2016年05月06日

『今の気分は...2016年5月6日編』

過去記事から10曲セレクトするシリーズです。
今回は2000年代カテゴリーからクラブミュージック/クラブジャズを10曲をセレクトしました。

全て過去記事で紹介済なので、気に入った曲があれば過去記事もご参照下さい。

Bugz In The Attic「Move Aside」
http://www.youtube.com/watch?v=sXUztMEUHGA
From 『Back In The Doghouse』(2006年)
Back in the Doghouse

Georg Levin「In Your Car」
http://www.youtube.com/watch?v=8VfHYfZ9YuA
From 『Can't Hold Back』(2003年)
Can't Hold Back

Reel People「Alibi」
http://www.youtube.com/watch?v=3joMq0awZ8g
From 『Seven Ways To Wonder』(2007年)
Seven Ways To Wonder

Lanu「Runaway」
http://www.youtube.com/watch?v=PYSIztUSUd0
From 『This Is My Home』(2008年)
This Is My Home

Phil Asher Presents Focus「Find Myself」
https://www.youtube.com/watch?v=L0Ss2gNt_NI
From 『Sweet And Sour』(2002年)
SWEET AND SOUR

Nathan Haines「Right By Your Side」
https://www.youtube.com/watch?v=JVMNYoy0Gp4
From 『Squire For Hire』(2003年)
Squire for Hire

Stockholm Cyclo「Beginning People」
https://www.youtube.com/watch?v=0lj3gbZVs78
From 『Beginning People』(2003年)
Beginning People

The Juju Orchestra「What Is Hip?」
https://www.youtube.com/watch?v=0co2SozPN3U
From 『Bossa Nova Is Not A Crime』(2007年)
Bossa Nova Is Not A Crime

Milano Jazz Dance Combo「Much More」
https://www.youtube.com/watch?v=53LExDSXLyk
From 『Milano Jazz Dance Combo』(2009年)
ミラノ・ジャズ・ダンス・コンボ

Gerardo Frisina「Gosto De Que E Bom」
http://www.youtube.com/watch?v=UrvzCjvoQkA
From 『The Latin Kick』(2005年)
The Latin Kick
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2016年05月05日

Terrace Martin『Velvet Portraits』

Hip-Hop/R&Bファンも注目のジャズ・アルバム☆Terrace Martin『Velvet Portraits』
Velvet Portraits [日本語解説・帯付]
発表年:2016年
ez的ジャンル:Hip-Hop/R&B×L.A.ジャズ
気分は... :L.A.ジャズ隆盛!

今回は新作ジャズからHip-Hop/R&Bファンからも注目される1枚Terrace Martin『Velvet Portraits』です。

Terrace MartinはL.A.サウスセントラル生まれのプロデューサー/サックス奏者。父はジャズ・ドラマーのCurly Martin

高校時代にLAビート・ミュージックの雄Flying Lotusの右腕として活躍する天才ベーシストThundercat、大作『The Epic』で昨年のジャズ・シーンを盛り上げたサックス奏者Kamasi Washingtonと出会い、後に彼らとSnoop Doggのツアーに参加しています。

また、ビートメイカーとしても活動していたTerraceはSnoopとの出会いでチャンスを掴み、Snoop DoggKendrick Lamar等数多くのHip-Hopアーティストのプロデュースを手掛けるようになりました。

ジャズ・ミュージシャンとHip-Hopビートメイカーという2つの側面を持つTerrace Martinの知名度を一気に広めたのが、2015年最大の衝撃作Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』のプロデュースです。

同作がHip-Hopファンに大きなインパクトを与えたのは勿論のこと、L.A.ジャズと西海岸Hip-Hopの融合という点で"今ジャズ"ファンのTerrace Martinに対する関心を高めました。昨年発売された『Jazz The New Chapter 3』でもRobert GlasperKamasi Washingtonと並びTerrace Martinのインタビュー記事が大きく取り上げられています。

そんな注目のミュージシャン/プロデューサーの最新作が『Velvet Portraits』です。

これまで彼自身のアルバムとしては、Mursとの共演アルバム『Melrose』(2011年)、Musiq SoulchildKendrick LamarRobert Glasper、Wiz Khalifa、Snoop Dogg、Lalah Hathaway等の豪華メンバーがゲスト参加した『3ChordFold』(2013年)という2枚をリリースしています。

最新作『Velvet Portraits』は、Terraceの広いミュージシャン人脈が窺える豪華メンバーが集結しています。

Terraceが高校時代から親交を持ち、互いの作品に参加し合う関係にあるRobert Glasper(p、el-p)、天才ベーシストThundercat(b)、Thundercatの兄Ronald Bruner Jr.(ds)、Kamasi Washington(sax)といったBrainfeeder勢、人気ジャズ・ファンク・グループSnarky PuppyのメンバーRobert "Sput" Searight(key、per)、話題のR&B作品や最近ではDr. Lonnie Smithの最新作『Evolution』やRobert Glasperがサントラを手掛けた帝王Miles Davisの伝記映画『Miles Ahead』に参加しているトランペット奏者Keyon Harold(tp)、Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にも参加していたベーシストBrandon Owens(b)およびサックス奏者Adam Turchinといった"今ジャズ"注目ミュージシャンがズラリと名を連ねます。

また、Earth, Wind & Fireの大ヒット曲「Let's Groove」をMaurice Whiteと共作したキーボード奏者Wayne Vaughnや、Wayneの妻Wandaが在籍する女性ソウル・グループThe EmotionsといったEW&F関連のミュージシャンや、Donny Hathawayの娘Lalah Hathawayの参加はソウル/ファンク好きの興味を引きます。

さらには前述のWayne Vaughnの娘でKendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』Dr. Dre『Compton』といった話題作にも参加している女性シンガーWyann Vaughn、前作『3ChordFold』にも参加し、フィーチャリング・ヴォーカリストとしても人気の女性シンガーTone Trezure、Snoop Dogg、Terrace Martin、Kendrick Lamarとも親交のあるギタリストMarlon Williams 、LAのミュージシャン集団1500 or Nothin'のメンバーの一人であるUncle Chucc、大物ベーシストAndrew Goucheの娘であり、プロデューサー/ソングライターとして活躍するTiffany GoucheといったHip-Hop/R&Bの注目アーティストも参加します。

忘れていましたが、Terraceの父親Curly Martin(ds)も参加しています。

こうした参加ミュージシャンからイメージされるように、ジャズとHip-Hop/R&Bが見事に調和したアルバムに仕上がっています。

一番のフィットするのは"今ジャズ"ファンでしょうが、L.A.のHip-Hop/R&Bに興味がある人が聴いてもかなり楽しめます。

Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)ほどのインパクトはありませんが、ジャズ・サイドからのHip-Hop/R&Bへのアプローチという点では『Black Radio』級の重要作と言えるのでは?

昨年リリースされたKamasi Washington『The Epic』、そして本作、さらに発売されたばかりのCarlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』(こちらも近々エントリーします)の3枚に、今のL.A.ジャズの魅力が凝縮されていると思います。

全曲紹介しときやす。

「Velvet Portraits」
幻想的なサウンドによるアルバムのプロローグ。
https://www.youtube.com/watch?v=J9PPRpAUqJ8

「Valdez off Crenshaw (Valdez in the Country)」
Terrace MartinとRobert "Sput" Searightの共同プロデュース。名盤『Extension Of A Man』に収録されていたDonny Hathawayの名曲「Valdez in the Country」のリメイク。サックス奏者としてのTerraceのプレイを楽しめます。ゆったりとしたファンキー・メロウな雰囲気がいいですね。ミニ・ムーグの音色も僕好み。Marlon Williamsのギター・ソロもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=3rZJVwKgv_4

「Push」
Tone Trezureをフィーチャー。Curtis Mayfield『Superfly』あたりに収録されていそうなファンキー・グルーヴ。Tone Trezureのソウルフル・ヴォーカル、Robert "Sput" Searightのファンキー・オルガン、父Curly Martinのドラミングが目立っています。
https://www.youtube.com/watch?v=rCLFHmwTmpo

「With You」
Terrace自身のヴォコーダーが印象的なメロウ・チューン。Zapp「Computer Love」あたりが好きな人は気に入るはず!Casey BenjaminのヴォコーダーをフィーチャーしたRobert Glasper Experiment名義の作品ともイメージが重なります。
https://www.youtube.com/watch?v=mOhBN-cnqsA

「Curly Martin」
Robert GlasperThundercat、Ronald Bruner Jr.をフィーチャー。タイトルの通り、父Curly Martinに捧げられた演奏です(父Curlyは不参加ですが)。JTNC好きは歓喜するスリリングな"今ジャズ"演奏を存分に堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=hO10m-t0jNI

「Never Enough」
Tiffany Goucheをフィーチャー。Tiffanyの従兄弟であり、当ブログでも度々登場する注目の男性R&BアーティストSiRあたりに通じるアトモスフィックなR&Bチューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=s4m_Z2MgnHU

「Turkey Taco」
DJ PoohとTerraceの共同プロデュース。Wyann Vaughn & Wayne Vaughnという父娘をフィーチャーしています。さらにWyannの母であるWanda Vaughn(The Emotions)もバック・コーラスで参加。ダークなサウンドとWyann & Wanda母娘の妖しげなヴォーカルが織り成す音世界はクセになります。
https://www.youtube.com/watch?v=V4pbpJOzIag

本作の日本語解説では、この曲をThe Emotions参加曲と誤解してか、"EW&Fへのオマージュ"と評しています。感じ方は人それぞれですが、このダークなサウンドはどう聴いてもEW&Fじゃないでしょ(笑)。『To Pimp A Butterfly』に参加しているのもWayneじゃなくWyannですよ!評論家のYさん、売れっ子かもしれませんが、仕事が雑なのでは?

「Patiently Waiting」
Uncle ChuccとThe Emotionsをフィーチャー。ヴィンテージ感のあるゴスペル・バラード。Uncle ChuccがメインでThe Emotionsはバック・コーラス隊に徹しています。
https://www.youtube.com/watch?v=CiXyZvQja_U

「Tribe Called West」
Keyon Harroldのトランペットをフィーチャー。タイトルの通り、A Tribe Called Quest(ATCQ)へのオマージュ。ATCQ調の浮遊するジャジー・サウンドをバックにKeyon Harroldがトランペットが音空間を揺らめきます。
https://www.youtube.com/watch?v=SqQwuZBKbd8

「Oakland」
Lalah Hathawayをフィーチャー。彼女の寂しげなヴォーカルが心に沁みる哀愁メロウなジャジー・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=wE1HJZ9j6n4

「Bromali」
Marlon Williamsのギターをフィーチャーしたインスト・チューン。淡々とした演奏なので、他の曲に比べて印象が薄いかも?
https://www.youtube.com/watch?v=xBHuxg3iJMI

「Think of You」
Kamasi Washingtonと女性シンガーRose Goldをフィーチャー。キュートなRose Goldのヴォーカルが印象的なメロウ・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=WLiRqplwG_U

「Reverse」
Robert GlasperとCandy Westをフィーチャー。テープ逆回転のようなサウンドが印象的です。タイトルはそれを意図したものなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=nyOi4NVyqQw

「Mortal Man」
Kamasi Washingtonがアレンジしたストリングスでドラマチックにスタートしますが、本編は浮遊感のあるコズミック&スピリチャルなサウンドが展開されます。
https://www.youtube.com/watch?v=-it0IZ8a0hg

Terrace Martinの他作品もチェックを!

Murs & Terrace Martin『Melrose』(2011年)
Melrose

『3ChordFold』(2013年)
3chordfold
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2016年05月04日

Lyle Divinsky『Uneven Floors』

ポートランドを拠点とする実力派白人ソウル・シンガー☆Lyle Divinsky『Uneven Floors』
アンイーヴン・フロアーズ(UNEVEN FLOORS) (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)
発表年:2016年
ez的ジャンル:インディ系白人ソウル・シンガー
気分は... :グッド・ヴァイヴ・・・

今回は新作R&B/ソウルからLyle Divinsky『Uneven Floors』です。

鈴木啓志氏がライナーノーツを書いていることで興味を持っている方もいるのでは?

Lyle Divinskyは1985年生まれ。オレゴン州ポートランドを拠点とする白人ソウル・シンガーです。

これまで『Traveling Man』(2009年)、『Lyle Divinsky』(2012年)という2枚のアルバムをリリースしており、本作『Uneven Floors』は3rdアルバムとなります。2015年末にデジタル配信され、今年CD化されました。

ポートランドを拠点とする白人ソウル・シンガーといえば、UK/USのソウルマニアに絶賛されたJarrod Lawsonを思い出しますね。ポートランドには白人ソウル・シンガーが育つ土壌があるんですかね?

Lyle Divinskyの場合、父親Phil Divinskyもシンガーで本作にも参加していり、そういった影響が大きかったのかもしれませんが。

さて、本作『Uneven Floors』ですが、Calvin Turnerがプロデュース&アレンジを手掛け、レコーディングにはCalvin Turner(b、per)、Adam Agati(g)、Louis Cato(ds、per)、Nigel Hall(p、org、key)等のミュージシャンが参加しています。

ギターのAdam Agatiの名はどこかで聞いたことがあると思い、過去記事を調べたらジャズ界の新星ピアニストKris Bowersのデビュー作『Heroes + Misfits』(2014年)に参加していました。それ以外にMarcus Miller作品にも何枚か参加しています。本作ではソングライティングでも活躍しています。

ドラムのLouis CatoもMarcus Miller絡みのミュージシャンであり、当ブログで紹介した作品でいえば、John Legend『Love In The Future』(2013年)に参加しています。

キーボードのNigel Hallはファンク・ジャム・バンドLettuce作品のヴォーカル等でお馴染みですね。今回のメンバーでは一番知名度のある人かもしれませんね。

アルバム全体はLyle Divinskyの60年代、70年代ソウルへの愛情が反映された1枚になっています。

僕の場合、最近のレトロ・ソウル/ヴィンテージ感丸出しのソウル・アルバムって多少食傷気味なのですが、本作にはそういった感じはありません。きっとLyleの中にソウルが自然と沁み着いており、気負わず自然体で歌っているからだと思います。

Adam Agati作の「Uneven Floors」「Serious Web」以外はLyle Divinskyのオリジナルです(Adam Agati等との共作含む)。

刺激はありませんが、グッド・ヴァイヴが伝わってくるソウル・アルバムです。

全曲紹介しときやす。

「Welcome」
アルバムのプロローグ。

「Disaster」
オススメその1。都会的なメロウ・ソウル。Lyleのファルセット・ヴォーカルとバックのサウンドが実に調和しています。

「Fallin'」
オススメその2。Lyleのソウル・ヴァイヴが伝わってくるミディアム・グルーヴ。力んでソウルするのではなく、自然体で歌っている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=rjk8XR1TNl8

「Rich」
少しイナたい雰囲気のソウル・チューン。こういうレトロ・ソウル調の曲を臆せず堂々と歌い上げるところがいいですね。

「The Way」
オススメその3。フィリー・ソウル調の軽快なソウル・グルーヴは実にキャッチーです。Lyleのヴォーカルの安定感と声質の良さがよくわかります。ストリングス&ホーン隊も盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=UQZMBKuuEdw ※ライブ音源

「Push On」
この曲はソウルというよりロックしています。アルバムの中では多少浮いている感じもします。

「A Thought」
インタールード的なインスト。

「Carry On」
オススメその4。この曲調はBill Withersあたりを思い出します。落ち着きのあるファンキー・サウンドがいいですね。

「Uneven Floors」
ファルセット・ヴォーカルと地声ヴォーカルで2度楽しめるタイトル曲。メリハリのあっていいですね。作者Adam Agatiのギターも活躍します。

「Hit Man」
60年代ソウルへの憧れを感じるヴィンテージ感のある仕上り。こういうレトロ・ソウルを歌っても全く違和感がないところがこの人の実力かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=PKrJdSBlxBU ※ライブ音源

「You Want to Leave」
父Phil Divinskyをフィーチャーした親子共演。じっくり歌い上げるソウル・バラード。父Philのシャウトもなかなかです。

「Serious Web」
オススメその5。ラストは味わい深いミディアム・ソウルで締め括ってくれます。派手さはありまえんがジワジワ伝わってくる感じがいいですね。

なお、僕の保有する直輸入盤帯ライナー付国内仕様にはボーナスCDが付いており、「Disaster」「The Way」「Uneven Floors」の別ヴァージョンが収録されています。

1stアルバム『Traveling Man』(2009年)もCD化されているようです。

『Traveling Man』(2009年)
Traveling Man
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2016年05月03日

Art Farmer Quartet feat. Jim Hall『To Sweden With Love』

スウェーデン民謡に触発されたリリシズムに溢れる名盤☆Art Farmer Quartet feat. Jim Hall『To Sweden With Love
スウェーデンに愛をこめて
録音年:1964年
ez的ジャンル:北欧録音リリシズム・ジャズ
気分は... :フリューゲルホーンの美学・・・

今回は60年代ジャズからArt Farmer Quartet『To Sweden With Love』(1964年)です。

Art Farmer(本名:Arthur Stewart Farmer)(1928-1999年)はUSアイオワ州カウンシル・グラフ出身のトランペット/フリューゲルホーン奏者。

双子の弟Addison Farmerもジャズ・ベーシストでした。

Lionel Hampton楽団等の活動を経て、1953年から1954年にかけて初リーダー作『The Art Farmer Septet』のレコーディングを行っています。

1950年代後半からはHorace Silver、続いてGerry Mulliganのグループに参加しています。こうしたサイドメンとしての人気作として、当ブログでも紹介したSonny Clark『Cool Struttin'』(1958年)、Gerry Mulligan『Night Lights』(1963年)があります。

また、1950年代終わりから1960年代初めにかけてはサックス奏者Benny Golsonとの双頭ユニットJazztetを結成しています。

1968年、夫人Mechtildeとの結婚を機にオーストリア、ウィーンを拠点に活動するようになります。1999年に亡くなるまでコンスタントに作品をリリースしました。

名前や顔やアルバム名もいくつか知っているけど、実際に作品を聴くことは少ないジャズ・ミュージシャン、僕にとってのArt Farmerの存在はそんな感じかもしれません。

僕のCD棚に置いてある唯一のArt Farmerのリーダー作が『To Sweden With Love』(1964年)です。

理由は単純!ジャケのお姉さんがキュートだから(笑)

タイトルからイメージできるように、本作は1964年ツアーでスウェーデンを訪れた際に現地で耳にいたスウェーデン民謡に触発され、ストックホルムでレコーディングした作品です。

レコーディング・メンバーはArt Farmer(flh)、Jim Hall(g)、Steve Swallow(b)、Pete LaRoca(ds)です。本作からPete LaRocaが新メンバーとしてカルテットに加わっています。

この時期のFarmerはフリューゲルホーンを演奏していましたが、Farmerの美しい響きフリューゲルホーンのパートナーとしてJim Hallのギターは見事にハマっていると思います。

また、美しく、メロディアスな印象が強い本作にあって、Pete LaRocaが叩き出すリズムはへヴィな面もあり、演奏全体を引き締めてくれます。

楽曲はすべてスウェーデン民謡(1曲のみ1940年代に書かれた曲)です。基本的には美しい演奏で貫かれていますが、北欧ならではのリリシズムのようなものがあっていいですね。

Art Farmerのフリューゲルホーン奏者としての美学を存分に楽しめる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Va Da Du? (Was It You?)」
FarmerのフリューゲルホーンとJim Hallのギターのソフトな響きが印象的なオープニング。何処となくミステリアスな雰囲気を醸し出すのはスウェーデン民謡ならではのメロディのせいかもしれません。新加入のPete LaRocaのドラミングも存在感を示しています。

「De Salde Sina Hemman (They Sold Their Homestead)」
哀愁のメロディをFarmerが奏でるバラード。実にクールでスマートな感じはこのカルテットならではの魅力かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=PP1dqSI7XIk

「Den Motstravige Brudgummen (The Reluctant Groom)」
僕の一番のお気に入り。フリューゲルホーンならではのリリシズムにグッときます。夜の酒の肴には最高の1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=K9ViWUoJSyQ

「Och Hor du Unga Dora (And Listen Young Dora)」
FarmerのフリューゲルホーンとJim Hallのギターの相性の良さを実感できる軽やかな演奏です。Jim Hallのソロも存分に堪能できます。

「Kristallen Den Fina (The Fine Crystal)」
何とも寂しげなメロディが印象的なバラード。一人物思いに耽りたい気分にはピッタリな演奏です。

「Visa Vid Midsommartid (Midsummer Song)」
Rune Lindstrom/Hakan Norlen作。1946年に書かれた曲であり、本作収録曲の中では比較的新しいもの。エレガンスに疾走するワルツですが、Farmerのフリューゲルホーンの響きが実にいいですね。

今後は本作以外のArt Farmer作品もマイ・コレクションに加えていきたいと思います。でもリーダー作が膨大なので、どこから手をつけたらいいのか迷いますが・・・
とりあえずめぼしいものを挙げておきます。

『When Farmer Met Gryce』(1954–55年)
When Farmer Met Gryce

『Art Farmer Quintet』(1955年)
イヴニング・イン・カサブランカ

Art Farmer/Donald Byrd『2 Trumpets』(1957年)
2 Trumpets

『Farmer's Market』(1958年)
Farmer's Market

『Portrait of Art Farmer』(1958年)
Portrait of Art Farmer

『Modern Art』(1958年)
モダン・アート

Jazztet『Meet the Jazztet』(1960年)
ミート・ザ・ジャズテット

『Art』(1960年)
アート

Jazztet『Here And Now/Another Git Together』(1962年) ※2in1CD
Jazzplus: Here And Now + Another Git Together

『Interaction』(1963年)
インターアクション (+1)

『"Live" at the Half-Note』(1964 年)
ライヴ・アット・ザ・ハーフ・ノート

『Sing Me Softly of the Blues』(1965年)
ブルースをそっと歌って

『Yesterday's Thoughts』(1976年)
イエスタデイズ・ソウツ

『Crawl Space』(1977年)
クロール・スペース

『The Summer Knows』(1978年)
おもいでの夏

Art Farmer & Jim Hall『Big Blues』(1978年)
ビッグ・ブルース
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2016年05月02日

Maryann Farra & Satin Soul『Never Gonna Leave You』

Tony Valor、Tom Moultonらによるディスコ/ブギー作品☆Maryann Farra & Satin Soul『Never Gonna Leave You』
ネヴァー・ゴナ・リーヴ・ユー+1(期間限定価格盤)
発表年:1975年
ez的ジャンル: Brunswick系ディスコ/ブギー
気分は... :可憐な歌声・・・

今回は70年代のBrunswick系ソウル/ディスコ作品からMaryann Farra & Satin Soul『Never Gonna Leave You』(1975年)です。

フリーソウル好きにはお馴染みのBrunswick作品ですね。

Maryann Farra & Satin SoulはプロデューサーTony Valor率いるTony Valor Sounds Orchestraによる覆面プロジェクト。

Tony Valor Sounds Orchestra(TVSO)といえば、Barry WhiteThe Love Unlimited Orchestraから多大な影響を受けたTony Valorが結成したプロジェクトです。本作でフィーチャリングされているMaryann Farraのコーラス隊メンバーです。

また、Satin Soulというユニット名は、The Love Unlimited Orchestraのシングル曲「Satin Soul」からとったものでしょう。

そんなMaryann Farra & Satin Soul唯一のアルバムが『Never Gonna Leave You』(1975年)です。

プロデュースは勿論Tony ValorEugene Record、Denny Marouse、Thomas Washington、Cliff Davisがアレンジャーを務め、Tom Moultonがミックスを手掛けています。

アルバムの前半がディスコ/ブギー、後半がシカゴ・ソウルのカヴァーという構成になっています。

リード・ヴォーカルMaryann Farraのライト・ヴォーカルは好き嫌いが分かれるかもしれませんが、濃厚すぎないヴォーカルが好みの僕としては彼女の可憐で透明感のあるヴォーカルはフィットします。

1stシングルにもなったディスコ・チューン「Never Gonna Leave You」De-Lite-Ful名義でリリースした楽曲のリメイク「Forget That Girl」、ライト感覚のダンス・チューン「Do Those Little Things」、The Chi-Litesのカヴァー「You Got To Be The One」、The Promisesのカヴァー「Living In The Footsteps Of Another Girl」あたりが僕のオススメです。

今なら国内盤1,000円(税抜)とお買い得です。

全曲紹介しときやす。

「Never Gonna Leave You」
アルバムからの1stシングル。キャッチーなディスコ・チューンは現在のディスコ/ブギー・ブームにもピッタリ符合します。その後のTom Moultonの大活躍を予感させるダンス・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=XI3OXpJvtMA

「Forget That Girl」
Maryann Farraをフィーチャーし、Tony ValorがDe-Lite-Ful名義でリリースした楽曲のリメイク。Maryannのキュートな歌声を活かした爽快ダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=lW-o3VfdDRY

TVSOも「Don't Forget」としてリリースしています。アルバム『Gotta Get It』(1976年)収録。
Tony Valor Sounds Orchestra「Don't Forget」
 https://www.youtube.com/watch?v=5ZN4QWe-xq4

「Just A LIttle Timing」
TVSOも「Give Me Some Time」としてリリースしている楽曲。ファンキー・ホーン隊が先導する哀愁モードのダンス・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=9wOBohtVqG8

「Do Those Little Things」
TVSOも「A LIttle Timing」としてリリースしている楽曲。Maryannの軽やかなヴォーカルを活かしたライト感覚のダンス・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=vvqGJis1elk

「You Got To Be The One」
The Chi-Litesのシングル曲をカヴァー(Eugene Record/Marshall Arrington作)。オリジナルはアルバム『Toby』(1974年)に収録されています。Barry Whiteばりの低音の男性ヴォーカルに続き、Maryannの透明感のあるヴォーカルが始まる爽快ソウル・チューン。フリーソウル人気曲でもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=_RloQKOpEnY

「Stoned Out Of My Mind」
The Chi-Lites、1973年のヒット・シングルをカヴァー(Barbara Acklin/Eugene Record作)。オリジナルはアルバム『Chi-Lites』(1973年)に収録されています。当ブログではReuben WilsonJoss Stoneのカヴァーを紹介済みです。Chi-Litesヴァージョンのイメージが強い曲ですが、Maryannの透明感のあるヴォーカルが全体をライトにしてくれています。シングルにもなりました。
https://www.youtube.com/watch?v=WYDTZ4Ez4Ew

「Living In The Footsteps Of Another Girl」
The Promises 1972年のシングル曲をカヴァー。Maryannのヴォーカルにフィットした素敵なメロウ・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=lsOPcg7ZVpo

ご興味がある方は、楽曲が多く重なるTony Valor Sounds Orchestra『Gotta Get It』(1976年)もチェックしてみては?

Tony Valor Sounds Orchestra『Gotta Get It』(1976年)
ゴッタ・ゲット・イット+4

Brunswick作品の過去記事もご参照下さい。

The Eliminators『Loving Explosion』(1974年)
ラヴィング・エクスプロージョン

Directions『Directions』(1975年)
ダイレクションズ(紙ジャケット仕様)

Strutt『Time Moves On』(1975年)
タイム・ムーヴス・オン

Exit 9『Straight Up』(1975年)
ストレイト・アップ(紙ジャケット仕様)

Step By Step『I Always Wanted To Be In The Band』(1976年)
I Always Wanted To B In The Band
posted by ez at 02:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする