2016年09月06日

Ellen McIlwaine『We The People』


『Honky Tonk Angel』と並ぶ代表作☆Ellen McIlwaine『We The People』
ウィ・ザ・ピープル
発表年:1973年
ez的ジャンル:スライド系ファンキー・フォーキー・グルーヴ
気分は... :アンラーン!

フリーソウル・ファンにはお馴染みの女性シンガーソングライター/ギタリストEllen McIlwaine『We The People』(1973年)です。

1945年ナッシュビルの生まれ女性シンガーソングライター/ギタリストEllen McIlwaineの紹介は、Polydor時代の『Honky Tonk Angel』(1972年)、『We The People』(1973年)の2in1CD『Up from the Skies:The Polydor Years』と、そのオリジナル『Honky Tonk Angel』(1972年)に続き3回目となります。

『Honky Tonk Angel』と同じく、『Up from the Skies:The Polydor Years』で紹介済みの作品ですが、オリジナル・アルバムにこだわり、取り上げ直したいと思います。

フリーソウル・ファンには説明不要!『Honky Tonk Angel』と並ぶ彼女の代表作ですね。『Honky Tonk Angel』同様に、格好良すぎるファンキー・フォーキー・グルーヴを堪能できます。

『Honky Tonk Angel』はA面がスタジオ録音、B面がライブ録音でしたが、本作はラストの「We The People」以外はスタジオ録音です。

プロデュースは『Honky Tonk Angel』と同じPeter K. Seige

レコーディング・メンバーはEllen McIlwaine(vo、g、p)以下、Don Payne(b)、Don Moore(b)、Candido(congas)、Jerry Mercer(ds)、Jimmy Madison(ds)、Collin Tilton(sax)、The Persuasions(back vo)、West 44th Street Noise Choir (back vo)。

『Honky Tonk Angel』と比べて、Ellenの音楽性の幅を楽しめる1枚となっています。

僕の場合、これまではフリー・ソウル的な「Never Tell Your Mother She's Out Of Tune」「Jimmy Jean」や彼女らしいオープン・チューニングのスライド・ギターを楽しむ「Sliding」ばかり聴いてきましたが、改めてアルバムを通しで聴くと、オープニングの「Ain't No Two Ways About It (It's Love)」、ラストの「We The People」もかなり刺激的ですね。2曲ともインド、中東の香りとEllenの個性が見事に調査しています。

それ以外にもThe Persuasionsをバック・コーラスに従えたゴスペル調のア・カペラの「Farther Along」、ブルージーな「Underground River」、ジャズ調の「Everybody Want's To Go To Heaven (But Nobody Want's To Die)」、カントリー調の「I Don't Want To Play」とバリエーション豊かな構成となっています。

その意味では、フリー・ソウルなEllen McIlwaineと、フリー・ソウル以外のEllen McIlwaineを両方楽しめるお得感があります。

アルバム全体のクオリティという点では『Honky Tonk Angel』以上かも?

全曲紹介しときやす。

「Ain't No Two Ways About It (It's Love)」
エスニック+サイケデリック+ファンキー+フォーキーの不思議なサウンドに惹き込まれるオープニング。こんなサウンドは彼女にしか生み出せないのでは?

「All To You」
パンチの効いたファンキー・フォーキー。70年代フォーキー作品に少し物足りなさを感じる方でも楽しめるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=qIvUcZ97H3M

「Sliding」
ギタリストEllen McIlwaineを楽しむ1曲。オープン・チューニングのスライド・ギターによるスリリングなプレイに興奮しましょう。

「Never Tell Your Mother She's Out Of Tune」
Jack Bruce/Pete Brown作。元CreamのJack Bruceの作品。オリジナルは『Songs For A Tailor』(1969年)に収録されています。前作『Honky Tonk Angel』でも『Songs For A Tailor』収録曲「Weird of Hermiston」を取り上げていました。彼女にとってかなりの愛聴盤だったのでしょうね。本作のハイライトといえば、この曲でしょう。Ellen McIlwaineのファンキー・フォーキー・グルーヴの魅力が凝縮された文句なしの1曲。

「Farther Along」
トラディショナルをカヴァー。黒人ヴォーカル・グループThe Persuasionsがバック・コーラスにしたア・カペラ。Ellenの音楽ルーツに黒人音楽やゴスペルがあることを認識できます。ファンキー・グルーヴとは異なるEllenの魅力を楽しめます。

「I Don't Want To Play」
僕の苦手なカントリー曲調ですが、Ellenのヴォーカル&ギターの魅力で何とか踏みとどまっています。

「Underground River」
ブルージーなフォーキー・チューン。なかなか味わい深くていいですね。Ellenのスキャットにもグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=ThXRfX88qAQ

「Everybody Want's To Go To Heaven (But Nobody Want's To Die)」
Al Fields/Timmie Rogers/Tom Delaney作品をカヴァー。ジャズ・ブルースな曲調は他の演奏では聴かれない雰囲気です。

「Jimmy Jean」
「Never Tell Your Mother She's Out Of Tune」と並ぶ人気曲。Candidoのコンガが牽引するファンキー・グルーヴです。どんどんテンションが上がってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=FyfTsvWiCtQ

「We The People」
最後はCarnegie Hallでのライブです。インド/アラブ調の神秘的なギター・プレイに圧倒されます。スピリチュアルな雰囲気もあっていいですね。インド好き、シタール好きの人もグッとくるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=dHkG26au_kc

未聴の方は『Honky Tonk Angel』(1972年)もセットでどうぞ!

『Honky Tonk Angel』(1972年)
ホンキー・トンク・エンジェル+1

興味がある方はEllenがメンバーであったサイケデリック・バンドFear Itself(1969年)の唯一のアルバム『Fear Itself』(1969年)あたりをチェックするのも楽しいのでは?

Fear Itself『Fear Itself』(1969年)
Fear Itself
posted by ez at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする