発表年:2002年
ez的ジャンル:復活系黒人フォーキー・ソウル
気分は... :生姜鍋の日・・・
今回はTerry Callier(1945-2012年)の『Speak Your Peace』(2002年)です。
当ブログでこれまで紹介したTerry Callier作品は以下の4枚。
『Occasional Rain』(1972年)
『What Color Is Love』(1973年)
『I Just Can't Help Myself』(1974年)
『Fire on Ice』(1978年)
これまでは70年代のアルバムばかり紹介してきましたが、今回は90年代後半の復活後の作品を取り上げたいと思います。
『Turn You to Love』(1979年)を最後にシーンから姿を消したTerry Callierでしたが、90年代に入ると彼のソウル、ジャズ、フォークを融合したクロスオーヴァーな音楽スタイルに対する再評価がUKを中心に高まり、見事な復活を遂げます。
復活後は『Timepeace』(1998年)、『Lifetime』(1999年)、『Speak Your Peace』(2002年)、『Lookin' Out』(2004年)、『Hidden Conversations』(2009年)といったスタジオ・アルバムやライブ・アルバム数枚をリリースしましたが、2012年に癌で逝去しました。
『Timepeace』(1998年)
『Lifetime』(1999年)
『Lookin' Out』(2004年)
2002年にリリースされた本作は、IncognitoのリーダーJean-Paul Maunick(Bluey)と4HeroのMarc Macがプロデュースしています。
アルバムにはPaul Weller(vo、g、el-p)、Blueyの息子Daniel Maunick(bests、programming)、元Average White BandのHamish Stuart(vo、g)、Tony Momrelle(vo)、Matt Cooper(Outside、Incognito etc)(key)、Pino Palladino(b)、Jim Mullen(g)といった新旧の注目ミュージシャンが参加しています。
それ以外にBrad Somatik(g、b、ds、per)、Luke Parkhouse(ds)、Andy Gangadeen(ds)、Bosco De Oliveira(per、vo)、Nichol Thompson(tb)、Max Beesley(per)、Andy Kremer(b)、Xavier Barnett(vo)、Z-Star(vo)等のミュージシャンも参加しています。
アルバム全体としては、派手さのある作品ではありませんが、BlueyとMarc Macが21世紀らしいクロスオーヴァー・フォーキー・サウンドでTerry Callierを引き立てています。特にBlueyは息子のDanielと組んで、自分たちの音世界にCallierをうまく巻き込んでいる曲があったりして興味深いです。
主役のTerry CallierもBlueyとMarc Macに刺激されて、第2の全盛期と呼びたるなる充実の歌を聴かせてくれます。
まずは70年代の作品を聴くべきアーティストですが、復活後の作品にも捨てがたい魅力があるのがTerry Callierだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Monuments Of Mars」
Marc Macプロデュース。Terry Callierらしい素朴な味わいに、美しいストリングス、Marc Macらしいリズムが加味され、UKクラブミュージック経由の21世紀フォーキーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gkJhRXbQeWw
「Running Around」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。美しいホーン・アンサンブルと共に始まります。本編はBlueyの息子Danielがプログラミングしたリズム・トラックに、父Blueyのギターが絡むメロウ・サウンドをバックに、Callierが年輪と若々しさを兼ね備えた歌声を聴かせてくれます。Tony Momrelleのバック・コーラスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=A0cX9hNAQVI
「Darker Than A Shadow」
Marc Macプロデュース。Callier、Marc Mac、Brad Somatikによる粗削りな演奏と、吐き捨てるようなCallierのヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=-cMLxCFlohk
「Brother To Brother」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。注目のPaul Wellerとの共演です(ソングライティングも共作)。派手さのない哀愁フォーキーですが、大物2人の共演はなかなか聴き応えがあります。Andy Gangadeen、Matt Cooper、Pino Palladinoがバッキングを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=85jcMjOEjBY
「Turn This Mutha」
Marc Macプロデュース。70年代ニューソウルを21世紀仕様にヴァージョン・アップしたようなフォーキー・ソウル。Callierの力強いメッセージが聴く者の心に刺さります。
https://www.youtube.com/watch?v=vDAh9Dfe7JY
「Caravan Of Love」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。Isley Jasper Isleyのカヴァー(Chris Jasper/Ernie Isley/Marvin Isley作)。オリジナルはアルバム『Caravan Of Love』(1985年)に収録されています。オリジナルは美しいラブ・バラードですが、ここでは少しパーカッシヴなメロウ・グルーヴで聴かせてくれます。Callierと共にHamish Stuartがリード・ヴォーカルをとります。
https://www.youtube.com/watch?v=CcrCI6lhigA
「Sierra Leone」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。ソウル、ジャズ、フォークを融合したCallierらしいクロスオーヴァー・サウンドをBlueyが見事に演出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=D5_235YgJ6U
「Speak Your Peace」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。この曲はBlueyと息子Danielの音世界にCallierを引き込んでいる感じですね。ラップ風ヴォーカルを交えたUKジャズ・ファンク経由のフォーキー・チューンといった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=uY7NGvGyhYY
「Tokyo Moon」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。日本人には気になるタイトルですね。中身はシンプルで美しいフォーキー・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=gfK9L4NWnGo
「We Are Not Alone」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。メロウ・エレピと抜けのいいホーン・アンサンブルが牽引するBluey印のメロウ・ジャズ・ファンク。Terry Callierらしくありませんが、Bluey好きの人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=FXynAuAA9Lg
「Just My Imagination」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。The Temptations、1971年の大ヒット曲をカヴァー(Norman Whitfield/Barrett Strong作)。オリジナルとは趣の異なるBlueyらしいジャジー&メロウ感覚の「Just My Imagination」を楽しめます。Dominic Gloverによるホーン・アレンジもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=KG_h3LJmXT8
「Imagine A Nation」
Jean-Paul Maunick(Bluey)。さまざまな人によるスポークン・ワードと共に始まるピースフル&トライバルなフォーキー・チューン。静かに攻めている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=K3GBEAxI3OY
「Chelsea Blue」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。アコギとメロウ・エレピが織り成すビューティフル・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=cZ4lQ8D3WLc
「Got To Get It All Straightened Out」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。本編のラストはジャズ・フィーリングで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=B9v6N5WZfVo
僕は何故か輸入盤、国内盤の双方を所有していますが、国内盤には「What Color Is Love (Live)」がボーナス・トラックとして追加収録されています。
Terry Callierの過去記事もご参照下さい。
『Occasional Rain』(1972年)
『What Color Is Love』(1973年)
『I Just Can't Help Myself』(1974年)
『Fire on Ice』(1978年)