2016年12月07日

Terry Callier『Speak Your Peace』

Blueyと4HeroのMarc Macプロデュース☆Terry Callier『Speak Your Peace』
SPEAK YOUR PEACE (IMPORT)
発表年:2002年
ez的ジャンル:復活系黒人フォーキー・ソウル
気分は... :生姜鍋の日・・・

今回はTerry Callier(1945-2012年)の『Speak Your Peace』(2002年)です。

当ブログでこれまで紹介したTerry Callier作品は以下の4枚。

 『Occasional Rain』(1972年)
 『What Color Is Love』(1973年)
 『I Just Can't Help Myself』(1974年)
 『Fire on Ice』(1978年)

これまでは70年代のアルバムばかり紹介してきましたが、今回は90年代後半の復活後の作品を取り上げたいと思います。

『Turn You to Love』(1979年)を最後にシーンから姿を消したTerry Callierでしたが、90年代に入ると彼のソウル、ジャズ、フォークを融合したクロスオーヴァーな音楽スタイルに対する再評価がUKを中心に高まり、見事な復活を遂げます。

復活後は『Timepeace』(1998年)、『Lifetime』(1999年)、『Speak Your Peace』(2002年)、『Lookin' Out』(2004年)、『Hidden Conversations』(2009年)といったスタジオ・アルバムやライブ・アルバム数枚をリリースしましたが、2012年に癌で逝去しました。

『Timepeace』(1998年)
Timepeace

『Lifetime』(1999年)
Lifetime

『Lookin' Out』(2004年)
LOOKIN' OUT

2002年にリリースされた本作は、IncognitoのリーダーJean-Paul Maunick(Bluey)4HeroMarc Macがプロデュースしています。

アルバムにはPaul Weller(vo、g、el-p)、Blueyの息子Daniel Maunick(bests、programming)、元Average White BandHamish Stuart(vo、g)、Tony Momrelle(vo)、Matt CooperOutsideIncognito etc)(key)、Pino Palladino(b)、Jim Mullen(g)といった新旧の注目ミュージシャンが参加しています。

それ以外にBrad Somatik(g、b、ds、per)、Luke Parkhouse(ds)、Andy Gangadeen(ds)、Bosco De Oliveira(per、vo)、Nichol Thompson(tb)、Max Beesley(per)、Andy Kremer(b)、Xavier Barnett(vo)、Z-Star(vo)等のミュージシャンも参加しています。

アルバム全体としては、派手さのある作品ではありませんが、BlueyMarc Macが21世紀らしいクロスオーヴァー・フォーキー・サウンドでTerry Callierを引き立てています。特にBlueyは息子のDanielと組んで、自分たちの音世界にCallierをうまく巻き込んでいる曲があったりして興味深いです。

主役のTerry CallierもBlueyとMarc Macに刺激されて、第2の全盛期と呼びたるなる充実の歌を聴かせてくれます。

まずは70年代の作品を聴くべきアーティストですが、復活後の作品にも捨てがたい魅力があるのがTerry Callierだと思います。

全曲紹介しときやす。

「Monuments Of Mars」
Marc Macプロデュース。Terry Callierらしい素朴な味わいに、美しいストリングス、Marc Macらしいリズムが加味され、UKクラブミュージック経由の21世紀フォーキーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gkJhRXbQeWw

「Running Around」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。美しいホーン・アンサンブルと共に始まります。本編はBlueyの息子Danielがプログラミングしたリズム・トラックに、父Blueyのギターが絡むメロウ・サウンドをバックに、Callierが年輪と若々しさを兼ね備えた歌声を聴かせてくれます。Tony Momrelleのバック・コーラスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=A0cX9hNAQVI

「Darker Than A Shadow」
Marc Macプロデュース。Callier、Marc Mac、Brad Somatikによる粗削りな演奏と、吐き捨てるようなCallierのヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=-cMLxCFlohk

「Brother To Brother」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。注目のPaul Wellerとの共演です(ソングライティングも共作)。派手さのない哀愁フォーキーですが、大物2人の共演はなかなか聴き応えがあります。Andy Gangadeen、Matt Cooper、Pino Palladinoがバッキングを務めます。
https://www.youtube.com/watch?v=85jcMjOEjBY

「Turn This Mutha」
Marc Macプロデュース。70年代ニューソウルを21世紀仕様にヴァージョン・アップしたようなフォーキー・ソウル。Callierの力強いメッセージが聴く者の心に刺さります。
https://www.youtube.com/watch?v=vDAh9Dfe7JY

「Caravan Of Love」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。Isley Jasper Isleyのカヴァー(Chris Jasper/Ernie Isley/Marvin Isley作)。オリジナルはアルバム『Caravan Of Love』(1985年)に収録されています。オリジナルは美しいラブ・バラードですが、ここでは少しパーカッシヴなメロウ・グルーヴで聴かせてくれます。Callierと共にHamish Stuartがリード・ヴォーカルをとります。
https://www.youtube.com/watch?v=CcrCI6lhigA

「Sierra Leone」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。ソウル、ジャズ、フォークを融合したCallierらしいクロスオーヴァー・サウンドをBlueyが見事に演出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=D5_235YgJ6U

「Speak Your Peace」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。この曲はBlueyと息子Danielの音世界にCallierを引き込んでいる感じですね。ラップ風ヴォーカルを交えたUKジャズ・ファンク経由のフォーキー・チューンといった雰囲気です。
https://www.youtube.com/watch?v=uY7NGvGyhYY

「Tokyo Moon」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。日本人には気になるタイトルですね。中身はシンプルで美しいフォーキー・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=gfK9L4NWnGo

「We Are Not Alone」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。メロウ・エレピと抜けのいいホーン・アンサンブルが牽引するBluey印のメロウ・ジャズ・ファンク。Terry Callierらしくありませんが、Bluey好きの人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=FXynAuAA9Lg

「Just My Imagination」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。The Temptations、1971年の大ヒット曲をカヴァー(Norman Whitfield/Barrett Strong作)。オリジナルとは趣の異なるBlueyらしいジャジー&メロウ感覚の「Just My Imagination」を楽しめます。Dominic Gloverによるホーン・アレンジもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=KG_h3LJmXT8

「Imagine A Nation」
Jean-Paul Maunick(Bluey)。さまざまな人によるスポークン・ワードと共に始まるピースフル&トライバルなフォーキー・チューン。静かに攻めている感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=K3GBEAxI3OY

「Chelsea Blue」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。アコギとメロウ・エレピが織り成すビューティフル・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=cZ4lQ8D3WLc

「Got To Get It All Straightened Out」
Jean-Paul Maunick(Bluey)プロデュース。本編のラストはジャズ・フィーリングで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=B9v6N5WZfVo

僕は何故か輸入盤、国内盤の双方を所有していますが、国内盤には「What Color Is Love (Live)」がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Terry Callierの過去記事もご参照下さい。

『Occasional Rain』(1972年)
Occasional Rain

『What Color Is Love』(1973年)
ホワット・カラー・イズ・ラヴ

『I Just Can't Help Myself』(1974年)
アイ・ジャスト・キャント・ヘルプ・マイセルフ

『Fire on Ice』(1978年)
Fire on Ice
posted by ez at 03:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする