2017年01月07日

Jean Carn『Trust Me』

Norman Connorsプロデュース!☆Jean Carn『Trust Me』
TRUST ME
発表年:1982年
ez的ジャンル:キュート・レディ・ソウル
気分は... :転換期・・・

今回は女性R&BシンガーJean Carn『Trust Me』(1982年)です。

ジャズ・ピアニストDoug Carnの元妻であり、フィリー・ソウルの歌姫としても活躍したJean Carnの紹介は、PIR第一弾アルバム『Jean Carn』(1977年)に続き2回目となります。

本作『Trust Me』(1982年)は、4枚のアルバムをリリースしたGamble & HuffPhiladelphia International Records(PIR)を離れ、Motownからリリースされたアルバムです。

プロデュースはNorman ConnorsとJean Carn本人。

また、McKinley JacksonBenjamin WrightJerry Petersがリズム&ホーン&ストリングス・アレンジを手掛けています。

レコーディングにはMcKinley Jackson(key)、Jerry Peters(key)、Bobby Lyle(key)、Sonny Burke(key)、Charles Fearing(g)、David T. Walker(g)、Marlo Henderson(g)、Paul Jackson Jr.(g)、Freddie Washington(b)、Leon "Ndugu" Chancler(ds)、Paulinho Da Costa(per)、Harvey Mason(per)、Todd Cochran(syn)、Roy Ayers(vibe)、Dorothy Ashby(harp)、Gary Bias(as)、Gary Herbert(as)、Ernie Watts(ts)、Jeff Clayton(bs)、William Green(bs、fl)、Barbara Korn(french horn)、Clarence Lawrey(tb)、Fred Wesley(tb)、Garnett Brown(tb)、George Bohanon(tb)、Nolan Smith(tp)、Ray Brown(tp)、Walter Johnson(tp)、Oscar Brashear(tp、flh)等が参加しています。

また、The TemptationsThe Jones GirlsHigh Inergy(Barbara Mitchell/Linda Howard/Michelle Rumph)G.C.CameronIris Gordy等がバック・コーラスで参加しています。

タイトル曲「Trust Me」、Harold Melvin & the Blue Notesの名バラード・カヴァー「If You Don't Know Me By Now」Minnie Ripertonのカヴァー「Completeness」、ダンサブルなモダン・ソウル「Steady On My Mind」、エレクトリック・ファンク「Don't Let Me Slip Away」あたりが僕のお気に入りです。

PIRを離れ、変化を求めたJean Carnに対して、アーバン・サウンドを得意とするNorman Connorsが、その手腕で彼女の魅力を上手に引き出した1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Steady On My Mind」
Jakki Milligan/Lonnie T. Kirtz Jr./Ronnie W. Jones作。ダンサブルなモダン・ソウルがオープニング。キュートなJeanの歌声と都会的なファンキー・グルーヴがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=cWU_urQbC6U

「Don't Let Me Slip Away」
Coca Dee Williams/Marilyn McCoo作。80年代らしいエレクトリック・ファンクにのってJeanの歌声が躍動します。
https://www.youtube.com/watch?v=YoPSMhRCq2E

「Trust Me」
Alfred Johnson作。タイトル曲はオトナな魅力を見せてくれるメロウ・バラード。High Inergy(Barbara Mitchell/Linda Howard/Michelle Rumph)とIris Gordyのバック・コーラスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ADYTO030_dk

「Super Explosion」
Marilyn McLeod/Mel Bolton作。作者2人はThe Nu Pageのメンバーとして作品もリリースしています。軽やかなダンス・チューンです。イケイケな雰囲気で駆け抜けます。
https://www.youtube.com/watch?v=qRfpja7mo2I

「My Baby Loves Me」
Martha & The Vandellas、1966年のシングル曲をカヴァー(Stevenson & Hunter/Sylvia Moy作)。このあたりはMotownらしいカヴァー・セレクトですね。Martha & The Vandellas大好きな僕としては嬉しいカヴァーです。
https://www.youtube.com/watch?v=6-hvtA5wNGU

「If You Don't Know Me By Now」
Harold Melvin & the Blue Notesの名バラードをカヴァー(Kenny Gamble & Leon Huff作)。バック・コーラスをThe Temptationsが務めます。僕の場合、Simply Redのカヴァーに一番馴染みがある世代ですが、テンプスが加わり、重厚感の増した本ヴァージョンもかなり気に入りました。
https://www.youtube.com/watch?v=NOiFzf6gdaU

「Completeness」
Minnie Ripertonのカヴァー(Charles Stepney/Rose Johnson作)。オリジナルは『Come To My Garden』(1970年)に収録されています。ここでは都会的なメロウ・ソウルで聴かせてくれます。終盤のリズミックな盛り上がりがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=U0VD-tlnFho

Jet Life「The Business」のサンプリング・ソースとなっています。
Jet Life「The Business」
 https://www.youtube.com/watch?v=0VSlD_kB2fE

「Better To Me」
Oliver W. Wells作。ラストはJeanの透明感のあるヴォーカルの魅力をストレートに実感できる感動的なゴスペル調バラードで締め括ってくれます。

Jean Carnの他作品もチェックを!

『Jean Carn』(1977年)
ジーン・カーン(紙ジャケット仕様)

『Happy to Be With You』(1978年)
Happy to Be With You

『When I Find You Love/Sweet & Wonderful』(1979/1981年)
When I Find You Love & Sweet & Wonderful

『Closer Than Close』(1986年)※Jean Carne名義
Closer Than Close
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2017年01月06日

Kenny Dorham『Una Mas (One More Time) 』

ブラジル色を打ち出した1枚☆Kenny Dorham『Una Mas (One More Time) 』
ウナ・マス+1
録音年:1963年
ez的ジャンル:ハードバッパー系ラテン/ブラジリアン・ジャズ
気分は... :もう一回!

今回は60年代ジャズからKenny Dorham『Una Mas (One More Time) 』(1963年)です。

ジャズ・トランペッターKenny Dorham(1924-1972年)の紹介は、『Quiet Kenny』(1959年)、『Afro-Cuban』(1955年)に続き3回目となります。

Kenny Dorhamといえば、"静のケニー"を代表する『Quiet Kenny』、"動のケニー"を代表する『Afro-Cuban』の2枚が有名ですが、本作『Una Mas (One More Time) 』も人気の高い1枚なのでは?

Blue Noteからリリースされた本作の特徴は、ブラジル色を打ち出した演奏です。1961年にDorhamに南米をツアーしており、その刺激から『Matador』(1962年録音)でもブラジル人コンポーザーHeitor Villa-Lobosの作品「Prelude」を取り上げていました。そうした方向性をさらに強めたのが本作作『Una Mas (One More Time) 』です。

本作がリリースされた1963年はStan GetzJoao Gilbertoがボサノヴァ・ブームの決定盤『Getz/Gilberto』をレコーディングした年であり、ジャズ・シーン全体がボサノヴァ/ブラジル音楽にフォーカスしていた時期です。

本作のレコーディング・メンバーはKenny Dorham(tp)、Herbie Hancock(p)、Joe Henderson(ts)、Butch Warren(b)、Tony Williams(ds)の5名。

当時、弱冠17歳であったTony Williamsをはじめ、若手サイドメンを積極的に起用しているのも本作の特徴です。

躍動的な演奏にグッとくる1枚であり、"動のケニー"を存分に楽しめます。

健康状態の悪化により、次作『Trompeta Toccata』(1964年)が最後のリーダー作となってしまうDorhamですが、そんな事が信じられない充実ぶりです。若手サイドメンたちからの刺激が良い方向に作用した1枚だと思います。

ボーナス・トラック以外は、すべてKenny Dorhamのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Una Mas (One More Time)」
タイトル曲はアルバム『 Inta Somethin'』(1961年)収録の「Us」をリメイクしたものです。軽快なラテン/ジャズ・サンバ色が心地好い本作を象徴する15分強の演奏です。Dorhamのトランペットも実に軽やかです。Hancockの小粋なピアノタッチが演奏全体にエレガントさをもたらしているのもいいですね。終盤、演奏が終わりと思いきや、タイトルそのままの"One More Time"の掛け声と共に、再度テーマを演奏する演出も心憎いです。Lee Morgan『The Sidewinder』なんかとも相性が良さそうです。
https://www.youtube.com/watch?v=TDETNk20Vkc

「Straight Ahead」
今聴くとクラブジャズ的な格好良さもあるストレート・アヘッドな4ビート。DorhamとHendersonの2菅が躍動します。また、HancockやWilliamsらのバッキングもグッド!若き天才Williamsのドラミングが演奏全体を牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=SV7wZ3hfERw

「Sao Paolo」
絶妙なボッサ・フィーリングにグッとくる演奏です。『Getz/Gilberto』のようなモロにボサノヴァではなく、さり気なく取り入れるところにDorhamの美学を感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=lN1iQQS5E_A

「If Ever I Would Leave You」
CDのボーナス・トラック。1960年のミュージカル『Camelot』挿入歌をカヴァー(Alan Jay Lerner/Frederick Loewe作)。本編とは異なるスウィートな雰囲気に包まれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DZBcIEJgrXE

Kenny Dorhamの他作品もチェックを!

『Kenny Dorham Quintet』(1953年)
Quintet

『Afro-Cuban』(1955年)
アフロ・キューバン

『'Round About Midnight at the Cafe Bohemia』(1956年)
カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム+4

『And The Jazz Prophets Vol. 1』(1956年)
ケニー・ドーハム&ザ・ジャズ・プロフェッツ

『Jazz Contrasts』(1957年)
Jazz Contrasts

『2 Horns/2 Rhythm』(1957年)
2 Horns/2 Rhythm

『This Is the Moment!』(1958年)
Kenny Dorham Sings and Plays: This Is the Moment!

『Blue Spring』(1959年)
Blue Spring

『Quiet Kenny』(1959年)
Quiet Kenny

『The Arrival of Kenny Dorham』(1960年)
ジ・アライヴァル・オブ・ケニー・ドーハム(紙ジャケット仕様)

『Jazz Contemporary』(1960年)
JAZZ CONTEMPORARY

『Showboat』(1960年)
ショウボート

『Whistle Stop』(1961年)
Whistle Stop

『Inta Somethin/Matador』(1961、1962年)※2in1CD
Matador + Inta Somethin

『Matador』(1962年)
マタドール

『Trompeta Toccata』(1964年)
Trompeta Toccata
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2017年01月05日

Pockets『So Delicious』

EW&Fの弟分グループの3rdアルバム☆Pockets『So Delicious』
pockets so delicious.jpg
発表年:1979年
ez的ジャンル:EW&Fの弟分系ファンク/ソウル
気分は... :デリシャス!

Earth,Wind & Fireの弟分的ヴォーカル&インストゥルメンタル・グループPocketsの3rdアルバム『So Delicious』(1979年)です。

しばらく入手しづらい状況でしたが、輸入再発CDがリリースされ、入手しやすくなりました。

Pocketsの紹介は、1st『Come Go With Us』(1977年)、2nd『Take It On Up』(1978年)に続き3回目となります。

これまでの作品と同じく、Maurice Whiteの弟Verdine WhiteRobert Wrightがプロデュースしています。

また、Tom Tom 84Jerry HeyBenjamin WrightThom Bellがホーン&ストリングス・アレンジを担当しています。

本作におけるPocketsのメンバーは、Albert McKinney(key)、Gary Grainger(b)、Larry Jacobs(vo)、Charles Williams(tp)、 Irving Madison(sax)、 Kevin Barnes(tb)、George Gray(ds)の7名。

EW&F勢からAl McKay(g)や、Don Myrick(sax)、Louis Satterfield(tb)、Maurice Spears(tb)、Michael Davis(tp)といったThe Phenix Hornsの面々がレコーディングに参加しています。

それ以外に、前作までメンバーであったJacob Sheffer(g)、RaydioDarren Carmichael(key)とCharles Fearing(g)、Invisible Man's BandDean Gant(key)、Ed Greene(ds)、Kenny Elliott(ds)、Romeo Williams(b)、Geary Lanier(key)、Michael Boddicker (syn)、Paulinho Da Costa (per)、Dorothy Ashby(harp)等のミュージシャンが参加しています。

アルバムからはディスコ・チューン「Catch Me」がシングル・カットされました。また、収録曲の中ではDelfonicsの大ヒット曲「La La (Means I Love You)」のカヴァーあたりも目立ちます。

僕のオススメはメロウ・ブギー「Charisma」、キャッチーなダンス・チューン「Why'd Ya Do Dat?」、ポジティヴなメロウ・グルーヴ「Baby, Are You Coming Home With Me?」、爽快メロウ・ソウル「How Do You Think It Feels?」、ソウルフルなメロウ・ミディアム「So Delicious」の5曲。

結局、商業的には成功せず、本作を最後にグループはシーンから姿を消してしまいます。しかしながら、中身はEW&Fの弟分らしいキャッチーなディスコ〜モダン・ソウル作品に仕上がっていると思います。

まずは1st、2ndを先に聴くべきと思いますが、この3rdもぜひセットで手元に置いておきたい1枚です。

全曲紹介しときやす。

「How Do You Think It Feels?」
オススメその1。爽快なメロウ・ソウルがオープニング。Tom Tom 84のアレンジが冴える素敵な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=TxNw7OjVWrM

「Why'd Ya Do Dat?」
オススメその2。軽快なギター・カッティングが心地好いメロウ・ダンサー。EW&Fの弟分グループらしいキャッチーさがあっていいですね。アレンジはJerry Hey。
https://www.youtube.com/watch?v=y2r78fdhLHE

「Charisma」
オススメその3。鮮やかなホーン・サウンド共に始まるメロウ・ブギー!華やかなダンス・サウンドにグッときます。アレンジはBenjamin Wright。
https://www.youtube.com/watch?v=5sLsSVngMt4

「La La (Means I Love You)」
Delfonicsの大ヒット曲をカヴァー(Thom Bell/William Hart作)。ただし、このカヴァーはPocketsにはあまりフィットしていない気がします。アレンジはThom Bell。
https://www.youtube.com/watch?v=V0q0SaiMtBY

「Catch Me」
シングル・カットもされたディスコ・チューン。少し前のめりになったEW&Fといった趣のダンス・チューンです。アレンジはBenjamin Wright。
https://www.youtube.com/watch?v=QALH4LQcdWY

「So Delicious」
オススメその4。タイトル曲は爽快メロウなミディアム。このグループのソウルフル&メロウな魅力に触れることができます。アレンジはJerry Hey。
https://www.youtube.com/watch?v=S5wBYOw7UsM

「Your Heart's In Trouble」
ソウル・フィーリング溢れる哀愁ミディアム。アレンジはTom Tom 84。
https://www.youtube.com/watch?v=s4avaU1Wjuc

「Baby, Are You Coming Home With Me?」
僕好みのダンサブルなメロウ・グルーヴ。ポジティブなヴァイヴがいい感じです。アレンジはJerry Hey。
https://www.youtube.com/watch?v=Gu5e3Qrgtnw

「Bye-Bye」
ラストは1分強の小曲。グループの最後の作品となることを予感させます。

未聴の方は、1st『Come Go With Us』(1977年)、2nd『Take It On Up』(1978年)もチェックを!

『Come Go With Us』(1977年)
平和の使者(紙ジャケット仕様)

『Take It On Up』(1978年)
戦士の凱旋(紙ジャケット仕様)
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2017年01月04日

Jaylib『Champion Sound』

J DillaとMadlib、Hip-Hop界の偉才2人によるコラボ☆Jaylib『Champion Sound』
Champion Sound
発表年:2003年
ez的ジャンル:偉才系Hip-Hopコラボ
気分は... :天才×天才!

J Dilla(Jay Dee)MadlibというHip-Hop界の偉才2人による夢のコラボ・アルバムJaylib『Champion Sound』(2003年)です。

J Dilla(Jay Dee)Madlibに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の6枚(発売順)。

J Dilla関連作品
 Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
 J Dilla『The Shining』(2006年)
Madlib関連作品
 Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
 Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
 Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
 Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)

本作『Champion Sound』(2003年)は、L.A.MadlibとデトロイトのJ Dillaが互いに作ったトラックを送り、他方がラップを乗せるかたちで制作され、Stones Throwからリリースされたコラボ・アルバムです。

2人のトラックが交互に配されており、2つの個性の対比しながら、アルバムを聴き進めることができます。今となっては、どうしても故J Dillaのトラックに聴き入ってしまいますが…

この2人ならば、もっとできたのでは?と批判的な意見もあるようですが、タイトルの相応しい濃密なHip-Hopワールドを十分楽しむことができました。

僕の保有するCD(USオリジナルCD、1stプレス仕様)は全19曲収録。前々から紹介しようと思いつつ、曲数の多さに断念することも多かったのですが、年末に来年こそは必ず本作を取り上げようと固く誓い、即実行してみました。

曲数のみならず、内容も聴き応え十分のコラボ作品です。
天才同士のみが知るHip-Hopワールドがそこにはある!

全曲紹介しときやす。※USオリジナルCD1stプレス仕様

「L.A. to Detroit」 
このオープニングのみJ Dilla、Madlib両者のプロデュースとなっています。Public Enemy「Countdown to Armageddon」のサンプリングに続くMountain「Long Red」のループでスタートし、The Moody Blues「Procession」やQuasimoto「Bluffin'」の声ネタが使われ、後半はGiancarlo Bigazzi & Fabio Fabor「Occult Sciences」のシンセ・ネタが支配するアルバムのイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=Gh5YDuYpCek

「McNasty Filth」
デトロイトのHip-HopユニットFrank-N-Dankをフィーチャー。Madlibプロデュース。シングルにもなりました。Paul Mauriat「Melancholy Man」とAllegro Jazz Band「Composition on a Theme of Cole Porter」をサンプリングしたトラックがキマっています。Syl Johnson「Different Strokes」ネタも途中に挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=07BHMfw6lTI

「Nowadayz」
J Dillaプロデュース。前の「McNasty Filth」との対比で、J Dillaらしさを感じます。Egg「Wring Out the Ground (Loosely Now)」、Kevin Ayers「The Confessions of Dr. Dream - Part Four: Dr. Dream Theme」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=H1ZtagFtrrA

「Champion Sound」  
Madlibプロデュース。ありがちなトラックにも聴こえますが、エキゾチックなエッセンスがいいアクセントになっています。Kalyanji Anandji「Dharmatma Theme Music (Sad)」、Fancy Black「Stand Up and Fight」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=113zhTf1bVM

「The Red」
J Dillaプロデュース。Cris Williamson「Shine on Straight Arrow」の声ネタと共に始まる、J Dillaらしい硬質ビートが堪能できる1曲。シングルにもなりました。Gwen McCrae「90% of Me Is You」もサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=VRzRSCRZweY

「Heavy」
Madlibプロデュース。Herman Chin-Loy「Heavy Duty」の声ネタが効果的に使われています。後半にはVangelis「Stuffed Aubergine」ネタのループも登場します。
https://www.youtube.com/watch?v=adqX9UOuXsQ

「Raw Shit」
Talib Kweliをフィーチャー。J Dillaプロデュース。フューチャリスティック&アブストラクトに疾走するトラックが格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ZvfdRkUSj94

「The Official」
Madlibプロデュース。Gap Mangione「Diana in the Autumn Wind」とDizzy Gillespie「Stomped and Wasted」をサンプリングしたジャズ風味のトラックにMadlibのセンスを感じます。Gang Starr「Take It Personal」のリリックも引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Jvmoux8BnSY

「The Heist」 
J Dillaプロデュース。Throbbing Gristle「Persuasion」「What a Day」をサンプリング。J Dillaらしいネタのセレクトによるアブストラクトなトラックがいいですね。終盤はGentle Giant「The Advent of Panurge」とSoft Machine「Out-Bloody-Rageous」をサンプリング しています。途中に映画『Forrest Gump』ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=XuVCHQjsQ0g

「The Mission」
Madlibプロデュース。John Barry-Moore「Abertura De 'Os Inocentes'」をサンプリングしたトラックがキャッチーです。Big L「Flamboyant」 、M.O.P.「Ante Up (Robbing-Hoodz Theory)」 、Black Moon「How Many MC's...」 、De La Soul「Stakes Is High」ネタが散りばめられています。
https://www.youtube.com/watch?v=XPaFxVwCwX4

「React」
Quasimoto(Madlibの変名)をフィーチャー。J Dillaプロデュース。J DillaらしいビートにGentle Giant「Plain Truth」をサンプリングした上モノを乗せたトラックのレトロ・フューチャー感がいいですね。M.O.P.「Pounds Up」、De La Soul & Common「The Bizness 」Beastie Boys「The New Style」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=j5TvXEDEU5I

「Strapped」
デトロイトのラッパーGuilty Simpsonをフィーチャー。Madlibプロデュース。本作でしばしば聴かれるオリエンタルなエッセンスが印象的です。当ブログでも紹介したCarlos Nino feat. Dexter Story, Jamire Williams & Madlib「It's All Happening!」でサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=RZY9Y5iwIZ8

「Strip Club」
Quasimotoをフィーチャー。J Dillaプロデュース。Jaco Pastorius「Opus Pocus」をサンプリングしたトロピカル・フィーリングが印象的です。Queen「The Ring (Hypnotic Seduction of Dale)」をサンプリングし、Masta Ace Incorporated「Sittin' on Chrome」のリリックが引用されています。

「The Exclusive」
N.Y.出身のラッパーPercee Pをフィーチャー。J Dillaプロデュース。ここではオールドスクールなトラックで楽しませてくれます。The Mohawks「The Champ」、Phil Collins「In the Air Tonight (Ben Liebrand Extended Version)」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=ammzSxTPzpo

「Survival Test」 
Madlibプロデュース。Lata Mangeshkar「Poorab Disa Se Pardesi Aya」をサンプリングしたインド風味が印象的です。Jungle Brothers「Jimbrowski」もサンプリングしています。
https://www.youtube.com/watch?v=7y62rlhaAbU

「Starz」
J Dillaプロデュース。Starcastle「The Stars Are Out Tonight」の早回し声ネタを効果的に使っています。それ以外にThe Isley Brothers「For the Love of You (Part 1 & 2)」、M.O.P.「Pounds Up」ネタも使われています。終盤のアブストラクトな展開も好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=bjfkL2R61PM

「No Games」 
Madlibプロデュース。Cortex「Huit Octobre 1971」をのサンプリングを巧みに使ったトラックが格好良いですね。もっと長尺で聴きたいです。
https://www.youtube.com/watch?v=DRaVKKykOwM

「Raw Addict」
J Dillaプロデュース。J Dilla好きに人には中毒性のあるトラックかもしれませんね。Argent「God Gave Rock 'N' Roll to You」、James Brown「Say It Loud, I'm Black and I'm Proud」、Jay Dee feat. Frank-N-Dank「Pause」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=SzadvUr4cb4

「Ice」
Madlibプロデュース。The Mohawks「The Champ」とN.W.A「Niggaz 4 Life」の声ネタを使ったスリリングなトラックにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=qwz8u5Y_Wbw

2007年にはリミックス、インスト・ヴァージョンを加えたデラックス・ヴァージョンもリリースされています。
Jaylib『Champion Sound』※デラックス・ヴァージョン
Champion Sound (Reis) (Dlx)

J DillaMadlib関連の過去記事もご参照ください。

Slum Village『Fantastic, Vol. 2』(2000年)
Fantastic vol.2

J Dilla『The Shining』(2006年)
The Shining

Madlib『Shades Of Blue』(2003年)
Shades of Blue

Talib Kweli & Madlib『Liberation』(2007年)
Liberation

Jackson Conti『Sunjinho』(2008年)
Sujinho

Quasimoto『Yessir, Whatever』(2013年)
Yessir Whatever
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2017年01月03日

Mocky『The Moxtape Vol.3』

個性派カナディアン・ポップ職人のEPを日本独自にCD化☆Mocky『The Moxtape Vol.3』
MOCKY Presents The Moxtape Vol. III - Expanded Edition -
発表年:2016年
ez的ジャンル:個性派カナディアン・ポップ職人
気分は... :2017年最初の1枚は・・・

今日から通常のエントリーに戻ります。
2017年最初に紹介するのはMocky『The Moxtape Vol.3』(2016年)です。

Mocky(本名:Dominic Salole)は1974年カナダ生まれの男性シンガー/ソングライター/マルチ・プレイヤー/プロデューサー。

これまで『In Mesopotamia』(2002年)、『Are + Be』(2004年)、『Navy Brown Blues』(2006年)、『Saskamodie』(2009年)、『Key Change』(2015年)といったアルバムをリリースし、独自のポップ感覚で根強いファンの獲得に成功しています。

また、UK出身の白人男性ソウル・シンガーJamie Lidell、カナダ人女性シンガー・ソングライターFeist、幼少時より活躍する女性シンガーNikka Costa、元Wu-Tang ClanGZA、カナダ出身でドイツを拠点に活動するミュージシャンChilly Gonzales、カナダ人女性アーティストPeaches等の作品への関与でも知られています。

トロントを経てドイツ、ベルリンを拠点に活動していたMockyがL.A.に拠点を移し、6年ぶりの新作『Key Change』をリリースし、好評を得たのが一昨年でした。その勢いに乗って制作したのが8曲収録のEP『The Moxtape Vol.3』(2016年)です。このEPは『Graveyard Novelas EP (The Moxtape Vol.1)』(2013年)、『Living Time EP (The Moxtape Vol.2)』(2015年)に続くThe Moxtapeシリーズの第3弾となります。

そして、ネット配信のみであった『The Moxtape Vol.3』に未発表5曲を加えて、日本独自でCD化したのが本作です。

全13曲ですから、EP、ミニ・アルバムというよりアルバムに近い体裁ですが、EP感覚で聴いた方が楽しめる1枚だと思います。

オリジナルEPの8曲は、自らの音楽を"My own vision of Pop"と称するMockyらしいポップ・ワールドを楽しめます。特に「Exception To The Rule」を聴けば、Mockyの魅力が一発でわかると思います。

一方、追加収録の未発表5曲はインスト中心でMocky風ジャズを楽しむことができます。

Jamie LidellHilary GayMiguel Atwood-FergusonJoey DosikNia Andrewsがゲストとしてフィーチャリングされています。

ホッと一息つける癒しのポップ・ワールドを堪能あれ!

全曲紹介しときやす。

「Keep Feelin' This」
Mockyとは関連が深いアーティストであるJamie Lidellをフィーチャー。クールな中にもポップ感覚が散りばめられたファンク調のオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=N_Q-nhbafiQ

「Starless Sky」
追加未発表曲。Hilary Gayをフィーチャー。男女ユニットFM Fataleとしてもアルバムをリリースしている女性シンガーであり、これまでもMocky作品に参加したことがあります。ヴァイオリンを織り交ぜたビューティフル&ドリーミーな仕上がりです。

「Read My Mind (Nothing To Fear)」
Mockyらしい鼻歌感覚の素朴なポップ・チューンです。口笛の響きが何ともいい味わいです。
https://www.youtube.com/watch?v=mcGL2tlCPpE

「Put It Away」
絶妙のヘタウマ感が癖になるジャジー・ポップ。
https://www.youtube.com/watch?v=4bJgiH3x42U

「Art Brakey」
追加未発表曲。タイトルはジャズ・ジャイアントの一人Art Blakeyを意識したものでしょうね。Art Blakeyのようなファンキー・ジャズが聴けると思いきや、Mocky風ジャズになっているあたりが、"Blakey"ではなく"Brakey"なのかもしれませんね。

「Skipping Stone」
追加未発表曲。この曲もMocky風ジャズを楽しめるインスト。何処となくカリビアンなエッセンスを感じられるあたりもいいですね。

「Peace Of Mine」
追加未発表曲。メロトロンも交えた透明感のあるインスト・チューン。静と動のメリハリがあるのがいいですね。

「Resonance」
追加未発表曲。ジャズに牧歌的なエッセンスが加わり、Mockyらしいインストに仕上がっています。

「Surprise You With A Smile」
Mockyのコンポーザーとしてのセンスが窺える美しい1曲。優しく柔らかな音色で包み込んでくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=UhdxMBUWjbE

「When Paulie Gets Mad (Miguel Atwood-Ferguson Edit)」
L.A.ジャズのキーマンの一人、Miguel Atwood-Fergusonをフィーチャー。『Key Change』収録曲をAtwood-Fergusonのストリングスのみで堪能できます。こういったL.A.ジャズ・シーンとの接触がMockyに新たな刺激を与えたのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=B8ZTj81k7UM

「Exception To The Rule」
この1曲を聴けば、すべてが分かる!Mockyワールドが凝縮された木漏れ日ポップ。聴けば、いつもの自分が取り戻せるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=6w62ZwNqmP4

「For Toots」
この曲もかなり好き!ゆったりとしたジャジー・ポップは聴く者に安らぎを与えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ejMR6hrN5CY

「Amaimono (Sweet Things)」
Build An Arkのメンバーであるアメリカ人ピアニスト/キーボード奏者Joey Dosikと、Dexter StoryMark De Clive-LoweDegoのアルバムにフィーチャリングされ、昨年は日本独自アルバムもリリースされたL.A.の女性ヴォーカリストNia Andrewsをフィーチャー。爽快なフォーキー・ジャズ調のポップ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Zmw72hSS9n0

Mockyの他作品もチェックを!

『In Mesopotamia』(2002年)
In Mesopotamia

『Are + Be』(2004年)
Are & Be

『Navy Brown Blues』(2006年)
Navy Brown Blues

『Saskamodie』(2009年)
SaskaModie(ボーナス・トラック追加収録)

『Key Change』(2015年)
KEY CHANGE ( Deluxe edition )
posted by ez at 14:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする