録音年:1979年
ez的ジャンル:マッスルショールズ産AOR
気分は... :五輪で生活リズムが破綻
今回は遂に正規CD化が実現したJames Walsh Gypsy Band『I've Got The Feelin'』(1979年)です。
James Walsh Gypsy Bandのリーダーであるキーボード奏者James Walshは、1970年代前半に4枚のアルバムを残したロック・バンドGypsyのメンバーでした。
ミネアポリスで結成されたGypsyはハリウッドの名門クラブthe Whisky a Go Goのハウス・バンドとなったことでその名が知られるようになり、シングル「Gypsy Queen Part 1 and 2」は全米チャートにもチャート・インしました。
そんなGypsyのメンバーであったJames Walshが、70年代後半に自らのグループを結成し、Gypsyの名を冠したのがJames Walsh Gypsy Bandです。
これまで彼らのアルバムは1978年にリリースされた『James Walsh Gypsy Band』(1978年)のみでしたが、2000年代に入り、お蔵入りとなった幻の2ndアルバムの存在が明らかになりました。そのアルバムこそが本作『I've Got The Feelin'』(1979年)です。これまでGypsyのオフィシャル・サイトでCD-Rが販売され、今年に入りノルウェーでアナログ盤がリリースされましたが、今回日本独自のCD化が実現しました。正規CD化は今回が世界初となります。
本作のレコーディングはアラバマのMuscle Shoals Sound Studioで行われました。
本作におけるJames Walsh Gypsy Bandのメンバーとしてクレジットされているのは、James Walsh(vo、key)、Richard Jorgensen (tp、flh)、Deone Johnson(tp、flh)、Todd Hansen(tb)、Bob Jones(b)、Jim Behringer(g)、Scott Fronsoe(b)、Ernie LaViolette(ds、per)という8名。
それ以外にBarry Beckett(key)、Roger Hawkins(ds)、David Hood(b)、Jimmy Johnson(g)というMuscle Shoals Rhythm Sectionのメンバー、Emilio Castillo(ts)、Lenny Pickett(as、ss、ts)、Stephen 'Doc' Kupka(bs)、Greg Adams(tp、flh)というTower Of Power Hornsのメンバー、さらにはBee Gees String Sectionがレコーディングに参加しています。
プロデュースはJames Walsh、Barry Beckett、Jimmy Johnsonの3名。
アルバムはMuscle Shoalsレコーディングながらも、ブリージンなAOR作品に仕上がっています。
Steely Danのカヴァー「The Caves Of Altamira」は本作を象徴する1曲かもしれませんね。
個人的にはBill LaBountyのカヴァー「Lie To Me」、サマー・モードのAOR「It's Over Now」、骨太なのにブリージンな「I've Got The Feelin'」、メロウ・バラード「Just Like Fallin' In Love」あたりがオススメです。
ジャケとはギャップのあるメロウ・サウンドをぜひ!
全曲紹介しときやす。
「I've Got The Feelin'」
James Walsh作。骨太なサウンドの中にもブリージンな魅力が香るオープニング。AOR/シティ・ポップ好きの人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=PIvucbgKSys
「Looks Like You Got Down In Love」
James Walsh作。ポップ・ロック的なAORチューン。僕好みの曲調ではありませんが。
「Lie To Me」
Bill LaBounty作品をカヴァー。オリジナルは『This Night Won't Last Forever』(1978年)に収録されています。僕の一番おお気に入り。ストリングスも配したメロウ・サウンドをバックに、Walshが爽快ヴォーカルを聴かせてくれる至極のAORチューン。
「The Caves Of Altamira」
Steely Danを作品をカヴァー(Donald Fagen/Walter Becker作)。オリジナルは『The Royal Scam』(1978年)に収録されています。Steely Danヴァージョンとは一味違う爽快な「The Caves Of Altamira」を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=xWSIcs-z7gQ
「It's Over Now」
James Walsh作。この爽快メロウも超オススメ。サマー・モードのAORとして楽しめるはずです。
「Where Do You Get Off」
James Walsh作。このコーラスはDoobie Brothersあたりと一緒に聴きたくなります。
「This Time The Feelin' Is Right」
James Walsh作。ポップ・ロックな仕上がり。残念ながら、この路線はあまり僕好みではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=Yts-ABLn2Xs
「Alabama Eyes」
James Walsh作。ジェントルな雰囲気のバラード。アラバマのイナタさがあります。
「Lovin' You」
James Walsh作。Doobie Brothers「Little Darling (I Need You)」あたりを思わせる曲調です。
「Just Like Fallin' In Love」
James Walsh作。ラストはメロウ・エレピと爽快ハーモニーにグッとくる素敵なメロウ・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Fvah-VpK_yU
1st『James Walsh Gypsy Band』(1978年)もセットでどうぞ!
『James Walsh Gypsy Band』(1978年)