2016年10月25日

Donnie『The Daily News』

社会を直視するコンシャス・ソウル!☆Donnie『The Daily News』
The Daily News
発表年:2007年
ez的ジャンル:男性コンシャス・ソウル
気分は... :稀有な存在!

今回は男性ネオソウル作品からDonnie『The Daily News』(2007年)です。

1975年ケンタッキー州レキシントン生まれ、ジョージア州アトランタ育ちの男性R&Bシンガー/ソングライターDonnie(Donnie Johnson)の紹介は、1stアルバム『The Colored Section』(2002年)に続き2回目となります。

1stアルバム『The Colored Section』は、Musiq SoulchildFrank McComb等に通じる正統派ネオソウルとして、各方面から高い評価を得ました。

それから5年という長いインターバルを置いてリリースされた本作『The Daily News』(2007年)は、リアルな社会問題を直視した
"コンシャス・ソウル"とでも呼びたくなる社会メッセージ色の強い1枚に仕上がています。21世紀版のリアルなニュー・ソウルともいえます。

プロデューサーは前作と同じくSteve 'The Scotsman' Harvey

レコーディングにはBobby Watson(元Rufus & Chaka Khan)(b)、Al McKay(元EW&F)(g)、Wayne Linsey(元Maze)(p、syn)が前作に続き参加してます。

さらにはThe Gap Band作品等のレコーディングに参加していたJimi Macon(g)、Roman Johnson(el-p、p、syn、key)も参加し、70〜80年代のソウル/ファンク作品に関与した名うてミュージシャンが多数参加しています。

こうしたバッキングを得て、70年代ニュー・ソウル・サウンドを21世紀仕様にしたような素晴らしいソウル・グルーヴを堪能できます。

社会メッセージ色の強い1枚ですが、メッセージばかりが先行するのではなく、Donnieの紡ぎだすメロディ、ゴスペル仕込みのDonnieのヴォーカル、素晴らしいソウル・グルーヴも含めた総合力が秀逸の1枚です。

PhonteThe Foreign Exchange)がゲスト参加しています。

社会を直視するDonnieの強い意志が感じれらる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Impatient People」
我慢できない一般市民のリアルな叫びを歌に託したオープニング。サウンド的にも21世紀版ニュー・ソウルといった趣がありますね。

「911」
タイトルの通り、9.11をテーマにした曲。ただし、対立を煽ったり、正義を振りかざすものではなく、人々の結束や社会の差別撤廃を訴える"愛"に満ちたメッセージ・ソングになっているのがDonnieらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=v98Rn0750lc

「Over-The-Counter Culture」
Phonteをフィーチャー。ファンキー・サウンドにのって薬害とドラッグ問題を辛辣な切り口で歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=EJGJDi4tB48

「Classifieds」
クラヴィネットの音色が印象的なファンキー・グルーヴにのって、雇用・失業問題を訴えかけます。
https://www.youtube.com/watch?v=7IS4bcONnNM

「Suicide」
ポジティヴなヴァイヴのソウル・グルーヴと共に自殺を踏みとどまるように訴えるメッセージ・ソング。Louis Van Taylorのフルートがいいアクセントになっています。

「If I Were You」
Stevie Wonder調のハーモニカ&ヴォーカルがいい感じのビューティフル・ソウル。未来への希望を訴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=a2bFsa-KFIc

「Robot」
80年代風のロボット・サウンドのエッセンスを取り入れて、愛と自由を歌います。

「Atlanta Child Murders」
1979年から81年にかけて起きたアトランタの黒人児童の連続誘拐殺人事件や、1932年から1972年にアラバマ、タスキーギで行われた黒人性病患者の生体実験をテーマに、社会に警鐘を鳴らします。

「For Christ Sake」
ファンキーなクラヴィネット・サウンドをバックに人々の救済を訴えます。Stevie Wonderの三部作を21世紀に甦らせたような趣があります。

「Mason Dixie Line」
ソウルフルなヴォーカルで南部の人種差別問題に言及するアーシーなソウル・チューン。♪鎖を砕いて、北へ向かえ!

「China Doll」
マイノリティの幼児虐待がテーマです。正直、ステレオ・タイプなオリエンタル・エッセンスは感心しませんが・・・

「The Daily News」
ストリートの真実を語るというDonnie自身の強い意志を示したタイトル曲で締め括ってくれます。

さらにCDボーナス・トラックとして、「If I Were You (Radio Version)」「Do You Know? (Scotsman Remix)」(国内盤ボートラ)の2曲が追加収録されています。

『The Colored Section』(2002年)
Colored Section
posted by ez at 01:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする