2016年06月05日

Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』

"今ジャズ"トップ・ランナーと帝王の時空を超えた共演☆Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』
エヴリシングス・ビューティフル
発表年:2016年
ez的ジャンル:今ジャズによるMiles再構築
気分は... :Milesの名義は必要だったのか?

今回は現在進行形ジャズを牽引するピアニストRobert Glasperがジャズ界の帝王であった故Miles Davisの音源を再構築した話題のアルバム『Everything's Beautiful』です。

『Black Radio』(2012年)で一気にジャズ界のトップ・ランナーに躍り出た先鋭的ジャズ・ミュージシャンRobert Glasperに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。

 『Double Booked』(2009年)
 Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
 Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』
 (2012年) ※リミックスEP
 Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013年)
 『Covered』(2015年)

また、ジャズ界の帝王Miles Davisに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の16枚。

 『Bag's Groove』(1954年)
 『'Round About Midnight』(1955、56年)
 『Cookin'』(1956年)
 『Miles Ahead』(1957年)
 『Milestones』(1958年)
 『Someday My Prince Will Come』(1961年)
 『E.S.P.』(1965年)
 『Miles Smiles』(1966年)
 『Nefertiti』(1967年)
 『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
 『In A Silent Way』(1969年)
 『On The Corner』(1972年)
 『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
 『Dark Magus』(1974年)
 『Agharta』(1975年)
 『The Man With The Horn』(1981年)

本作と同時期にRobert Glasperが音楽を手掛けたDon Cheadle監督・主演のMiles Davisの伝記映画『Miles Ahead 』のサントラもリリースされ、大きな話題となっているRobert GlasperMiles Davisの時空を超えた共演。

Original Soundtrack『Miles Ahead 』(2016年)
「マイルス・アヘッド」オリジナル・サウンドトラック

ホンネを言えば、本作『Everything's Beautiful』を取り上げるか大いに悩みました。正直、僕の中で扱いがビミョーで手放しで歓迎できるアルバムとまでは至っていないので・・・

しかしながら、当ブログにおける帝王Milesや"今ジャズ"トップ・ランナーGlasperの存在感を考慮すれば、取り上げないわけにはいかないかなぁ・・・と。加えて、多彩なゲスト陣が当ブログで取り上げた僕のお気に入りアーティストばかりである点もエントリーする理由です。

僕の中で本作がビミョーな最大の理由は、本作をRobert GlasperMiles Davisの共同名義にする必要があったのか?という点です。

Glasper自身に単なるカヴァー集、リミックス集のような作品にしたくなかったという意図があり、Milesの過去の音源を素材に、Glasperやフィーチャリング・アーティストが「Milesが今生きていれば、こんな音を創造するのでは?」とイマジネーションを働かせたアルバムに仕上がっています。

また、Milesの遺作となった『Doo-Bop』でHip-Hopとの融合を図ったことを踏まえ、あえてドラマーによる生演奏は用いず、すべてドラム・ループによるHip-Hop的手法を徹底しています。

フィーチャリング・アーティストはBilal、故J Dillaの弟Illa JErykah BaduPhonteThe Foreign Exchange)、Hiatus KaiyoteKINGLaura MvulaGeorgia Anne MuldrowJohn ScofieldLedisiStevie Wonderという顔ぶれです。『Black Radio』『Black Radio 2』ほどの豪華さはないものの、なかなか充実してたメンツです。

サウンドの方は自ずと今ジャズ+R&B/Hip-Hop的なサウンドとなっており、Glasper的な音という印象は受けますが、Glasper meets Milesというイメージはそれ程湧いてきません。

このようにGlasperやフィーチャリング・アーティストが音楽界のイノベータ―であったMilesの精神を受け継ぎたいという気概は十分伝わってくるし、支持したいと思いますが、やはり本作はMiles Davis名義のアルバムではないと思います。

既にWikipediaのMilesのディスコグラフィに本作が記載されていますが、Miles自身のトランペットが殆ど聴こえてこないアルバムがMiles作品としてリストアップされているのは違和感がありますね。

アルバムの中にはGlasperはMilesの音源を提供したのみで、フィーチャリング・アーティスト主体の楽曲もいくつか含まれます。それらも考慮すれば、本作はRobert Glasperが総指揮をとったMiles音源の再構築コンピレーションといった位置づけでも良かった気がします。

いろいろ文句を書いてきましたが、アルバム全体のスモーキーな雰囲気やサウンドは嫌いではありません。多小地味ですが・・・。また、Glasper、フィーチャリング・アーティスト、Milesの三者の関係を意識しながら聴くのも興味深いですね。

さらにGlasperがドラム・ループによるHip-Hop的手法にこだわったことを踏まえると、ここにいないもう一人のイノベータ―J Dillaの存在が見え隠れしてきます。GlasperとMilesとJ Dillaが一緒に音を創ったらどうなるんだろう?なんて妄想してしまいます。

多分、ジャズの新旧イノベータ―の共同名義アルバムとしては期待を裏切られたと感じる人もいるであろう賛否両論に二極化するアルバムだと思います。

自分にとって有りか無しか?その意味でも聴いてみる価値があるのでは?

全曲紹介しときやす。

「Talking Shit」
Milesの会話の声、「In A Silent Way」におけるJoe Zawinulのエレピ、Robert Glasper ExperimentのベーシストDerrick Hodgeのベースを融合させたオープニング。音自体は今ジャズらしい雰囲気でスモーキーな魅力があります。

「Ghetto Walkin'」
Glasperの盟友である男性R&BシンガーBilalをフィーチャー。『In A Silent Way』セッション時にレコーディングされた「The Ghetto Walk」をサンプリングし、Bilalが歌詞をつけたもの。BilalとGlasperの共演曲としても楽しめますし、このトラックは多少Miles作品の匂いを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=A9U8y4aWveE

「They Can't Hold Me Down」
J Dillaの弟であるラッパーIlla Jをフィーチャー。このトラックは正直MilesとGlasperというより、J DillaととGlasperの時空を超えた共演といった雰囲気がありますね。J Dilla好きの人は楽しめるのでは?

「Maiysha (So Long)」
Erykah Baduをフィーチャー。『Get Up With It』収録曲にErykah様が歌詞につけて再構築。オリジナルもラテン/ボッサ調であったこの曲は確かにErykah様にフィットしますね。ただし、オリジナル自体があまりMilesっぽくなかったので、この再構築ヴァージョンもMilesっぽくありませんが、辛うじてミュート・トランペットをサンプリングでMilesを感じることができます。、
https://www.youtube.com/watch?v=bstfOqQhW48

「Violets」
PhonteThe Foreign Exchange)をフィーチャー。名盤『Kind Of Blue』収録の「Blue In Green」のレコーディング音源からオリジナルではカットされていたBill Evansのピアノのイントロをサンプリングした哀愁のジャジーHip-Hopに仕上がっています。Phonteのソロ『Charity Starts At Home』や初期The Foreign Exchangeの雰囲気に近いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=IJnIpohlNVY

「Little Church」
Nai Palm擁するオーストラリアのフューチャリスティック・ハイブリッド・バンドHiatus Kaiyoteをフィーチャー。Glasperは素材を提供したのみで、残りはHiatus Kaiyote側で全て仕上げた模様です。Nai Palmのヴォイスが浮遊するミステリアスな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=ZXZPK6pwKek

「Silence Is The Way」
UKの女性シンガーLaura Mvulaをフィーチャー。「In A Silent Way」におけるMilesのミュート・トランペットをサンプリングし、GlasperのピアノとHip-Hopビートが加わった本演奏にはMilesとGlasperの融合感はあるかも?

「Song For Selim」
今年デビュー・アルバム『We Are KING』を紹介した期待の女性R&BグループKINGをフィーチャー。『Live-Evil』収録の「Selim」をサンプリング・ソースに用いた曲ですが、これはGlasperでもMilesでもなく、100%KINGワールドの1曲に仕上がっています。彼女達のドリーミーな魅力を存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=b0tE0J_xjC8

「Milestones」
才気溢れる女性R&Bシンガー/プロデューサーGeorgia Anne Muldrowをフィーチャー。『Milestones』収録の名曲を取り上げています。この演奏については、GlasperのピアノとMuldrowのヴォーカルをフィーチャーしたリメイクという感じなので一番分かりやすいかも?終盤にはMilesの声ネタも登場します。

「I'm Leaving You」
リアルにMilesと共演していたギタリストJohn Scofieldと実力派女性R&BシンガーLedisiをフィーチャー。Hip-HopサイドからBlack Milkがプロデューサーとして加わっています。Milesの声ネタを中心に制作された曲みたいです。歯切れのいいLedisiのヴォーカルとJohn Scofieldのギターが印象的な演奏のパワフル感は、70年代エレクトリック・マイルスに通じるものがあるかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=cKkaAIIA-vs

「Right On Brotha」
ラストはMilesに見劣りしない偉大なレジェンドStevie Wonderのハーモニカをフィーチャー。さらにDJ Spinnaがプロデュースしています。『A Tribute To Jack Johnson』収録の「Right Off」をサンプリングし、ダンサンブル・サウンドの中でMilesとStevieを融合させたDJ Spinnaの手腕が光ります。。
https://www.youtube.com/watch?v=g2UI612ZGNw

Robert GlasperおよびMiles Davisの過去記事もご参照を!

Robert Glasper『In My Element』(2007年)
In My Element

Robert Glasper『Double Booked』(2009年)
Double Booked

Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
ブラック・レディオ

Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Black Radio Recovered: the Remix Ep

Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013年)
ブラック・レディオ2

Robert Glasper『Covered』(2015年)
カヴァード

Miles Davis『Bag's Groove』(1954年)
バグズ・グルーヴ

Miles Davis『'Round About Midnight』(1955、56年)
'Round About Midnight

Miles Davis『Cookin'』(1956年)
クッキン

Miles Davis『Miles Ahead』(1957年)
Miles Ahead

Miles Davis『Milestones』(1958年)
マイルストーンズ+3

Miles Davis『Someday My Prince Will Come』(1961年)
Someday My Prince Will Come

Miles Davis『E.S.P.』(1965年)
E.S.P.

Miles Davis『Miles Smiles』(1966年)
マイルス・スマイルズ

Miles Davis『Nefertiti』(1967年)
ネフェルティティ + 4

Miles Davis『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
キリマンジャロの娘

Miles Davis『In A Silent Way』(1969年)
In a Silent Way (Dlx)

Miles Davis『On The Corner』(1972年)
Blu-spec CD オン・ザ・コーナー

Miles Davis『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
ゲット・アップ・ウィズ・イット

Miles Davis『Dark Magus』(1974年)
ダーク・メイガス

Miles Davis『Agharta』(1975年)
Agharta

Miles Davis『The Man With The Horn』(1981年)
The Man with the Horn
posted by ez at 02:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月04日

Dazz Band『Keep It Live』

大ヒット「Let It Whip」収録!Dazz Band最大のヒット作☆Dazz Band『Keep It Live』
Keep It Live
発表年:1982年
ez的ジャンル:オハイオ産ファンク・バンド
気分は... :実はメロウなスロウ〜ミディアムも魅力!

今回は80年代に活躍したファンク・バンドDazz Bandのヒット作『Keep It Live』(1982年)です。

Dazz BandKinsman Dazzを前身とするオハイオ州クリーブランドで結成されたファンク・グループ。バンド名の"Dazz"とはDanceable Jazzを意味しています。

Motownと契約し、Dazz Bandとして再スタートした時のラインナップはBobby Harris(sax、clarinet、vo)、Kenny Pettus(per、vo)、Isaac "Ike" Wiley, Jr.(ds)、Michael Wiley(b、vo)、Kevin Kendrick(key)、Pierre DeMudd(tp、vo)、Sennie "Skip" Martin(vo、tp)、Eric Fearman(g)、Steve Cox(syn)という9名。

Motownから『Invitation to Love』(1980年)、『Let the Music Play』(1981年)、『Keep It Live』(1982年)、『On the One』(1983年)、『Joystick』(1983年)、『Jukebox』(1984年)、『Hot Spot』(1985年)といったアルバムをリリースしています。

シングルとしては「Let It Whip」(『Keep It Live』収録。全米チャート第5位、同R&Bチャート第1位)、「On The One For Fun」(『On the One』収録。全米R&Bチャート第9位)、「Joystick」(『Joystick』収録。全米R&Bチャート第9位)、「Let It all Blow」(『Joystick』収録。全米R&Bチャート第9位)といったヒットを放っています。

その後もレーベルを移籍し、メンバー交代を経て『Wild & Free』(1986年)、『Rock the Room 』(1988年)等のアルバムをリリースしています。

本作『Keep It Live』(1982年)は、大ヒット・シングル「Let It Whip」を収録したグループ最大のヒット・アルバムです。プロデュースはReggie Andrewsが務めています。

当時高校生の僕は、全米トップ40を中心の音楽ライフでR&Bチャートには詳しくありませんでしたが、ポップ・チャートでもヒットした「Let It Whip」の印象は強いですね。

その「Let It Whip」をはじめ、2ndシングルにもなったタイトル曲「Keep It Live (On The K.I.L.)」等キャッチーなディスコ・ファンクのイメージが強いアルバムかもしれません。打ち込みドラムを用いつつ、過度に強調していないのでエレクトリック・ファンクの短所は目立たないのがいいですね。

また、「Gamble With My Love」「Just Can't Wait 'Till The Night」「Let Me Love You Until」といったメロウなスロウ〜ミディアムもアルバムのもう一つの魅力です。

ダンス・チューンとスロウのバランスが取れた80年代ファンク・グループらしい1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Let It Whip」
オススメその1。Leon "Ndugu" Chancler/Reggie Andrews作。前述のように全米チャート第5位、同R&Bチャート第1位となったグループ最大のヒット曲。Rick Jamesのファンク・クラシック「Super Freak」(1981年)に通じる魅力を持ったディスコ・ファンクは今聴いても実にキャッチーですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ccvUstooIfw

Boyz II Menをはじめ、Derrick Harriott(レゲエ・カヴァー)、SR-71、Dance Squad Singers、The Treblemakersがカヴァーしています。また、The Treacherous Three feat. Philippe Wynne「Whip It」、Disco Four「Whip Rap」、Dis 'N' Dat「Freak Me Baby(Original Mix)」等のサンプリング・ソースとなっています。
Boyz II Men「Let It Whip」
 https://www.youtube.com/watch?v=NItzx5_m9Ro
Derrick Harriott「Let It Whip」
 https://www.youtube.com/watch?v=qNdYm-crp8k
The Treblemakers「Let It Whip」
 https://www.youtube.com/watch?v=vBAOxG0BDV4
The Treacherous Three feat. Philippe Wynne「Whip It」
 https://www.youtube.com/watch?v=H7Le26FuVkc
Disco Four「Whip Rap」
 https://www.youtube.com/watch?v=nhSgZ_i2O_E
Dis 'N' Dat「Freak Me Baby(Original Mix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=v1vGelTyhsI

「Gamble With My Love」
オススメその2。Eric Fearman/Bobby Harris作。本作のもう一つの魅力であるメロウなスロウを代表する1曲。リード・シンガーのSkip Martinの素晴らしい歌声とキャッチーなコーラス・ワークにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=uT6jlpBzugo

GQ「Too High」のサンプリング・ソースとなっています。
GQ「Too High」
 https://www.youtube.com/watch?v=Hjo8Jh2Jpik

「I'll Keep On Lovin' You」
Clayton Richardson*/Larry Batiste作。ストリングを配した哀愁スロウ。Skip Martinの切ない歌声が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=FY330C9K7i4

「Just Can't Wait 'Till The Night」
オススメその3。Eric Fearman/Bobby Harris作。派手さはありませんが、素敵なメロディとなコーラス・ワークにグッとくる僕好みのメロウ・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=4cuXCM0Mai8

「Shake What You Got」
Eric Fearman/Bobby Harris作。ホーン・サウンドとギター・カッティングが印象的な開放的なディスコ・ファンク。文句言わせずに、とにかく盛り上がるといった感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=imYHD5wwHcY

「Keep It Live (On The K.I.L.)」
オススメその4。Kenny Pettus/Michael Wiley/Reggie Andrews/Bobby Harris作。タイトル曲は「Let It Whip」に続きシングル・カットされ、全米R&Bチャート第20位となりました。80年代エレクトリック・ファンク的なキャッチーさを楽しめる、「Let It Whip」とセットで聴きたいダンス・チューンです。この曲ではBobby Harrisがリード・ヴォーカルを務めています。
https://www.youtube.com/watch?v=lFPUcnbVMT4

Tony M.F. Rock「Keep Dancin'」のサンプリング・ソースとなっています。
Tony M.F. Rock「Keep Dancin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=kfiKNKzgcz4

「Just Believe In Love」
Olivia Bower/Reggie Andrews作。美しいストリングスの調べが印象的なビューティフル・バラード。ミステリアスな雰囲気も漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=Zr78wDBm8dI

美しいストリングスの調べはBrother Ali「You Say (Puppy Love)」のサンプリング・ソースとなっています。
Brother Ali「You Say (Puppy Love)」
 https://www.youtube.com/watch?v=MHcKW4O_9Ro

「Can We Dance」
オススメその5。Kenny Pettus/Michael Wiley/Bobby Harris作。Kenny Pettusがリード・ヴォーカルをとる夜遊びモードのファンク・チューン。ヴォコーダーも使っています。
https://www.youtube.com/watch?v=bRKT88uPTTA

「Let Me Love You Until」
オススメその6。Reggie Andrews作。ラストはPierre DeMuddがリード・ヴォーカルをとる素敵なメロウ・ミディアム。サンセット・モードな雰囲気はかなり僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=O7jgptFiudM

Dazz Bandの他作品もチェックを!

『Invitation to Love』(1980年)
Invitation to Love

『Joystick/Jukebox』(1983/1984年) ※2in1CD
ジョイスティック+ジュークボックス

『Hot Spot』(1985年)
HOT SPOT (EXPANDED EDITION)

『Wild & Free』(1986年)
WILD AND FREE

『Rock the Room 』(1988年)
Rock the Room
posted by ez at 13:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月03日

Gino Cunico『Gino Cunico』

シドニー出身の男性シンガーによる素敵なAOR作品☆Gino Cunico『Gino Cunico』
ジノ・クニコ(生産限定紙ジャケット仕様)
発表年:1976年
ez的ジャンル:魅惑のヴォーカル系AOR
気分は... :痔の邦子?

今回はAOR作品が聴きたい気分!
セレクトしたのはGino Cunico『Gino Cunico』(1976年)です。

Gino Cunicoは1949年オーストラリア、シドニー生まれの男性シンガー/ギタリスト。

60年代にオージー・ロック・バンドThe Executivesのメンバーとして活躍し、バンド解散後はThe Executivesの同僚であったRay BurtonとのデュオBurton & Cunicoを結成し、アルバム『Strive, Seek, Find』(1971年)をリリースしています。

しかしながら、Burton & Cunicoは短命に終わり、ソロ活動へ転身します。そして、1974年にKama Sutraから1stソロ・アルバム『Gino Cunico』をリリースしています。

その後Aristaとの契約に成功し、リリースされたのが本作『Gino Cunico』(1976年)です。

プロデュースはAnders & Ponciaでお馴染みのVini Poncia。また、後にThe Heatを結成するサックス奏者Tom Savianoがホーン・アレンジを手掛けています。

レコーディングにはJames Newton Howard (key)、Kevin Crossly(key)、David Wolfert(g)、Caleb Quaye(g)、Jim Keltner(ds)、Lenny Castro (per)、Tom Saviano(sax)、Vini Poncia(back vo)、Melissa Manchester(back vo)、The Faragher Brothers(back vo)等が参加しています。

アルバム全体は声質がいいGino Cunicoのヴォーカルの魅力が栄えるAOR作品に仕上がっています。

ソングライターでもあるGinoですが、ここではあえてカヴァー曲や外部ライターの曲も織り交ぜ、良い楽曲を揃えてGinoのヴォーカルを引き立てることを徹底しています。

David Cassidyのカヴァー「Daydreamer」、Barry Manilowのカヴァーでお馴染みの「Can't Smile Without You」「When I Wanted You」あたりが有名かもしれませんが、僕のイチオシはBee Geesのカヴァー「Fanny (Be Tender With My Love) 」とハイトーン・ヴォーカルが栄える「Don't Get Around Much Anymore」、躍動感と素敵なヴォーカル・ワークを楽しめる「Can't Hold On Any Longer」あたりもオススメです。

AOR作品として勿論のこと、楽曲、ヴォーカル・ワークもいいので極上のポップ・アルバムとしても存分に楽しめます。

全曲紹介しときやす。

「Daydreamer」
Terry Dempsey作。David Cassidy、1973年のヒット曲をカヴァー。甘酸っぱいメロウネスにグッとくる1曲。Tom Savianoのサックス・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=uw_wbdb0DnQ

「She's Sweet, She's Somebody」
Gino Cunico & James Calvert作。1stアルバムにも収録されていた楽曲の再演です。Ginoの素晴らしい歌声を堪能できるメロウ・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=ffomb3QNeVs

「Can't Hold On Any Longer」
オススメその1。Kenny Moore & Ron Wilkins作。躍動するサウンドと素晴らしいヴォーカル・ワークが心地好い高揚感を届けてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=SJUxlZnVyiU

「When I Wanted You」
Gino Cunico作。1979年にBarry Manilowがカヴァーし、シングル・リリースもしているビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=h14Fqmo-UXM

この曲に関して、ライナーノーツに類似曲の存在が指摘され、Gino自身も憤慨していると書かれていましたが、多分Chris Christian「I Want You,I Need You」(1981年)のことだと思います。
Chris Christian「I Want You,I Need You」
 https://www.youtube.com/watch?v=v0_QD-rrWuo

「Fanny (Be Tender With My Love) 」
オススメその2。Bee Geesのヒット曲をカヴァー(Barry, Robin & Maurice Gibb作)。Bee Geesのオリジナルは『Main Course』(1975年)に収録されています。僕の一番のお気に入り。サマー・モードの爽快メロウ・グルーヴはBee Geesのオリジナル以上の出来栄えだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=joPELMFVyO4

Bee Gees「Fanny (Be Tender With My Love) 」
 https://www.youtube.com/watch?v=G4qrEOCNr3g

「Can't Smile Without You」
オススメその3。Chris Arnold, David Martin & Geoff Morrow作。同時にCarpentersもレコーディングしています(アルバム『A Kind of Hush』収録)。本ヴァージョンを手本にBarry Manilowがカヴァーし、大ヒットさせています。Barryヴァージョンはアルバム『Even Now』(1978年)に収録されています。Barryヴァージョンで聴き慣れているせいか、聴いていてホッとする素敵なポップ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=cCrcKcLCjjk

「Don't Throw It All Away」
オススメその4。Benson & Mindell作。同時期にOlivia Newton-Johnもレコーディングしています(アルバム『Come On Over』収録)。美しくも切ないバラードに胸を打たれます。

「Don't Get Around Much Anymore」
オススメその5。Gino Cunico & Tom Saviano作。Ginoのハイトーン・ヴォーカルが栄えるサマー・モードの爽快メロウ・チューン。共作者のTom Savianoがサックスが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=BE9wawr5nNw

「Emptiness」
David Castle作。正統派のバラードをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=Q-KcaHvJSDg

「Can't Hold On Any Longer (Reprise)」
「Can't Hold On Any Longer」のリプライズ。

こんな素晴らしいアルバムをリリースしながら、本作を最後に表舞台から姿を消してしまったのは残念な限りです。
posted by ez at 03:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月02日

The Steve McQueens『Seamonster』

Blueyが惚れ込んだシンガポールの5人組☆The Steve McQueens『Seamonster』
Seamonster
発表年:2015年
ez的ジャンル:ネオソウル+ジャズ/クロスオーヴァー
気分は... :シンガポール発!

今回はシンガポールの5人組バンドThe Steve McQueensのデビュー・アルバム『Seamonster』(2015年)です。

昨年夏に聴いていたアルバムですが、何となく紹介する時期を逃してしまった作品でした。遅まきながら紹介したいと思います。

The Steve McQueens(SMQ)は2013年にシンガポールで結成。メンバーは紅一点のGinny Bloop(vo)をはじめ、Joshua Wan(key)、Jase Sng(b)、Aaron James Lee(ds)、Fabian Lim(sax)という5人。

IncognitoのリーダーJean-Paul "Bluey" Maunickが2014年にシンガポールを訪問した時に彼らを見出し、バンドの未来が拓けます。

そして、Bluey自身のプロデュースにより、ロンドンの彼のスタジオでレコーディングし、Blueyが立ち上げたレーベルSplash Blueの第一弾作品としてリリースされたのが本作『Seamonster』(2015年)です。

彼らの音を一言で表現すれば、ネオソウル感覚のジャズ/クロスオーヴァーって感じですかね。

Erykah Baduを思わせるGinny Bloopのヴォーカルのみをクローズアップするとネオソウル風ですが、バンドの音を聴けば、彼らの原点がジャズであることを確認できます。

しかも、ジャズといってもジャズ・ファンク的な演奏から、"今ジャズ"風、ブロークンビーツ/クロスオーヴァーな展開まで幅広い音楽性で楽しませてくれます。その一方でメロウ・フィーリングを忘れていないところも僕好みです。

感覚的には、紅一点のメンバーNai Palmを擁するオーストラリアのフューチャリスティック・ハイブリッド・バンドHiatus Kaiyoteあたりがお好きな人はフィットするかもしれません。

メロウ・フィーリングもある夏向けのアルバムだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Seamonster」
Erykah Baduを思わせるGinnyのキュートなヴォーカルが栄えるネオソウル+ジャズなメロウネスが心地好いオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=9a5p4Sjbm30

「More Than We Know」
ブロークンビーツ的な展開でアクセントをつけた1曲。緩急のあるジャズ・グルーヴは"今ジャズ"好きやクラブジャズ好きの人も惹きつけるのでは?

「Rain」
Ginnyのコケティッシュな魅力を活かしたジャジー・ソウル。ジャズ・バンドによるネオソウル感があっていいですね。

「Feel」
"今ジャズ"仕様の手数の多いドラミングが印象的です。Blueyが惚れ込むのも頷ける、このバンドのポテンショナルを感じる演奏です。

「Barbwire Tree」
このバンドのクロスオーヴァーな魅力を実感できる1曲。Hiatus Kaiyoteあたりと一緒に聴きたくなります。

「Snowman's Demise」
インタールード的な小曲。

「You Bring Me Up」
ジャズ・ファンク・バンドのメロウ・チューンって雰囲気ですね。サニー・モードで聴きたい1曲です。

「Summer Star」
ネオソウル+ジャズなメロウ・チューン。Ginnyのキュートなヴォーカルにグッときてしまいます。

「Safe」
サンセット・モードのメロウ・ジャズ。彼らの小粋なジャズ・センスを楽しめます。

「Walls」
ラストも彼ららしいネオソウル+ジャズなミディアム・チューンで締め括ってくれます。

今日、本当はアルゼンチン・モダン・フォルクローレ作品Juan Pablo Di Leone『Sin Palo』(2011年)を紹介しようと思っていたのですが、Amazonで扱っていないことが判明し、断念しました。残念です。
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月01日

Kindred The Family Soul『The Arrival』

息の合った素晴らしい夫婦ソウル!☆Kindred The Family Soul『The Arrival』
ジ・アライヴァル
発表年:2008年
ez的ジャンル:夫婦ソウル・デュオ
気分は... :到達点!

今回はFatin DantzlerAja Graydonの夫婦ソウル・デュオKindred The Family Soulの3rdアルバム『Arrival』(2008年)です。

これまで当ブログで紹介したKindred The Family Soul作品は以下の3枚。

 『Surrender To Love』(2003年)
 『In This Life Together』(2005年)
 『A Couple Friends』(2014年)

僕の場合、『Surrender To Love』(2003年)への思い入れがあまりに強すぎたため、正直『In This Life Together』(2005年)、『Arrival』(2008年)の2作品は、その対比でリアルタイムでは少しビミョーな位置付けでした。

しかしながら、その後『Surrender To Love』の呪縛から解かれ、独立した作品として2作品も楽しめるようになった次第です。

Hidden Beach Recordingsで最終作となる本作『Arrival』では、Steve McKieAnthony BellDre & Vidal(Andre Harris/Vidal Davis)等をプロデューサーに迎え、Fatin & Ajaの素晴らしい夫婦ヴォーカルを活かした聴き応えのある1枚に仕上がっています。

オーガニックなアコースティック・ソウル「Just The Way You Are」、美しいピアノとパーカッシヴなリズムがキャッチーな「House Of Love」、ラブ&ピースな「Love We Share」、Dre & Vidalプロデュースの「No Limit」、United Soulがソングライティングで参加した「Hey」The Beatles「Here Comes the Sun」の一節から始まる「So Much Better」The Roots?uestloveが参加した「Always Be Arriving (Finale)」あたりが僕のオススメです。

夫婦ソウル・デュオのソウル魂を存分に楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Can't Help It」
Steve McKie/Danophonic Danプロデュース。派手さはないもの、しっかり聴かせるミディアム・スロウでアルバムは幕を開けます。
https://www.youtube.com/watch?v=5WyedqvL18M

「Pressure」
Anthony Bell/Don Cheegro/Dirty Harry/Dre & Vidalプロデュース。前半は抑えたヴォーカル、その後ジワジワと盛り上げていきます。
https://www.youtube.com/watch?v=EM3Pwuv4Zso

「Just The Way You Are」
オススメその1。Anthony Bellプロデュース。アコギの音色が印象的なオーガニックなアコースティック・ソウル。こういう自然体な感じは彼らに似合いますね。
https://www.youtube.com/watch?v=GLVtTqY71eA

「House Of Love」
オススメその2。Adam Blackstoneプロデュース。美しいピアノとパーカッシヴなリズムのトラックをバックに、夫婦デュオらしい素敵なヴォーカルの掛け合い&コーラスを堪能できます。シングル向きのキャッチーな仕上り。ドラマチックなストリングスのスパイスもいいです!
https://www.youtube.com/watch?v=c-yDbzYhtjk

「Alright」
Dre & Vidalプロデュース。ホーン隊を含めた生音バッキングと二人のヴォーカルが実にマッチした大人のソウル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=H96QeXCe9ag

「Rightfully So」
オススメその3。Dre & Vidalプロデュース。少しレトロ調のイナたい雰囲気のサウンドをバックに、二人が余裕たっぷりのソウルフル・ヴォーカルで魅せてくれます。特にFatinのディープな歌声がたまりません。

「Set Free」
Anthony Bellプロデュース。グルーヴ感のある哀愁サウンドが印象的です。彼ららしいとは思いませんが、悪くはないです。

「The Struggle」
Steve McKie/Adam Blackstoneプロデュース。哀愁のピアノが印象的なミディアム。こういった曲のヴォーカルの説得力はこの二人は抜群ですね。

「Love We Share」
オススメその4。Anthony Bell/Vintage Beatzプロデュース。。Tom Brock「The Love We Share Is the Greatest of Them All」をサンプリングしたラブ&ピースな仕上り。彼らに相応しいスケール感のあるビューティフル・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=xqNs6alyG6M

「No Limit」
オススメその5。Dre & Vidalプロデュース。Dre & Vidalの手腕とFatin & Ajaのソウル魂が見事に噛み合った素晴らしいミディアム・チューン。まさにノー・リミットな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=MHFtUtLFD0k

「Poetry Interlude」
Malik Yusefをフィーチャーしたインタールード。

「Hey」
オススメその6。Steve McKie/Adam Blackstoneプロデュース。当時同じHidden BeachファミリーでUnited Soul名義でアルバムをリリースしているJoshuaとAzizのCollins兄弟(後にデュオ名をU.Cityへ改名)がソングライティングで参加しています。Hidden Beachらしいソウル愛を感じるFatin & Ajaにぴったりな1曲だと思います。僕の一番のお気に入り。
https://www.youtube.com/watch?v=Iml1u3dgJ60

「So Much Better」
オススメその7。Anthony Bell/Don Cheegro/Dirty Harryプロデュース。いきなりThe Beatles「Here Comes the Sun」の一節から始まる爽快メロウ・チューン。

「Always Be Arriving (Finale)」
オススメその8。Stan Davis/Fatin Dantzlerプロデュース。The Roots?uestloveがドラムで参加しています。全く彼ららしい曲ではありませんが、?uestloveのダンサブルなドラミングを堪能できます。

Kindred The Family Soulの他作品もチェックを!

『Surrender To Love』(2003年)
Surrender to Love

『In This Life Together』(2005年)
In This Life Together

『Love Has No Recession』(2011年)
Love Has No Recession

『A Couple Friends』(2014年)
Couple Friends
posted by ez at 17:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする