2017年02月22日

Nick Drake『Pink Moon』

カルト・シンガーの痛々しくも美しいラスト・アルバム☆Nick Drake『Pink Moon』
Pink Moon
発表年:1972年
ez的ジャンル:UKアシッド・フォーク
気分は... :僕はそこにいるのか・・・

今回はカルト的な人気を誇るイギリス人シンガーソングライターNick Drakeの3rdにしてラスト・アルバム『Pink Moon』(1972年)です。

CD棚を整理したら、本作のジャケが何故だか目に留まり、その流れでたまに聴いています。痛々しさに逆に癒されるって感じでしょうか。

悲運の天才フォーク・シンガーNick Drake(1948-1974年)の紹介は、2ndアルバム『Bryter Layter』(1970年)に続き2回目となります。

内容的には申し分なく、Nick本人やプロデューサーJoe Boyd、エンジニアJohn Woodといった関係者も自信を持ってリリースした『Bryter Layter』(1970年)でしたが、期待に反して商業的には全く振るいませんでした。

地元ウォリックシャー州へ引き返し、失意の日々を過ごしていたNickが、わずか2日間でレコーディングしたアルバムが本作『Pink Moon』(1972年)です。ほとんどがワンテイク、楽器もギター&ヴォーカルに、一部ピアノでアクセントをつけたのみというシンプルなものです。

本作のリリース以降、心の病を悪化させていったNickは、1974年11月25日に自宅で抗うつ薬の過剰服用のため死去します。享年26歳。

自らの才能を信じながらも、成功に至らない現実とのギャップに悩んだ天才アーティストのが最後に輝きを放ったラスト・アルバムという印象を受けます。決して明るいアルバムではなく、キャッチーとは言えませんが、天才アーティストの無垢な魅力に接することができる1枚でもあります。

失意と絶望から世間に背を向け、自らを陽を浴びない陰と評するの歌詞を見ていると、Pink Floyd『Dark Side Of The Moon』(1973年)とSyd Barrettを思い出してしまいますね。

実に痛々しく、切ないアルバムですが、そうした境地のアーティストにしか表現できない、儚い美しさに魅力を感じる1枚だと思います。

その意味では至極のダウナー作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Pink Moon」
♪ピンクの月が昇ってくる♪と歌うタイトル曲。彼の心の闇とその先に待ち受ける悲運を暗示しているのか、それとも彼の無垢な思いの表れなのか。ピアノの美しいアクセントも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=_wCkmuRkZz4

「Place To Be」
自身の失意を吐露した1曲。諦めの気持ちが見え隠れする痛々しさとと、それでも歌い続けたいという思いに心打たれます。
https://www.youtube.com/watch?v=obOWSCmzEAY

「Road」
太陽ではなく、月へ向かうのが自らの道だと歌います。このあたりは月の裏側へ行ってしまったSyd Barrettともイメージが重なります。
https://www.youtube.com/watch?v=oQJmaKBcMzo

「Which Will」
♪どっちを選ぶの♪と弱々しく歌う歌詞に、当時のNickの心の状態が表れている気がします。物事を白黒/勝ち負けの両極端で考えるのは良くないパターンですね。グレーや引き分けでもいいのに・・・
https://www.youtube.com/watch?v=A0NDxRNdQKk

「Horn」
ギターのみのインストですが、伝わってくるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=HzXkozcVpsg

「Things Behind The Sun」
♪俗世間での成功など君には取るに足らないこと♪と世の中に背を向け、太陽の陰で注目されない人たちへスポットを当てることで自らの居場所を見出そうとしています。痛々しいけど、どこか共感してしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=6btXe5j17oE

「Know」
シンプルな歌詞だからこそ、さまざまな解釈ができる歌かもしれませんね。最後の♪僕はそこにいない♪というフレーズが悲しすぎます。
https://www.youtube.com/watch?v=Y-eHBUudkcY

「Parasite」
自らを街の寄生虫と歌う歌詞が痛々しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=2_hN3otvC6g

「Free Ride」
自分の中のもう一人の自分に語り掛けているような印象を受けます。
https://www.youtube.com/watch?v=l09L45RM2RI

「Harvest Breed」
自らの悲運を暗示するかのような歌詞が何とも切ないです。
https://www.youtube.com/watch?v=kCy25ylGW_E

「From The Morning」
失意や絶望の中で、一筋の光明を見出そうとする救いの歌で締め括ってくれます。絶望の中でも希望はある・・・
https://www.youtube.com/watch?v=-kFAf7tENdQ

デビュー・アルバム『Five Leaves Left』(1969年)、2ndアルバム『Bryter Layter』(1970年)もセットでどうぞ!

『Five Leaves Left』(1969年)
ファイヴ・リーヴス・レフト

『Bryter Layter』(1970年)
ブライター・レイター
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2017年02月20日

Stephanie Mills『Tantalizingly Hot』

Mtume/Lucas、Ashford & Simpsonプロデュース☆Stephanie Mills『Tantalizingly Hot』
Tantilizingly Hot
発表年:1982年
ez的ジャンル:ブロードウェイ仕込み女性R&B
気分は... :魅惑のハイトーン・ヴォーカル・・・

今回は女性R&BシンガーStephanie Millsの6thアルバム『Tantalizingly Hot』(1982年)です。

N.Y.クイーンズ出身でブロードウェイ・ミュージカルでも活躍した女性R&BシンガーStephanie Millsの紹介は、『Sweet Sensation』(1980年)、『What Cha Gonna Do With My Lovin'』(1979年)に続き3回目となります。

6thアルバム『Tantalizingly Hot』(1982年)は、『What Cha Gonna Do With My Lovin'』(1979年)、『Sweet Sensation』(1980年)、『Stephanie』(1981年)に続く、James Mtume/Reggie Lucasとのタッグ第4弾となります。結果的に本作でMtume/Lucasとのタッグは解消されました。

メイン・プロデュースはMtume/Lucasですが、Nickolas Ashford & Valerie Simpsonも2曲をプロデュースしています。さらにStephanie自身も1曲プロデュースしています。また、Dunn Pearsonがホーン&ストリングス・アレンジで参加しています。

James Mtume(per)、Reggie Lucas(g)以外にもTawatha Agee(back vo)、Hubert Eaves III(key)、Howard King(ds)、Basil Fearington(b)、Edward Moore(g)というMtumeメンバーが勢揃いし、レコーディングに参加しています。

それ以外にもValerie Simpson(p、back vo)、 John Simmons (p、back vo)、Yogi Horton(ds)、Raymond Calhoun(ds)、Kenneth Little(ds)、Francisco Centeno(b)、Marcus Miller(b)、Alvin Moody(b)、William "Doc" Powell(g)、Al McKay(g)、Ted "Pearly" Perlman(g)、Bobby Wooten(key、syn)、Dean Gant(key、syn)、Harry Whitaker(key)、Richard Tee(key)、Bernie Worrell(syn)、Peter Cannarozzi(syn)、Ed Walsh(syn)、Joseph Joubert(syn)等のミュージシャンが参加しています。

また、Nickolas AshfordBrenda WhiteFonzi ThorntonNorma Jean WrightUllanda McCulloughMary JohnsonPeggy BlueJosie Armsteadがバック・ヴォーカルを務めています。

アルバムからは「Last Night」「Keep Away Girls」「You Can't Run From My Love」の3曲がシングル・カットされました。特にMtume/Lucasらしいダンス・クラシック「You Can't Run From My Love」、Ashford & Simpson起用の成果が出たメロウ・ミディアム「Keep Away Girls」の2曲が本作のハイライトだと思います。

それ以外であれば、アーバン・メロウな「Your Love is Always New」、ダンサブルなファンク「True Love Don't Come Easy」あたりも個人的にはオススメです。

Mtume/Lucasとのタッグ4枚の中では一番注目度が低いかもしれませんが、Mtume/Lucas好きであれば十分楽しめる1枚だと思います。


全曲紹介しときやす。

「Last Night」
James Mtume & Reggie Lucas作/プロデュース。アルバムからの1stシングルとして全米R&Bチャート第14位となったファンク・グルーヴ。Mtume/Lucasらしいファンク・サウンドを楽しめるオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=eylurhSLJ-8

「Still Lovin' You」
Dean Gant/Imari Amani作。James Mtume & Reggie Lucasプロデュース。しっとりと歌い上げるラブ・バラード。Stephanieの素直なヴォーカルが栄えるビューティフルな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=BBv_EwbuuFU

「Keep Away Girls」
Nickolas Ashford & Valerie Simpson作/プロデュース。Ashford & Simpson起用の意図がよく分かるメロウ・ミディアム。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第13位となっています。同じ1982年にリリースされたDonald Fagen「I.G.Y.」あたりと曲調が似ているかもしれませんね。Stephanieの伸びやかヴォーカルが栄えます。Francisco Centenoのブリブリのベースもいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=5FZElGVMijA

Mista Lawnge「Only in the Summer」、KeKe「Duzo Nie Trzeba」のサンプリング・ソースとなっています。
KeKe「Duzo Nie Trzeba」
 https://www.youtube.com/watch?v=qr2LsPeo_QA

「You Can't Run From My Love」
James Mtume & Reggie Lucas作/プロデュース。アルバムからの3rdシングルにもなりました。今日的にはこのダンサブルなファンク・チューンがハイライトなのでは?Mtume/Lucas好きならば、文句なしに気に入るであろうダンス・クラシックだと思います。僕も一番のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=uf3yNCdPwvQ

Moonraker「Just By」、Ledge「Together」、Sean Biddle「You Can't Run From My Love」のサンプリング・ソースとなっています。

「True Love Don't Come Easy」
Edward Moore/James Balton作。James Mtume & Reggie Lucasプロデュース。「You Can't Run From My Love」、「Last Night」のせいで隠れがちですが、コレもMtume/Lucasらしさを楽しめるダンサブルなファンク・チューンです。Dunn Pearsonのアレンジもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=4vAqPDxwFsM

「'Ole Love」
Joey Mills/V. Eaglyn作。Stephanie Millsプロデュース。オトナのラブ・バラードをムードたっぷりに歌い上げます。哀愁のスパニッシュ・テイストもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=ysqMTz1h2As

Sean Boog「Standing O」のサンプリング・ソースとなっています。
Sean Boog「Standing O」
https://www.youtube.com/watch?v=BwYAQnU0PwQ

「Your Love is Always New」
Jim Andron/Mark Winkler作。James Mtume & Reggie Lucasプロデュース。個人的には「You Can't Run From My Love」に次いで好きなのがこのアーバン・メロウ。Stephanieのキュートな歌声が胸キュン度を高めてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=FPamkvFxQfE

「I Can't Give Back the Love I Feel For You」
Brian Holland/Nickolas Ashford/Valerie Simpson作。Nickolas Ashford & Valerie Simpsonプロデュース。Rita Wrightのカヴァーです。感動的にバラードを歌い上げる前半から一転して、アップテンポの中盤以降へ・・・ミュージカル仕込みのStephanieのヴォーカルの素晴らしさを実感しながら、ドラマチックに幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=BlSULsUl8As

再発CDには「Wailin'」「You Can't Run From My Love (12" Remix)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。特に後者は嬉しいですね。

Stephanie Millsの他作品もチェックを!

『For the First Time』(1975年)
Stephanie Mills/For The First Time

『What Cha Gonna Do With My Lovin'』(1979年)
ホワッチャ・ゴナ・ドゥ・ウィズ・ラヴィン

『Sweet Sensation』(1980年)
スウィート・センセーション

『Stephanie』(1981年)
ステファニー

『Merciless』(1983年)
Merciless ~ Expanded Edition + Bonus Tracks [from UK]

『I've Got the Cure』(1984年)
I've Got The Cure ~ Expanded Edition [from UK]

『Stephanie Mills』(1985年)
Stephanie Mills

『If I Were Your Woman』(1987年)
If I Were Your Woman

『Home』(1989年)
Home

『Something Real』(1992年)
Something Real

『Personal Inspirations』(1994年)
Personal Inspiration
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2017年02月19日

Jose James『Love In A Time Of Madness』

もはやジャズではない!Jose流R&B作品☆Jose James『Love In A Time Of Madness』
ラヴ・イン・ア・タイム・オブ・マッドネス
発表年:2017年
ez的ジャンル:新世代男性シンガー
気分は... :狂った時代に愛を・・・

今回は新世代男性ジャズ・シンガーの筆頭格Jose Jamesの最新作『Love In A Time Of Madness』です。

1978年ミネアポリス生まれの男性ジャズ・シンガーJose Jamesについて、これまで当ブログで紹介した作品は以下の5枚。

 『The Dreamer』(2007年)
 『Blackmagic』(2010年)
 『No Beginning No End』(2013年)
 『While You Were Sleeping』(2014年)
 『Yesterday I Had The Blues』(2015年)

Billie Holidayへのトリビュート『Yesterday I Had The Blues』(2015年)は、Jose Jamesというアーティストの根っ子には、しっかりジャズがあること認識できた1枚でした。

しかし、新作『Love In A Time Of Madness』は、その真逆でJose Jamesというアーティストがジャズには全く固執していないことを示したR&Bアルバムに仕上がっています。

前作からの振り幅の大きさは半端ないですが、そもそもJose Jamesをよく聴いている人って、ジャズ専門リスナーの人は少ないと思うので、こうしたR&B寄りのアルバムをリリースすることは大歓迎なのでは?

アルバム・タイトルに反映されているように、本作のテーマは"愛の大切さ"。狂った今の時代だからこそ愛に目を向けよう!というメッセージがアルバム全体を貫きます。

TarioことAntario Holmesをメイン・プロデューサーに据え、プロデューサー・ユニットLikemindsChris Soper/Jesse Singer)も数曲でプロデューサーに起用しています。

こうしたプロデューサー陣を迎え、生演奏よりプログラミングを多用しているのも本作の特徴です。今作はサウンド以上にメッセージを重視しているように思われるので、その意味でプログラミングを駆使した美しくも儚いアトモスフィア/アンビエント/ミニマルなサウンドはコンセプトにフィットしていると思います。

クリスチャンR&Bの男性シンガーMali Music、ベテラン女性シンガーOleta Adamsがフィーチャリングされ、Solomon Dorsey(b)、Nate Smith(ds)といったJoseのバンド・メンバー、元The NPG HornzPhilip Lassiter(tp、horn arr)等も参加しています。

Philip Lassiterの参加に象徴されるように、同郷の偉大なミュージシャンであった故Princeへのオマージュ的な曲があるのも興味深いですね。

楽曲はすべてJose Jamesや参加プロデューサー/ミュージシャンらによるオリジナルです。

新世代男性ジャズ・シンガーのR&B作品!
ジャンルの壁など作らず、扉を開けてみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Always There」
オープニングは美しくも儚いR&Bチューン。シンセとドラム・プログラミングのみのシンプルなトラックをバックに、大切な愛を歌います。このアトモスフィアな雰囲気はSiRあたりと一緒に聴きたいです。
https://www.youtube.com/watch?v=BgPViIFfCB4

「What Good Is Love」
愛を問いかける哀愁モードのアンビエントR&B。シンセ、キーボードとドラム・プログラミングのみのサウンドをバックに、切々とJoseが歌い上げます。

「Let It Fall」
Mali Musicをフィーチャー。ギターも入ったゴスペル調のR&Bチューンですが、儚くアトモスフィアな雰囲気も保っています。

「Last Night」
ミニマルな電子サウンドをベックに、哀愁のメロディを歌い上げます。

「Remember Our Love」
Likemindsプロデュース曲。5曲目にして、ようやくポジティヴな方向へ動き出します。力強く希望に満ちたJoseの歌声が印象的です。

「Live Your Fantasy」
Princeへのオマージュ。ダンサブルなサウンドをバックに、Joseがセクシーなヴォーカルを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OPdt_WQhHw8

「Ladies Man」
前曲と流れを汲むミネアポリス・ファンク調のダンサブル・チューン。思わずハンド・クラップしてしまうダンス・チューンは昨今のディスコ/ブギー・ブームの流れもあるのでしょうね。

「To Be With You」
美しいメロウ・バラード。アルバムの中で最もジャズを感じるのはコレかもしれませんね。Mali Musicの美しい鍵盤が演奏面で大きく貢献しています。
https://www.youtube.com/watch?v=-Jqs-9DUoIg

「You Know I Know」
Likemindsプロデュース曲。ミニマルな電子サウンドと美しさと脆さが同居するようなJoseの歌声がいいですね。自分の弱さをさらけ出すことで強くなっている感じが好きです。

「Breakthrough」
これもLikemindsプロデュース。揺らめくエレクトリック・サウンドをバックに、前向きに壁を乗り越えようとする決意をJoseが歌い上げます。

「Closer」
オートチューンも使ったミディアム・バラードを淡々の歌います。
https://www.youtube.com/watch?v=yeqT4BH5mgo

「I'm Yours」
Oleta Adamsをフィーチャー。ラストはピアノ、シンセのみのバックでオーセンティックなバラードをOleta Adamsとのデュエットで歌います。

国内盤には『No Beginning No End』(2013年)収録曲のTarioによるリミックス「Trouble (Tario Remix)」と、「Live Your Fantasy」の。J Dilla調のリミックス「Live Your Fantasy (WONK Remix)」がボーナス・トラックとして追加収録されています。2曲共なかなかいいですね。国内盤にして良かった!

Jose Jamesの他作品もチェックを!

『The Dreamer』(2007年)
The Dreamer [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック3曲収録 / 国内盤] (BRC369)

『Blackmagic』(2010年)
Blackmagic [帯解説・ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] 期間限定廉価盤 (BRC246Z)

Jose James & Jef Neve『For All We Know』(2010年)
For All We Know

『No Beginning No End』(2013年)
ノー・ビギニング・ノー・エンド

『While You Were Sleeping』(2014年)
While You Were Sleeping

『Yesterday I Had The Blues』(2015年)
イエスタデイ・アイ・ハド・ザ・ブルース
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2017年02月18日

Sandie Shaw『Sandie』

スウィンギング・ロンドンの歌姫のデビュー・アルバム☆Sandie Shaw『Sandie』
サンディ
発表年:1965年
ez的ジャンル:スウィンギン・ロンドン系女性シンガー
気分は... :裸足の女王!

今回はスウィンギン・ロンドンな1枚、Sandie Shaw『Sandie』(1965年)です。

Sandie Shawは1947年、イギリス、エセックス州生まれの女性シンガー。"裸足の女王"として人気を博したスウィンギング・ロンドンの歌姫の一人です。

弱冠17歳で敏腕女性マネジャーEve Taylorの下、Chris Andrewsプロデュースで1964年にシングル「As Long As You're Happy Baby」でデビュー。

続く2ndシングルとなったLou Johnsonのカヴァー「(There's) Always Something There To Remind Me」(Burt Bacharach/Hal David作)がUKシングル・チャート第1位となり、彼女の快進撃が始まります。

その後も「Girl Don't Come」(UKシングル・チャート第3位)、「I'll Stop at Nothing」(UKシングル・チャート第4位)、「Long Live Love」(UKシングル・チャート第1位)、「Message Understood」(UKシングル・チャート第6位)、「Puppet on a String」(UKシングル・チャート第1位)、「Monsieur Dupont」(UKシングル・チャート第6位)といったヒットを60年代に放っています。

アルバムとしては『Sandie』(1965年)、『Me』(1965年)、『Love Me, Please Love Me』(1967年)、『The Sandie Shaw Supplement』(1968年)、『Reviewing the Situation』(1969年)の5枚を60年代にリリースしています。

今回紹介する『Sandie』(1965年)は彼女のデビュー・アルバムであり、UKアルバム・チャート第1位となったヒット・アルバムです。加えて、再発CDには「As Long As You're Happy Baby」「(There's) Always Something There To Remind Me」「Girl Don't Come」「I'll Stop At Nothing」「Long Live Love」「Message Understood」といった初期ヒット・シングルがボーナス・トラックで追加収録された超お得な1枚となっています。

こうしたボーナス・トラックに目を奪われがちになりますが、アルバム本編もなかなか充実しています。スウィンギング・ロンドン好きの人であれば、ヒット・シングル以上に気に入るであろう曲が多数収録されています。

本編はヒット曲カヴァーとChris Andrews作のオリジナルから構成されています。特にスウィンギング・ロンドン好きにオススメなのが、R&Bフィーリングの「Everybody Loves A Lover」「Baby I Need Your Loving」「Don't Be That Way」「It's In His Kiss」、ビートの効いた「Gotta See My Baby Every Day」あたりです。

17歳のデビュー・アルバムとは思えないほど、キュートな中にも落ち着きがあるのがいいですね。

スウィンギング・ロンドンの歌姫の魅力を堪能しましょう!

全曲紹介しときやす。

「Everybody Loves A Lover」
Robert Allen/Richard Adler作。Doris Day、1958年のヒット曲をカヴァー。Sandieヴァージョンは1962年のThe Shirellesヴァージョンをお手本にした仕上がりです。スウィンギング・ロンドンらしいR&Bフィーリングのヒップなカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=F5G6YFhQCG4

「Gotta See My Baby Every Day」
Chris Andrews作。ビートの効いたロッキン・サウンドをバックに、Sandieがキュートなヴォーカルで弾けます。スウィンギング・ロンドン好きにはたまらない仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=6cPof98K1j0

「Love Letters」
Edward Heyman/Victor Young作。Ketty Lesterのヒット(1962年)で知られる曲をカヴァー。オリジナルは同名映画(1945年)の主題歌です。可憐にバラードを歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=dhwFnxJeXAI

「Stop Feeling Sorry For Yourself」
Chris Andrews作。甘酸っぱい青春の香りのするミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=ngETbuhWvME

「Always」
Irving Berlinが1925年に書いたポピュラー・スタンダードをカヴァー。悪くはないけど、スウィンギング・ロンドン好きの人には少し拍子抜けかも?

「Don't Be That Way」
Chris Andrews作。ビートの効いたスウィンギング・ロンドンな仕上がり。ヒップなサウンドをバックにSandieの初々しさが眩しく栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=OwDKaQtyfZ0

「It's In His Kiss」
Betty Everett、1964年のヒット曲をカヴァー(Rudy Clark作)。オリジナルはMerry Claytonのヴァージョン(1963年)です。ポップとR&Bが程よくブレンドしている感じがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=uFZIkr5mAog

「Downtown」
Petula Clark、1964年の大ヒット曲をカヴァー(Tony Hatch作)。どうしてもPetula Clarkの印象が強い曲ですが、Sandieヴァージョンもオリジナルの雰囲気を受け継いでいます。
https://www.youtube.com/watch?v=4zrS3mlg4VI

「You Won't Forget Me」
Jackie DeShannon/Shari Sheeley作。作者Jackie DeShannonヴァージョンはアルバム『Breakin' It Up on the Beatles Tour』(1964年)に収録されています。Sandieヴァージョンはハープシコードがアクセントのキュートなポップ・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=f9zll471bZw

「Lemon Tree」
Will Holt作のフォーク・ソングをカヴァー。オールディーズ感の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=W6-35VJ4YGw

「Baby I Need Your Loving」
Four Tops、1964年のヒット曲をカヴァー(Holland-Dozier-Holland作)。SandieのヴォーカルとR&Bサウンドの相性の良さを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=EIhtsV7wz5A

「Talk About Love」
Chris Andrews作。本編のラストはポップに弾けて締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=5ZE_KUi59ns

前述のように国内再発CDには初期シングルやそのB面曲が発売順にボーナス・トラックとして追加収録されています。

「As Long As You're Happy Baby」
Chris Andrews作。デビュー・シングル。初々しさの中にもSandieの持つR&Bフィーリングな魅力を確認できます。
https://www.youtube.com/watch?v=RHFhT4k0jOU

「(There's) Always Something There To Remind Me」
Burt Bacharach/Hal David作。2ndシングルとしてUKシングル・チャート第1位の大ヒットとなりました。ストリングスをバックにSandieが堂々と歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=-RpOUa1bkNQ

「Don't You Know」
Chris Andrews作。シングル「(There's) Always Something There To Remind Me」のB面曲です。しっとりと歌い上げます。10代にしてSandieが完成度の高いシンガーであったことを実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZV55mxXKQ6U

「Girl Don't Come」
Chris Andrews作。3rdシングルとしてUKシングル・チャート第3位のヒットとなりました。哀愁のポップ・ソングを可憐に歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=BTuzSwu8YLo

「I'll Stop At Nothing」
Chris Andrews作。4thシングルとしてUKシングル・チャート第3位のヒットとなりました。R&Bフィーリングのポップ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=lIp72ZP-WLg

「Long Live Love」
Chris Andrews作。5thシングルとしてUKシングル・チャート第1位の大ヒットとなりました。Chris Andrewsとのコンビの快調ぶりが窺えるポップ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=MUybFOUSb0I

「Message Understood」
Chris Andrews作。6thシングルとしてUKシングル・チャート第6位のヒットとなりました。オルガンがアクセントのスウィンギング・ロンドンらしいポップ・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=2RLcw2bpOoU

Sandie Shawの他作品もチェックを!

『Me』(1965年)
ME

『Love Me, Please Love Me』(1967年)
LOVE ME, PLEASE LOVE ME

『The Sandie Shaw Supplement』(1968年)
Sandie Shaw Supplement

『Reviewing the Situation』(1969年)
REVIEWING THE SITUATION
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2017年02月17日

Norman Feels『Norman Feels』

再評価の高いニュー・ソウル作品☆Norman Feels『Norman Feels』
ファースト・アルバム
発表年:1973年
ez的ジャンル:デトロイト系ニュー・ソウル
気分は... :断捨離!CD以外は(笑)

遅まきながら断捨離を断行中!
家電、衣類、書籍等を大量に処分しています。

ただし、CDだけは別です。
増え続けるCDの保管場所の確保のための断捨離なので・・・
これって断捨離になっていないかも(笑)

今回は70年代ソウル作品からNorman Feels『Norman Feels』(1973年)です。

デトロイト出身の男性ソウル・シンガーNorman Feelsの紹介は、2ndアルバム『Where or When』(1974年)に続き2回目となります。

Just Sunshine Recordsからリリースされた『Norman Feels』(1973年)、『Where or When』(1974年)という2枚のアルバムは共に今日再評価の高いソウル作品ですね。

本作『Norman Feels』(1973年)は、Marvin Gaye『What's Going On』調のニュー・ソウルな雰囲気や、Norman Feelsの類い稀な声質の美しさを楽しめるソウル作品に仕上がっています。

プロデュースはSal Scaltr。レコーディングにはUriel Jones(ds)、Eddie "Bongo" Brown(congas)、Eddie Willis(g)、Robert White(g)といった元The Funk Brothersの面々をはじめ、名うてのミュージシャンが参加しています。また、オーケストレーションはDavid Van De Pitteが手掛けています。

バック・コーラスにはTony Orlando & DawnのメンバーであったTelma HopkinsJoyce Vincentも参加しています。

ニューソウル的な雰囲気を楽しみたいのであれば、「Don't」「Till I Found You」「My World Is Empty Without You」「Today」がオススメです。

Feelsの声質の良さを堪能するのであれば、「They Said It Couldn't Be Done」「Yes You Did」、元The FascinationsのBernadine Boswellとのデュエット「Everything Is Going Our Way」をどうぞ!

また、哀愁バラード「Something In Me」は近年サンプリング・ソースとして人気です。

「My World Is Empty Without You」以外はすべてNorman Feelsのオリジナルです。

全曲紹介しときやす。

「Don't」
クラヴィネットやワウワウ・ギターが妖しく響くニュー・ソウルな雰囲気プンプンのオープニング。コンガによるパーカッシヴなスパイスもいい塩梅です。David Van De Pitteのオーケストレーションも盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=iaBdsyWDMgg

「Till I Found You」
声質の良いFeelsのファルセット・ヴォーカルが栄えるミディアム・グルーヴ。ニュー・ソウルななスウィートネスがいいですな。
https://www.youtube.com/watch?v=IVC4c5UEsAI

「They Said It Couldn't Be Done」
これもFeelsの声質の良さを生かしたバラード。抜群に上手いって感じではありませんが、澄んだ声の美しさに魅了されます。
https://www.youtube.com/watch?v=9UnMSWukXDs

Nas feat. Rick Ross「Accident Murderers」、Havoc feat. Ferg Brim「Separated (Real From the Fake)」、K-Rino「Seeing Thru Ya」のサンプリング・ソースになっています。
Nas feat. Rick Ross「Accident Murderers」
 https://www.youtube.com/watch?v=eo0iodtx40U
Havoc feat. Ferg Brim「Separated (Real From the Fake)」
 https://www.youtube.com/watch?v=dY0vLgBij5g
K-Rino「Seeing Thru Ya」
 https://www.youtube.com/watch?v=VB5FnvjCDx8

「Something In Me」
哀愁モードのバラード。澄んだファルセットで切々と歌い上げるヴォーカルは"内なる声"って感じですね。David Van De Pitteのアレンジが冴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=AebIy96XQYo

近年はサンプリング・ソースとしても人気です。Faccao Central「Sao Paulo Aushwit'z Versao Brasileira」、Venomous2000 & Trilian feat. DJ TMB 「Know Things」、The Away Team「Interior」、ScHoolboy Q feat. Ab-Soul「Druggys Wit Hoes」、French Montana feat. Torch & Uncle Murda「Ghetto Boy」、Papa J. Ruiz「Government Cake」、Big K.R.I.T.「86」、A286「A Cronica Do Nada」でサンプリングされています。
Faccao Central「Sao Paulo Aushwit'z Versao Brasileira」
 https://www.youtube.com/watch?v=2za3rJXYCiA
ScHoolboy Q feat. Ab-Soul「Druggys Wit Hoes」
 https://www.youtube.com/watch?v=WFbgRmkzU08
French Montana feat. Torch & Uncle Murda「Ghetto Boy」
 https://www.youtube.com/watch?v=QloKHCjXOBM
A286「A Cronica Do Nada」
 https://www.youtube.com/watch?v=cvGQgyc8rIQ
Venomous2000 & Trilian feat. DJ TMB 「Know Things」
 https://www.youtube.com/watch?v=1NekW1t5ijY

「My World Is Empty Without You」
The Supremesのヒット曲をカヴァー(Holland–Dozier–Holland作)。オリジナルとは異なる
Marvin Gaye『What's Going On』の世界観を受け継いだカヴァーに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NfFxt5IdNsc

「Yes You Did」
意外にいいのがコレ。切ない男心を歌ったミディアム・ソウル。Feelsの澄み切ったヴォーカルの魅力がよくわかります。

「Something About You (Makes Me Love You)」
ラブ・バラードをしっとり丁寧に歌い上げます。Feelsのヴォーカルから愛しさが伝わってきます。

「Today」
ニューソウル感たっぷりのCurtis Mayfield調のグルーヴィー・ソウル。僕好みのパーカッシヴな展開です。
https://www.youtube.com/watch?v=EPSORlKMpHk

「Everything Is Going Our Way」
ラストは元The FascinationsのBernadine Boswellとのデュエット。ゴスペル調のエモーションなバラードで締め括ってくれます。

未聴の方は2nd『Where or When』(1974年)もセットでどうぞ!

『Where or When』(1974年)
ホエア・オア・ホエン
posted by ez at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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