2016年12月25日

Josef Leimberg『Astral Progressions』

L.A.ジャズとHip-Hop/R&Bの融合☆Josef Leimberg『Astral Progressions』
Astral Progressions
発表年:2016年
ez的ジャンル:L.A.ジャズ系ブラック・ミュージック
気分は... :ジャケ最高!

クリスマスですが、日曜なので新作優先で紹介します。
多分、年内は今日を含めて新作紹介は残り2回になると思います。

ということで、新作ジャズ作品からJosef Leimberg『Astral Progressions』です。

Josef Leimbergは20年以上のキャリアを誇るL.A.を拠点とするトランぺッター/プロデューサー。

ジャズ・ミュージシャンであると同時に有能なHip-Hopプロデューサーである彼の名を有名にしたのは、昨年の音楽シーンを席巻した衝撃作Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』(2015年)のプロデュースでしょうね。

同作でJosef Leimbergは、同じくジャズ・ミュージシャン兼Hip-HopプロデューサーであるTerrace Martinとプロデュース・ユニットLoveDragonを組み、「How Much a Dollar Cost」「You Ain't Gotta Lie (Momma Said)」の2曲を手掛けました。

こうした活動に代表されるように、JosefはSnoop DoggErykah BaduRobin ThickeShafiq HusaynSa-Ra (Sa-Ra Creative Partners))、FunkadelicFreestyle FellowshipDr. DreMurs等といったHip-Hop/R&Bアーティストの作品にプロデューサー/ミュージシャンとして数多く参加しています。

当ブログで紹介した作品でいえば、以下の作品に関与しています。
(プロデューサーとして参加)
 213『The Hard Way』(2004年)
 Murs『Murs For President』(2008年)
 Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』(2015年)
(ミュージシャンとして参加)
 Avila Brothers『The Mood: Soundsational』(2005年)
 Erykah Badu『New Amerykah: Part One (4th World War)』(2008年)
 Sa-Ra Creative Partners『Nuclear Evolution: The Age Of Love』(2009年)

同時に、彼はKamasi WashingtonTerrace Martinをはじめとする、今日のL.A.ジャズ・シーンを牽引するミュージシャンとも交流を持つと同時に、Flying LotusThundercatといったL.A.ビートミュージックからの影響も受けます。

そうした中、2012年にJosefの母が逝去したことがきっかけとなり、初のリーダー・アルバムの制作を決意します。そして、遂に完成させたのが本作『Astral Progressions』です。ここに至るまでにはSa-RaShafiq HusaynTaz Arnoldの後押しがあったようです。

アルバムには、Kamasi WashingtonMiguel Atwood-FergusonGeorgia Anne MuldrowTerrace MartinBilalTracy WannomaeKuruptJimetta Roseといったミュージシャンがフィーチャリングされています。

また、レコーディングにドラマーは参加せず、ビートはすべてJosefのプログラミングによるものです。その意味で、ジャズ・ミュージシャンとしての彼と、ビートメイカーとしての彼を融合させたアルバムと呼べるでしょう。

アルバム全体としては、L.A.ジャズとHip-Hop的センスが融合したブラック・ミュージック作品という印象です。Hip-Hop的センスもありますが、Kamasi Washingtonの傑作『Epic』(2015年)に通じる魅力もあります。

ちなみに印象的なジャケのアートワークはGeorgia Anne Muldrowのアルバム・ジャケで知られる日本人クリエイターTokio Aoyama(青山宗央)氏です。僕が本作が最初に気になったのも実はジャケでした。Georgia Anne Muldrow作品で青山氏のアートワークに魅了されていたので、自然と目に留まったのでしょうね。

今年聴いたジャズ・アルバムの中でも、かなり上位に入る1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Spirits Of The Ancestors」
Miguel Atwood-Fergusonのストリングス、Josefのトランペット、さらに厳かなコーラス等が織り成す壮大なスピリチュアル・ジャズでアルバムは幕を開けます。

「Interstellar Universe」
Kamasi Washingtonをフィーチャー。Kamasiの『Epic』に通じる雰囲気を持った現行ブラック・ジャズって雰囲気がいいですね。Kamasiの躍動するブロウに続き、Josefも負けじと快調なプレイを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Glie1tbc_ME

「As I Think Of You」
Georgia Anne Muldrow/Miguel Atwood-Fergusonをフィーチャー。当ブログでもお馴染み、独特の世界観を持つ女性R&BシンガーであるMuldrowが神秘的なヴォーカルを聴かせてくれます。ここでのMuldrowのヴォーカルはNina Simoneを意識しているrしいです。Muldrowが神秘的な雰囲気とMiguel Atwood-Fergusonがアレンジするストリングスの相性もバッチリです。

「The Awakening」
Terrace Martinと女性ジャズ・ミュージシャンTracy Wannomaeをフィーチャー。Josefのビートメイカーの側面を実感できるJ Dilla的なビートにのって、Martinのサックス、Wannomaeのバスクラリネット、Josefのトランペットが駆け巡ります。Robert Glasper Experimentあたりとは異なるアプローチでのジャズとHip-Hopの融合を楽しめます。

「Between Us 2」
Bilalをフィーチャー。Sa-RaのShafiq HusaynとJosefの共作曲です。さらにはKamasi Washington、Miguel Atwood-Fergusonも参加しています。アルバムの中でも最もキャッチーなネオソウルに仕上がっています。

「Celestial Visions」
Miguel Atwood-Fergusonの美しいストリングスをバックに、Josefが伸びやかなトランペットを響かせるビューティフル&ドリーミーな仕上がり。主役のJosef以上にMiguel Atwood-Fergusonの手腕が光る演奏かもしれません。

「Astral Progressions」
Kuruptのラップをフィーチャー。タイトル曲はHip-HopプロデューサーJosef Leimbergの側面を楽しめる1曲です。フツーに格好良いHip-Hopチューンとして楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=UkYVM0iOyYA

「Lonely Fire」
Terrace Martinをフィーチャー。Miles Davisのカヴァーです(オリジナルはアルバム『Big Fun』収録)。まさにエレクトリック・マイルスのような世界観を楽しめる演奏です。少しスピリチュアルなエッセンスが効いているのみグッド!

「Echoes Of One」
Jimetta Rose/Miguel Atwood-Fergusonをフィーチャー。Jimetta Roseのソウルフルな女性ヴォーカルを前面に打ち出した仕上がり。彼女は当ブログで紹介した作品でいえば、Visioneers『Hipology』(2012年)、Dexter Story『Seasons』(2013年)、Quantic Presenta Flowering Inferno『1000 Watts』(2016年)に参加しています。

「Psychedelic Sonia」
ラストは14分超の大作。本作を制作するきっかけとなった亡き母に捧げた1曲です。病床での母親の声が全編に流れる1曲です。ダンサーで画家でもあった彼の母はJosefに"ブルースのアルバムを作りなさい"と説いていたそうです。Josefの母への想いが伝わってくるスピリチュアル・ジャズです。

どうやら、Anderson .PaakDr. Dreと制作しているアルバムに、Josef Leimbergが参加し、楽曲も提供しているらしいです。コチラも楽しみですね!
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2016年12月24日

Crown Heights Affair『Do It Your Way』

N.Y.ディスコ/ファンク作品。「Dancin'」、「Far Out」収録!☆Crown Heights『Do It Your Way』
DO IT YOUR WAY +4 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)
発表年:1976年
ez的ジャンル:N.Y.ディスコ/ファンク
気分は... :イブはディスコ・モードで・・・

クリスマス・イブですね。
連休初日を慌ただしく過ごしたせいで、かなりお疲れモード!

そんな中、今聴きたいのは気分を盛り上げるディスコ!
セレクトしたのは70〜80年代に活躍したディスコ/ファンク・グループCrown Heightsの3rdアルバム『Do It Your Way』(1976年)です。

最近、De-Lite時代の全作品が一気に国内初CD化され、入手しやすくなりました。

Crown HeightsはN.Y.ブルックリンで結成されたディスコ/ファンク・グループ。

1973年にRCAから1stシングル「Super Rod」をリリース。翌年には1stアルバム『Crown Heights Affair』をリリースしています。

その後De-Lite Recordsへ移籍し、2ndアルバム『Dreaming a Dream』(1975年)をリリースし、同作からのシングル「Dreaming a Dream」が全米R&Bチャート第5位、同ダンス・チャート第1位となり、人気ディスコ・バンドとなります。

その後もDe-Liteから『Do It Your Way』(1976年)、『Dream World』(1978年)、『Dance Lady Dance』(1979年)、『Sure Shot』(1980年)、『Think Positive!』(1982年)、『Struck Gold』(1983年)といったアルバムをリリースしています。

今回紹介する『Do It Your Way』(1976年)はDe-Liteからの第2弾アルバムです。「Dreaming a Dream」が大ヒットした前作『Dreaming a Dream』の勢いに乗って制作された作品です。

アルバムからは「Dancin'」が全米R&Bチャート第16位、同ダンス・チャート第6位となっています。

本作におけるメンバーは、Philip Thomas(vo)、William Anderson(g、vo)、Howie Young(key)、Arnold "Muki" Wilson(b、vo)、Raymond Rock(ds、per、vo)、James "Ajax" Baynard(tp、flh、vo)、Bert Reid(ts、vo)、Raymond Reid(tb、vo)の8名。

プロデュースは前作と同じくBritt BrittonFreida Nerangis

僕の場合、今回の国内初CD化された7枚のCDのうち、最初の5枚を某大型CDショップで聴き比べ、一番気に入ったのが本作でした。

まずは「Dancin'」「Far Out」というダンス・クラシック2曲のオーラに惹きつけられます。さらに、「Searching For Love」「French Way」「Music Is The World」「Sexy Ways」といった曲も、かなり魅力的なディスコ/ファンク・チューンだと思います。

楽曲はすべてプロデューサー2人とメンバーのオリジナルです。

クリスマス・イブをディスコ・モードで過ごすのも楽しいのでは?

全曲紹介しときやす。

「Searching For Love」
ブリブリなベースに続き、華やかなホーン隊、煌びやかなシンセが鳴り響き、そこに爽快コーラスが加わる爽快ディスコ・ファンクがオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=1fe4_zq8Zp4

「Love Me」
グループのソウルな側面にも触れることができるダンサブル・チューン。素晴らしいホーン・アンサンブルも楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=4TyQGk5I5Fg

「Dancin'」
前述のように、ダンス・チャート第6位となったガラージ・クラシック。ディスコ/ブギー大盛況の今聴いても、抜群の格好良さを感じるディスコ・チューンですね。
https://www.youtube.com/watch?v=iK0A6kc44R4

「Music Is The World」
イントロのホーン・サウンドの格好良さだけで一発KOされてしまうディスコ・ファンク。「Dancin'」、「Far Out」に次ぐ僕のオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=N2X_jgCzvOc

「Far Out」
「Dancin'」と並ぶダンス・クラシック。今日的には本曲が一番のハイライトかもしれませんね。疾走するブギー・ファンクには格別の格好良さがあります。ダイナミックかつ洗練されたダンス・サウンドはクラシックに相応しい出来栄えだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=p0VRnQz8FS0

Pete Rock & C.L. Smooth「All the Places」のアウトロやSlum Village feat. Kurupt「Forth and Back」等のサンプリング・ソースにもなっています。

「Sexy Ways」
ニューソウル調のパーカッシヴな雰囲気でスタートし、ハイ・スピードで一気に駆け抜けるファンク・グルーヴ。ここでも素晴らしいホーン・アンサンブルが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZRAra1hSh5k

「French Way」
この曲もシングルになりました。アゲアゲなパーティー・ファンクは超ゴキゲン・モードです。P-Funk調のケバケバしいシンセ・サウンドもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=MTxmydFic8U

再発CDにはボーナス・トラックとして、「Dancin Special (Disco Mix - Original 12" Version)」「Dancin (Original Single Version)」「Love Me (Original Single Version)」「Far Out (Original Single Version)」の4曲が追加収録されています。

ご興味がある方はCrown Heightsの他作品もチェックを!

『Dreaming a Dream』(1975年)
DREAMING A DREAM +4 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)

『Dream World』(1978年)
DREAM WORLD +7 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)

『Dance Lady Dance』(1979年)
DANCE LADY DANCE +3 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)

『Sure Shot』(1980年)
SURE SHOT +3 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)

『Think Positive!』(1982年)
THINK POSITIVE! +3 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)

『Struck Gold』(1983年)
STRUCK GOLD +5 (日本独自企画、最新リマスター、解説、ボーナストラック付)
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2016年12月23日

Soul Survivors『Take Another Look』

Duane Allmanのギターも聴けるブルーアイド・ソウル作品☆Soul Survivors『Take Another Look』
テイク・アナザー・ルック
発表年:1969年
ez的ジャンル:Gamble & Huff系ブルーアイド・ソウル
気分は... :気力が・・・

今回はブルーアイド・ソウル・グループSoul Survivorsの2ndアルバム『Take Another Look』(1969年)です。

メキシコ系移民のIngui兄弟を中心に結成されたSoul Survivorsの紹介は、3rdアルバム『Soul Survivors』(1974年)に続き2回目となります。

『Soul Survivors』(1974年)はLarsen-Feiten Bandやその前身グループFull Moonのメンバーが参加していたことでも注目されたフリーソウル人気盤でした。

それに対して、本作『Take Another Look』は、Ingui兄弟のソウルフルなヴォーカルの魅力を堪能できるブルーアイド・ソウル好盤に仕上がっています。

Gamble & Huff(Kenneth Gamble & Leon Huff)のプロデュースでシングル「Expressway to Your Heart」(1967年)を発表し、全米チャート第4位、同R&Bチャート第3位のヒットを放ったSoul Survivorsでしたが、その後はヒットに恵まれず、アルバムも1st『When the Whistle Blows Anything Goes』(1967年)、2ndとなる本作『Take Another Look』(1969年)も商業的成功には至りませんでした。

本作におけるメンバーはCharles Ingui(vo)、Richard Ingui(vo)、Kenneth Jeremiah(vo)、Joseph Forgione(ds)、Paul Venturini(org)、Edward Leonetti(g)、Tony Radicello(b)という7名。

本作は3曲がGamble & HuffプロデュースによるN.Y.録音、残りがRick Hallプロデュースによるマッスル・ショールズ録音です。

後者についてはFame Recording Studiosの名うてのミュージシャン達の参加も噂されています。少なくともギターにはThe Allman Brothers Bandの“スカイドッグ”Duane Allmanが参加していると思われます。

そんなせいで、本来はGamble & Huffプロデュースの3曲に注目が集まりそうですが、個人的にはマッスル・ショールズ録音の曲の方が楽しく聴けました。

ファンキーなオープニング「Funky Way To Treat Somebody」、シングルにもなった「Mama Soul」、Duane Allmanのスライド・ギターがさく裂する「Darkness」、Etta James「Tell Mama」のカヴァー「Tell Daddy」、正統派ソウル・バラード「Keep Your Faith, Brother」、カントリー・シンガーMickey Newburyのカヴァー「Got Down On Saturday」あたりがオススメです。

ブルーアイド・ソウル好きの方はぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Funky Way To Treat Somebody」
Calvin Arnoldのカヴァーがオープニング。オルガンを中心としたファンキー・サウンドをバックに、少し荒々しいソウルフル・ヴォーカルが響きます。格好良い!
https://www.youtube.com/watch?v=5TTk-8VE3Pc

「Baby, Please Don't Stop」
Kenny Gamble/Leon Huff/Mikki Farrow作。Gamble & Huffプロデュース。R&Bフィーリングのリード・ヴォーカルのロック・グループがお好きな方も気に入る曲なのでは?

「Jesse」
Charles Ingui/Richard Ingui作。ブルーアイド・ソウルらしい雰囲気のミディアム・バラード。

「Mama Soul」
Charles Ingui/Richard Ingui作。この曲もシングルになりました。アルバムの中でも完成度の高いキャッチーな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZmSIoN2SrDI

「Darkness」
Charles Ingui/Richard Ingui作。マッスル・ショールズ感を楽しめる哀愁のソウル・チューン。ここでのハイライトはDuane Allmanのスライド・ギターかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=qc9a61pwRzo

「We Got A Job To Do」
Charles Ingui/Richard Ingui作。豪快なホーン・サウンドとグルーヴィーなオルガンが印象的なマッスル・ショールズ。フィーリングのソウル・チューン。

「Keep Your Faith, Brother」
Charles Ingui/Richard Ingui作。正統派ソウル・バラード。ヴォーカル・グループとしての彼らの魅力を楽しめます。

「Tell Daddy」
Etta James「Tell Mama」のカヴァー(Clarence Carter/Marcus Daniel/Wilbur Terrell作)。南部ソウルなファンキー・サウンド全開の1曲。Duane Allmanのギターもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1ISgrsoGf4g

「Got Down On Saturday」
カントリー・シンガーMickey Newburyのカヴァー。アーシーな雰囲気をうまく取り入れたバラード。

「(Why Don't You) Go Out Walking」
Charles Ingui/Richard Ingui作。Gamble & Huffプロデュース。ブルーアイド・ソウルらしいヴォーカル&コーラスを楽しめる1曲に仕上がっています。

「Turn Out My Fire」
Kenny Gamble/Mikki Farrow/Thom Bell作。Gamble & Huffプロデュース。シングルにもなりました。Gamble & Huffらしい手腕の発揮されたキャッチーな1曲に仕上がっています。

ご興味がある方は、ヒット・シングル「Expressway to Your Heart」収録の『When the Whistle Blows Anything Goes』(1967年)、フリーソウル人気盤『Soul Survivors』(1974年)もチェックを!

『When the Whistle Blows Anything Goes』(1967年)
When the Whistle Blows Anything Goes (Reis)

『Soul Survivors』(1974年)
ソウル・サヴァイヴァーズ(紙ジャケット仕様)
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2016年12月22日

Alice Ricciardi『Comes Love』

ミラノ出身の美人ジャズ・シンガーの1stアルバム☆Alice Ricciardi『Comes Love』
Comes Love
発表年:2008年
ez的ジャンル:イタリア美人系ジャズ・シンガー
気分は... :美女の声に癒されたい!

今回はイタリア、ミラノ出身の美人ジャズ・シンガーAlice Ricciardiの1stアルバム『Comes Love』です。

Alice Ricciardiは1975年イタリア、ミラノ生まれの女性ジャズ・シンガー。

ミラノの音楽アカデミーでジャズ・ヴォーカルを学び、国際的なジャズ・フェスティバルで入賞することで注目を浴びるように、N.Y.のジャズ・クラブにも招かれるようになります。そして、名門Blue Noteからリリースされたのが本作『Comes Love』(2008年)です。

本作の後、なかなかアルバムがリリースがありませんでしたが、2015年に久々のアルバム『Optics』をリリースしています。

イタリアとN.Y.を拠点に活動するAliceですが、僕の場合、Nicola Conteをはじめとするイタリアの新世代ヨーロピアン・ジャズ作品を通して、Aliceの歌声に魅了されてきました。

当ブログで紹介した作品でいえば、下記の4枚のアルバムでAlice Ricciardiがフィーチャリングされています。

 Nicola Conte『Rituals』(2008年)
 Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』(2009年)
 Nicola Conte『Love & Revolution』(2011年)
 Gaetano Partipilo『Besides - Songs from the Sixties』(2013年)

そのせいか、Alice Ricciardiと新世代ヨーロピアン・ジャズのイメージが重なりすぎているかもしれません。

それに対して、本作『Comes Love』はスタンダード・ナンバーをオーセンティックに歌い上げる正統派のジャズ・ヴォーカル作品となっています。

レコーディングはN.Y.とイタリアで行われ、Alice Ricciardi(vo)以下、Marco Bovi(g)、Neal Miner(b)、Gaetano Partipilo(as、fl)、Roberto Tarenzi(p)、Paolo Benedettini(b)、Will Terrell (ds)、Pasquale Bardaro(vibes)、Fabrizio Bosso(tp)といったジャズ・ミュージシャンが参加しています。

プロデュースはPatrizio Romano

前述のように、僕の場合、彼女に新世代ヨーロピアン・ジャズのエッセンスを求めていた部分があったので、王道ジャズな本作を最初聴いた時は少し戸惑いました。しかし、よく考えてみれば本作における彼女こそがジャズ・シンガーAlice Ricciardiの本来の姿であり、自分の勝手な思い込みをリセットして聴いたら、かなり楽しめました。

こういった王道ジャズ作品で聴くと、Aliceの声質はいい意味で癖がなく、その分艶めかしい雰囲気はかなりあるので、小粋なバッキングと一体化しているのがいいですね。いわゆる女子ジャズ的なヴォーカル作品とは一線を画すオトナのジャズ・ヴォーカルになっているのが好きです。

今の時期、こういった正統派ジャズ・ヴォーカル作品は結構フィットするのでは?

全曲紹介しときやす。

「Comes Love」
Lew Brown/Sam Stept/Charles Tobias作。ブロードウェイ・ミュージカル『Yokel Boy』(1939年)のために書かれたジャズ・スタンダード。少し気怠いAliceの妖艶なヴォーカルにKOされてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=r7PPv_F9EA4

「Summer Song」
Dave Brubeck/Lola Brubeck作。実に穏やかに歌い上げるロマンティックなバラード。心が安らぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=MJcKjoQC4u4

「Give Me The Simple Life」
Rube Bloom/Harry Ruby作。1946年の映画『Wake Up and Dream』の挿入歌。Roberto Tarenziのピアノ、Neal Minerのベース、Will TerrellのドラムがしっかりAliceのヴォーカルを支える、女性ジャズ・ヴォーカル作品らしい小粋な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=-xXlFfBOung

「I Was Doing Allright (The Golwyn Follies)」
George Gershwin/Ira Gershwin作。映画『The Goldwyn Follies』(1938年)のために書かれたスタンダード。当ブログではDexter Gordonのカヴァーも紹介済みです。スタンダード然としたオーセンティック感が逆にいい雰囲気を醸し出します。Marco Boviのギター・ソロがグッド!

「I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life」
Cy Coleman/Joseph McCarthy作。Nat King Coleなども取り上げたスタンダード。当ブログではBev Kellyのカヴァーも紹介済みです。切々としたバラードは、ジャケでこちらを見つめるAliceの艶めかしい雰囲気と重なり、グッときてしまいます。新世代ヨーロピアン・ジャズ好きにはお馴染み、スペシャル・ゲストの人気トランぺッターFabrizio Bossoが素敵なトランペットでAliceの歌を引き立てます。
https://www.youtube.com/watch?v=CXEoeZGcJU4

「Who Cares (As Long As You Care For Me) (Of Thee I Sing)」
George Gershwin/Ira Gershwin作。ブロードウェイ・ミュージカル『Of Thee I Sing)』(1931年)のために書かれたスタンダード。スウィンギーに疾走する軽快な演奏をバックに、Aliceの歌も弾けます。Pasquale Bardaroのヴァイヴがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=d7sufmDAvCU

「If I Should Lose You」
Ralph Rainger/Leo Robin作。1936年のミュージカル映画『The Rose of the Ranch』のために書かれたスタンダード。当ブログではNicola Conteのカヴァーも紹介済みです。(いい意味で)癖のないキュートさを持つAliceのヴォーカルとRoberto Tarenziを中心としたピアノ・トリオのバッキングがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=X3icGhqm_5w

「The Boy Next Door」
Hugh Martin/Ralph Blane作。1944年のミュージカル映画『Meet Me in St. Louis』のために書かれたスタンダード。少し勿体ぶった艶めかしいボーカルにヤラれてしまいます。Gaetano Partipiloのアルト・サックスで盛り上げてくれます。

「I'll Remember April」
Gene de Paul/Patricia Johnston/Don Raye作。1942年のコメディ映画『Ride 'em Cowboy』のために書かれたスタンダード。コレはかなり好き!Pasquale Bardaroのヴァイヴ、Gaetano Partipiloのフルートが盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FqybPf0oW9A

「Ghost Of Yesterday」
Irene Kitchings/Arthur Herzog Jr.作。(多分)Billie Holidayヴァージョンが最初のレコーディングだと思います。訳アリな切ない思いが伝わってくるようなバラード。

「Here Lies Love」
Ralph Rainger/Leo Robin作。1932年のSam Coslowヴァージョンがオリジナル。Aliceのジャズ・ヴォーカリストとしての表現の豊かさがわかる曲かもしれませんね。

「By Myself」
Arthur Schwartz/Howard Dietz作。1937年のミュージカル映画『Between The Devil』のために書かれたスタンダード。スリリングなバッキングをAliceの歌が牽引します。Fabrizio Bossoが格好良いトランペット・ソロでバシッとキメてくれます。

「Le Tue Mani」
Pino Spotti/Machel Montano作。イタリアン・ポップス界の歌姫Mina、1962年のシングル曲をカヴァー。ラストはイタリア人シンガーらしいセレクトですね。しっとりとしたバラードで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=TjAzeaBCesI

ご興味がある方は『Optics』(2015年)もチェックを!

『Optics』(2015年)
Optics

本作とは路線が全く異なりますが、Alice Ricciardi参加の新世代ヨーロピアン・ジャズ作品の過去記事もご参照ください。

Nicola Conte『Rituals』(2008年)
リチュアルズ

Milano Jazz Dance Combo『Milano Jazz Dance Combo』(2009年)
ミラノ・ジャズ・ダンス・コンボ

Nicola Conte『Love & Revolution』(2011年)
ラヴ&レヴォリューション

Gaetano Partipilo『Besides - Songs from the Sixties』(2013年)
BESIDES ~ Songs from the Sixties [輸入盤]
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2016年12月20日

Gal Costa『Gal Tropical』

この時期の充実ぶりを実感できる1枚☆Gal Costa『Gal Tropical』
Gal Tropical by Gal Costa (2010-09-24)
発表年:1979年
ez的ジャンル:歌姫系MPB
気分は... :ムズキュン臨界点?

MPBの歌姫Gal Costaが1979年にリリースした『Gal Tropical』です。

これまで当ブログで紹介したGal Costa作品は以下の8枚。

 『Gal Costa』(1969年)
 『Gal』(1969年)
 『Cantar』(1974年)
 『Gal Canta Caymmi』(1976年)
 『Aquarela Do Brasil』(1980年)
 『Fantasia』(1981年)
 『Minha Voz』(1982年)
 『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)

本作『Gal Tropical』は、1979年にGalが行ったショー『Gal Tropical』で歌っていた曲をレコーディングしたアルバムです。

プロデュースはGuilherme AraujoRoberto Menescal、アレンジはAntonio Perna Froesが務めています。

レコーディングにはAntonio Perna Froes(key)、Robertinho De Recife(g、violin)、Moacyr Albuquerque(b)、Charles Chalegre(ds)、Sergio Bore(per)、Tangerina(per)、Zizinho(per)、Juarez Araujo(sax)等のミュージシャンが参加しています。

アルバム全体として、都会的なメロウ・サウンドをバックにGalがオトナのヴォーカルを聴かせてくれます。リズミカルな演奏からバラードまで、楽曲のバランスも絶妙です。

この時期のGalの歌手としての充実ぶりを実感できる1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Samba Rasgado」
Portello Juno/Wilson Falcao作。開放的で軽やかなオープニング。Galの華のあるヴォーカルが栄えます。ソプラノサックスの音色も心地好いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-ntEmS07bjM

「Noites Cariocas (Minhas Noites sem Sono)」
Herminio Bello de Carvalho/Jacob do Bandolim作。ショーロ名曲をメロウに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=58vrZhIQI6o

「India」
Jose Asuncion Flores/Manuel Ortiz Guerrero作。パラグアイの国民歌曲グワラニアを代表する1曲。Galはかつてアルバム『India』(1973年)でも本曲を取り上げていましたが、再びカヴァーしています。確かに、この歌はGalのイメージにフィットします。ここではしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=JjKP9D6kfW8

「Estrada do Sol」 ?
Dolores Duran/Antonio Carlos Jobim作。ボサノヴァ名曲を都会的なメロウ・サウンドをバックにGalが透明のある歌声で聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4EgQfwmolCI

「Estrada do Sol」について、当ブログではElis ReginaLe Trio CamaraMongo Santamariaのカヴァーも紹介済みです。

「A Preta do Acaraje」?
Dorival Caymmi作。ミステリアスな前半から一転し、中盤以降は一気に弾けるバイーア讃歌。ラストは再びミステリアスに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=7ErKUGaPZn4

「Dez Anos (Diez Anos)」
Rafael Hernandez作。メロウ・サウンドをバックにGalが哀愁のメロディをしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=HXVgbiVOFoo

「Forca Estranha」
Caetano Veloso作。Galの切々とした歌に、美しいギターが寄り添います。素晴らしいの一言!
https://www.youtube.com/watch?v=jBnedtBKUso

「Olha」?
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。アーバン・サウンドをバックに、Galが雰囲気のあるオトナのヴォーカルを聴かせてくれます。

「Juventude Transviada」
Luiz Melodia作。Galの成熟ぶりを感じるバラード。オトナの優雅さがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ngGjiC-9vc4

「Balance」?
Joao de Barro/Alberto Ribeiro作。軽快に弾けたサウンド、コーラスと共に、Galの歌も躍動します。
https://www.youtube.com/watch?v=HQNIt3ko64A

「O Bater do Tambor」?
Caetano Veloso作。前曲の流れを汲み、この曲もポップに弾けます。
https://www.youtube.com/watch?v=PT_2t4P5smk

「Meu Nome E Gal」?
Roberto Carlos/Erasmo Carlos作。『Gal』(1969年)でも歌っていた楽曲の再演です。ここでは都会的なメロウ・ボッサとして聴かせてくれます。ラストはサンバ・モードで大盛り上がりになるのもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=VLJAgBpB4Rs

Gal Costaの過去記事もご参照下さい。

『Gal Costa』(1969年)
Gal Costa

『Gal』(1969年)
Gal

『Cantar』(1974年)
カンタール

『Gal Canta Caymmi』(1976年)
Gal Canta Caymmi

『Aquarela Do Brasil』(1980年)
Aquarela Do Brazil

『Fantasia』(1981年)
Fantasia

『Minha Voz』(1982年)
Minha Voz

『Lua De Mel Como O Diabo Gosta』(1987年)
Lua De Mel Como O Diabo Gosta
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