2016年11月24日

Shello『The Home Girl』

L.A.の女性ラッパー/シンガーによるウェッサイな魅力の詰まった1枚☆Shello『The Home Girl』
Homegirl
発表年:1994年
ez的ジャンル:ウェッサイ系女性ラッパー/シンガー
気分は... :雪トラブルにご注意を…

今回はウェッサイ系女性ラッパー/シンガーShello唯一のアルバム『The Home Girl』(1994年)です。

ShelloはL.A.サウスセントラル出身の女性ラッパー/シンガー。

そんな彼女の唯一のアルバム『The Home Girl』(1994年)は、ウェッサイ/Gファンク好きにはグッとくる1枚に仕上がっています。ラッパーShelloとR&BシンガーShelloが1枚の中で楽しめるのがいいですね。

プロデュースはKeith LewisDJ QuikRobert "Fonksta" BaconDarryl ReedTorcha ChambaDJ Madball "Tony Dee"

シングルにもなった人気のパーティー・ファンク「West Coast Boogie」、同じくシングルになったG-Funk「Another Love Gone Bad」あたりがハイライトだと思いますが、個人的にはDJ Quikプロデュースの「Sweet Love And Ecstasy」「Good Thang」がイチオシです。あとはネタ感が楽しい「Say You Love Me」あたりもいいですね。

90年代R&B作品に多いパターンですが、アルバム1枚で消えてしまったのが実に勿体ないと思える充実の1枚です。

これだから90年代R&Bは止められない・・・

全曲紹介しときやす。

「West Coast Boogie」
Keith Lewis/Darryl Reedプロデュース。オープニングはシングルにもなった人気のパーティー・ファンク。Parliament「Aqua Boogie (A Psychoalphadiscobetabioaquadoloop)」をサンプリングしたキャッチーなトラックはGファンク好きにはたまらないはず!
https://www.youtube.com/watch?v=-KrqDqNioOQ

「Hello」
Darryl Reed/Torcha Chambaプロデュース。Gファンクらしい高音シンセの音色が印象的なトラックをバックに、ラガ調ラップでまくし立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=w9-QlM-rVBQ

「Sweet Love And Ecstasy」
DJ Quikプロデュース。僕の一番のお気に入り。DJ Quikのセンスの良さとShelloの妖艶なヴォーカルに惚れ惚れする1曲。聴いているだけで体を揺らしてしまうファンク・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=2Yhvo9QhNXQ

「Good Thang」
DJ Quikプロデュース。The Blackbyrds「Mysterious Vibes」をサンプリングしたアーバン・メロウなミディアム・グルーヴ。90年代女性R&B好きの人は満足度が高い1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=eqkMEwx77zw

「I Just Want You Here」
Robert "Fonksta" Bacon/Darryl Reedプロデュース。Robert "Fonksta" BaconはDJ Quikとの仕事で知られるギタリストですね。哀愁モードのミディアム・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1Yb9AyOXW98

「Street Niggaz」
DJ Quikプロデュース。Shelloのラッパーとしての側面を楽しめる1曲。The Brothers Johnson「Ain't We Funkin' Now」 をサンプリングし、DJ Quikが自身の「Tha Last Word」ネタも織り交ぜています。
https://www.youtube.com/watch?v=pnOSbAyFRis

「Funky Shit」
Keith Lewisプロデュース。Skubie Tha Ciko Sonをフィーチャーしたギャングスタ感のあるウェッサイなHip-Hopチューン。不穏な空気が漂います。P-Funkなエッセンスも楽しいです。

「Another Love Gone Bad」
Keith Lewisプロデュース。この曲もシングルにもなりました。Keith Lewisによるブリブリのシンセの響きが格好良いGファンク・チューン。Gファンク好きには間違いない仕上がりでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=f5Qf8THcJNQ

「All Night Long」
Keith Lewisプロデュース。Zapp「More Bounce to the Ounce」 、Sly & The Family Stone「Sing a Simple Song」をサンプリング。硬質なビートと美しいキーボードの音色が織り成す哀愁グルーヴが印象的なこの時代らしいヒップ・ホップ・ソウルに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Rhagy9Gti9g

「Say You Love Me」
DJ Madball "Tony Dee"プロデュース。Run-D.M.C.「Here We Go」、Crusaders「Marcella's Dream」、John Coltrane「India」をサンプリングした巧みなトラックにグッとくるクールなR&Bグルーヴです。

「West Coast Boogie (Reprise)」
Keith Lewis/Darryl Reedプロデュース。「West Coast Boogie」のリプライズ。

今日は雪で振り回される1日になりそうですね。
こういう時は余計な外出をしないことが一番!
籠って溜まった仕事に集中しようっと・・・
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2016年11月23日

Break Reform『Fractures』

UK産のジャジーなダウンテンポ/アブストラクト作品☆Break Reform『Fractures』
Fractures
発表年:2002年
ez的ジャンル:UKジャジー・ダウンテンポ/アブストラクト
気分は... :アンニュイ…

今回はUK産のジャジーなダウンテンポ/アブストラクト作品、Break Reform『Fractures』(2002年)です。

Break ReformSimon SJ.J. Websterという2人のDJと女性ヴォーカリストNanar Vorperianによるユニット。

Simon SことSimon SkolfieldJazz Chronicles名義での作品もリリースしていますね。

グループは、これまで『Fractures』(2002年)、『Reformation』(2005年)という2枚のアルバムをリリースしています。

1stアルバムとなる本作『Fractures』(2002年)には、Gilles Petersonのコンピに収録され、グループが注目されるきっかけとなった「Perfect Season」Jazzanovaメンバーのお気に入り曲「When It Came」などが収録されています。

ダウンテンポ作品ですが、悲壮なダウナー感はなく、ジャズ・フィーリングのクールな哀愁サウンドが印書的です。その意味ではアブストラクトなアングラ・ジャジーHip-Hop好きの人にもフィットすると思います。また、Nanar Vorperianのコケティッシュなヴォーカルもアルバムを魅力的なものにしています。

Hip-Hop/ジャズ経由のクールでアンニュイな音世界は今聴いてもハマります。

全曲紹介しときやす。

「Metropolis Intro」
アルバムのイントロ。いきなりNanarのレイジー・ヴォーカルの魅力が全開のジャジー・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=7fGKzSHkato

「When It Came」
オススメその1。乾いたリズム、ジャジー&エレクトロニカなキーボード、Nanarのレイジーなヴォーカルが織り成すクールな音世界に惹きこまれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aNkSrafzMXc

「Perfect Season」
オススメその2。前述のようにGilles Petersonのコンピに収録されや人気曲。Nanarのコケティッシュな魅力が栄えるジャジー・チューン。ジャズ・ヴォーカル好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=gm6lRtz_ntg

「Lady Sings」
オススメその3。ドープ&レイジーな雰囲気にグッとくるトリップ・ホップ調のダウンテンポ。Nanarのレイジーなヴォーカルが妖しく響き渡ります。
https://www.youtube.com/watch?v=RLeJe5B4Chk

「Fractures」
タイトル曲はラウンジ調ダウンテンポといった趣です。ピアノ、ヴァイヴ、フルートのジャジーな響きとダウンテンポな雰囲気の組み合わせがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=oT3RiWptfF8

「Abstract Blue」
乾いたビートとジャジーな上モノによるアブストラクトHip-Hopなインスト・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=VrRGhDzpEtg

「Cost Of Livin'」
オススメその4。前半は低音ベース・ラインが格好良い僕好みの軽やかなジャジー・チューン。後半は表情をガラっと変えたダウンテンポへ・・・このコントラストがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0ZepYxBZJak

「Into Rooms Interlude」
ジャジーなインタールード。

「All In Good Time」
オススメその5。アンビエント感のある哀愁サウンドと憂いを帯びたNanarのヴォーカルがマッチしたダウンテンポ。このユニットのセンスの良さが反映された1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=la-WKSvbTPg

「Mercy」
アングラ・ジャジーHip-Hop好きの人が気に入りそうなトラックにのって、Nanarが哀愁モードのヴォーカルで切なく歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=ewKbzQgEw7c

「Surreal Moments」
ジャジーなピアノをループさせたHip-Hopトラックにのって、Nanarがレイジーにスキャットします。
https://www.youtube.com/watch?v=ASLHZsr3mMI

「Don't Break This」
オススメその6。雨音のSEと共に始まる哀愁チューン。Hip-Hop経由のジャズ・フィーリングにグッとくるトラックと、アンニュイなNanarのヴォーカルがたまりません。
https://www.youtube.com/watch?v=XnOlpIyh0Rg

「Medusa Pts 1 & 2」
オススメその7。バスクラリネットの響きが印象的な哀愁ジャジー・チューン。ミステリアスで不気味なジャジー・トラックに惹きこまれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7LF9DILSlA0

「Metropolis Outro」
アルバムのアウトロ。イントロのジャジー・ワールドが再現されます。
https://www.youtube.com/watch?v=zzRLo7XIuPQ

国内盤には「What Do You Do」がボーナス・トラックとして追加収録されています。

『Reformation』(2005年)
リフォーメーション

『New Perspectives』(2004年) ※リミックス集
New Perspectives
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2016年11月21日

James Knight & The Butlers『Black Knight』

レア・グルーヴで再評価が高まったマイアミ産ファンク☆James Knight & The Butlers『Black Knight』
ブラック・ナイト+2
発表年:1971年
ez的ジャンル:マイアミ産ファンク/ソウル
気分は... :ドルフィンズ5連勝なるか…

今回はレア・グルーヴで再評価が高まった1枚、James Knight & The Butlers『Black Knight』(1971年)です。

James Knight & The Butlersは、マイアミ生まれのシンガー/ギタリストJames Knightが結成したグループ。

メンバーはJames Knight(vo、g)、Napoleon "Cool" Williams(b)、Roscoe Rice(ds)、Ernest "Snuff" Stewart(p、org)、Robert "Flea" Johnson(tb)、Foster Newberry(tp)、Dwight "Hound" Jones(sax)。

グループは1969〜1970年頃に「There Goes My Baby」で初レコーディングを経験し、その後TK Records傘下のレーベルCatと契約し、「Baby Please Pretty Please/Space Guitar」(1971年)、「Save Me」(1971年)、「Funky Cat」(1976年)という3枚のシングルと、アルバム『Black Knight』(1971年)を残しています。

その後、James Knightはマイアミ・ソウルの女王Betty Wrightの代表作『I Love The Way You Love』(1972年)のレコーディングにもギタリストとして参加しています。

グループ唯一のアルバム『Black Knight』(1971年)は、ジャケに写るJames Knightの姿からして(全くマイアミ感がなく)キワモノ感が漂い、アルバム・タイトルも含めて黒魔術的なものもイメージしてしまいますが、中身は荒々しいファンク・サウンドを楽しめる1枚に仕上がっています。

プロデュースはArnold AlburySteve AlaimoWillie Clarke

今日の僕の気分として久々にロックな音が聴きたくなったのですが、「Funky Cat」「Fantasy World」「Save Me」「Uncle Joe」といった曲のサウンドはそんな気分を満たしてくれるファンク・ロック的な仕上がりになっています。

B級感は否めないですが、B級アルバムならではの魅力を持った1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Funky Cat」
バンド紹介と共に始まるファンク・グルーヴ。グルーヴィーなオルガンと乾いたドラム、ファンキー・ホーン、そしてKnightのギターが絡む荒っぽい格好良さが魅力です。James Knight/Willie Clarke作。
https://www.youtube.com/watch?v=jk2aq3BHrJQ

「Uncle Joe」
James KnightとMilton Wright作。スリリングなドラミングと共にスタートする荒々しいファンク・ロック。オルガンとKnightのギターが織り成すマッドな空気感がいいですね。

「Flyin' High」
ブルージーな雰囲気でスタートしますが、気づけばゴリゴリのファンク・チューンに・・・。James Knight/Willie Clarke作。

「Cotton Candy」
James Knight作。緩急をつけた哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=VPmQQByzpwc

「Fantasy World」
「Funky Cat」と並ぶ本作のハイライト。Knightの格好良いギターと共に始まる推進力のあるサイケデリック・ファンク。この演奏を聴けば、レア・グルーヴで人気になったのも頷けます。James Knight/Willie Clarke作。
https://www.youtube.com/watch?v=sx8MY0Uvs-A

「I Love You」
James Knight/Willie Clarke作。ソウルでロックな哀愁チューン。哀愁メロディと骨太サウンドによるカオス的グルーヴが押し寄せてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=RxfJzTxhXzE

「Save Me」
Aretha Franklin/Carolyn Franklin/King Curtis作。Aretha Franklinのカヴァー。オリジナルは『I Never Loved a Man the Way I Love You』(1967年)に収録されています。
Nina Simoneのヴァージョンもお馴染みですね。ArethaやNina Simoneヴァージョンの印象とは大きく異なる、パワフルなファンク・ロックの「Save Me」で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Bf6p81DoBjA

「Just My Love For You」
James Knight/Willie Clarke作。ラストはメロウ・ソウルで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=KPYqCFJc0oA

CDにはシングルにもなった「Baby Please Pretty Please」「Space Guitar」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

「Baby Please Pretty Please」
アルバムにはなかったようなソウル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gm5cIHy1WsQ

「Space Guitar」
サイケなインスト・ブラック・ロック。

マイアミといえば、NFLで我がドルフィンズが4連勝中で5勝4敗。今日のラムズ戦で連勝を伸ばせば、ポストシーズンに望みがつながります。何としても勝って欲しい!!!
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2016年11月20日

Common『Black America Again』

分断が懸念されるアメリカ社会に切り込んだ1枚☆Common『Black America Again』
Black America Again
発表年:2016年
ez的ジャンル:社会派シカゴHip-Hop
気分は... :アメリカはどうなる!

シカゴ出身の人気ラッパーCommonの最新作『Black America Again』です。

これまで当ブログで紹介してきたCommon作品は以下の7枚(発売順)。

 『Resurrection』(1994年)
 『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
 『Like Water For Chocolate』(2000年)
 『Be』(2005年)
 『Finding Forever』(2007年)
 『Universal Mind Control』(2008年)
 『The Dreamer, The Believer』(2011年)

これまでCommonの最新作がリリースされれば、即座に当ブログで取り上げてきましたが、前作『Nobody's Smiling』(2014年)はスルーしてしまいました。Commonが変わってしまったのか、僕の耳がオッサン化したのかはわかりませんが、聴いても今一つピンと来なかったというのが正直な感想です。

最近の僕はアーティストにあまり固執せず、"旬が過ぎたな"とか"商業路線に走ったな"と思うと、一気に気持ちが離れることも多く、Commonについても『Nobody's Smiling』を聴いた時点で、"もう彼の新作を待ち遠しく聴くことはないのかなぁ"なんて勝手に思っていました。

しかし、そんな僕の杞憂を吹き飛ばすような素晴らしい新作を届けてくれました。

アルバム・ジャケやアルバム・タイトルに反映されているように、アメリカ社会の抱える人種差別問題に鋭く切り込んだ1枚です。血の日曜日事件(1965年)で有名なセルマからモンゴメリーへの行進を描いた映画『グローリー/明日への行進(Selma)』(2014年)のテーマ曲「Glory」John Legendとの共演)あたりにも伏線はありましたが、ここまで重厚な作品をリリースするとは・・・

アメリカ大統領選挙の直前に、アメリカ社会の分断に警鐘を鳴らすアルバムをリリースするあたりにCommonの本作に込めた強い意志を感じます。

その意味でD'Angelo & The Vanguard『Black Messiah』(2014年)、Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』(2015年)といった近年の傑作アルバムたちと同じ流れに位置付けられる1枚だと思います。

CommonNo I.D.がエグゼクティブ・プロデューサーを務め、ジャズ・ドラマー/Hip-Hopプロデューサーとして活躍し、Common作品も手掛けてきたKarriem Rigginsがメイン・プロデューサーに起用されています。加えて、Robert GlasperFrank Dukesがプロデュースしている曲もあります。CommonはGlasperの『Black Radio 2』(2013年)に参加していました。

BilalStevie WonderMarsha AmbrosiusPJParis Jones)、Syd tha Kyd(The Internet)、BJ The Chicago KidElena PinderhughesJohn LegendTasha Cobbsといったアーティストがフィーチャリングされています。

フィーチャリング・アーティスト以外にBurniss Earl Travis II(b)、Theo Croker(tp)、Roy Hargrove(tp)、J-Rocc(DJ、scratch)、James Poyser(org)、Esperanza Spalding(b)等のミュージシャンが参加しています。

Stevie WonderJohn Legendといった大物アーティストとの共演も楽しいですが、個人的にはSyd tha Kyd(The Internet)、BJ The Chicago KidPJといった新進アーティストとの共演や、BilalRoy HargroveJames PoyserといったThe Soulquariansの面々との共演が嬉しかったですね。

また、Karriem RigginsRobert GlasperEsperanza SpaldingBurniss Earl Travis IITheo CrokerElena Pinderhughesといった"今ジャズ"系アーティストの参加でアルバムにジャズのエッセンスを効かせているのも僕好み!

ラッパーCommonの矜持を感じる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Joy and Peace」
Bilalをフィーチャーしたオープニング。自由と愛と平和を武器に立ち上がったCommonの強い意志を感じます。Gentle Giant「No God's a Man」をサンプリング。Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=MFPhp5dzung

「Home」
この曲もBilalをフィーチャー。O.V. Wright「I'm Going Home (To Live With God)」をサンプリングしたダーク・トラックやThe Nation of Islam の黒人リーダーLouis Farrakhanの演説のサンプリングと共に、Commonが黒人の権利を強く訴えます。Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=x-TQc9-3U_Y

「Word From Moe Luv Interlude」
Robert Glasperによる美しいインタールード。
https://www.youtube.com/watch?v=91ajGG0rioU

「Black American Again」
Stevie Wonderをフィーチャーしたタイトル曲。先行シングルにもなり、ルイジアナ州バトンルージュで今年7月5日に起きた白人警官による黒人男性射殺事件の映像と共に始まるPVは実にショッキングです。依然として無くならないアメリカ社会の人種差別に対する怒り、悲しみ、苦しみをCommonが代弁します。本作を象徴する1曲です。キング牧師の有名な演説「I Have a Dream」、James Brown「Introduction to Say It Loud - I'm Black and I'm Proud」、Public Enemy「Bring the Noise」、MC Lyte feat. Audio Two「10% Dis」といった声ネタが織り交ぜられています。Robert Glasperがピアノ、Esperanza Spaldingがベースで参加しています。ドラム・ループはJuice「Catch a Groove」ネタ。Robert Glasper/Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=bURKiygUPow

「Love Star」
FloetryMarsha AmbrosiusとPJをフィーチャー。PJことParis JonesはL.A.を拠点に活動する期待の女性R&Bシンガーです。Mtume「You, Me And He」ネタのトラックにのった女性ヴォーカル陣がドリーミーな歌声が印象的なアルバムに安らぎを与える1曲に仕上がっています。途中、チラっとThe Moments「Sexy Mama」のパーカッション・ネタも登場します。Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=4Ruqow2jjQg

「On a Whim Interlude」
エレピによるインタールード。Robert Glasperと思いきやKarriem Rigginsでした。

「Red Wine」
The Internetの主要メンバーSyd tha Kydと女性ジャズ・ヴォーカリスト/フルート奏者Elena Pinderhughesをフィーチャー。OFWGKTAのメンバーでもあったSyd tha Kydの才能は当ブログでも何度も紹介済みです。Elena Pinderhughesは当ブログでも紹介したChristian Scott『Stretch Music』(2015年)でのフルートの音色が印象に残っています。Edgar Vercy「Cormoran Blesse」のシンセ・ネタやストリングスをバックに、浮遊する儚い女性ヴォーカルがメインです。Commonは脇役に回って淡々としたフロウを聴かせます。
Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=E2N7l0Z5khM

「Pyramids」
ヴォーカルはBilal。JTNC好きの人はGlasperの鍵盤とRigginsのドラムによるトラックを楽しめるのでは?Hip-HopファンはBoogie Down Productions「South Bronx」、A Tribe Called Quest「Award Tour」Public Enemy「Don't Believe the Hype」、Ol' Dirty Bastard「Brooklyn Zoo」といった名曲の一節を引用しているので、分かるとニンマリかもしれませんね。Robert Glasper/Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=Fs4EQ6-2jmE

「A Moment In the Sun Interlude」
Glasperのピアノ、Elena Pinderhughesのフルート/コーラス、Karriem Rigginsのドラム/ベースによる美しいインタールード。もっと長尺で聴きたいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=7YKRl7BMYkw

「Unfamiliar」
PJをフィーチャー。John Cameron「Half Forgotten Daydreams」のドリーミーなトラックにのって、PJが透明感のあるキュートなヴォーカルを聴かせてくれます。Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=cl21BcmLUaY

「A Bigger Picture Called Free」
Syd tha KydBilalをフィーチャー。アトモスフィアなアンダーグラウンド感があるトラックとSyd & Bilalの哀愁ヴォーカルがマッチしています。注目の新時代ジャズトランペッターTheo Crokerのトランペットがいいアクセントになっています。Karriem Riggins/Frank Dukesプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=9miZhXiLYBY

「The Day Women Took Over」
今年メジャー初アルバム『In My Mind』で注目を集めた男性R&BシンガーBJ The Chicago Kidをフィーチャー。The Soulquariansの盟友Roy Hargrove(tp)も参加しています。Commonの力強いフロウに、BJ The Chicago Kidの妖しげなセクシー・ヴォーカルが加わったソウルフル感がいいですね。Karriem Rigginsプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=A6CCOeFNAWg

「Rain」
John Legendをフィーチャー。John LegendとCommonの共演といえば、先には挙げた「Glory」以外に、反戦メッセージのPVが印象的であったJohn Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)収録の「Wake Up Everybody」『Be』収録の「Faithful」Bilalも共演)を思い出します。Glasperの美しいピアノにのって、John Legendが高らかに歌い上げ、Commonが祈るようにフロウする感動的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=5Zxb0mwSz3E

「Little Chicago Boy」
女性ゴスペル・シンガーTasha Cobbsをフィーチャー。The Soulquariansの盟友James Poyser(org)も参加したゴスペル調の仕上がり。Karriem Riggins/Frank Dukesプロデュース。

「Letter To the Free」
ラストはBilalをフィーチャー。憲法修正第13条を通して、差別問題に切り込んだドキュメンタリー映画『13th』でも使われた曲。Glasper(p)、Burniss Earl Travis II(b)、Elena(fl)、Riggins(ds)による生演奏と黒人霊歌調のコーラス隊をバックに、BilalとCommonが自由を訴えてアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=TRlTnJr_7ec

Common作品の過去記事もご参照下さい。

『Resurrection』(1994年)
レザレクション(紙ジャケット仕様)

『One Day It'll All Make Sense』(1997年)
ワン・デイ・イトゥル・オール・メイク・センス

『Like Water For Chocolate』(2000年)
Like Water For Chocolate

『Be』(2005年)
Be

『Finding Forever』(2007年)
ファインディング・フォーエヴァー

『Universal Mind Control』(2008年)
Universal Mind Control

『The Dreamer, The Believer』(2011年)
Dreamer the Believer
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2016年11月19日

Lee Morgan『The Gigolo』

Wayne Shorterとの共演を楽しめる1枚☆Lee Morgan『The Gigolo』
ザ・ジゴロ+1
録音年:1965年
ez的ジャンル:天才ジャズ・トランペッター
気分は... :ヒモ男?

今回は天才ジャズ・トランペッターLee Morgan(1938-1972年)の『The Gigolo』(1965年)です。

当ブログでこれまで紹介してきたLee Morgan作品は以下の7枚(録音順)。

 『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
 『Candy』(1958年)
 『The Sidewinder』(1963年)
 『The Rumproller』(1965年)
 『Cornbread』(1965年)
 『Charisma』(1966年)
 『Lee Morgan(The Last Sessions)』(1971年)

『The Gigolo』は1965年にレコーディングされ、1968年にリリースされました。本作と同じ1965年には『The Rumproller』『Cornbread』もレコーディングしており、大ヒット作『The Sidewinder』(1963年)で勢いに乗ったMorganの充実ぶりが窺える1枚です。

レコーディング・メンバーは、Lee Morgan(tp)、Wayne Shorter(ts)、Harold Mabern(p)、Bob Cranshaw(b)、Billy Higgins(ds)の5名。

Wayne ShorterとMorganの2管が楽しみな1枚。MorganワールドにShorterが飛び込み、どういったケミストリーが起こるのか・・・

そんな2人の共演をMabernのピアノ、『The Sidewinder』と同じCranshawとHigginsのリズム隊が支えます。Mabernも随所で気の利いたプレイを聴かせてくれます。

ジャズ・ファンの方は「Speedball」「The Gigolo」のような演奏が好みなのかもしれませんが、個人的には分かりやすい「Yes I Can, No You Can't」、Shorter、Morganの共演を楽しめるテンポの良い「Trapped」、叙情的バラード「You Go to My Head」が好きです。

「You Go to My Head」以外はLee Morganのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Yes I Can, No You Can't」
当時のMorganのイメージである、8ビートのジャズ・ロックでアルバムは幕を開けます。ジャズ・マニアの方にはお決まりのパターンで単調に思えるかもしれませんが、永遠のジャズ初心者の僕には、この分かりやすい格好良さがたまりません。Shorterのソロに続く、Morganのソロの弾け具合がいい感じです。Mabernのピアノ・ソロも気が利いていてグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=zg9uf84hzfg

「Trapped」
Shorter、Morganの2管によるグッとくるアンサンブルと共に始まります。テンポの良いリズムと共にWayne ShorterとMorganのプレイを楽しめます。終盤のShorterとMorganの掛け合いも格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=PgrdHEcoBF8

「Speedball」
ミディアム・テンポの軽やかな演奏が印象的です。さり気ない雰囲気ですが、ShorterとMorganの共演をしっかり楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=GyoRLXBYi00

「The Gigolo」
タイトル曲は壮大なスケール感のある演奏です。哀愁を漂わせるMorganのソロが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=fHtIEMfBhss

「You Go to My Head」
J. Fred Coots/Haven Gillespie作。ラストは美しい叙情的バラードで締め括ってくれます。それまでの演奏とは対照的な穏やかさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=dMsBCDVXHGc

CDにはボーナス・トラックとして「The Gigolo (Alternate Take)」が追加収録されています。

Lee Morgan作品の過去記事もご参照下さい。

『Lee Morgan Vol.3』(1957年)
リー・モーガン Vol.3

『Candy』(1958年)
Candy

『The Sidewinder』(1963年)
Sidewinder

『The Rumproller』(1965年)
ザ・ランプローラー+1

『Cornbread』(1965年)
Cornbread

『Charisma』(1966年)
Charisma

『Lee Morgan(The Last Sessions)』(1971年)
The Last Session
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