発表年:2016年
ez的ジャンル:現代ブラジル音楽スーパー・デュオ
気分は... :目を閉じて・・・
新作アルバムからAndre MehmariとAntonio Loureiroという現代ブラジル音楽が生んだ天才2人のデュオ・アルバム『MehmariLoureiro Duo』です。
1977年リオデジャネイロ生まれのピアニスト/コンポーザーAndre Mehmariを作品レベルで紹介するのは今回が初めてになります。もう一人の主役であるサンパウロ出身のマルチ奏者/コンポーザーAntonio Loureiroについては2ndアルバム『So』(2012年)を紹介済みです。
久々に"静かなる音楽"の紹介になるかもしれませんね。
これまでフェスティバルで共演したり、共演動画をYouTubeにアップしてきた2人が遂にデュオ・アルバムをリリースしました。
演奏は2人のみですが、Andre Mehmari(p、syn、el-p、bass fl、g、charango、bandolim、accordion、vo)、Antonio Loureiro (ds、vibe、vo)のように多様な楽器を駆使しています。
僕の場合、器楽奏者のデュオ・アルバムって、構成にメリハリをつけにくく単調に思えることも多いのですが、本作にそうした危惧は不要です。正直、ピアノとヴァイヴ、あるいはピアノとドラムのみの演奏でも、ここまで魅了されるとは思っていませんでした。
ジャズ、クラシック、現代音楽、ブラジル音楽を"引き算の音世界"で融合させた名盤だと思います。
目を閉じて、一音一音をしっかり感じながら聴きたい作品です。
全曲紹介しときやす。
「A Brisa」
Andre Mehmari作。Mehmariの美しいピアノに、Loureiroのヴァイヴが寄り添う瑞々しいオープニング。心が浄化されます。
「Laginha」
Antonio Loureiro作。冒頭Mehmariのピアノに魅了されますが、Loureiroのドラムが加わった途端にワールド・ジャズ的な面白さが増します。今ジャズ好きの人も楽しる演奏のはず!
「Ciranda da Serra」
Antonio Loureiro作。この2人の共演らしいクラシック〜現代音楽的な雰囲気の演奏です。
「Baiao de Miguelim」
Andre Mehmari作。ピアノ、ヴァイヴにアコーディオンが加わり、いいアクセントになっています。
「Um Mapa de Tres de Pontas」
Andre Mehmari作。ヴォーカル(というよりヴォイスか)を前面に打ち出した美しい演奏です。80年代Pat Metheny作品がお好きな人であれば気に入るはず!
「Na!」
Andre Mehmari作。ピアノ、ヴァイヴ、アコーディオンによる現代音楽的な演奏ですが、一音一音が生き生きしているのがいいですね。
「Lamento」
Antonio Loureiro作。ここでのMehmariはバス・フルートをメインに演奏しています。神秘的な雰囲気の演奏です。
「Valsa Nostalgica」
Andre Mehmari作。ここではバンドリンの音も加え、鍵盤+弦の組み合わせでアクセントをつけたワールド・ミュージックらしい演奏で魅了します。
「Ninguem Compreende」
Andre Mehmari作。哀愁モードのヴォーカル曲。静と動のメリハリがいいですね。
「Festa Junina」
Andre Mehmari作。僕の一番のお気に入り。MehmariのピアノとLoureiroのドラミング、さらにスキャット・ヴォーカルも加わった大地のジャズを楽しめます。この演奏もPat Metheny好きの人は気に入るはず!
「Pra Abrir o Apetite」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。ピアノとヴァイヴのデュオ演奏の魅力を余すことなく伝えてくれます。
「Episodio Valseado」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。アルバムの中では最もオーソドックスなジャズ演奏かもしれません。
「Episodio Inquieto」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。Mehmariのピアノ、Loureiroのドラムによるインプロを楽しめます。
「Episodio da Surpresa」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。音と音の間を楽しむ"わびさび"的演奏です。
「Episodio das Quartas」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。Mehmariの美しいピアノを堪能できます。
「Episodio das Sombras」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。余計なことをしない引き算的な演奏が印象的です。
「Episodio Em Do Maior」
Antonio Loureiro e Andre Mehmari作。ピアノとドラムのみでこんなに素晴らしい今ジャズ的な演奏ができるのかと脱帽です。
Antonio LoureiroとAndre Mehmariの他作品もチェックを!
Antonio Loureiro『Antonio Loureiro』(2010年)
Antonio Loureiro『So』(2012年)
Antonio Loureiro『Tokyo Solo』(2014年)
Antonio Loureiro/Chico Pinheiro/Sergio Santos 『Triz』(2012年)
Andre Mehmari『Canto』(2003年)
Andre Mehmari『Lachrimae』(2003年)
Andre Mehmari & Na Ozzetti 『Piano e Voz』(2005年)
Andre Mehmari『MPBaby Clube da Esquina』(2008年)
Andre Mehmari『...De Arvores E Valsas』(2008年)
Andre Mehmari & Gabriele Mirabassi『Miramari』(2008年)
Hamilton de Holanda & Andre Mehmari『Gismontipascoal』(2011年)
Andre Mehmari『Afetuoso』(2011年)
Andre Mehmari『Canteiro』(2012年)
Andre Mehmari『Angelus』(2012年)
Andre Mehmari/Francois Morin『Arapora』(2014年)
Andre Mehmari『In Tokyo』(2014年)
Andre Mehmari『As Estacoes Na Cantareira』(2015年)