発表年:1972年
ez的ジャンル:UK産カントリー・ロック
気分は... :バタバタの週明け前・・・
今回はUS男性シンガー・ソングライターDavid Elliottがロンドンでレコーディングした『David Elliott』(1972年)です。
70年代前半にAtlanticからリリースした『David Elliott』(1972年)、『Solid Ground』(1973年)という2枚のアルバムが共にロンドン・レコーディングであったため、UK出身と間違われることも多いですがUS出身です。
上記2枚のアルバム以外に目立った活動はありませんが、『Solid Ground』収録の「On Fire For You」をカナダのロック・バンドApril Wineが「I'm On Fire For You Baby」としてカヴァーし、1974年にヒットさせました。
さて、本作『David Elliott』ですが、 ElliottのSSWとしての才と名うてのUKロック・ミュージシャンによるブリティッシュ・スワンプ/カントリー・ロック・サウンドが結びついた充実作となっています。
僕の場合、カントリー・ロックは作品によって好き/嫌いがハッキリ分かれてしまうのですが、コレはモロに僕好みの1枚に仕上がっています。
プロデュースはUKのカントリー・ロック・バンドCochiseのメンバーで後にProcol Harumでも活動したギタリストのMick Grabham。
レコーディングにはDavid Elliott(vo、g、b、harmonica)以下、Mick Grabham(g)、BJ Cole(steel g)、Rick Wills(b)、Roy O. Temro(ds)というCochiseのメンバー4名、QuiverのTim Renwick(g)、Elton John BandのNigel Olsson(ds、vo)とDee Murray(b、vo)、HookfootのCaleb Quaye(g、p)、Fairport ConventionのDave Mattacks(ds)、それ以外にAlbert Lee(g)、Francis Monkma(p)、Chris Karan(ds、tabla)というUKロック好きの方にはグッときそうなメンバーが参加しています。
素晴らしいバッキングが光る「Kid's Stuff」、ペダル・スティールの音色が印象的な「Down To My Last Dime」、スワンプ・サウンドを存分に満喫できる「You Better Move」といったカントリー/スワンプ・ロック色の強い曲が本来の魅力かもしれません。
フリーソウル的な音が好みの僕の場合、「If I Were You」、「The Rich Man's Love Story」あたりもフィットします。また、「The Love You Put On Yesterday」、「Dear Mary」といったビューティフル・バラードにも捨て難い魅力があります。
楽曲はすべてDavid Elliottのオリジナルです。
なお、上記はUS盤のジャケですが、オリジナルUK盤のジャケはHipgnosisがデザインを手掛けています。
全曲紹介しときやす。
「Kid's Stuff」
優しいギターの音色と共に始まるカントリー・ロック。Albert Lee、Dave Mattacksらの素晴らしいバッキングに魅了されます。
「If I Were You」
疾走感が格好良い1曲。フリーソウル好きに人あたりでも気に入る1曲かも?
https://www.youtube.com/watch?v=qpNKQs8gf1k
「Lover」
哀愁のギター・サウンドにグッとくるバラード。ロッキンなバラード感がいいですね。
「The Love You Put On Yesterday」
美しいアコースティック・バラード。Elliottの優しい語り口に呼応するバッキングがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=0V4R6Ccb4fs
「You Better Move」
R&B調のスワンプ・チューン。スワンプ・サウンドという点ではコレが一番格好良いかも?Elliott自身のハーモニカもいいアクセントになっています。
「Dear Mary」
ハープシコードの音色が印象的なビューティフル・バラード。Elliottのシンガー・ソングライターらしさに触れることができる1曲なのでは?
「Down To My Last Dime」
BJ Coleのペダル・スティールが活躍するカントリー・ロック。肩の力の抜けた少しユルいカントリー・サウンドがいい感じです。
「The Invisible Man」
歯切れのいいカントリー・ロック。一歩間違えると、僕が苦手なパターンですがバッキングの素晴らしさでそんな杞憂を吹き飛ばしてくれます。
「The Rich Man's Love Story」
タブラも交えた軽快なグルーヴ感が格好良い1曲。フォーキー・グルーヴあたりと一緒に聴いても合いそうです。
「Some」
Robert Kirbyのアレンジによるストリングス&ホーンが栄える哀愁バラード。
「Open The Door」
ラストは感動的なバラードで締め括ってくれます。
ご興味がある方は『Solid Ground』(1973年)もどうぞ!
『Solid Ground』(1973年)