発表年:1969年
ez的ジャンル:グルーヴィー・オルガン・ジャズ
気分は... :Listen Here !
今回は60年代ジャズからRichard "Groove" Holmes『Workin' On A Groovy Thing』(1969年)です。
Richard "Groove" Holmes(1931-1991年)はニュージャージー出身のジャズ・オルガン奏者。
1961年に初リーダー作をレコーディングして以来、60年代から70年代にかけてコンスタントにリーダー作をリリースしていた人気ジャズ・オルガン奏者でした。中でも1965年に全米ポップ・チャート第44位のヒットとなったシングル「Misty」が有名です。
1991年に60歳で逝去しますが、その後も彼の作品は再評価が高く、『Comin' on Home』(1971年)、『New Groove』(1974年)、『Onsaya Joy』(1974年)等はレア・グルーヴ方面でも人気です。
その巨漢のみならず、グルーヴィーなオルガン・サウンドでも存在感のあるミュージシャンですね。
World Pacific Jazzでレコーディングされた本作は、Gerald Wilsonがアレンジ&コンダクターを務めたビッグ・バンドを配し、グルーヴィー&モッドな魅力に溢れたオルガン・ジャズ作品に仕上がっています。
レコーディングにはRichard "Groove" Holmes(org)、Paul Humphrey(ds)、Ernest Watts(as)、Anthony Ortega(as)、Richard Aplanald(as)、Frank Strong(tb)、Thurman Green(tb)、Mike Wimberly (bass tb)、Jerome Rusch(tp)、Larry McGuire(tp)、Herbert Anderson(tp)、Paul Hubinon(tp)、William Peterson(tp)、Dennis Budimir(g)、Wilton Felder(b)等が参加しています。
フル―ソウルのコンピにも収録された「I Can't Stop Dancing」(Archie Bell & The Drellsのカヴァー)、Brian Auger & The Trinityのモッド・ジャズ人気曲カヴァー「Isola Natale」、僕の一番のお気に入り「Listen Here」(Eddie Harrisのカヴァー)などオルガン・ジャズの魅力を楽しめる演奏がズラリと並びます。
グルーヴィーなオルガン・サウンドがお好きな方はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Isola Natale」
Brian Auger作。Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinityのモッド・ジャズをカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Open』(1967年)に収録されています。モッド・ジャズ人気曲をビッグ・バンドらしいダイナミック感のあるファンキー・グルーヴで聴かせてくれます。Paul Humphreyの叩き出すビートも格好良くていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SG4UtukuvCY
「Do You Know The Way To San Jose」
Burt Bacharach/Hal David作。Dionne Warwickのヒットでお馴染みのヒット曲「サン・ホセへの道」をカヴァー。当ブログではBossa Rio、Christopher Scottのカヴァーも紹介済みです。Bacharach作品に相応しい軽やかな華やかさを持った演奏でポップに聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=jkjTYtDd8V0
「Workin' On A Groovy Thing」
Roger Atkins/Neil Sedaka作。タイトル曲はThe 5th Dimensionのヒットで知られるNeil Sedaka作品のカヴァー。この演奏はグラミーのR&Bインスト部門にもノミネートされました。キャッチーなビッグ・バンド・サウンドとHolmesのソウルフルなオルガンがよく調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=nQbn4Wj9qug
「Oklahoma Toad」
ジャズ・ピアニスト/ヴォーカリストDave Frishbergの作品をカヴァー。オリジナルはアルバム『Oklahoma Toad』に収録されています。ここでもヴォーカルも披露してくれます。その低音ヴォーカルも含めたイナたい雰囲気が印象的です。
「High Blues Pressure」
Freddie Hubbard作品をカヴァー。オリジナルは『High Blues Pressure』(1968年)に収録されています。ビッグ・バンドでオリジナルのブルージーな雰囲気を再現したような仕上がりです。
「Listen Here」
Eddie Harris作品をカヴァー。オリジナルは『The Electrifying Eddie Harris』(1968年)に収録されています。個人的には本作のハイライト。モッド・ジャズ的な格好良さを持ったグルーヴィー・オルガン・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Albaa-YNLZY
Eddie Harrisのオリジナル自体が格好良くて大好きです。
Eddie Harris「Listen Here」
https://www.youtube.com/watch?v=CsHtO_i4qzM
「In And Out」
Wes Montgomery作品のカヴァー。Wesのオリジナルは『Movin' Wes』(1964年)に収録されています。ただし、本ヴァージョンは「Isola Natale」と同じく、Julie Driscoll, Brian Auger & The Trinity『Open』ヴァージョンの演奏がベースになっていると思います。モッド・ジャズ好きの方にはグッとくるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=6rTB2vnUE2o
「Dreams Of The Everyday Housewife」
Glen Campbell、1968年のヒット曲をカヴァー(Chris Gantry作)。ワルツ調の軽やかなオルガン・ジャズで聴かせてくれます。
「Rhythm & Groove」
Richard "Groove" Holmes作。本作唯一のオリジナル。グルーヴィーなHolmesのオルガンを堪能できるオルガン・ジャズらしい演奏です。
「I Can't Stop Dancing」
ラストはArchie Bell & The Drells、1968年のヒット曲をカヴァー(Kenny Gamble/Leon Huff作)。フル―ソウルのコンピにも収録された人気曲です。ノーザン・ソウル調のオリジナルの魅力を受け継いだキャッチーでダイナミックな演奏がいいですね。ここでもPaul Humphreyのドラミングがキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=pIiMqBahjhc
Richard "Groove" Holmesの他作品もチェックを!
『Groove』(1961年)
Richard Holmes & Gene Ammons 『Groovin' with Jug』(1961年)
『After Hours 』(1962年)
『Soul Message』(1965年)
『A Bowl of Soul』(1967年)
『Comin' on Home』(1971年)
『American Pie』(1972年)
『New Groove』(1974年)
Jimmy McGriff & Richard "Groove" Holmes『Giants Of The Organ Come Together』(1974年)
Jimmy McGriff & Richard "Groove" Holmes『Giants Of The Organ In Concert』(1974年)