2016年06月12日

Carlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』

L.A.スピリチュアル・ジャズの首領の最新作☆Carlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』
Flutes, Echoes, It's All Happening! [日本限定流通輸入盤CD / ボーナストラック4曲収録] (LR081)_251
発表年:2016年
ez的ジャンル:L.A.スピリチュアル・ジャズ
気分は... :オープン・マイ・アイズ!

今回はL.A.ジャズ・シーンの中心人物Carlos Ninoの最新作Carlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』です。

Carlos Ninoは1977年年カリフォルニア州サンタモニカ生まれのであるミュージシャン/プロデューサー/DJ。

自身の名義での活動以外に、L.A.スピリチュアル・ジャズの一大プロジェクトBuild An ArkDexter Storyとのジョイント・ユニットThe Life Force TrioJesse Petersonとのジョイント・ユニットTurn On The Sunlight等でも知られるL.A.スピリチュアル・ジャズの首領です。

そんな彼がCarlos Nino & Friends名義でリリースした最新作が『Flutes, Echoes, It's All Happening!』です。

Kamasi Washington『The Epic』(2015年)、Terrace Martin『Velvet Portraits』(2016年)といった作品でL.A.ジャズへの注目が高まる中でのリリースは良きタイミングだったかもしれませんね。

L.A.ジャズの首領とはいっても必ずしも彼の作品は聴きやすいものではないので、Build An Ark作品などでワン・クッション置いてから聴いた方がいいのかもしれませんが・・・

アルバム全体はフィーチャリング・アーティストの個性を活かした神秘的/幻想的なL.A.スピリチュアル・ジャズ作品に仕上がっています。

アルバムにはNinoの右腕的なヴァイオリン/ヴィオラ奏者Miguel Atwood-Ferguson、NinoとはThe Life Force Trioでタッグを組むDexter StoryTurn On The Sunlightでタッグを組むJesse PetersonBuild An Ark作品にも参加しているキーボード奏者Nate Morganとキーボード/フルート/サックス奏者Yaakov Levy、昨年リリースされた大作『The Epic』で一躍注目の存在となった、Flying LotusBrainfeederに所属するサックス奏者
Kamasi Washington、『Aquariusssssss』にも参加していたギリシャ生まれのニュー・エイジ/アンビエント系ミュージシャンIasos、メキシコ出身のマルチ・ミュージシャンLuis Perez Ixoneztli、L.A.出身のドラマー/パーカッショニストChristopher Garcia等が参加しています。

聴き手を選ぶ作品かもしれませんが、L.A.ジャズの今を知るためには聴くべき1枚なのでは?

スピリチュアル・ジャズ好きの人でれば満足できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Jupiter Sings」
『Aquariusssssss』にも参加していたギリシャ生まれのニュー・エイジ/アンビエント系ミュージシャンIasosをフィーチャー。幻想的なコズミック・シンセ・サウンドが印象的なスピリチュアル・ジャズに仕上がっています。

「Metamaravilla」
メキシコ出身のマルチ・ミュージシャンLuis Perez IxoneztliとL.A.出身のドラマー/パーカッショニストChristopher Garciaをフィーチャー。さらにMiguel Atwood-Fergusonがストリングスを手掛けています。神秘の森のスピリチュアル・ジャズといった雰囲気ですね。

「It's All Happening!」
西海岸の奇才Hip-HopプロデューサーMadlibのトラックに、Ninoのパーカッション、NinoとはThe Life Force Trioでタッグを組むDexter Storyのシンセ、Erimaj等の活動で注目される"今ジャズ"ドラマーJamire Williamsのドラム、さらにMiguel Atwood-Fergusonがストリングスで加わるL.A.スピリチュアル・ジャズの最新形を示した演奏です。不思議な音空間に惹き込まれてしまいます。Jaylib「Strapped」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=oEb3eMaseg0

「Calimayan」
共にBuild An Arkにも参加しているキーボード奏者Nate Morganとキーボード/フルート/サックス奏者Yaakov Levyをフィーチャー。Yaakov Levyのフルートが尺八のように聴こえてくる"わび・さび"を感じるスピリチュアル・ジャズです。
https://www.youtube.com/watch?v=7raKxgnh6Qo

「Alice's Chord」
Dexter StoryとYaakov Levyをフィーチャー。Yaakov LevyのピアノとNinoのパーカッションがスピリチュアル・ジャズらしくていいですね。

「Joyous Gratitude」
昨年リリースされた大作『The Epic』で一躍注目の存在となった、Flying LotusBrainfeederに所属するサックス奏者
Kamasi WashingtonとThe Cosmic Bandをフィーチャー。Ninoが長らくホストを務めてきた人気番組Spaceways Radioの最終回におけるライブ・レコーディングです。1分半に満たない演奏ですが、もっと長尺で聴きたいですね。

「Delightfulllll/Waterfall」
再びIasosをフィーチャー。Iasosらしいアンビエントな世界を展開します。

「4 Directions Collage」
Miguel Atwood-Fergusonのストリングスを配したドラマチックで幻想的なスピリチュアル・ジャズ・ワールドを楽しめます。

「Aetheriaztlan」
Turn On The SunlightのパートナーJesse PetersonとAztlan Unearthedをフィーチャー。人類誕生以前の太古の世界に戻ったようなタイム・スリップ感のあるスピリチュアル・ジャズです。

国内流通盤CDには4曲のボーナス・トラックが追加収録されています。

「On Into Rise」
Kamasi Washingtonをフィーチャー。Kamasiらによるフリー・ジャズ的なプレイが印象的です。

「(Tele)kenosis」
Nino関連作品に数多く参加しているUSシタール奏者Paul Livingstoneをフィーチャー。シタールの神秘的な響きに惹き込まれていくスピリチュアル・ジャズらしい演奏です。

「Stingray」
Yaakov LevyのフルートとKharon Harrisonのドラムをフィーチャー。演奏の生々しさが印象的です。

「Awhirl」
ラストはアンビエントな雰囲気で締め括ってくれます。

Carlos Nino関連の他作品もチェックを!

Carlos Nino & Miguel Atwood-Ferguson『Fill The Heart Shaped Cup』(2007年)
フィル・ザ・ハート・シェイプド・カップ

Carlos Nino & Lil Sci Present What's The Science? 『Elevation』(2008年)
ワッツ・ザ・サイエンス?エレヴェーション

Carlos Nino & Friends『High With A Little Help From』(2009年)
High With a Little Help from

Carlos Nino & Friends『Aquariusssssss』(2012年)
アクエリアス

Carlos Nino & Friends『Aurorasmushroomtenderness』(2014年)
AURORASMUSHROOMTENDERNESS(オーロラスマシュルームテンダネス)

Turn on the Sunlight『Turn on the Sunlight』(2010年)
TURN ON THE SUNLIGHT

Turn on the Sunlight『New Day』(2013年)
NEW DAY

Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is the Answer』(2005年)
Love Is the Answer [2CD] (ZENCD108)

The Life Force Trio『Living Room』(2006年)
Living Room

Build An Ark『Peace With Every Step』(2004年)
ピース・ウィズ・エヴリー・ステップ

Build An Ark『Dawn』(2007年)
ドーン

Build An Ark『Love Part 1』(2009年)
ラヴ

Build An Ark『Love Part 2』(2010年)
ラヴ・パート2 [限定盤]

Build An Ark『The Stars Are Singing Too』(2011年)
THE STARS ARE SINGING TOO ~10 YEARS ANNIVERSARY SPECIAL 2001-2011~
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2016年06月11日

Pharaohs『Awakening』

故Maurice Whiteも参加していたシカゴのジャズ・ファンク・バンド☆Pharaohs『Awakening』
AWAKENING [紙ジャケ仕様/帯・日本語解説付き/国内300枚限定生産]
発表年:1971年
ez的ジャンル:シカゴ産ジャズ・ファンク
気分は... :EURO2016開幕!

今回はレア・グルーヴ人気作からPharaohs『Awakening』(1971年)です。

Pharaohsは1962年にシカゴで結成されたジャズ・ファンク・バンド。バンドにはかつてEarth, Wind & Fireのリーダーであった故Maurice Whiteも在籍していたことがあるようです。

1973年まで活動していたグループの唯一のオリジナル・アルバムが本作『Awakening』(1971年)です。
※未発表音源・シングルを集めた『In the Basement』(1996年)もあります。

アルバム参加メンバーはEalee Satterfield(Big) Willie WoodsOye Bisi NallsShango NjokoBlack Herman (Waterford)Don "Hippmo" (Myrick)Yehudah Ben Israel*Alious (Watkins)Derf Reklaw Raheem (Fred Walker)Aaron Ifad Dodd Ki (Charlesleesunnychuckkiyahuhandyki)という11名のPharaohたちです。

スリリングなアフロ・ファンク「Damballa」EW&F「Getaway」を思わせるイントロの「Black Enuff」、ヴォーカル入りのキャッチーなファンク「Freedom Road」、ホーン・アンサンブルにグッとくる「Great House」といったレア・グルーヴ好きを歓喜させるファンク・チューンが並びます。

ジャケのアートワーク、Pharaohを名乗るメンバーたち、アフロを感じるジャズ・ファンク、EW&Fとの関係性などレア・グルーヴらしい要素の詰まった1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Damballa」
スリリングなイントロとアフロ・リズムに魅了されるアフロ・ファンク。ブラックスプロイテショーンのサントラにありそうな疾走感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=Y5401xxgzwI

「IBO」
アフロなトライバル感を打ち出したパーカッシヴな演奏が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=ZuamrXdl2GE

「Tracks Of My Tears」
Smokey Robinson & The Miracles、1965年のヒット曲をカヴァー。ここではヴォーカル重視のソウルフルな雰囲気で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RsiAhJl781s

「Black Enuff」
EW&Fの大ヒット「Getaway」を思わせるホーン・アンサンブルと共に始まるファンキー・グルーヴ。濃厚なブラック・フィーリングが伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=e6VaxmRF5hg

「Somebody's Been Sleeping」
Holland-Dozier-Holland作となっていますが、Holland-Dozier-HollandのHot Waxからデビューしたデトロイトのソウル・グループ
100 Proof Aged In Soulのヒット・シングル「Somebody's Been Sleeping」(Angelo Bond/Angelo Bond/Greg Perry作)のカヴァーだと思います。パーカッシヴ&フリーキーな雰囲気のユニークなカヴァーに仕上がっています。

「Freedom Road」
個人的には一番のお気に入り。ヴォーカル入りのキャッチーなファンク・チューン。ブラック・パワーを感じさせるタイトルも含めてサムシングを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=xGyMNg-yMTk

「Great House」
スケール感のあるホーン・アンサンブルにグッとくるジャズ・ファンク。13分を超える長尺ですが、スリリングなアンサンブルであっという間に時が過ぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=UqRUIPZga5s

国内再発CDには『In the Basement』(1996年)からセレクトされた4曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

「People Make The World Go 'Round」
The Stylistics、1971年のヒット曲をカヴァー。本編にはないソウルフル&スピリチュアルな雰囲気があります。
https://www.youtube.com/watch?v=D7xUyxZC40E

「African Roots」
女性ヴォーカルの入ったスピリチュアルなバラード。

「Drum Suite」
タイトルの通り、パーカッション乱れ打ちのアンサンブルを楽しめます。

「Love And Happiness」
ボートラの目玉となる1972年のシングル曲。濃厚なブラック・フィーリングのある演奏がいいですね。あっけない最後が少し残念ですが。
https://www.youtube.com/watch?v=YTP-mXuzjZo

『In the Basement』(1996年)
In the Basement
posted by ez at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月09日

Talc『Licensed Premises Lifestyle』

ロンドンのネオAORユニットの第2弾☆Talc『Licensed Premises Lifestyle』
Licensed Premises Lifestyle
発表年:2008年
ez的ジャンル:UKネオAOR
気分は... :思わずニンマリ!

今回はロンドンのネオAORユニットTalcの2ndアルバム『Licensed Premises Lifestyle』(2008年)です。

Dr.FunことJames KnightsThe GiftことNichol Thomsonの二人組Talc("Talking and Laughing Company"の略)の紹介は、デビュー・アルバム『Sit Down Think』(2006年)に続き2回目となります。

2ndアルバムとなる『Licensed Premises Lifestyle』でもデビュー・アルバム『Sit Down Think』と同様に、Steely Danを思わせるヒネリの効いたAOR的エッセンスを2008年に相応しくアップデートさせ、UKならではのスパイスを効かせたネオAORを聴かせてくれます。前作同様にヴォコーダーを用いた曲もいくつか散りばめられています。

ポップ、ロック、ソウル、ジャズ、ジャズ・ファンク、ディスコ、ラテン/ブラジルといった様々な音楽のエッセンスを巧みに組み合わせる、マルチ・ミュージシャンである二人のサウンド・センスに脱帽です。同時にサウンドのみならず、楽曲(全て彼らのオリジナル)やヴォーカルワークも素晴らしいのが彼らの魅力だと思います。まさに21世紀のSteely Danって感じですね。

21世紀シティ・ポップ的な「Wonderbar」、ヴォコーダーを用いたアーバン・グルーヴ「Robots Return (Modern Sleepover Part 2)」、メロウ・グルーヴ+エレクトリック・ファンクな「Sambuca Chaser」Steely Dan調の「How About That Smoking Ban?」、フリーソウル好きの人が歓喜しそうな「Closing Time Pt 2」あたりが僕のオススメです。

『Sit Down Think』と同じくWah Wah 45sからのリリースです。

聴くたびに思わずニンマリする1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Wonderbar」
オススメその1。このユニットの小粋なポップ・センスを実感できるネオAORチューン。ヒネリの効いた21世紀シティ・ポップといった感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=RVyluE1YKcE

「Dancing, Laughing, Shouting, Pointing」
タイトルの通り、ダンサブルなディスコ調の仕上がりながら、ポップな色合いも併せ持っています。
https://www.youtube.com/watch?v=GvH7IbGnIjk

「The Out Of Work Clown」
オススメその2。80年代ネオアコ的な雰囲気や哀愁メロディに60年代の香りも感じますが、それでもAORしているのが"ネオAOR"たる所以なのか。
https://www.youtube.com/watch?v=jIddRVohnTA

「Rhyming Man」
アコースティックな質感が心地好いメロウ・チューン。パーカッシヴなリズムとSteely Danになりそうでならない感じに心くすぐられます。
https://www.youtube.com/watch?v=vWaCgEahwaE

「Robots Return (Modern Sleepover Part 2)」
オススメその3。シングル・カット曲。タイトルにあるように、『Sit Down Think』収録の「Modern Sleepover」のパート2という位置づけです。ヴォコーダーを用いたアーバンなミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=KOM0LeRc7PM

「Sambuca Chaser」
オススメその4。ギター・カッティングが心地好いメロウ・グルーヴとヴォコーダーを用いたエレクトリック・ファンクのミックス感が面白いです。一緒にDayton「The Sound Of Music」が聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=ZNzgLr0wh2M

「How About That Smoking Ban?」
オススメその5。素敵なコーラスワークと共に始まるビューティフルAOR。ストリングも配したドリーミー・サウンド!と思っていると、気づけばSteely Dan調のメロディ&サウンドに・・・というのが彼ららしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=y67U3wVSvG8

「Sandra's Song (I Felt The Care)」
素敵なヴォーカルワークが印象的なメロウ・バラードですが、一筋縄ではいかない彼ららしいスパイスが効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=dHj9IJBkDvA

「Jukebox」
この曲もシングルになりました。80年代AORをTalc風に21世紀にアップデートさせたような雰囲気の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=cvUpM_3Kz4c

「Closing Time Pt 1」
次のパート2の序曲的な雰囲気のパート1です。
https://www.youtube.com/watch?v=l-k5g0MuI4g

「Closing Time Pt 2」
オススメその6。フリーソウル好きの人が歓喜しそうなアーバンなメロウ・グルーヴ。彼ららしいヒネリが薄いですが、モロに僕好みの1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=IHchy83u6sM

国内盤には「Dancing, Laughing, Shouting, Pointing (Remix)」「Modern Sleep Over (Remix)」という2曲のリミックスがボーナス・トラックとして追加収録されています。

『Sit Down Think』(2006年)
SIT DOWN THINK (紙ジャケット仕様)
posted by ez at 01:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月08日

Whitehead Bros.『Serious』

McFadden & WhiteheadのJohn Whiteheadの息子たち☆Whitehead Bros.『Serious』
whitehead bros serious.jpg
発表年:1994年
ez的ジャンル:G-Funk/ヒップホップ・ソウル世代兄弟R&Bデュオ
気分は... :人気ソングライターのDNA

今回は90年代R&BからWhitehead Bros.『Serious』(1994年)です。

Whitehead Bros.The Whitehead Brothers)は、Kenny WhiteheadJohn Whitehead Jr.というWhitehead兄弟によるR&Bデュオ。

二人の父はPhiladelphia International Records(PIR)の人気ソングライティング・チームであったMcFadden & WhiteheadJohn Whitehead

そんな父親の音楽DNAを受け継いだWhitehead兄弟はPIRの総帥Gamble & Huffのプロデュースにより、PIRからデビュー・アルバム『Kenny & Johnny The Whitehead Brothers』(1986年)をリリースします。

そして2ndアルバムとなる本作『Serious』(1994年)はMotownからリリースされました。

アルバムの多くの曲をKenny Whiteheadと父親の人脈であろう70年代フィリー・ソウルの牽引者の一人Larry Goldでプロデュースしています。

アルバム構成は前半はG-Funk/ヒップホップ・ソウル世代のキャッチーなR&Bを聴かせてくれます。後半はセクシーなスロウのオンパレードです。

個人的にはG-Funk経由のR&Bといった感じの「Forget I Was A "G"」「Your Love Is A 187」、キャッチーなヒップ・ホップ・ソウル「Change」Slaveのファンク・クラシックの好カヴァー「Just A Touch Of Love」あたりが僕のオススメです。

派手さはありませんが、90年代R&B好きの心をくすぐるサムシングを感じる1枚です。

人気ソングライターのDNAを受け継ぐ90年代R&Bを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Forget I Was A "G"」
シングルにもなった本作のハイライトの1つ。Kool & The Gang「Jungle Boogie」をサンプリングしたG-Funkテイストのミディアム・グルーヴ。The Crusaders feat. Randy Crawford「Street Life」、Dr. Dre「The Chronic (Intro)」ネタも使われています。Kenny Whitehead/Larry Goldプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=M5kXTT4ZN34

印象的なイントロはTotal「Sitting Home」、Sottotono「Non C'e Storia」、Color Me Badd「Kissing You」等のサンプリング・ソースにもなっています。
Total「Sitting Home」
 https://www.youtube.com/watch?v=umfn3lr49WM
Sottotono「Non C'e Storia」
 https://www.youtube.com/watch?v=tdgAEWfTwDw
Color Me Badd「Kissing You」
 https://www.youtube.com/watch?v=rsdnbL7QS44

「Your Love Is A 187」
Dr. Dre feat. Snoop Dogg「Fuck Wit Dre Day (And Everybody's Celebratin') 」をサンプリングしたG-Funkテイストのループが印象的な哀愁ミディアム・グルーヴ。Kenny Whitehead/Larry Goldプロデュース。Bullys Wit Fullys「187」のサンプリング・ソースにもなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=z31XtfJxGnk

「Shaniqua」
G-Funkテイストにジャズ・フィーリングが加わった感じのトラックが印象的です。Roy "Dog" Pennonプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=1L8RIrEexdU

「Change」
Detroit Emeralds「You're Getting a Little Too Smart」ネタのブレイクをループさせたキャッチーなヒップ・ホップ・ソウル。YouTubeに音源ないのが残念ですが、個人的にはかなり好みです。Bert Price/Eric Codeeプロデュース。

「Interlude」
インタールード。

「Late Nite Tip」
Joe Tex「Papa Was Too」ネタのブレイクをループさせたヒップ・ホップ・ソウル。R&B好きよりキャッチーなHip-Hop好きの人向けかも?Michael Angelo Saulsberryプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=h12Vxn-KjwA

「Just A Touch Of Love」
Slaveのファンク・クラシックをカヴァー。当ブログでも紹介したBlackstreet「U Blow My Mind(Craig Mack Basic 4)」あたりと繋げて聴きたくなる好カヴァーに仕上がっています。Kenny Whitehead/Larry Goldプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=CFwMwEJmpVM

Blackstreet「U Blow My Mind(Craig Mack Basic 4)」
 https://www.youtube.com/watch?v=j2r7QgdXGME

「Where Ya At? (Interlude)」
インタールード的な小曲ですが、なかなかキャッチーです。

「Serious」
タイトル曲は美しいメロディが印象的な哀愁R&Bグルーヴ。ファンク・テイストに軽くジャズ・フィーリングのスパイスが効いているのもいいですね。Kenny Whitehead/Larry Goldプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=YgCCtlZUXmU

「Beautiful Black Princess」
ピアノと美しいストリングスをバックに歌い上げるオーセンティックなバラード。Kenny Whitehead/Larry Goldプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=H8bOLRVsCos

「Sex On The Beach」
セクシー・モードのスロウ・チューン。エロ・モード全開のサウンドですが、彼らのヴォーカル自体はそれ程エロくないので良くも悪くも濃厚すぎません。
Kenny Whitehead/Larry Goldプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=xGbK0Wonius

「Turn U Out」
この時期の男性R&Bグループらしいセクシー・モードのスロウ。あともう一歩ですが雰囲気は悪くありません。Roy "Dog" Pennonプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=VjLGdbfZSOU

「She Needed Me」
この曲もセクシーな哀愁バラード。美しい鍵盤やサックスの音色が印象的です。McKinley Hortonプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=QRN2gywh65M

「Love Goes On」
後半のスロウ・オンパレードの中ではコレが一番好きかも?Brian Williams/Kenny Whiteheadプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=5C4S74tvVtQ

「Black Princess (Reprise) 」
「Beautiful Black Princess」のリプライズではアルバムは幕を閉じます。

急に子持ち昆布が食べたくなった(笑)
posted by ez at 03:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月07日

Sergio Mendes & Brasil '77『Home Cooking』

ファンキー/ディスコとメロウ・ポップのバランスが絶妙!☆Sergio Mendes & Brasil '77『Home Cooking』
Homecooking
発表年:1976年
ez的ジャンル:ファンキー&メロウ系ブラジリアン・ポップ
気分は... :音楽料理法!

今回はセルメン作品からSergio Mendes & Brasil '77名義の『Home Cooking』(1976年)です。

当ブログでこれまで紹介してきたSergio Mendes作品は以下の10枚。

 『Brasil '65』
 ※Wanda Sa(Wanda De Sah)Rosinha De Valencaとの共演作
 『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil '66』(1966年)
 『Equinox』(1967年)
 『Look Around』(1968年)
 『Fool On The Hill』(1968年)
 『Sergio Mendes' Favorite Things』(1968年)
 『Crystal Illusions』(1969年)
 『Stillness』(1970年)
 『Vintage 74』(1974年)
 『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)

本作『Home Cooking』(1976年)はファンキー/ディスコ路線と都会的なメロウ・ポップのバランスが絶妙な1枚です。アルバム全体を貫くヴィヴィドなサウンドが印象的です。

セルメン作品の中では比較的地味な存在のアルバムですが、聴きやすく間口の広い1枚に仕上がっていると思います。

Sergio Mendes自身がプロデュース&アレンジを手掛け、レコーディングにはSergio Mendes(p、key、syn、per)以下、Dave Grusin(p)、Gilberto Gil(g、vo)、Dennis Budimir(g)、Michael Sembello(g)、Oscar Castro-Neves(g)、
Chuck Rainey(b)、Louis Johnson(b)、Claudio Slon(ds、per)、Harvey Mason(ds)、Paulo Da Costa(congas、bongos、per)、Hermeto Pascoal(org、fl)、Raul De Souza(tb)、Frank Rosolino(tb)、Oscar Brasheer(tp)、Ray Maldonado(tp)、Hank Redd(as)、Don Menza(ts)、Bonnie Bowden Amaro(vo)、Lise Miller(vo)、Marietta Araiza(vo)といったミュージシャンが参加しています。

楽曲に関しては、Gilberto Gil作品を3曲、「Maniac」でお馴染み、Michael Sembelloの作品を2曲取り上げているのが目立ちます。

僕のイチオシはMichael Sembello作の爽快ラテン・ディスコ「Sunny Day」Carlos Lyra作のキュートなブラジリアン・メロウ「It's So Obvious That I Love You」Edgar Winterのロマンティックなカヴァー「Tell Me in a Whisper」、もう1曲のMichael Sembello作品である華やかなメロウ・ボッサ「It's Up to You」あたりですかね。

セルメンにが腕を振るったさまざまな音楽料理のフルコースを堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Sunny Day」
オススメその1。Michael Sembello/Hank Redd作。「Maniac」でお馴染み、Michael Sembelloの作品がオープニング。軽快なリズム、華のある女性ヴォーカル、ロッキン・ギターによる爽快なラテン・ディスコ・チューンがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=vGTVzMDnCNI

「Hey People Hey」
Gilberto Gil作品を開放的かつポップなメロウ・グルーヴで聴かせてくれます。

「It's So Obvious That I Love You」
オススメその2。Carlos Lyra/Kate Lyra作。キュートな女性ヴォーカルにグッとくるブラジリアン・メロウ。こういうの大好きです!
https://www.youtube.com/watch?v=X7N9WV72-RY

「Emorio」
オススメその3。Joao Donato/Gilberto Gil作。都会的なブラジリアン・ファンキー・メロウに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=ipxt8ytXYKM

「Shakara」
The Brothers JohnsonのLouis Johnson作のフュージョン/ジャズ・ファンク調のインスト。Dave Grusin(p)、Harvey Mason(ds)が参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=OpDH_H8W_nY

「Where to Now St. Peter?」
オススメその4。Elton John/Bernie Taupin作。
Elton Johnのオリジナルは『Tumbleweed Connection』(1970年)に収録されています。オリジナルの雰囲気を受け継いだ都会的なポップAOR調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=eeGKSCWuk6A

「Cut That Out」
Gilberto Gil作品の3曲目は開放的なシンセの音色が印象的なブラジリアン・ポップに仕上がっています。

「Tell Me in a Whisper」
オススメその5。Dan Hartman/Edgar Winter作。Edgar Winterのオリジナルは『Jasmine Nightdreams』(1975年)に収録されています。オリジナルのメロウな雰囲気をそのままに、より都会的サウンドで洗練させています。
https://www.youtube.com/watch?v=wbJ5eW-ePtQ

「It's Up to You」
オススメその6。Michael Sembello作。Brasil '66の雰囲気をこの時代らしくアップデートさせたようなキャッチーなメロウ・ボッサにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=f1NKcqELncE

「Home Cooking」
Kate Lyra/Sergio Mendes/Chuck Rainey作。ラストはファンキーなタイトル曲で締め括ってくれます。Mendesのシンセをはじめ、本作らしいヴィヴィドなサウンドで楽しませてくれます。

Sergio Mendes作品の過去記事もご参照下さい。

Wanda de Sah featuring The Sergio Mendes Trio With Rosinha De Valenca『Brasil '65』(1965年)
ブラジル'65

『Herb Alpert Presents Sergio Mendes & Brasil'66』(1966年)
マシュ・ケ・ナーダ

『Equinox』(1967年)
分岐点~コンスタント・レイン

『Look Around』(1968年)
Look Around

『Fool On The Hill』(1968年)
フール・オン・ザ・ヒル

『Sergio Mendes' Favorite Things』(1968年)
Favorite Things

『Crystal Illusions』(1969年)
Crystal Illusions

『Stillness』(1970年)
スティルネス

『Vintage 74』(1974年)
Vintage '74

『Sergio Mendes & the New Brasil '77』(1977年)
Sergio Mendes & the New Brasil '77
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