発表年:1979年
ez的ジャンル:異端児系フレンチ・レゲエ
気分は... :エロ不良オヤジとレゲエ!
フランスの異端児アーティストSerge Gainsbourgがジャマイカ、キングストンでレコーディングしたレゲエ・アルバム『Aux Armes Et Caetera』(1979年)です。
フランスのエロ不良オヤジSerge Gainsbourg(1928-1991年)に関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の6枚。
『Gainsbourg Percussions』(1964年)
Serge Gainsbourg Et Brigitte Bardot『Bonnie And Clyde』(1968年)
Original Soundtrack『Anna』(1969年) ※Gainsbourgが音楽担当
Jane Birkin et Serge Gainsbourg『Jane Birkin et Serge Gainsbourg』(1969年)
『Histoire De Melody Nelson』(1971年)
『Love On The Beat』(1984年)
前作『L'Homme A Tete De Chou(くたばれキャベツ野郎)』(1976年)でレゲエを取り上げたGainsbourgが、全編レゲエに取り組んだ1枚が本作『Aux Armes Et Caetera』(1979年)です。
『L'Homme A Tete De Chou』(1976年)
前述のように、レコーディングはジャマイカ、キングストンで行われ、レゲエ界最強のリズム・セクションSly & Robbie のSly Dunbar(ds)、Robbie Shakespeare(b)をはじめ、Radcliffe "Dougie" Bryan(g)、Isiah "Sticky" Thompson(per)、Ansel Collins(org)といったThe Revolutionariesのメンバー、Michael "Mao" Chung(g、p)、Robbie "Tights" Lyn(p)といったミュージシャンが参加しています。さらにはバック・コーラスでThe I Threes(Judy Mowatt/Marcia Griffiths/Rita Marley)(back vo)も参加しています。
フランスのエロ不良オヤジSerge Gainsbourgがレゲエに傾倒していったのは、単にサウンド面の興味ならず、権力と戦うレベル・ミュージックというレゲエの持つ性格が、彼の生き方、アーティストとしてのアイデンティティと符合したのだと思います。そうしたスタンスは"国歌への冒とく"と物議を醸すことになったタイトル曲「Aux Armes Et Caetera」に反映されています。
同時に、Gainsbourgの低音囁きヴォーカルと本場のレゲエ・サウンド、The I Threesのコーラスとの相性が想像以上に良い点に驚かされます。「Vieille Canaille」や「Daisy Temple」あたりを聴くと実感できるはずです。
フランスのエロ不良オヤジSerge Gainsbourgと本場レゲエのケミストリーが生んだ素晴らしい成果だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Javanaise Remake」
本場ジャマイカ録音らしいレゲエ・サウンドと不良オヤジGainsbourgの囁きヴォーカルの相性の良さを感じるオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=5DuVFAm3JoM
「Aux Armes Et Caetera」
フランス国歌を引用したことで"国歌への冒とく"と物議を醸すことになった挑発的な1曲。アーティストとしての姿勢を示した戦闘モードのGainsbourgの姿は、レゲエの神様Bob Marleyとも重なります。 I Threesのバック・コーラスが印象的なので余計にそう感じてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=CrAOw5i9UwM
「Les Locataires」
Sly & Robbieをはじめとするバック陣の演奏に魅了される1曲。もっと長尺で聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=owvx35-iN2M
「Des Laids Des Laids」
Gainsbourgの囁きヴォーカルとI Threesのバック・コーラスの組み合わせがサイコーです。Gainsbourgならではのレゲエ・ワールドになっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=EZDxAGdstZk
「Brigade Des Stups」
この曲も戦闘モードのGainsbourgが出た挑発的な1曲に仕上がっています。そうした歌詞を少し人を喰ったようなレゲエ・サウンドにのって歌うのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ecEMHEM8hSI
「Vieille Canaille」
Cab Callowayのカヴァー。ヴォーカル&演奏の格好良さでいえば、コレが一番かも?Gainsbourgの個性と本場のレゲエ・サウンドが見事に一体化しています。
https://www.youtube.com/watch?v=1bPmRm1qnr8
「Lola Rastaquouere」
Gainsbourgのエロ・オヤジな魅力が出たレゲエ・チューン。このエロ・モードのレゲエはGainsbourgならではの味わいかも?
https://www.youtube.com/watch?v=VKtGRC3IAc0
「Relax Baby Be Cool」
I Threesのコーラスが目立つ能天気な曲調ですが、歌詞はかなり過激です。
https://www.youtube.com/watch?v=B3wKigp5Bfk
「Daisy Temple」
「Vieille Canaille」と並ぶ僕のお気に入り。Sly & Robbieが格好良すぎます。Gainsbourgの囁きヴォーカルがここまでレゲエ・サウンドやI Threesのコーラスとハマるとは意外です。
https://www.youtube.com/watch?v=dotxEJHRpSg
「Eau Et Gaz A Tous Les Etages」
インタールード的な小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=SBwR4m80uPU
「Pas Long Feu」
小気味よいレゲエ・チューンですが、歌詞の内容はかなりシニカルです。
https://www.youtube.com/watch?v=0BnyM681aZg
「Marilou Reggae Dub」
ラストは前作『L'Homme A Tete De Chou(くたばれキャベツ野郎)』収録のレゲエ・チューン「Marilou Reggae」の再演です。
https://www.youtube.com/watch?v=rIILdcNg8Mw
Serge Gainsbourgの過去記事もご参照下さい。
『Gainsbourg Percussions』(1964年)
Original Soundtrack『Anna』(1967年)
Serge Gainsbourg Et Brigitte Bardot『Bonnie And Clyde』(1968年)
Jane Birkin et Serge Gainsbourg『Jane Birkin et Serge Gainsbourg』(1969年)
Serge Gainsbourg『Histoire De Melody Nelson』(1971年)
Serge Gainsbourg『Love On The Beat』(1984年)