
発表年:1995年
ez的ジャンル:90年代男性R&Bグループ
気分は... :何もなかったように明日をむかえる・・・
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』を観てきました。
文句ナシに素晴らしい1本でした。
3時間を超える映画ですが、最初から最後までスクリーンに惹き込まれてしまいました。
虚構だらけの現代社会を"現代版 浦島太郎(浦島花子?)"の目線で描いたストーリーも深かったし、10分に1回は名場面が出てくる美しい映像美にも魅せられたし、何より黒木華、Cocco、綾野剛という3人の役者の素晴らしい演技に魂が揺さぶられました。この3人以外はあり得ないと思わせるキャスティングの妙ですね。
かなりの期待度を持って観に行った作品でしたが、そんな事前期待を遥かに上回る感動と満足度を与えてくれた岩井俊二監督の手腕・情熱に感服するばかりです。
家に帰ってきても、映画の余韻に浸るべく、映画の1シーンでCoccoが歌っていた荒井由美「何もなかったように」を何度も聴いています。映画の持つ世界観とユーミンの隠れた名曲が見事にリンクしています。
そんな流れで「何もなかったように」収録のユーミンのアルバム『14番目の月』でも紹介したい気分ですが、海外アーティスト作品が当ブログの原則なので・・・
ということで、今日は90年代男性R&Bグループ作品からAsante『Asante Mode』(1995年)です。
AsanteはN.Y.ブロンクスで結成された男性R&Bグループ。
メンバーはWarren Robinson、 Andre Zacharly、 Wil Townsend、 Pharaoh Davisという4名。このうち、Pharaoh DavisはThe Last PoetsのメンバーAbiodun Oyewoleの息子です。
The Last PoetsのメンバーUmar Bin Hassanのソロ・アルバム『Be Bop Or Be Dead』のバック・コーラスで初レコーディングを経験したグループは、その後も大物アーティストとの共演を重ね、 Columbiaとの契約に成功します。
そして、制作されたアルバムが本作『Asante Mode』(1995年)です。
Denzil FosterとThomas McElroyによる人気プロデューサー・チームFoster & McElroyとSWV『Release Some Tension』(1997年)などにも関与していたKevin Perez/Tony Perezがプロデュースを手掛けています。
アルバム全体としては、実力派ヴォーカル・グループらしいヴォーカル・ワークを活かした楽曲が多く、オーヴァー・プロデュースにならず、素直にグループの歌の素晴らしさを強調したアルバムに仕上がっています。
リード・シングルにもなった「Look What You've Done」、The Isley Brothersのカヴァー「Don't Say Goodnight」、Tony! Toni! Tone!調の「Dopest Ethiopian」、Tawatha Ageeが参加したファンク・チューン「Anything Is Possible」あたりがオススメです。
全曲紹介しときやす。
「Intro...Asante Mode」
アルバムのイントロ。
「Look What You've Done」
Kevin Perez/Tony Perezプロデュース。アルバムからのリード・シングル。「黒いシルクの夜」という邦題が示唆するように、The Isley Brothers「Between The Sheets」を思わせるセクシーなスロウに仕上がっています。このグループの魅力が詰まった1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=onG-SaHRbX8
「All About You」
Foster & McElroyプロデュース。この曲もシングルになりました。至ってオーソドックスですが、実力派グループならではの素晴らしいヴォーカル・ワークをさり気なく聴かせるあたりが心憎いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=8T9RFMAulIs
「Don't Push Me Away」
Foster & McElroyプロデュース。甘く妖しいミディアム・ファンク。思わせぶりなヴォーカルが妖しい雰囲気を醸し出します。
「Why?」
Foster & McElroyプロデュース。正統派のビューティフル・バラード。素晴らしいヴォーカル・ワークを存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=ut7YbX1zQoU
「Don't Say Goodnight」
The Isley Brothersのカヴァー。Isleysのオリジナルは『Go All The Way』(1980年)に収録されています。「Look What You've Done」でも示しtようにIsleys調の曲とグループの相性は抜群です。ここでもファルセットを駆使しながら、素晴らしいIsleysカヴァーを披露してくれます。Isleys好きの人も納得の好カヴァーなのでは?Kevin Perez/Tony Perezプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=SZSFwM14nZU
「People Get Ready」
The Impressionsの名曲シングルをカヴァー(Curtis Mayfield作)。この名曲をア・カペラで聴かせるあたりにグループの歌唱力への自信が窺えます。
https://www.youtube.com/watch?v=mbJ7LhU1rbM
「Prelude...What Goes On?」
インタールード。
「What's the Plan」
Foster & McElroyプロデュース。ポップな開放感のあるミディアム・グルーヴ。実力派グループならではの落ち着いた軽やかさがいいですね。
「Dopest Ethiopian」
Kevin Perez/Tony Perezプロデュース。Columbiaと契約する際、Columbiaのオフィスで披露したのが本曲なのだとか。巧みなヴォーカル・ワークを活かしたTony! Toni! Tone!調の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Qej78_wQaJo
「Interlude...The Phone Call」
インタールード。
「Catchin' Feelins」
Foster & McElroyプロデュース。脱力系のファンキー感が印象的です。
「Anything Is Possible」
Kevin Perez/Tony Perez/Asanteプロデュース。元Mtumeの女性ヴォーカリストTawatha Ageeが参加したダンサブル&キャッチーなファンク・チューン。このグループらしくないかもしれませんが、商業的に考えるとFoster & McElroyプロデュース曲でもこのタイプが1、2曲あっても良かった気が・・・
「Don't Think I Can Make It」
Foster & McElroyプロデュース。レトロ・フィーリングを取り入れたファンキー・チューンです。ヴォーカル・ワークを引き立てるための控えめなファンキー感がいいですね。
「Outro...Thank You」
アウトロ。
本作以降、Pharaoh Davisの父Abiodun OyewoleやPharoah Sanders、Bill Laswellといったアーティストのアルバムに参加していますが、グループ名義での作品がリリースされることはありませんでした。
実力派グループであっただけに残念ですね。