2016年10月06日

Sonzeira『Tam Tam Tam Reimagined』

Gilles Petersonのブラジリアン・プロジェクト第2弾☆Sonzeira『Tam Tam Tam Reimagined』
Tam Tam Tam Reimagined [帯解説 / 国内仕様輸入盤CD] (BRBW154)
発表年:2016年
ez的ジャンル:Gilles Peterson系ブラジリアン・プロジェクト
気分は... :時空を超えて!

新作アルバムから、人気DJ、Gilles Petersonによるブラジリアン・プロジェクトSonzeiraの第2弾『Tam Tam Tam Reimagined』です。

2014年のブラジルW杯に合わせてリリースされたSonzeiraの第1弾アルバム『Brasil Bam Bam Bam』は当ブログでも紹介済みです。

『Brasil Bam Bam Bam』では、Nana VasconcelosElza SoaresWilson Das NevesSeu JorgeMarcos ValleLucas Santtana等のブラジル人ミュージシャンをはじめ、Seun KutiGiovanca等の多彩なミュージシャンがフィーチャリングされ、大きな話題となりました。

第2弾となる『Tam Tam Tam Reimagined』は、Gillesがリスペクトするブラジルのレア盤Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』(1958年)の音源を再構築した作品です。

Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』(1958年)は、モダン・アフロ/フォルクローレ・ブラジリアンの逸品として再評価が高まった1枚であり、Jorge Benの名曲「Mas Que Nada」の原曲「Nana Imboro」が収録されていることでも知られていり作品です。2014年のCD化に際しては、Gilles自らが尽力しました。

Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』(1958年)
Tam ..tam...tam!
Jose Prates「Nana Imboro」
 https://www.youtube.com/watch?v=9-l_8BurV_4

本作のジャケにもオリジナルに対するオマージュぶりが反映されていますね。

『Tam Tam Tam Reimagined』にはGilles Petersonに加え、『Brasil Bam Bam Bam』でも共同プロデュースを務めたRob GallagherKassinも関与しています。

GallianoTwo Banks Of Fourでお馴染みのRob Gallagherは、当ブログでも紹介した最新プロジェクトThe Diabolical Libertiesで健在ぶりを示してくれました。

Kassin(Alexandre Kassin)は、a href="http://eastzono.seesaa.net/article/296789217.html">Domenico、Moreno Veloso(Caetano Velosoの息子)との + 2プロジェクトで知られる気鋭のブラジル人ミュージシャンですね。

また、本作のキーマンとなるのがプロデュースを務めるWill Horrocks。彼はSi WilliamsとのユニットL.V.やL.V.のサイド・プロジェクトSwamiMillionでも知られる気鋭ミュージシャンです。

それ以外にロンドンの気鋭ジャズ・ドラマーMoses Boyd、同じく期待の若手ベーシストDaniel Casimirといったミュージシャンが参加しています。
※ネットではDaniel Casimirを同名異人のフレンチ・コンテンポラリー界で注目を集める白人トロンボーン奏者と混同している情報が目立ちますが、コチラのDaniel Casimirは黒人ダブル・ベース奏者です。

『Brasil Bam Bam Bam』がブラジル音楽ファン向けの作品であったのに対して、本作は完全にUKクラブミュージック好きの作品に仕上がっています。

Jose Prates『Tam... Tam... Tam...!』に敬意を払いつつ、あくまで音源を素材として用い、先鋭的なUKクラブミュージックとして再構築しています。そのあたりは、「Milesが今生きていれば、こんな音を創造するのでは?」とMilesの音源を素材として割り切り、再構築したMiles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』と共通しています。

UKクラブミュージックという意味では、辺境ベースの傑作Clap! Clap!!『Tayi Bebba』あたりにも通じる魅力があるかもしれません。

また、Moses BoydDaniel Casimir参加曲にはUK今ジャズ的なプレイも楽しめます。

それなりにリスナーを選ぶ作品かもしれませんが、Gilles Peterson好きの人であれば納得の1枚でしょう。

全曲紹介しときやす。

「O Que Voce Sabe」
レトロ・フューチャー感のあるエキゾチックなアフロ・ブラジリアンでアルバムは幕を開けます。

「Maos A Obra」
Moses Boydをフィーチャー。先鋭的なアッパー感は、Rob Gallagherの最新プロジェクトThe Diabolical Libertiesの雰囲気に近いかもしれません。

「Aves de Leme」
Daniel Casimirをフィーチャー。彼のダブル・ベースによるジャズのエッセンスを加えたサンバ・グルーヴが心地好いです。

「O Baixo Do Kassim」
Kassinをフィーチャー。Kassinらしいエレクトリック感で楽しませてくれます。レゲエ/ダブっぽい雰囲気もあります。

「Nos Precisamos de Voce」
Moses Boydをフィーチャー。Moses Boydが現代ジャズ・ドラマーらしいドラミングでオリジナル音源に新たな息吹を吹き込みます。

「Nao Ha Sol」
アフロ・ブラジリアンのダークな雰囲気を強調した再構築となっています。

「Encurralado」
このプロジェクトらしい素材の調理法を楽しめる1曲。今時のUKクラブミュージックらしい1曲に仕上がっています。

「Nana Nada」
Moses Boydをフィーチャー。「Mas Que Nada」の原曲「Nana Imboro」の再構築。「Mas Que Nada」の原点の再構築としても楽しめますし、Moses Boydの今ジャズ的プレイとUKクラブミュージックの融合という意味でも楽しめます。

「Do Rio Para o Chi」
トロピカルなUKクラブミュージックという意味では、辺境ベースの傑作Clap! Clap!!『Tayi Bebba』あたりぶ通じるものがあるかもしれません。

「Samba de Piramide」
サンバのリズムにエキゾチックなエッセンスを加味した仕上がり。フューチャー・エスニックな音世界を楽しめます。

「Samba de Retorno」
ラストは『Tam... Tam... Tam...!』がリリースされた1958年から2030年位へ一気にタイムスリップしたようなフューチャリスティック・サウンドで締め括ってくれます。最後に少しだけ2016年に戻って来てくれますが。

本作とは全く雰囲気が異なりますが、Sonzeiraの第1弾『Brasil Bam Bam Bam』(2014年)もチェックを!

『Brasil Bam Bam Bam』(2014年)
Brasil Bam Bam Bam

Brownswood RecordingsからリリースされたL.V.の2ndアルバム『Ancient Mechanisms』(2015年)あたりをチェックするのも楽しいでは?

L.V.『Ancient Mechanisms』(2015年)
Ancient Mechanisms
posted by ez at 02:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月05日

Milt Jackson With The Ray Brown Big Band『Memphis Jackson』

ビッグバンドを伴ったジャズ・ファンク作品☆Milt Jackson With The Ray Brown Big Band『Memphis Jackson』
メンフィス・ジャクソン
録音年:1969年
ez的ジャンル:ジャズ・ヴァイヴ&ビッグバンド系ジャズ・ファンク
気分は... :L.A.録音だけど気分はメンフィス!

今回はジャズ・ヴァイヴのパイオニアMilt JacksonRay Brown率いるビッグバンドと共にレコーディングした『Memphis Jackson』(1969年)です。

Modern Jazz Quartet(MJQ)のメンバーとしても活躍したヴァイヴ奏者Milt Jackson(1923-1999年)に関して、当ブログで紹介したのは以下の3枚。

 Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』(1961年)
 『Jazz 'N' Samba』(1964年)
 『Sunflower』(1972年)

Impulse!からリリースされた本作『Memphis Jackson』は、Dizzy Gillespie楽団時代からの盟友であるベーシストRay Brownが率いるビッグバンドとの共演作です。レコーディングはL.A.で行われました。

Milt Jackson(vibe)、Ray Brown(b、conductor)以下、Joe Sample(el-p)、Wilton Felder(el-b)といったThe Crusaders勢、Mike Melvoin(p、el-p)、Howard Roberts(g)、Fred Robinson (g)、Cubby O'Brien(ds)、Paul Humphries(ds)、Earl Palmer(ds)、Al Aarons(tp)、John Audino(tp)、Bud Brisbois(tp)、Buddy Childers(tp)、Harry Edison(tp)、Ollie Mitchell(tp)、Randy Aldcroft(tb)、Jimmy Cleveland(tb)、Kenny Shroyer(btb)、John T. Johnson(tuba)、Ernie Watts(as)、Jim Horn(as、bs)、Teddy Edwards(ts)、John Lowe(bs)、Victor Feldman(per)です。

L.A.レコーディングですが、タイトルの通りメンフィス・レコーディングのようなアーシー&ファンキーなジャズ・ファンク・サウンドが目立つ1枚に仕上がっています。

今日的なハイライトは、定番サンプリング・ソースとお馴染みの「Enchanted Lady」かもしれません。しかし、本作らしいジャズ・ファンク・サウンドは、タイトル曲「Enchanted Lady」をはじめ、「One Mint Julep (One Way)」「Braddock Breakdown」「A Sound for Sore Ears」「Uh-Huh」といった曲で聴くことができます。

バグスのヴァイヴ、ビッグバンドとジャズ・ファンクがマッチするのか、という気もしますが、これが意外と調和しています。むしろ、ビッグバンドならではのジャズ・ファンクが本作の魅力といえるかもしれません。

気分はメンフィス!

全曲紹介しときやす。

「Uh-Huh」
オススメその1。Ray Brown作。本作らしいアーシー&ファンキーなジャズ・ファンク・グルーヴでアルバムは幕を開けます。ファンキーなホーン・アンサンブルで盛り上げてくれます。バグスのヴァイヴも存在感があります。

「One Mint Julep (One Way)」
オススメその2。Rudy Toombs作。ビッグバンドらしい序盤に続き、本編はシフト・チェンジしてファンキーに疾走するジャズ・ファンク。

「Oh Happy Day」
Edwin Hawkins作。ビッグバンドらしいダイナミックな演奏を楽しめます。本作らしいソウルフルな味わいもあります。

「Memphis Junction」
オススメその3。Milt Jackson作。格好良いパーカッション・ブレイクと共に始まるタイトル曲。ファンキー・モード全開のアーシーなジャズ・ファンクです。そんなジャズ・ファンク・サウンドにバグスのヴァイヴも調和しています。
https://www.youtube.com/watch?v=mjVd3t6IbY4

「Queen Mother Stomp」
Victor Feldman作。にバグスのヴァイヴのメロウな響きが栄えるミディアム・ファンク。

「Braddock Breakdown」
オススメその4。Ray Brown作。ビッグバンドならではの重厚なホーン・アンサンブルが印象的なジャズ・ファンク。かなり格好良いと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=TAObal_Hllg

「A Sound for Sore Ears」
オススメその5。Jimmy Heath作。この演奏もファンキーな魅力に溢れています。ビッグバンドとジャズ・ファンクの魅力がバランス良く両立しているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=xrq-t63AXSs

「Enchanted Lady」
オススメその6。Milt Jackson作。今日の本作のハイライトは定番サンプリング・ソースとなっている本曲かもしれませんね。印象的な哀愁のメロディは確かにサンプリング・ソースしたくなる気持ちがわかります。。
https://www.youtube.com/watch?v=C2VoIVYrN1w

当ブログでも紹介したDe La Soul「Dinninit」をはじめ、Pete Rock & C.L. Smooth「Carmel City」、Pete Rock & Deda「Everyman For Hisself」、Large Professor「Ijuswannachill」、Heltah Skeltah feat. Vinia Mojica「Therapy」、Funky DL「Underground Hip Hop」、Rob Swift「A Natural High」、3rd Eye「360 Degrees」、Knxwledge「3Koin[s]」、O.S.T.R. & Hades「Idealny Swiat」等のサンプリング・ソースとなっています。

De La Soul「Dinninit」
 https://www.youtube.com/watch?v=rsB-ZnywySQ
Pete Rock & C.L. Smooth「Carmel City」
 https://www.youtube.com/watch?v=dy8mu2_RbzA
Pete Rock & Deda「Everyman For Hisself」
 https://www.youtube.com/watch?v=57h-83Ujg_4
Large Professor「Ijuswannachill」
 https://www.youtube.com/watch?v=4kKaR2hN9b0
Heltah Skeltah feat. Vinia Mojica「Therapy」
 https://www.youtube.com/watch?v=a9SqsnPIOT0
Funky DL「Underground Hip Hop」
 https://www.youtube.com/watch?v=NMHFVlIhYF8
Rob Swift「A Natural High」
 https://www.youtube.com/watch?v=0RV2jy99viA
3rd Eye「360 Degrees」
 https://www.youtube.com/watch?v=SCI-wdcPiHE
Knxwledge「3Koin[s]」
 https://www.youtube.com/watch?v=XUViqBKtJPQ
O.S.T.R. & Hades「Idealny Swiat」
https://www.youtube.com/watch?v=GhHo6MrJXTI

「One Mint Julep (The Other Way)」
Rudy Toombs作。「One Mint Julep (One Way)」の別テイク。こちらはジャズ・ファンクせずに王道ジャズしています。
https://www.youtube.com/watch?v=lqcvE3RpfTM

「Picking Up the Vibrations」
Ray Brown作。エレガントなビッグバンド・サウンドと本作らしいファンキーな演奏が交錯します。

Milt Jacksonの過去記事もご参照下さい。

Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』(1961年)
Bags Meets Wes

『Jazz 'N' Samba』(1964年)
ジャズ・ン・サンバ

『Sunflower』(1972年)
Sunflower
posted by ez at 02:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月04日

L.T.D.『Shine On』

Jeffrey Osborne在籍のラスト作☆L.T.D.『Shine On』
Shine on by L.T.D.
発表年:1980年
ez的ジャンル:大所帯ファンク/ソウル・グループ
気分は... :いざ旅立つ!

Jeffrey Osborne擁するL.T.D.の7thアルバム『Shine On』(1980年)です。

大所帯ファンク/ソウル・グループL.T.D.(Love Togetherness Devotion)の紹介は、『Devotion』(1979年)、『Something To Love』(1977年)に続き3回目となります。

7thアルバムとなる本作『Shine On』(1980年)は、グループの看板であったリード・シンガーJeffrey OsborneにとってのL.T.D.ラスト作品となります。ご存知の通り、その後Jeffreyはソロ・アーティストとして活躍することとなります。

また、Jeffreyと共に兄のBilly Osborneも本作を最後にグループを離れています。

本作におけるメンバーは、Lorenzo Carnegie(ts、as)、John McGhee(g)、Abraham "Onion" Miller(ts)、Jeffrey Osborne(vo、per)、Billy Osborne(p、el-p、vo、per)、Jake Riley(tb)、Carle Vickers(tp、flh、fl、ss)、Jimmy "J.D." Davis(p、el-p、key、back vo)、Henry Davis(b、syn、back vo)、Alvino Bennet(ds)。

プロデュースはL.T.D.作品ではお馴染み、フィリー・ソウルの重鎮Bobby Martin

アルバム全体としては、L.T.D.らしいディスコ/ファンクとJeffreyはソロ・アルバムに通じるラブ・バラードのハーフ&ハーフ的な内容となっています。

ディスコ/ファンク系ならば、「You Gave Me Love」「Getaway」 、ラブ・バラードならば、「Where Did We Go Wrong?」「Will Love Grow」「Lovers Everywhere」あたりがオススメです。

L.T.D.作品の中では見過ごされがちな1枚ですが、過渡期ならではの面白さがあって僕は結構好きです。

全曲紹介しときやす。

「You Gave Me Love」
オススメその1。人気ソングライティング・チームGrey & Hanks作の爽快ファンキー・ディスコ。軽快なリズム&ホーン・アンサンブルがいいですね。Angela Winbushもバック・コーラスで参加し、Jeffrey Osborneのリード・ヴォーカルを盛り上げます。アップものでは本作のハイライトだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=lS2p22n_66M

「Where Did We Go Wrong?」
オススメその2。Sam Dees/Jeffrey Osborne作。シングルとして全米R&Bチャート第7位となったラブ・バラード。Jeffreyがしっとりと歌い上げるスウィートな名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=QVMpMV7c7ho

Young Rook「Where Did We Go Wrong」のサンプリング・ソースとなっています。
Young Rook「Where Did We Go Wrong」
 https://www.youtube.com/watch?v=yb_L_q8bRxg

「Getaway」
オススメその3。Henry E. Davis/Jeffrey Osborne作。ファンキーな魅力に溢れたミディアム・ファンク。ジワジワ高揚してくる感じが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=FsPVWAzv_vQ

「Will Love Grow」
オススメその4。Jimmie Davis/Jeffrey Osborne作。Jeffreyが伸びやかに歌い上げるビューティフル・バラード。Jeffreyのソロ作がお好きな人は気に入るはず。
https://www.youtube.com/watch?v=-JM7geJnLkU

「Love Is What You Need」
Johnny McGhee/Jeffrey Osborne作。軽やかに疾走する爽快ディスコ・ブギー。少し弾け方が控え目な感じもしますが楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=37uWBrJpW6c

「Shine On」
Richard Kerr/Jeffrey Osborne作。タイトル曲はシングルにもなったビューティフル・バラード。Jeffreyらしいのかもしれませんが、L.T.D.らしかといわれれば???かも。
https://www.youtube.com/watch?v=woNb40lnDMw

「Lovers Everywhere」
オススメその5。Jeffrey Osborne作。AOR/アーバンな雰囲気のメロウ・ミディアム。こういうのを聴くと、Jeffreyのソロ転向は仕方がなかったのかという気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=zEOaFLPAvXs

「Lady Love」
Billy Osborne作。Jeffreyと共に本作でグループを去ることとなった兄Billyの惜別の1曲といった雰囲気のバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=Kn5KxQ5tpOM

「Don't Cha Know」
Keri Amos/Jeffrey Osborne作。ラストはJeffreyのヴォーカルが栄えるファンキー・チューンで締め括ってくれます。

L.T.D.の他作品もチェックを!

『Love To The World』(1976年)
Love to the World

『Something To Love』(1977年)
サムシング・トゥ・ラヴ

『Togetherness』(1978年)
Togetherness

『Devotion』(1979年)
Devotion

『Love Magic』(1981年)
ラヴ・マジック

『For You』(1983年)
For You
posted by ez at 01:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月02日

Tillery『Tillery』

Gretchen Parlato、Rebecca Martin、Becca Stevensによるスペシャル・ユニット☆Tillery『Tillery』
ティレリー
発表年:2016年
ez的ジャンル:スペシャル・ユニット系女性ヴォーカル・トリオ
気分は... :静かなるスペシャル作・・・

新作アルバムGretchen ParlatoRebecca MartinBecca Stevensという女性アーティスト3名によるスペシャル・ユニットTilleryによる初アルバム『Tillery』です。

今ジャズの歌姫としてわが国でも高い人気を誇るGretchen Parlatoに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の4枚。

 『Gretchen Parlato』(2005年)
 『In a Dream』(2009年)
 『The Lost And Found』(2011年)
 『The Gretchen Parlato Supreme Collection』(2015年)
 ※日本独自企画コンピ

また、ここ数年で注目度が一気に高まった女性アーティストBecca Stevensに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の2枚。

 Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
 Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)

残る1人のRebecca Martinは当時のボーイフレンドであったJesse HarrisとのユニットOnce Blueで音楽シーンに登場し、その後ソロ・アーティストとして活動しています。また、USジャズ・ドラマーPaul Motianのグループとの共演作もリリースしています。

そんな各々がアーティストとしての地位を確立している3名が集まったスペシャル・ユニットがTilleryです。2010年に初めて出会った3名がTillery名義で活動を始めたのは2011年。その後も断続的に活動してきましたが、遂にTillery名義でのアルバムが完成しました。

基本的にはRebecca Martin(vo、g、hand per)、Gretchen Parlato(vo、charango、hand per)、Becca Stevens(vo、g、ukulele、charango、hand per)の3名のみでのレコーディングが中心です。

一部の曲にMark Guiliana(ds、per)、Pete Rende(p、key)、Larry Grenadier(b)がゲスト参加しています。Pete Rendeは本作のエンジニアも務めています。

シンプルながらも素敵なヴォーカル・ワールドを存分に堪能できるスペシャルな1枚に仕上がっています。歌はテクニックではなく、歌心であることを改めて実感できます。3人が織り成すヴォーカル・ワークは聴く者をピュアな心にしてくれるはずです。

特に秋に聴く音としては最高なのでは?

年末恒例『ezが選ぶ2016年の10枚』の有力候補となりそうな静かなるスペシャル作です。

全曲紹介しときやす。

「Take Me With U」
オープニングは今年急逝したPrinceのカヴァー。殿下のオリジナルは大ヒット・アルバム『Purple Rain』(1984年)に収録されています。これをオープニングに持ってきたのは殿下へのトリビュートの意味もあるのでしょうね。Rebeccaのギター、Gretchenのチャランゴ、Beccaのウクレレのみのバックで3名がこのユニットらしい素敵なヴォーカル・ワークを聴かせてくれます。

「O I Long To Feel Your Arms Around Me」
Joshua Tillman作。Fleet FoxesのドラマーであったJoshua Tillmanのソロ・プロジェクトFather John Mistyのカヴァー。オリジナルは『Fear Fun』(2012年)に収録されています。やや古い引き合いですが、このフォーキーな味わいは女性版CS&N(Crosby,Stills & Nash)といった雰囲気ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SkyXLhlSv3E ※スタジオライブ

「No More」
Becca Stevens/William Stevens作。Becca本人のヴァージョンは『Weightless』に収録されています。ここではBeccaのギター、ウクレレのみのシンプルなバックで素敵なヴォーカル・ワークを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=-oTpleL_l2M ※別ヴァージョン

「Magnus」
Gretchen Parlato/Magnus Thompson-Marcelin作。Gretchenのライヴ・レパートリーからのセレクト。3名によるア・カペラ・コーラスでスタートし、Beccaのチャランゴをバックにドリーミーなヴォーカル・ワークを聴かせてくれる本曲はGretchenの個性とBeccaの個性が見事に融合しています。

「God Is In The Details」
Rebecca Martin作。Rebecca本人のヴァージョンは『Twain』に収録されています。ゆっくりと時間が流れていくフォーキー感がいいですね。

「I Wanna Fly So Free」
Gretchen Parlato/Eureka作。Gretchenのオリジナルは難病や障害に立ち向かう子供たちのためにBecca Stevensが中心となって制作したアルバム『Arts For Life: My Life Is Bold』(2010年)で披露されたものです。小鳥の囀りと共に始まるア・カペラ・コーラスを聴いていると童心に帰ります。

「Sweetheart」
Rebecca Martin作。ギターのみならず、キーボード、ベース、ドラムも加わった演奏です。メリハリのある深淵感がいい雰囲気です。

「I Asked」
Becca Stevens作。『Perfect Animal』収録曲のリメイク。Becca Stevensが客演したSnarky Puppy『Family Dinner Volume Two』(2016年)でも本曲を披露しています。ここではオリジナルの雰囲気を残しつつ、シンプルなバックで本作らしいヴォーカル・ワークの栄えるピュアな仕上がりになっています。

「To Up And Go」
Rebecca Martin作。Rebecca本人のヴァージョンは『Twain』に収録されています。切々とした歌声にグッとくるフォーキー・チューンに仕上がっています。

「Push Me Away」
The Jacksonsのカヴァー(Jackie Jackson/Marlon Jackson/Michael Jackson/Randy Jackson/Tito Jackson作)。オリジナルは『Destiny』(1978年)に収録されています。この楽曲の素晴らしさを再認識できる至極のカヴァーに仕上がっています。このユニットがMJとPrinceという今は亡き2人のスーパー・スターの曲を取り上げているのが興味深いですね。

「Tillery」
Becca Stevens作。ユニット名にもなっているタイトル曲は『Perfect Animal』にも収録されています。Jane Tyson Clementの詞を引用した本曲は『Home - Gift of Music (Japan Earthquake Relief) 』(2012年)の中でChris Tordini, Gretchen Parlato & Becca Stevens名義で歌われたヴァージョンがオリジナルです。Beccaらしいフォーキー&エスニックな雰囲気を持った曲ですね。

国内盤CDボーナス・トラックとしてAntonio Carlos Jobimのボサノヴァ名曲カヴァー「Corcovado(Quiet Nights Of Quiet Stars)」が追加収録されています。このカヴァー・セレクトはGretchen主導かもしれませんね。

メンバー3名の関連アルバムもチェックを!

Gretchen Parlato『Gretchen Parlato』(2005年)
グレッチェン・パーラト

Gretchen Parlato『In a Dream』(2009年)
In a Dream

Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)
Lost & Found

Gretchen Parlato『Live In NYC』(2013年)
ライヴ・イン・ニューヨーク・シティ【CD+DVD】(仮)

Gretchen Parlato『The Gretchen Parlato Supreme Collection』(2015年)
※日本独自企画コンピ
ザ・グレッチェン・パーラト シュプリーム・コレクション

Becca Stevens Band『Tea Bye Sea』(2008年)
ティー・バイ・シー

Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Weightless

Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
パーフェクト・アニマル

Once Blue『Once Blue 』(1995年)
Once Blue

Rebecca Martin『Thoroughfare』(1999年)
Thoroughfare

Paul Motian Trio 2000 + One『Trio 2000 + One』(1999年)
2000 + One by Motian, Paul Trio (1999-05-04) 【並行輸入品】

Rebecca Martin『Middlehope』(2002年)
ミッドルホープ

Rebecca Martin『People Behave Like Ballads』(2004年)
People Behave Like Ballads

Paul Motian Trio 2000 + One『On Broadway Vol.4 Or The Paradox Of Continuity 』(2006年)
ON BROADWAY VOL.4 OR THE PARADOX OF CONTINUITY

Rebecca Martin『The Growing Season』(2008年)
Growing Season

Rebecca Martin『When I Was Long Ago』(2010年)
When I Was Long Ago

Rebecca Martin『Twain』(2013年)
Twain
posted by ez at 01:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月01日

Steve Winwood『Steve Winwood』

自然体のWinwoodの魅力を楽しめる1stソロ☆Steve Winwood『Steve Winwood』
スティーヴ・ウィンウッド
発表年:1977年
ez的ジャンル:ソウルフル・ブリティッシュ・ロック
気分は... :再始動・・・

今回はブリティッシュ・ロックの人気アーティストSteve Winwoodのソロ1stアルバム『Steve Winwood』(1977年)です。

The Spencer Davis GroupTrafficBlind Faith等でも活躍したSteve Winwoodに関して、当ブログで紹介した以下の3枚。

 『Arc Of A Diver』(1980年)
 『Talking Back To The Night』(1982年)
 『About Time』(2003年)

僕がリアルタイムで聴いたSteve Winwoodのソロ・アルバムは『Arc Of A Diver』(1980年)だったので、本作『Steve Winwood』は後追いで聴きました。

昔はリアルタイムで聴いた『Arc Of A Diver』『Talking Back To The Night』の印象が強く、それに比べて『Steve Winwood』は少し地味な印象を持っていました。

しかし、今日聴き直してみると、自然体なかたちえWinwoodのソウルフルな魅力が楽しめるブルーアイド・ソウル/ファンク・ロック作品であることを実感できます。その意味ではオトナのロック作品なのかもしれませんね。

レコーディングにはSteve Winwood(vo、p、el-p、org、syn、g、sax、ds、per)以下、Jim Capaldi(per、back vo)、Rebop Kwaku Baah(congas)といったTraffic時代の仲間やWillie Weeks(b)、Andy Newmark(ds)、
Brother James(per)、Junior Marvin(g)、John Susswell(ds)、Alan Spenner(b)が参加しています。また、翌年結婚することとなるNicole Weirもバック・コーラスで参加しています。

プロデュースはIslandの総帥Chris BlackwellSteve Winwood

秋に聴きたいオトナのブリティッシュ・ロック作品です。

全曲紹介しときやす。

「Hold On」
Steve Winwood/Jim Capaldi作。ブルーアイド・ソウルなWinwoodの魅力が伝わってくるミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=yBGKgc-mpuI

「Time Is Running Out」
Steve Winwood/Jim Capaldi作。Willie Weeks & Andy Newmarkのリズム隊、さらにRebop Kwaku Baahのコンガも加わったファンキー・リズムとWinwoodのソウルフル・ヴォーカル&鍵盤が見事にかみ合ったファンキー・ロック。僕が欲するSteve Winwoodはこういう音ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=2Tdt07uqMws

「Midland Maniac」
Steve Winwood作。Winwoodが全ての楽器を演奏しているマルチ奏者としての腕前を示してくれたドラマティックな仕上がり。

「Vacant Chair」
Steve Winwood/Viv Stanshall作。Bob Marley & The WailersのギタリストであったJunior Marvin、KokomoのベーシストAlan Spennerが加わったミディアムなロック・バラード。自然体のWinwoodがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=di4koDYVP3s

「Luck's In」
Steve Winwood/Jim Capaldi作。ブルーアイド・ソウル的なミディアム。Winwoodのギターも目立っています。終盤のプログレ的展開はUKロックらしいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=G4MCGs-TdNo

「Let Me Make Something In Your Life」
Steve Winwood/Jim Capaldi作。荘厳なオルガン&ピアノと共に始まるソウルフル・バラードで
締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aDNJYnt37bk

Steve Winwoodのソロ作やTrafficの過去記事もご参照下さい。

Steve Winwood『Arc Of A Diver』(1980年)
アーク・オブ・ア・ダイバー

Steve Winwood『Talking Back To The Night』(1982年)
トーキング・バック・トゥ・ザ・ナイト(紙ジャケット仕様)

Steve Winwood『About Time』(2003年)
About Time

Traffic『『Mr. Fantasy』(1967年)
Mr. Fantasy

Traffic『Traffic』(1968年)
トラフィック+5

Traffic『『Shoot Out at the Fantasy Factory』(1973年)
Shoot Out at the Fantasy Factory
posted by ez at 16:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。