発表年:1974年
ez的ジャンル:ウエストコースト系女性SSW
気分は... :ギリギリセーフ!
今回は70年代女性SSW作品からWendy Waldman『Gypsy Symphony』(1974年)です。
Wendy Waldmanは1950年はL.A.生まれの女性シンガー・ソングライター。
1969年にKenny Edwards、Andrew Gold、Karla Bonoffと共にBryndleを結成し、1970年にデビュー・シングル「Woke Up This Morning」をリリースします。
その後、本作と同じCharles Plotkinのプロデュースでデビュー・アルバムの制作を進めましたが、結局アルバムがリリースされることはなく、グループも解散してしまいます。
Wendy Waldmanにチャンスが訪れるのはMaria Muldaurのデビュー・アルバム『Maria Muldaur』(1973年)への楽曲提供です。
同作に「Vaudeville Man」、「Mad Mad Me」の2曲を提供したことで注目されたWendyは、Warner Bros.との契約に成功します。
そして、Warner Bros.から『Love Has Got Me』(1973年)、『Wendy Waldman』(1975年)、『The Main Refrain』(1976年)、『Strange Company』(1978年)という4枚のアルバムをリリースしています。
さらに80年代には『Which Way to Main Street』(1982年)、『Letters Home』(1987年)といったアルバムをリリースしています。
また、BryndleとしてもBryndle『Bryndle』(1995年)、Bryndle『House of Silence』(2002年)という2枚のアルバムをリリースしています。
また、多数のアーティストに楽曲提供し、Don Johnson「Heartbeat」、Vanessa Williams「Save The Best For Last」といったヒットも生むなどソングライターとして成功を収めました。
僕の中では"キュートで奔放な不思議ちゃん"のイメージがある女性シンガー・ソングライターです。
2ndアルバムとなる本作『Wendy Waldman』(1975年)は、アラバマのマッスルショールズでレコーディングされたファンキーな強調された作品です。
プロデュースはCharles Plotkin。
レコーディングにはWendy Waldman(vo、g、p)以下、Barry Beckett(p、el-p、org、syn)、Peter Carr(g、dobro)、Andrew Gold(g、back vo)、Jimmy Johnson(g)、David Hood(b)、Jerry Masters(b)、Roger Hawkins(ds、per)、Thomas Roady(congas、per、timbales)、Carmi Simon(mandolin)、Joel Tepp(harmonica)、Charles Findley(tb、tp)、Jim Horn(sax、fl、clarinet、piccolo)等のミュージシャンが参加しています。
さらにはMaria Muldaur、Kenny Edwards、Karla Bonoff、Greg Prestopinoがバック・コーラスで参加しています。
ウエストコーストの歌姫のイメージが強いWendyが、マッスルショールズのファンキー・サウンドと融合することで、Wendyの"キュートで奔放な不思議ちゃん"の個性が開花している印象を受けます。
南部テイストのメロウ・チューン「My Love Is All I Know」、ソウル・フィーリング溢れるバラード「The Good Love」、本作ならではの独特の音世界を聴かせてくれる「Cold Back On Me」、重厚なサウンドとWendyのエキセントリックな魅力が融合した「Studio Song」、BryndleメンバーやMaria Muldaurが参加した「Come On Down」あたりが僕のオススメです。
楽曲はすべてWendy Waldmanのオリジナルです。
"キュートで奔放な不思議ちゃん"シンガーの魅力を堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「My Love Is All I Know」
南部テイストとメロウ・フィーリングのバランスが絶妙なオープニング。Wendyの奔放なヴォーカルもグッド!Barry Beckettのアープ・シンセもいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=bC8VpwiYfD8
「You Got To Ride」
リズム隊、ホーン・セクションなどマッスルショールズらしいファンキー・サウンドを楽しめるなロックン・ソウル。Wendyのシャウトも快調です。
https://www.youtube.com/watch?v=NPlp7ud2c68
「The Good Love」
Laura Nyroあたりを彷彿させるソウル・フィーリング溢れるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=fP6FI43HwhU
「My Name Is Love」
サックスの音色とWendyの自由なヴォーカルが印象的です。彼女のアーティストとしての個性がよく出た1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=azv4zVFloDw
「Cold Back On Me」
マッスルショールズらしいアーシー・サウンドとWendyのSSWとしての個性が融合して独特の音世界を聴かせてくれます。
「Studio Song」
重厚なサウンドをバックに、キュートかつエキセントリックなヴォーカルでWendyが歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=c_tazXy6ewE
「Baby Don't You Go」
オールドタイミーな仕上りですが、僕の苦手なイモ臭い感じで出てしまっているので個人的にはパス。
「Northwoods Man」
Peter Carrによるドブロの音色が印象的です。前曲と同じく僕の苦手なイモ臭さがあるのですが、こちらギリギリセーフです。
「Come On Down」
Andrew Gold、Kenny Edwards、Karla BonoffというBryndleメンバーやMaria Muldaurがバック・コーラスで参加しています。スワンピーなソウルフル・チューンに仕上がっています。ドラマチックなストリングスもグッド!
「Mad Mad Me」
前述の『Maria Muldaur』提供曲のセルフ・カヴァー。Maria Muldaurヴァージョンと比較すると、Wendyのシンガーとしての個性がよくわかると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=ElvbLrrlBW0
「The Road Song」
ラストはしっとりとしたバラードで締め括ってくれます。南部録音らしい味わい深さがいい感じです。
Wendy Waldmanの他作品やBryndle作品もチェックを!
『Love Has Got Me』(1973年)
『Wendy Waldman』(1975年)
『The Main Refrain』(1976年)
『Strange Company』(1978年)
『Letters Home』(1987年)
Bryndle『Bryndle』(1995年)
Bryndle『House of Silence』(2002年)