発表年:2016年
ez的ジャンル:UKクラブミュージック
気分は... :初期衝動!
今回はUKクラブミュージックを牽引してきたRob Gallagherの最新プロジェクトThe Diabolical Libertiesの始動作『The Dancefloors Of England』です。
GallianoやTwo Banks Of Fourを率いてきたRob Gallagher関連の作品について、当ブログでは以下の3枚を紹介済みです。
Galliano『A Joyful Noise Unto The Creator』(1992年)
Galliano『The Plot Thickens』(1994年)
Two Banks Of Four『City Watching』(2000年)
Gilles PetersonやAndrew Weatherallにも後押しされた最新プロジェクトThe Diabolical Libertiesのコンセプトについて、Rob Gallagher自身は「80年台初頭のポストパンクと初期ハウスのスピリットに、Lee "Scratch" PerryとSun Raからの影響を現代風に落とし込んだ音楽」と語っています。
確かに、ポストパンクと初期ハウスにあった初期衝動や自由さに満ちています。初期ハウスって聴いていて、良いのかどうかもわからないけど、何か新しいものが生まれる瞬間に立ち会っているかのようなエキサイティングな気持ちが湧いてきましたが、そんな感覚を思い出させてくれるサウンドが本作にはあります。
全8曲32分という内容は、アルバムというよりミニ・アルバムに近いものです。
それに対して国内盤2,400円(税抜)という価格設定には疑問も感じますが・・・
アンダーグラウンド感覚のダンス・ミュージックであり、正直聴く人を選ぶ間口の狭い作品ですが、UKクラブミュージックを25年以上牽引してきたRob Gallagherの矜持に満ちた1枚に仕上がっています。
全曲紹介しときやす。
「Get It Off Me」
ポストパンクと初期ハウスを彷彿させるプリミティヴな衝撃に満ちたオープニング。そこにSun Raのコズミック感とLee "Scratch" Perryのダビー感も加わり、ジャンルレスなアンダーグラウンド・ミュージックが展開されます。Rob Gallagher本人の解説によれば、Gilles PetersonはArthur Russell率いるDinosaur Lのガラージ/ロフトクラシック「Go Bang! #5」(1982年)と本曲をミックスしてプレイするのだとか。
Dinosaur L「Go Bang! #5」
https://www.youtube.com/watch?v=M6trpXUWSaE
「Dancefloors Of England」
タイトル曲はアンダーグラウンドなレイヴの衝動をギュッと凝縮したようなダンス・ミュージックです。
「This Will Change It」
初期ハウスの妖しく得たいの知れないアンダーグラウンドな魅力を甦らせたようなハウス・チューンです。
「Something In My Motion」
初期ハウスの匿名性の高いダンス・サウンドに戸惑った記憶が甦ってくるような仕上がりです。
「Heyy You, Let's Dance」
ジャンルに縛られて音楽を聴く不自由さに気づかせてくれるダンス・ミュージック。
「Sons Of The Bass Bin」
この曲も初期ハウスのアンダーグラウンドな魅力に満ちています。初期ハウスを聴き始めた頃、タブーな音楽に触れてしまったような感覚がありましたが、まさにそんな気分にさせてくれるサウンドです。
「Wind Up Saint Peter」
ポストパンク+初期ハウスのスピリットが伝わってくる1曲。破壊の中から新しいものが生まれてくる・・・
GallianoやTwo Banks Of Fourの作品もチェックを!
Galliano『In Pursuit of the 13th Note』(1991年)
Galliano『A Joyful Noise Unto The Creator』(1992年)
Galliano『The Plot Thickens』(1994年)
Galliano『:4』(1996年)
Two Banks Of Four『City Watching』(2000年)
Two Banks Of Four『Three Street Worlds』(2003年)
Two Banks Of Four『Junkyard Gods』(2008年)