出てきたもう一人の自分が主人公のコンセプト・アルバムです。アルバムのタイトルにあるEmilyとはEsperanzaのミドル・ネームであり、Devolution(進化)とEvolution(退化)

そんなコンセプトに合わせたビジュアル面も重視されており、オープニング曲「Good Lava」のPVでその一端を確認することができます。同曲のPVでは人類の創生や文明の発展をイメージさせます。また、Esperanzaの中のもう一人の自分を演じることを意識してか、彼女自身のビジュアルもそれまでのアフロヘアからロング・ブレイズとなり、さらにはセルフレームのメガネ姿と大きくイメチェンしています。

本作はすでに各地のライブで演奏されており、曲間の演技も交えたミュージカル仕立てのパフォーマンスも披露しています。

プロデュースはEsperanza Spalding本人とTony Visconti

Tony Viscontiといえば、先日惜しくも逝去したロック界のスーパースターDavid Bowie作品のプロデュースでお馴染みの巨匠ですね。Bowieの遺作『★』のプロデュースも手掛けていました。

ミュージカル的なエッセンスも含むコンセプト・アルバムである本作で、さまざまな人物を演じてきたロック・スターDavid Bowieを最も良く知るプロデューサーを起用したあたりの巡り合わせが実に興味深いですね。

コンセプト・アルバムなので、緻密なサウンド・ワークを駆使した作品と思いきやスタジオ・ライヴによるレコーディングです。まぁ、前述のようにライブでの再現できる作品、ジャズ・ミュージシャンの作品ということを踏まえれば、スタジオ・ライブという選択は当然なのかもしれませんが・・・

レコーディング・メンバーは、Esperanza Spalding(b、vo、p、synth bass)、Matthew Stevens(g)、Justin Tyson(ds)、Karriem Riggins(ds)、Corey King(back vo、syn、key、tb)、Emily Elbert(back vo)、Nadia Washington(back vo)という少数精鋭の編成です。

レコーディング・メンバーで印象的なのはギターのMatthew StevensJamire WilliamsKris BowersBen Williamsらも参加する若手ジャズメンのオールスター・ユニットNEXT CollectiveのメンバーでもあるJazz The New Chapter(JTNC)注目のギタリストです。

当ブログで紹介した作品であれば、Matthew Stevensは、Ben Williams『State Of Art』(2011年)、Erimaj『Conflict Of A Man』(2012年)、Christian Scott『Stretch Music』(2015年)といったJTNC重要作に参加しています。

後はThe Soulquarians好きの僕としては、CommonJay Dee(J Dilla)Erykah Badu、>(The Roots)等の作品でお馴染みのプロデューサー/ドラマーであるKarriem Rigginsの参加も、JazzとHip-Hop/R&Bの融合という意味で興味深いですね。

サウンド的にはMatthew Stevensのギターに象徴されるロック寄りのオルタナティヴ感のあるダイナミックな演奏が目立ちます。そこにEsperanzaのもう一つの魅力である愛らしいピュア・ヴォーカルが加わることで、ハードさと優しさが絶妙なバランスで調和するEsperanzaならではの音世界を生み出しています。

コンセプト・アルバムに相応しいミュージカルや映画を観るような感覚でアルバム1枚を聴くことができる1枚です。

ベーシスト、ヴォーカリスト、トータルなクリエイターとEsperanzaの才女ぶりを存分に楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Good Lava」
主人公Emilyが登場し、進化と退化というアルバムのテーマを示唆するオープニング。Matthew Stevensのギター、Esperanzaのベース、Justin Tysonのドラムによるトリオ演奏ですが、本作らしいロッキン・サウンドによるダイナミックな演奏は迫力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=UDrEHphZbcE

「Unconditional Love」
無条件の愛が歌われます。ピュアなEsperanzaの歌声が印象的です。JTNC好きの人はKarriem Rigginsの"今ジャズ"的なドラミングにグッとくるのでは?

「Judas」
従来からのEsperanzaらしい雰囲気のある演奏ですね。Esperanzaのベース・プレイも存分に楽しめます。

「Earth To Heaven」
文明への風刺も効いたロッキンな演奏です。トリオ演奏とは思えないダイナミズムの中にも、しっかりジャズを感じられるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WdcPPLDvJoA

「One」
本作らしい世界観やサウンドがよく反映された1曲。スケール感の大きな演奏と、Esperanzaの愛のあるヴォーカルの組み合わせが聴く者を惹き込みます。
https://www.youtube.com/watch?v=bGqmoWH-t1c

「Rest In Pleasure」
力強さと優しさのメリハリの効いた演奏によるドラマチックな仕上り。

「Ebony And Ivy」
Esperanza、Corey King、Nadia Washingtonによる早口なア・カペラが印象的です。人種差別、格差社会へのメッセージが歌われます。

「Noble Nobles」
Corey KingとEsperanzaの共作。SSW的なアコースティックな質感が印象的な演奏です。

「Farewell Dolly」
ベースによる弾き語りといった雰囲気が印象的です。

「Elevate Or Operate」
Esperanzaの愛らしい声質を活かした1曲。ハードなサウンドと愛らしいヴォーカルのコントラストが実にいいですね。

「Funk The Fear」
タイトルの通り、ファンク・ロック炸裂の演奏でグイグイきます。キャッチーな格好良さでいえば、アルバム随一かもしれませんね。

「I Want It Now」
Anthony Newley作。人類に警鐘を鳴らすような演奏で締め括ってくれます。

「Change Us」
CDボーナス・トラック。Matthew Stevensのギターが牽引するメロディアスな仕上り。

「Unconditionnal Love - Alternate Version」
「Unconditionnal Love」の別ヴァージョン。9分半を超える長尺です。

「Tambien Detroit」
国内盤ボーナス・トラック。独特の雰囲気を醸し出す、つなぎの小曲といった感じですね。

『Junjo』(2006年)
JUNJO

『Esperanza』(2008年)
Esperanza

『Chamber Music Society』(2010年)
Chamber Music Society

『Radio Music Society』(2012年)
Radio Music Society
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2016年03月08日

Ben Sidran『I Lead A Life』

人気メロウ・グルーヴ「Chances Are」収録☆Ben Sidran『I Lead A Life』
アイ・リード・ア・ライフ
発表年:1972年
ez的ジャンル:フリーソウル系AORジャズ
気分は... :チャンスって・・・

今回は"Dr.Jazz"Ben Sidran『I Lead A Life』(1972年)です。

これまで当ブログで紹介したBen Sidran作品は以下の4枚。

 『Feel Your Groove』(1971年)
 『Don't Let Go』(1974年)
 『A Little Kiss In The Night』(1978年)
 『The Cat And The Hat』(1980年)

本作『I Lead A Life』Blue Thumb第一弾アルバムであり、人気曲「Chances Are」が収録されています。

プロデュースはBen SidranBruce Botnick

レコーディングにはBen Sidran(key、vibe、vo)以下、名セッション・ミュージシャンPhil Upchurch(b、per)、The J.B.'sの活動で知られるClyde Stubblefield(ds、per)、Benと同じくかつてSteve Miller Bandに在籍いていたCurley Cooke(g)やTim Davis(congas)、人気ジャズ・トランぺッターBlue Mitchell(tp)、それ以外にDennis Oliver(b)、George Brown(ds)、Curt Roads(syn)、Charles Davis(as)、Jim Gordon(ts)、 Bob Corbet(horns)、 Bob Folkedahl(horns)、John Almond(fl)、Bruce Botnick(back vo)、Cheeba Switzer(back vo)、Gavin Christopher(back vo)等が参加しています。

個人的には前半の「Chances Are」「It Don't Pay To Worry Like That」「When A Woman Say She Ready」といったBenの下手ウマ・ヴォーカルが栄えるAORジャズ的なヴォーカル曲がオススメです。その一方で後半はファンキーな演奏が印象的です。

"Dr.Jazz"Ben Sidranの都会的なジャズ・センスがお好きな人であれば、十分楽しめる1枚です。

「Eliyahu」「Slippery Hip」以外はBen Sidranのオリジナルです(共作含む)。

全曲紹介しときやす。

「Chances Are」
本作のハイライト。Cafe Apres-midiのコンピにも収録されていた人気曲です。下手ウマ・ヴォーカルが栄えるハートウォーミングなメロウ・グルーヴです。まさにAORジャズといった趣の仕上がりです。涼しげなフルートもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=3aUwfUZ--GM

本曲といえば、『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)に収録されたClementineとの共演ヴァージョンも要チェックですね。
Ben Sidran & Clementine「Chances Are」
https://www.youtube.com/watch?v=K-etjjUuS3M

「Lust」
ブルージーなインスト。Ben、Phil Upchurch、Clyde Stubblefield、Curley Cookeによる隙のない演奏がシブくていいですね。

「It Don't Pay To Worry Like That」
「Chances Are」に次ぐ本作のハイライト。Benの下手ウマ・ヴォーカル、小粋なリズム、メロウ・エレピがよくマッチしたジャジー・メロウです。ドラマチックな終盤もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=5H8nQLJ3kRs

「Eliyahu」
宗教歌をBenがアレンジしたもの。厳かな中にもBenらしいアレンジ・センスが効いています。

「When A Woman Say She Ready」
Curley Cookeとの共作。"Dr.Jazz"らしい小粋なジャズ・センスを楽しめるブルージー&スウィンギーなヴォーカル曲の前半と、Ben、Phil Upchurch、Clyde Stubblefield、Curley Cooke、Blue Mitchellらの白熱したプレイを楽しめる後半で二度楽しめます。

「I Lead A Life」
タイトル曲はサイケなファンキー・チューン。"Dr.Jazz"ならではの毒気がいいですな。
https://www.youtube.com/watch?v=2bZlG0BYzD4

「The Devil Comes To Las Vegas」
疑似ライヴ風のインスト・ジャズ・ファンク。Curley Cookeのギターが悪魔のように響き渡ります。

「Talking About Money」
Benの下手ウマ・ヴォーカルによるファンキー・チューン。Benのピアノも含めて、ニューオリンズ・ファンクのエッセンスも感じられます。

「Slippery Hip」
Phil Upchurch作のインスト。都会的なファンキー・チューンは実にヒップでいい感じです。

「Back Down On State Street」
ラストは楽しげなジャム・セッションでブルージーに締め括ってくれます。

Ben Sidranの他作品もチェックを!

『Feel Your Groove』(1971年)
夢の世界(紙ジャケット仕様)

『Puttin' in Time on Planet Earth』(1973年)
プッティン・イン・タイム・オン・プラネット・アース(紙ジャケット仕様)

『Don't Let Go』(1974年)
ドント・レット・ゴー

『Free in America』(1976年)
フリー・イン・アメリカ(紙ジャケット仕様)

『The Doctor Is In』(1977年)
ドクター・イズ・イン(紙ジャケット仕様)

『A Little Kiss In The Night』(1978年)
ア・リトル・キッス・イン・ザ・ナイト(紙ジャケット仕様)

『The Cat And The Hat』(1980年)
ザ・キャット・アンド・ザ・ハット(紙ジャケット仕様)

『On The Cool Side』(1987年)
Ben Sidran - On The Cool Side

『Cool Paradise』(1990年)
Cool Paradise

Ben Sidran & Clementine『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)
スプレッド・ユア・ウィングス
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