発表年:2004年
ez的ジャンル:4オクターヴ・ジャズ・ヴォーカル
気分は... :ナイスな編集盤!
今回はドイツ人ジャズ・シンガー/ギタリストPeter Fesslerの90年代の音源による編集版『Here's That Rainy Day』(2004年)です。
※便宜上90年代カテゴリーにしておきます。
Peter Fesslerは1959年ケルン生まれ。
80年代にポップ・ロック・グループTrio Rioのメンバーとして活動した後、1991年にソロ1stアルバム『My Songs』をリリース。その後、今日まで20枚近くのアルバムをコンスタントにリリースしています。
本作『Here's That Rainy Day』はMinor Music時代の『Foot Prints』(1996年)、『Colours of My Mind』(1997年)、『Very Close』(1998年)、『On Stage』(1998年)、『Eastside Moments』(1999年)という5枚のアルバムからセレクトした編集盤です。
ジャズを基本にボッサ・ジャズやSSW的な楽曲がバランス良く配されています。
4オクターヴを駆使するヴォーカル・テクニックを持つPeter Fesslerというジャズ・シンガーの魅力を余すことなく伝えてくれると同時に、シンガー・ソングライター的な魅力も楽しめる1枚となっており、かなり満足度高いです。
素敵なアコースティック・メロウ「Remembering」や「What Now My Love」、クラブジャズなダンシング・ジャズ「Easier Said Than Done」、スウィンギーに疾走する「Day by Day」あたりが僕のオススメです。
編集盤はあまり好きではない僕ですが、この盤は納得です。
全曲紹介しときやす。
「Your Eyes」
『On Stage』収録曲。Peter Fessler/Paul Shigihara作。Fesslerの素晴らしいヴォーカル・テクニックをライヴで楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=HRemAZ1t20c
「Here's That Rainy Day」
『Colours of My Mind』収録曲。Johnny Burke/James Van Heusen作。ミュージカル『Carnival in Flanders』のために書かれたスタンダードのカヴァー。美しいピアノが先導する小粋なオトナのボッサ・ジャズに仕上がっています。Fesslerのテクニックを駆使しながらもジェントルなヴォーカルがサイコーです。
「Day by Day」
『Foot Prints』収録曲。Axel Stordahl/Paul Weston/Sammy Cahn作のスタンダード・カヴァー。当ブログではAstrud Gilberto、Bossa Rio、Chris Montezのカヴァーも紹介済です。ボッサな仕上がりをイメージしていましたが、ジャズ・ヴォーカルらしいスキャットとスウィンギーな疾走感が格好良い1曲に仕上がっています。
「Remembering」
『Eastside Moments』収録曲。Peter Fessler/John Mac Nicolas作。彼のソングライターとしても魅力を実感できるアコースティック・メロウ。ここではジャズ・シンガー的なテクニックは封印し、伸びやかなヴォーカルを披露してくれます。僕の一番のお気に入り。
「One Note Samba」
『Very Close』収録曲。Antonio Carlos Jobim/Newton Mendonca作。ここではジャズ・シンガーらしいスキャットを駆使して、楽しくJobim名曲を聴かせてくれます。。
「Oh Sonho」
『Eastside Moments』収録曲。Peter Fessler/Theresa Reichert作。ミステリアスなブラジリアン・フォーキーって雰囲気です。
「Wave」
『On Stage』収録曲。Antonio Carlos Jobim作。Jobim名曲をヴォーカル・テクニックを駆使しつつ、エレガントに聴かせてくれます。
「Give Me One More Chance」
『On Stage』収録曲。Amy Antin/Peter Fessler作。SSW的な雰囲気のアコースティック・バラードをしっとりと歌い上げます。
「All the Things You Are」
『Foot Prints』収録曲。Jerome Kern/Oscar Hammerstein II作のスタンダードをカヴァー。1939年のミュージカル『Very Warm for May』のために書かれた楽曲です。ボッサ・ジャズ好きには間違いない1曲。ここではソフト&メロウなヴォーカルに徹しています。
「Just One of Those Thing」
『Colours of My Mind』収録曲。Cole Porter作。1935年のミュージカル『Jubilee』挿入歌として書かれたものです。スタンダード・カヴァーらしい品格のある仕上がりです。ヴァイヴの音色がいい感じですね。
「Nothing but the Truth」
『Colours of My Mind』収録曲。Amy Antin/Peter Fessler作。彼のソングライティングが光る素敵な1曲に仕上がっています。
「Tenderly」
『On Stage』収録曲。Walter Gross/Jack Lawrence作のスタンダードのカヴァーです。当ブログでもClara Moreno、Jose James、Stacey Kentのカヴァーを紹介済みです。僕の場合、Jose James、Stacey Kentのカヴァーを昨年かなり聴きまくったせいで、この曲自体に愛着が湧いているので嬉しいカヴァーです。Fesslerらしいスキャットで盛り上げてくれます。
「Somewhere Over the Rainbow」
『Very Close』収録曲。E.Y. Harburg/Harold Arlen作のポピュラー・スタンダードをカヴァー。お馴染みの名曲をジャズ・ヴォーカルならではステキな雰囲気で聴かせてくれます。
「So Danco Samba」
『Eastside Moments』収録曲。Antonio Carlos Jobim作。Jobim作品のカヴァー3曲の中では一番コレが好きですね。
「What Now My Love」
『Eastside Moments』収録曲。Gilbert Becaud/Pierre Delanoe/Carl Sigman作。Sonny & Cherのカヴァーが1966年にヒットしたシャンソン名曲です。ここではシンプルながらも素敵なアコースティック・メロウで聴く者を魅了します。「Remembering」、「Easier Said Than Done」と並ぶ僕のお気に入り。
「Easier Said Than Done」
『Colours of My Mind』収録曲。Amy Antin/Peter Fessler作。クラブジャズ好きの人であれば、小粋に疾走するこのブラジリアン・ダンシング・ジャズがが一番気に入るかもしれませんね。
「Morning Light」
『Foot Prints』収録曲。Amy Antin/Peter Fessler作。ラストは素敵なビューティフル・バラードで締め括ってくれます。
Peter Fesslerの他作品もチェックを!
『Foot Prints』(1996年)
『Colours of My Mind』(1997年)
『On Stage』(1998年)
『Eastside Moments』(1999年)
『Signatures』(2000年)
『Lovers, Fools & Dreamers』(2005年)
『Landscape Tapestry』(2005年)
Peter Fessler & NDR Bigband 『I Concentrate on You』(2007年)
『Voices on the Stair』(2008年)
『Das mit dir』(2010年)
『Fly!』(2012年)
Peter Fessler & Don Grusin『Quality Time』(2013年)
『Intro da vida』(2014年)