発表年:1970年
ez的ジャンル:USフォーキーSSW
気分は... :フォーキーに黄昏る・・・
今回はUSフォーキー・グルーヴ作品からDon Cooper『Bless the Children』です。
Don Cooperはカンザス州出身の男性シンガー・ソングライター。
Rouletteから『Don Cooper』(1969年)、『Bless the Children』(1970年)、『The Ballad of C.P. Jones』(1971年)、『What You Feel Is How You Grow』(1972年)という4枚のアルバムをリリースしています。
商業的には成功しなかった人ですが、90年代フリーソウルのムーヴメントの中で再評価が高まったのが本作『Bless the Children』(1970年)です。
僕もSuburbia Suiteのディスクガイドで本作のことを知りました。音よりも先にギターを抱えて黄昏るジャケに惹かれてしまいましたね。
内容的には、ジャズ、ソウル、ブルース、ソフト・ロック、スワンプ、サイケ、バロック等のフィーリングを巧く取り入れたバラエティに富んだフォーキー作品に仕上がっています。
本作がリリースされた1970年はフォーキーなシンガー・ソングライターが一気に台頭してくる時期ですが、これだけサウンドにメリハリがあって、バラエティに富んだフォーキー作品って、あまりないような気がします。
それにも増して本作が魅力的なのは、主役であるDon Cooperの歌にあると思います。声質自体がとてもいいし、ブルーアイド・ソウル的な味わいの歌い回しの巧みさにグッときてしまいます。
レコーディング・メンバーとして、クレジットされているのはDon Cooper(vo、g)、Terry Plumeri(b)、Elliott Randall(g)、Bobby Notkoff(fiddle)の4名。
Elliott RandallはSteely Dan作品でお馴染みのギタリストですね。Bobby NotkoffはCrazy Horseのメンバーが数多く在籍していたバンドThe Rocketsのメンバーだった人です。
また、CDのライナーノーツによれば、クレジットはないもののドラムはBernard Purdieらしいです。
プロデュースはDon Cooper自身が手掛けています。アレンジはBill Moztzing
ハイライトは本作が再評価されるきっかけとなったアコースティック・グルーヴ「Bless The Children」です。多くの人がこの曲狙いで本作を購入しているのではないかと思います。
それ以外にも「Tin Cans And Alleyways」、「Mad George」、「Brotherlove」といったアーシーなフォーキー・グルーヴ、ブルーアイド・ソウル的なバラード「Willy Jean」、ソフトな語り口のメロウ・フォーキー「Only A Dream」、James Taylorのナイス・カヴァー「Something In The Way She Moves」、サイケ・フォーク調の「Rapid Rainbow Times」など聴き所満載です。
黄昏ジャケと「Bless The Children」を気に入った人は、ぜひアルバム全体をチェックしてみてください。
全曲紹介しときやす。
「Mad George」
Don Cooper作。アーシー&ブルージーな味わいのオープニング。「Bless The Children」同様に、この人のコクのあるヴォーカルを魅力を存分に堪能できます。ハーモニカやフィドルも実にいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=wjxsvDIu_K8
「Sad-Eyed Queen Of The Mountains」
Don Cooper作。ストリングスを配した哀愁フォーキー。同じフォーキーでも前曲と比較すると、都会的な雰囲気に仕上がっています。
「Tell Me About Her」
J. Slezinger作。バロック調のアレンジによるソフト・ロック的な仕上り。Bill Moztzingのアレンジの妙が冴え渡っています。
https://www.youtube.com/watch?v=XNzXKP_AItI
「Willy Jean」
Don Cooper作。ジャジー&ブルージーなバラード。Cooperのブルーアイド・ソウル的なヴォーカルの魅力を楽しめる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=amr7bAmasK0
「Bless The Children」
Don Cooper作。ファンキー・リズムとギター・カッティングが格好良いフォーキー・ソウル。Cooperの味わいのあるヴォーカルが栄えるグルーヴィー・フォーキーです。ハーモニカやフィドルの絡みもいい感じです。この1曲をゲットできただけで本作を購入した価値があると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=uKOLVk-mBNA
「Something In The Way She Moves」
James Taylor作。JTのオリジナルは『James Taylor』(1968年)に収録されています。ストリングスを配し、メリハリの効いたカヴァーに仕上がっています。シンプルなJTのオリジナルも味わい深いですが、聴きやすさでいえば、本ヴァージョンの方がスンナリ入ってくるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=MuCKgNjOP0s
「Tin Cans And Alleyways」
K. Shephard作。「Bless The Children」を除けば、コレが一番好き!本作がフォーキー・ソウル隠れ名盤としての評価が高い理由が納得できるフォーキー・グルーヴです。Elliott Randallのギターが効いています。終わり方がやや唐突なのが残念。
https://www.youtube.com/watch?v=Ma6YGUuTxNw
「Only A Dream」
Don Cooper作。ソフトな語り口のメロウ・フォーキー。「Bless The Children」、「Tin Cans And Alleyways」あたりの男臭い感じとは異なる、Cooperの別の魅力を発見できる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=XWg2rqs3GnA
「Rapid Rainbow Times」
Don Cooper作。Donovanあたりと一緒に聴きたいサイケ・フォーク調の仕上がり。サイケな雰囲気をマイルドに聴かせてくれるのがこの人らしいのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=2l4VRw49ZtQ
「A New Gun」
Don Cooper作。イントロのドラム・ブレイクが格好良いフォーキー・チューン。トランペットとフィドルがいいアクセントになっています。
「Brotherlove」
Don Cooper作。ラストはアーシーな雰囲気で締め括ってくれます。ここでもCooperの巧みな歌い回しにグッときてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=lw7HtQd56S0
今日で年度末ですね。
いくつかやり残していることがあるので、早く決着せねば・・・焦る(泣)