2016年11月18日

Five Special『Five Special』

ダンス・クラシック「Why Leave Us Alone」収録☆Five Special『Five Special』
five special five special.jpg
発表年:1979年
ez的ジャンル:デトロイト産ソウル・ヴォーカル・グループ
気分は... :気を抜いたら…

70年代ソウル/ディスコ作品からFive Specialの1stアルバム『Five Special』(1979年)です。

Five Specialはデトロイトで結成されたソウル・ヴォーカル・グループ。

メンバーはBryan BanksGreg FinleyMike PetilloSteve BoydSteve Harrisの5名。リード・シンガーBryan Banksは、The DramaticsRon Banksの弟です。

1976年にデビュー・シングル「The More I Get To Know You」をリリース。1977年には5 Special名義でシングル「(Let's Stop Making) Small Talk」。をリリースします。

その後Elektraと契約し、Bryanの兄Ron Banksのプロデュースにより、『Five Special』(1979年)、『Special Edition』(1980年)、『Trak'n』(1981年)という3枚のアルバムをリリースしています。

1stアルバムとなる本作『Five Special』(1979年)からは、ディスコ・チューン「Why Leave Us Alone」が全米R&Bチャート第9位のヒットとなっています。プロデュースは前述のようにRon Banks

At-Home ProductionsWayne Henderson(元Crusaders)がエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ね、ホーン・アレンジも手掛けています。

やはり、ハイライトはダンス・クラシック「Why Leave Us Alone」ということになりますね。アルバム全体としては巧みなサウンド・プロダクションが目立つディスコ/ファンク作品という印象を受けます。

「Why Leave Us Alone」以外ならば、爽快メロウな「It's A Wonderful Day」、緩急のついた「Baby」Gang Starrもサンプリングしたメロウ・バラード「You're Something Special」あたりがオススメです。

とりあえずは「Why Leave Us Alone」でテンション上げましょう。

全曲紹介しときやす。

「Why Leave Us Alone」
前述のように、全米R&Bチャート第9位のヒットとなったダンス・クラシック。アルバム・ヴァージョンはRick GianatosによるDisco Mixです。華麗なストリングスとファルセット・ヴォーカルが織り成すガラージ好きにはたまらないダンス・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=oEO4VdNFyIk

Solitaire「You Got the Love(Extended Club Mix) 」でサンプリングされています。
Solitaire「You Got the Love(Extended Club Mix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=gFt9jIrMZDA

「It's A Wonderful Day」
ソウル・ヴォーカル・グループらしい爽快なメロウ・チューン。適度にダンサブルなのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=aFZrRphiqPs

「Do It Baby」
ディスコ・モードのダンサブル・チューン。あまり僕好みな感じではありませんが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=ZoC7KCJKZO4

「It's Such A Groove Part II - Whatcha Got For Music!」
ダンサブルなミディアム・グルーヴ。Wayne Hendersonによるホーン・アレンジも含めて巧みなサウンド・プロダクションが光ります。
https://www.youtube.com/watch?v=jkHrmm4Rcyc

「Baby」
素敵なヴォーカル・ワークが光るメロウなイントロから、本編はダンサブルな展開に・・・華麗なストリングスを伴ったダンス・サウンドとヴォーカル・ワークがマッチしていると思います。

「Rock Dancin'」
ポップ・フィーリングのキャッチーなダンス・チューン。ここでもサウンド・プロダクションの巧さが印象に残ります。
https://www.youtube.com/watch?v=ktL138voA30

「You're Something Special」
ラストはファルセット・ヴォーカルの栄える素敵なメロウ・バラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=gSeY4HG9Z5E

Gang Starr feat. Krumb Snatcha「Make 'Em Pay」、J. Cole「Lights Please (Vizzy Remix)」、Loz Contreras「Something Special」、STRAANGE「..Special..」のサンプリング・ソースとなっています。

Gang Starr feat. Krumb Snatcha「Make 'Em Pay」
 https://www.youtube.com/watch?v=iM3ZVFSxmlc
J. Cole「Lights Please (Vizzy Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=283TIcLGWu4
Loz Contreras「Something Special」
 https://www.youtube.com/watch?v=oDLKkdTjh80

僕の保有する再発CDには「Why Leave Us Alone (Special Disco Mic By Rick Gianatos)」「Why Leave Us Alone (Instrumental)」の2曲が追加収録されています。

ご興味がある方は、2nd『Special Edition』(1980年)、3rd『Trak'n』(1981年)もチェックを!

『Special Edition』(1980年)
Special Edition

『Trak'n』(1981年)
Trak'n
posted by ez at 02:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月17日

Deja『Made To Be Together』

Teddy Rileyプロデュース!男女R&Bデュオの2nd☆Deja『Made To Be Together』
deja made to be together.jpg
発表年:1989年
ez的ジャンル:男女R&Bデュオ
気分は... :デジャヴ…

80年代後半に活動して男女R&BデュオDejaの2ndアルバム『Made To Be Together』(1989年)です。

Dejaは、オハイオ出身のファンク・グループSlaveのスピンオフ・ユニットとしてスタートしたアーバン・ディスコ・ユニットAurraのヴォーカル・メンバーであったCurt JonesStarleana Youngが結成した男女R&Bデュオ。

1stアルバム『Serious』(1987年)をリリース後に、Starleana Youngがソロ・アーティストに転向したため、2ndアルバムとなる『Made To Be Together』(1989年)では女性ヴォーカルとしてMysti Dayが加わっています。

1st『Serious』(1987年)はThe Timeの元メンバーでFlyte Tyme ProductionsのプロデューサーであったMonte Moirがプロデュースしていましたが、2ndとなる本作ではGuyでNJSの立役者となっていたTeddy RileyGene Griffinがプロデュースしています。

Teddy Rileyの彼の良きプロデュース・パートナーであったBernard Bell、Motown所属の男性R&BグループTodayのメンバーであったLee Drakeford、N.Y.の女性R&BトリオAbstrac'のメンバーであったMarsha McClurkin、本作と同じ1989年にTeddy RileyとGene Griffinが関与したソロ・アルバム『Zan』をリリースしているZan等がバック・コーラスで参加しています・

また、ソングライティングはCurt JonesGene GriffinLee Drakefordが担当しています。

Teddy Rileyプロデュースですが、モロにハネハネのNJSではなく、ダンサブル・チューンも含めてアーバンなオトナのR&Bに仕上がっている感じがいいですね。

ハイライトはシングルにもなったタイトル曲「Made To Be Together」。それ以外にも「Time Is Running Out」「Waiting Downtown」「You Don't Appreciate My Love」「Going Crazy」「Sexy Dancer」といったダンサブル・チューンがオススメです。

80年代後半の隠れた逸品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Made To Be Together」
オススメその1。シングルにもタイトル曲はオトナのアーバンR&Bに仕上がっています。ビートを効かせてもアーバンな雰囲気に重きを置いているのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=FFLPdQjBzNU

「Dreamer」
レゲエ調のアーバン・メロウなミディアム・チューン。レゲエなブラコンって雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=zdUdDX1X7j0

「Time Is Running Out」
オススメその2。NJSなダンサブル・チューンですが、控えめなハネハネでオトナのアーバンNJSって雰囲気がグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=EJKkYP67obw

「Waiting Downtown」
オススメその3。Mysti Dayのキュートな女性ヴォーカルを前面に打ち出した重量感のあるダンサブル・チューン。Janet Jackson好きの人あたりも気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=ogGRudCNh2w

「Dance」
妖しげな雰囲気のダンサブル・チューン。悪くないど、何かが足りない感じがします。

「More & More」
クワイエット・ストーム的なアーバン・メロウ。男女R&Bデュオらしいラブ・バラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=9gxNkjK8ogA

「You Don't Appreciate My Love」
オススメその4。重量感のあるダンサブル・チューン。Curt Jonesのヴォーカルの魅力が伝わってくる、なかなかキャッチーな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Zihdtiui3y8

「Going Crazy」
オススメその5。シングルにもなった曲。Teddy RileyプロデュースらしいNJSを楽しみたいならば、この曲がフィットするのでは?アルバム未収録ですが、12"では若かりし頃のレジェンド・ハウスDJ、Timmy Regisfordがリミックスを手掛けています。
https://www.youtube.com/watch?v=Q6rn1t-sfqI

「Patience And Time」
Mysti Dayのヴォーカルが栄えるミディアム・チューン。今聴くと少しサウンドが仰々しいですが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=98l_C9GOSBY

「Sexy Dancer」
オススメその6。タイトルの通り、セクシーなダンサブル・チューンで締め括ってくれます。Curt Jonesのロッキンなギター・ソロも印象的です。

ご興味がある方は1st『Serious』(1987年)やAurraの過去記事もチェックを!

『Serious』(1987年)
deja serious.jpg

Aurra『A Little Love』(1982年)
A LITTLE LOVE +5

Aurra『Live And Let Live』(1983年)
LIVE AND LET LIVE +5

本作と同じTeddy RileyGene Griffinが手掛けたZan『Zan』(1989年)あたりをチェックするのも楽しいのでは?

Zan『Zan』(1989年)
Zan
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2016年11月15日

Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica』

Moreno、Kassin、Domenicoによる+ 2ユニットの第1弾作品☆Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica』
タイプライター・ミュージック
発表年:2002年
ez的ジャンル:ブラジル新世代サウンド
気分は... :+ α…

今回はMoreno VelosoAlexandre KassinDomenico Lancellottiというブラジル新世代ミュージシャン3名によるユニット作品の第1弾Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica(USタイトル:Music Typewriter)』です。

Moreno、Kassin、Domenicoという、新世代ブラジル音楽の才能あるミュージシャン3名が一堂に会した本ユニットは、これまでMoreno + 2名義の『Maquina de Escrever Musica』(2000年)、Domenico + 2名義の『Sincerely Hot』(2002年)、Kassin + 2名義の『Futurismo』(2006年)、+2 Moreno Domenico Kassin名義の『Ima』(2009年)といったアルバムをリリースしています。このうち、当ブログではDomenico + 2『Sincerely Hot』を紹介済みです。

ブラジルを代表するミュージシャンCaetano Velosoの息子であるMoreno Velosoは、1972年生まれ。90年代から音楽活動を始め、父Caetano Velosoの作品に楽曲提供したり、レコーディングに参加するようになります。さらにはArto Lindsayのバンドのサポート・メンバーなども務めています。

その後2000年代に入ると、KassinDomenicoとユニットを組み、+ 2として作品をリリースするようになります。さらに父Caetano VelosoGal Costa等のプロデュースも手掛けています。また、2014年にはソロ・アルバム『Coisa Boa』をリリースしています。

+ 2ユニットの第1弾となる作品がMoreno + 2名義の本作『Maquina de Escrever Musica』です。

プロデュースはMoreno VelosoKassin Kamal。また、アディショナル・プロダクションでAndres Levin、歌詞の翻訳でArto Lindsayの名がクレジットされています。

レコーディングにはMorenoKassinDomenico以外に、父Caetano Veloso(violao)、Antonio Carlos Jobimの息子Daniel Jobim(p)、Pedro Sa(g)、Mauricio Pacheco(g)、Orquestra Imperialのメンバーであり、KassinとはMonoauralというプロダクション・ユニットも組むことになるBerna Ceppas(syn)、Joao Donato(el-p)、80年代に大活躍したブラジルのポストパンク・ユニットLegiao UrbanaのメンバーであったDado Villa-Lobos(programming)、Marcos Suzano(tabla、tambourine)、サンパウロのロック・バンドTitasのメンバーBranco Mello(back vo)、Arto LindsayMarisa Monte作品でお馴染みのMelvin Gibbs(b)、アフロ・ラテン・フュージョン・バンドBarantaにも参加していたPhil Dawson(b)等も参加しています。

エレクトロニカなエッセンスを生演奏に融合させたミクスチャー感覚の新世代ブラジル音楽らしい演奏はもちろんのこと、優しいメロウ・ボッサ、ロマンティックなボレロ、アフロ・バイーアなリズミックな演奏、寂しげでサウダージな演奏、シンプルな弾き語りなど1枚の中に様々なブラジル音楽のエッセンスが詰まった濃密な1枚に仕上がっています。

聴くときの気分で、刺さる曲が異なってくる飽きのこない1枚だと思います。

こういったブラジル音楽をもっと聴きたいですね。

全曲紹介しときやす。

「Sertao」
Moreno Veloso/Caetano Veloso作。親子共作がオープニング。Daniel Jobimがピアノで参加しています。シンプルながらも美しい演奏とMorenoの繊細なヴォーカルによる静寂の音世界が心の奥までジワジワ沁みてきます。

「Deusa Do Amor」
Adailton Poesia/Valter Farias作。Olodumのヒット曲をカヴァー。パーカッシヴなオリジナルに対して、メロウ・ボッサな雰囲気で聴かせてくれます。終盤のDomenicoのトイ・ピアノがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=kg4whLcBJEE

「Enquanto Isso」
Moreno Veloso/Quito Ribeiro作。 + 2らしい生演奏+エレクトロニカなサウダージ・サウンドを楽しめます。後半はPedro Saのギター・ソロで楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7kMsPyh9ZFs

「Eu Sou Melhor Que Voce」
Mauricio Pacheco作。ヴィオランの弾き語りでシンプルに聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ATjmsqDjN2k

「Das Partes」
Pedro Sa/Domenico作。Andres Levinによるサウンド・エフェクトが加わり、新世代ブラジル音楽らしい雰囲気に仕上がっています。

「Arrivederci」
Moreno Veloso作。Mauricio Pacheco(g)、Berna Ceppas(syn)が参加したダンサブルなブラジリアン・ファンク調の仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=EoevJWNMPAE

「Assim」
Moreno Veloso作。新世代ブラジル音楽らしいミクスチャー感覚を楽しめる仕上がり。アヴァンギャルドなのにキャッチーです。終盤にはGilberto Gilの楽曲の引用も登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=Zeb23k00XBk

「Para Xo」
Moreno Veloso作。Joao Donato(el-p)、Marcos Suzano(tabla、tambourine)が参加しているロマンティックなボレロ。DonatoのエレピとMorenoの優しいスパニッシュ・ヴォーカル、そして隠し味のSuzanoのタブラがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=AY-b2G4dmm0

「Esfinge」
Djavan作。Djavanのオリジナルは『Luz』に収録されています。ここでは憂いを帯びたヴィオランの弾き語りで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=j9uyhYFZMB0

「Rio Longe」
Moreno Veloso作。アフロ・バイーア色の強いリズミックで力強い仕上がり。TitasのBranco Melloがバック・コーラスで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=PZzUcRbvPb8

「O Livro & O Beijo」
Moreno Veloso作。Melvin Gibb(b)、Phil Dawso(g)が参加したアフロ・バイーアなダンサブル・チューン。かなり僕好みです。Melvin Gibbが参加し、Andres Levinのサウンド・プロダクションも加わっているのでArto Lindsay好きの人はグッとくるはず。
https://www.youtube.com/watch?v=mlr94_FRfy0

「Nenhuma」
Moreno Veloso作。Moreno、Kassin、Domenicoの3名が寂しげなサウダージ感たっぷりのサウンドを奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=-k3C9CebYqk

「So Vendo Que Beleza」
Rubens Campos/Henricao作。父Caetanoのヴィオランをバックに、Morenoが優しい歌声を聴かせてくれる親子共演に注目です。

「I'm Wishing」
Morey e Churchill作。ディズニー・アニメ『白雪姫』の挿入歌をDaniel Jobimのピアノをバックに、子守歌のように優しく歌い、本編のエンディングを迎えます。
https://www.youtube.com/watch?v=1lgwmbr3dNs

「Montes Claros」
Moreno Veloso作。国内盤ボーナス・トラック。ヴィオランとチェロが織り成す美しいインストです。

ご興味がある方は一昨年にリリースされたMoreno Velosoのソロ・アルバム『Coisa Boa』もチェックを!

『Coisa Boa』(2014年)
コイザ・ボア

Domenico + 2Kassin + 2のアルバムもチェックを!

Domenico + 2『Sincerely Hot』(2002年)
Sincerely Hot

Kassin + 2『Futurismo』(2006年)
Futurismo
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2016年11月14日

Dr. John『In The Right Place』

Allen Toussaintプロデュース、The Meters参加の代表作☆Dr. John『In The Right Place』
イン・ザ・ライト・プレイス
発表年:1973年
ez的ジャンル:ニューオリンズ・ファンク
気分は... :ダミ声がたまらん!

ニューオリンズを代表するミュージシャンDr. Johnの代表作の1つ『In The Right Place』(1973年)です。

Dr. JohnことMac Rebennackは1940年ルイジアナ州ニューオーリンズ生まれのミュージシャン。Dr. Johnというアーティスト名は19世紀のニューオーリンズにいたブードゥー教の司祭の名からとったものです。

ニューオリンズR&Bの巨人Professor Longhairの影響を受けたMac Rebennackは、拠点をL.A.に移すと同時に、Dr. Johnとして、ブードゥー教の影響を受けたサイケデリック・サウンドとニューオリンズR&Bを融合させたユニークな音楽スタイルを志向するようになります。

1968年にデビュー・アルバム『Gris-Gris』をリリース。1972年にはニューオリンズR&Bをカヴァーした名盤『Dr. John's Gumbo』で評価を高めます。同年にはThe Rolling Stones『Exile on Main St.』への参加でも注目を集めました。

1973年にはニューオリンズ・ファンク色を強めた本作『In The Right Place』をリリースし、シングル「Right Place Wrong Time」は全米ヒット・チャート第9位のヒットとなりました。

その後もコンスタントに作品をリリースし、グラミーも6度受賞しています。最近では『Locked Down』(2012年)が2013年のグラミーBest Blues Albumを獲得していましたね。

今回取り上げた『In The Right Place』(1973年)は、Allen Toussaintがプロデュースし、The Metersがバックアップしたニューオリンズ・ファンク作品です。

ニューオリンズR&Bをカヴァーした前作『Dr. John's Gumbo』でニューオリンズR&Bの素晴らしさを伝え、その土台を踏まえて本作『In The Right Place』で最新ニューオリンズ・ファンク・サウンドを示した、といった流れでしょうか。

レコーディングには、Dr. John(vo、p、org、per)、Allen Toussaint(p、el-p、g、conga、tamb、back vo)Leo Nocentelli(g)、Art Neville(org)、George Porter, Jr.(b)、Joseph Modeliste(ds)というThe Metersのメンバー、さらにはRalph MacDonald(per)、David Spinozza(g)、Gary Brown(sax)、The Bonaroo Horn Section(horns)、Robbie Montgomery(back vo)、Jessie Smith(back vo)等が参加しています。

シングル・ヒットした「Right Place Wrong Time」がハイライトですが、それ以外にもDr. Johnのダミ声がよく似合う曲がズラリと並びます。それ以外にも『The Last Waltz』でも演奏された「Such a Night」、ニューオリンズ・ファンクを楽しめる「Shoo Fly Marches On」、ブードゥーな雰囲気を醸し出す「I Been Hoodood」「Same Old Same Old」、ソウル・フィーリングに溢れた「Peace Brother Peace」The Rolling Stones/Mick Jaggerっぽい雰囲気の「Cold Cold Cold」、小粋なピアノのニューオリンズR&B「Qualified」あたりが僕のオススメです。

Dr. JohnAllen ToussaintThe Metersががっぷり組んだ濃厚ニューオリンズ・ファンクを楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Right Place Wrong Time」
Dr. John作。前述のように、全米ヒット・チャート第9位のヒットとなったオープニング。本作の魅力がこの1曲に凝縮されています。Dr. Johnのダミ声と本作らしいThe Metersのファンキー・グルーヴが嚙み合った中毒性の高い1曲に仕上がっています。David Spinozzaがギター・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=G5zPqgQ67yo

Ray J.、Tom Jones、Bonnie Raitt & B.B. King、The Jon Spencer Blues Explosion等がカヴァーしています。また、Bobby Jimmy and the Critters「Rite Place Wrong Time」、7A3「That's How We're Livin'」 、Steady B feat. KRS-One「Serious (Ceereeus BDP Remix)」、The Rapzologist Dee Nice「Dee Hardest Hard」 、Ice Cube「Dead Homiez」、Isis「The Wizard of Optics」、Queen Mother Rage「Key Testimony」、AW1「Raised Like a Pitbull」、 Michie Mee & L.A. Luv「Jamaican Funk−Canadian Style」 、Jewell「Love or Lust」、The Goats「Aaah D Yaaa」 、Luscious Jackson「Let Yourself Get Down」等のサンプリング・ソースとなっています。

Ray J.「Right Place Wrong Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=BhHKQQkQ8oU
The Jon Spencer Blues Explosion「Right Place Wrong Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=Aqlb5esapTs
Bobby Jimmy & the Critters「Rite Place Wrong Time」
 https://www.youtube.com/watch?v=ePYdlm7yoaA
7A3「That's How We're Livin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=3LHb24UZMG0
Steady B feat. KRS-One「Serious (Ceereeus BDP Remix)」
 https://www.youtube.com/watch?v=KyJacx3vMC8
AW1「Raised Like a Pitbull」
 https://www.youtube.com/watch?v=_OopYFq19es
Luscious Jackson「Let Yourself Get Down」
 https://www.youtube.com/watch?v=M481wPvwmVg

「Same Old Same Old」
Dr. John作。Toussaintのピアノとコンガのリズムが印象的な1曲。ブードゥー的な覚醒感も加わった不気味さが僕好み。
https://www.youtube.com/watch?v=1rlHuqGrrD4
 
「Just the Same」
Dr. John作。しっとりとしたバラードをしみじみと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=X1gy-fDlWCQ
 
「Qualified」
Jessie Hill/Dr. John作。「Ooh Poo Pah Do」のヒットで知られるニューオリンズのR&B/ブルース・シンガーJessie Hillとの共作です。ここでのDr. JohnのヴォーカルはMick Jaggerっぽいですね。Jessie HillらしいR&Bフィーリングが反映された1曲に仕上がっているのでは?小粋なピアノも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=Nthlnd-LRsU

「Traveling Mood」 
James Wayne(Wee Willie Wayne)のカヴァー。ノスタルジックな開放感のあるニューオリンズ・サウンドで楽しませてくれる。少し能天気なDr. Johnがサウンドによくフィットしています。
https://www.youtube.com/watch?v=iPaYjf6QFJ8

「Peace Brother Peace」
Dr. John作。ソウル・フィーリングたっぷりのファンキー・チューンはかなり好きです。ホーン隊も大いに盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=IHeKj5hZ_no
 
「Life」
Allen Toussaint作。無骨さと小粋なセンスが融合したToussaintらしいファンキー・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=GG8Vlct_lKo

「Such a Night」
Dr. John作。この曲もシングルになりました。映画『The Last Waltz』でThe Bandと演奏していた楽曲としても知られています。酔いどれダメ男モードのDr. Johnのヴォーカルとノスタルジックなジャズ・フィーリングがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=cb8E20-ZYW4

「Shoo Fly Marches On」
Dr. John作。The Metersらしいニューオリンズ・ファンクを楽しめる1曲。Dr. Johnのダミ声と粘りのあるグルーヴの組み合わせがサイコーです。
https://www.youtube.com/watch?v=ToJH_BOV1N8
 
「I Been Hoodood」
Dr. John作。コンガとベースがブードゥーの怪しげな雰囲気を醸し出す覚醒的なファンキー・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=iSdlq1ar9rM
 
「Cold Cold Cold」
Alvin Robinson/Jessie Hill/Dr. John作。ラストは骨太のファンキー・チューンで締め括ってくれます。ここでのヴォーカルもMick Jaggerっぽいです。The Rolling Stones『Exile on Main St.』あたりと一緒に聴いてもマッチしそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=_sigtpyVPRA

Dr. Johnの他作品をチェックを!

『Gris-Gris』(1968年)
Gris-Gris

『Babylon』(1969年)
Babylon by Dr. John (2001-11-06) 【並行輸入品】

『Remedies』(1970年)
Remedies

『The Sun, Moon & Herbs』(1971年)
Sun, Moon & Herbs

『Dr. John's Gumbo』(1972年)
ガンボ

Mike Bloomfield, John Hammond, Jr. & Dr. John『Triumvirate』(1973年)
三頭政治(紙ジャケット仕様)

『Desitively Bonnaroo』(1974年)
Desitively Bonnaroo

『Hollywood Be Thy Name』(1975年)
Hollywood Be Thy Name

『City Lights』(1978年)
City Lights (Dig)

『Tango Palace』(1979年)
Tango Palace

『Dr. John Plays Mac Rebennack』(1981年)
Dr John Plays Mac Rebennack

Chris Barber & Dr. John『Take Me Back to New Orleans』(1981年)
Take Me Back to New Orleans

『The Brightest Smile in Town』(1983年)
Brightest Smile in Town

『Such a Night! Live in London』(1984年)
Such a Night! Live in London

『In a Sentimental Mood』(1989年)
In a Sentimental Mood

『Funky New Orleans』(1991年)
Funky New Orleans

『Goin' Back to New Orleans』(1992年)
ゴーイン・バック・トゥ・ニューオーリンズ

『Television』(1994年)
Television

『Afterglow』(1995年)
Afterglow

『Anutha Zone』(1998年)
Anutha Zone

『Duke Elegant:Performing The Music Of Duke Ellington』(2000年)
Duke Elegant : Performing The Music Of Duke Ellington

『Creole Moon』(2001年)
Creole Moon

『N'awlinz Dis Dat or d'Udda』(2004年)
N'Awlinz: Dis Dat Or D'Udda

『Mercernary』(2006年)
Mercenary

Dr. John & The Lower 911 『City That Care Forgot』(2008年)
City That Care Forgot

Dr. John & The Lower 911『Tribal』(2010年)
Tribal

『Locked Down』(2012年)
Locked Down

『Ske-Dat-De-Dat: The Spirit of Satch』(2014年)
スプリット・オブ・サッチモ
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2016年11月13日

Eric Benet『Eric Benet』

ソロ・デビュー20周年にセルフ・タイトルを冠した自信作☆Eric Benet『Eric Benet』
エリック・ベネイ
発表年:2016年
ez的ジャンル:男性セクシーR&B
気分は... :今が全盛期!

新作アルバムから良質なR&B作品をリリースし続ける男性シンガーEric Benetの最新作『Eric Benet』です。

これまで当ブログで紹介したEric Benet作品は以下の6枚。

 『True to Myself』(1996年)
 『A Day In The Life』(1999年)
 『Love & Life』(2008年)
 『Lost In Time』(2010年)
 『The One』(2012年)
 『From E to U : Volume1』(2014年)

『The One』(2012年)より約4年ぶりのオリジナル・アルバムとなる最新作『Eric Benet』です。

『The One』(2012年)より自らが設立したレーベルJordan Houseから作品をリリースしているEric Benet

ソロ・デビューから20周年となる今年、セルフ・タイトルのアルバムをリリースあたりに、ソロ・アーティストEric Benetの自信が窺えます。

プロデュースはEric Benet本人と長年のパートナーDemonte Poseyが務めています。2曲のみDavy NathanJonathan Richmondがプロデュースしています。

レコーディングにはDemonte Posey(key、p、syn、programming)、Jairus Mozee(g)、Nick Smith (ds)、Dammo Farmer(b)等が参加しています。

楽曲はすべてEric BenetDemonte Poseyを中心としたオリジナルです。

どの曲をオススメに挙げるか迷うほど全曲充実しています。70年代、80年代、90年代のソウル/R&Bのエッセンスを2016年仕様でうまく取り入れている感じがいいですね。その一方で、現行オルタナティブR&Bに通じるアトモスフィアな雰囲気の楽曲もあり、彼の音楽に対する貪欲さも感じます。

デビューから20周年経っても、EricのセクシーなR&Bワールドは健在です。
この揺るぎないリアル・ソウルをぜひ!

全曲紹介しときやす。

「Can't Tell U Enough」
ファンキー・ホーン隊の高らかなファンファーレと共にスタートするオープニング。Eric Benetらしいソウル・ヴァイヴに満ちた本曲を聴けば、本作の充実ぶりが一発でわかります。リズム・トラックはJoe Tex「Papa Was Too」をサンプリング。

「Sunshine」
先行シングルにもなった曲。ヴィンテージ感のあるソウル・サウンドをバックに、Eric Benetらしいセクシーなファルセット・ヴォーカルで歌い上げる味わい深い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=SSh0l2Rer5g

「Insane」
"愛の伝道師"Eric Benetらしいエロ・モードのセクシー・バラード。甘い囁きで女性を口説き落とします。Jairus Mozeeのギターが雰囲気を盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OVbF9Q8zHFk

「Cold Trigger」
ダンサブルなファンク・チューン。曲調やシンセの音色を聴いていると、何処となくPrince殿下の影響を感じます。殿下へのトリビュートと勝手に推測してしまいます。

「Home」
ホームで待つ愛する人への思いを切々と歌い上げるラブ・バラード。『From E to U : Volume1』でカヴァーしていた80年代ヒット・バラードに通じるキャッチーさがあります。

「Holdin On」
90年代に活躍したフィメールラッパーMC Lyteをフィーチャー。EricとMC LyteにはToto「Georgy Porgy」という共通点があります。Ericは『A Day In The Life』で同曲をカヴァーし、MC Lyteは同曲をサンプリングした「Poor Georgie」(1991年)をリリースしています。本曲もToto風のロック・サウンドが印象的なミディアムR&Bグルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=C6FbVYuSVqI

「Fun & Games」
ストリングスを配した70年代風のソウル・バラード。Ericの歌力を存分に堪能できる1曲に仕上がっています。

「Run To Me」
Irakere等でも活躍したキューバン・ジャズ・トランぺッターArturo Sandovalをフィーチャー。Arturo Sandoval参加から想像できるよううに、ラテン/スパニッシュ調のパーカッシヴなダンサブル感が印象的な1曲に仕上がっています。Arturo Sandovalが流石のトランペット・ソロで盛り上げてくれます。

「Floating Thru Time」
現行オルタナティブR&Bに通じるアトモスフィアな雰囲気のバラード。Ericのセクシー・ファルセットがアトモスフィアなサウンドにうまく溶け込んでいい感じです。

「Broke Beat & Busted」
Jonathan Richmondプロデュース曲。Al Greenらを輩出したHi Recordsの本拠地であった名門Royal Studioでレコーディングです。そう聴くと、ソウル・ヴァイヴがマシマシになります(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=ncD6f8T6IHw

「That Day」
Davy Nathanプロデュース曲。永遠の愛を歌い上げるラブ・バラード。かなりベタな雰囲気もありますが、Ericが歌うと絵になるところにアーティストとしての底力を感じます。

「Never Be The Same (Luna's Lullaby)」
サブ・タイトルにもあるように愛娘Lunaに捧げたバラード。娘に問いかけるような優しい歌声でアルバムを締め括ってくれます。

「Sunshine Remix」
国内盤ボーナス・トラック。Tamiaをフィーチャリングした「Sunshine」のリミックスです。Tamiaとのデュエットといえば、全米R&Bチャート第1位となった「Spend My Life With」『A Day In The Life』収録)を思い出します。Mtume「You, Me And He」をサンプリングしたトラックも含めて、オリジナルとは異なる「Sunshine」を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=6LrPmcSnLs8

Eric Benetの過去記事もご参照下さい。

『True to Myself』(1996年)
True to Myself

『A Day In The Life』(1999年)
Day in the Life

『Love & Life』(2008年)
愛すること、生きること。

『Lost In Time』(2010年)
Lost in Time

『The One』(2012年)
ザ・ワン

『From E to U : Volume1』(2014年)
eric benet from e to u  volume1.jpg
posted by ez at 01:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする