発表年:2015年
ez的ジャンル:ネオソウル+ジャズ/クロスオーヴァー
気分は... :シンガポール発!
今回はシンガポールの5人組バンドThe Steve McQueensのデビュー・アルバム『Seamonster』(2015年)です。
昨年夏に聴いていたアルバムですが、何となく紹介する時期を逃してしまった作品でした。遅まきながら紹介したいと思います。
The Steve McQueens(SMQ)は2013年にシンガポールで結成。メンバーは紅一点のGinny Bloop(vo)をはじめ、Joshua Wan(key)、Jase Sng(b)、Aaron James Lee(ds)、Fabian Lim(sax)という5人。
IncognitoのリーダーJean-Paul "Bluey" Maunickが2014年にシンガポールを訪問した時に彼らを見出し、バンドの未来が拓けます。
そして、Bluey自身のプロデュースにより、ロンドンの彼のスタジオでレコーディングし、Blueyが立ち上げたレーベルSplash Blueの第一弾作品としてリリースされたのが本作『Seamonster』(2015年)です。
彼らの音を一言で表現すれば、ネオソウル感覚のジャズ/クロスオーヴァーって感じですかね。
Erykah Baduを思わせるGinny Bloopのヴォーカルのみをクローズアップするとネオソウル風ですが、バンドの音を聴けば、彼らの原点がジャズであることを確認できます。
しかも、ジャズといってもジャズ・ファンク的な演奏から、"今ジャズ"風、ブロークンビーツ/クロスオーヴァーな展開まで幅広い音楽性で楽しませてくれます。その一方でメロウ・フィーリングを忘れていないところも僕好みです。
感覚的には、紅一点のメンバーNai Palmを擁するオーストラリアのフューチャリスティック・ハイブリッド・バンドHiatus Kaiyoteあたりがお好きな人はフィットするかもしれません。
メロウ・フィーリングもある夏向けのアルバムだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Seamonster」
Erykah Baduを思わせるGinnyのキュートなヴォーカルが栄えるネオソウル+ジャズなメロウネスが心地好いオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=9a5p4Sjbm30
「More Than We Know」
ブロークンビーツ的な展開でアクセントをつけた1曲。緩急のあるジャズ・グルーヴは"今ジャズ"好きやクラブジャズ好きの人も惹きつけるのでは?
「Rain」
Ginnyのコケティッシュな魅力を活かしたジャジー・ソウル。ジャズ・バンドによるネオソウル感があっていいですね。
「Feel」
"今ジャズ"仕様の手数の多いドラミングが印象的です。Blueyが惚れ込むのも頷ける、このバンドのポテンショナルを感じる演奏です。
「Barbwire Tree」
このバンドのクロスオーヴァーな魅力を実感できる1曲。Hiatus Kaiyoteあたりと一緒に聴きたくなります。
「Snowman's Demise」
インタールード的な小曲。
「You Bring Me Up」
ジャズ・ファンク・バンドのメロウ・チューンって雰囲気ですね。サニー・モードで聴きたい1曲です。
「Summer Star」
ネオソウル+ジャズなメロウ・チューン。Ginnyのキュートなヴォーカルにグッときてしまいます。
「Safe」
サンセット・モードのメロウ・ジャズ。彼らの小粋なジャズ・センスを楽しめます。
「Walls」
ラストも彼ららしいネオソウル+ジャズなミディアム・チューンで締め括ってくれます。
今日、本当はアルゼンチン・モダン・フォルクローレ作品Juan Pablo Di Leone『Sin Palo』(2011年)を紹介しようと思っていたのですが、Amazonで扱っていないことが判明し、断念しました。残念です。