注目の女性SSW、初のソロ名義作品☆
Becca Stevens『Regina』♪
発表年:2017年
ez的ジャンル:ミューズ系ハイブリッド女性SSW
気分は... :ドアの向こうにミューズが・・・
連休なので昨日に続いて新作を・・・注目の女性シンガー・ソングライター
Becca Stevensの最新作
『Regina』です。
ノースカロライナ出身、N.Y.のニュースクール大学でジャズ・ヴォーカルを専攻した女性シンガー・ソングライター
Becca Stevensの紹介は、
Becca Stevens Band名義の
Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)、
Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)に続き3回目となります。
また、昨年リリースされた
Becca Stevens、
Gretchen Parlato、
Rebecca Martinという女性アーティスト3名によるスペシャル・ユニット
Tilleryのデビュー・アルバム
『Tillery』も当ブログで紹介済みです。
最新作
『Regina』は、初のソロ名義の作品となります。
現行ジャズを牽引するジャズ・ミクスチャー・バンド
Snarky Puppyが設立した
GroundUP Musicからのリリースです。
"女王"を意味するアルバム・タイトルに象徴されるように、本作
『Regina』は歴史・文学の世界に登場する女性からインスパイアされた作品になっています。
また、ロンドンに赴きレコーディングを行うなど、様々なミュージシャンとの交流を通して、自身の音楽の幅を広げようとしている点にも注目です。
さらに、本作ではスタジオならではの多重録音によるヴォーカル・ワークも重視しています。このあたりは
Tilleryでの活動成果をソロ作に還元したのかもしれませんね。
プロデュースは
Troy Miller。さらに
Becca Stevens本人、
Snarky Puppyのリーダー
Michael League、デビュー・アルバム『In My Room』(2016年)でその才能を示したロンドン出身の若きSSW/マルチ・インストゥルメンタリスト
Jacob Collierが共同プロデューサーとしてクレジットされています。
Michael League、Jacob CollierはBeccaやJacob Collierがフィーチャリングされていた
Snarky Puppy『Family Dinner Volume Two』(2016年)で形成された人脈です。
Snarky Puppy『Family Dinner Volume Two』(2016年)
レコーディングには
Becca Stevens(vo、g、charango、ukulele)以下、
Troy Miller(ds、el-p、syn b、harmonium、vibe)、
Michael League(back vo、g、moog、ds)に加え、
Liam Robinson(p、el-p、syn、accordion)、
Chris Tordini(b)、
Jordan Perlson(ds、per)といった
Becca Stevens Bandの仲間がバッキングを務めます。
さらに前述の
Jacob Collier、同じく
『Family Dinner Volume Two』でフィーチャリングされていたUKの黒人女性SSW、
Laura Mvula、GroundUP Musicから最新作『Lighthouse』(2016年)をリリースした大御所の男性SSW、
David Crosby、"今ジャズ"好きにはお馴染みのSSW/ミュージシャン
Alan Hampton、オーストラリア出身でBeccaと同じくジャズをバックボーンに持つ女性SSW/ヴァイオリン奏者
Jo Lawryといったミュージシャンがフィーチャリングされています。
上記以外に以外に
Oli Rockberger(p)、日本人ヴァイオリン奏者の
徳永慶子さんも所属するN.Y.の若手弦楽四重奏団
Attacca Quartet(Amy Schroeder、Andrew Yee、Keiko Tokunaga、Luke Fleming)も参加しています。
アルバム全体として、歴史・文学からのインスパイアや、様々なミュージシャンからの刺激を糧に、これまでBeccaが構築してきた音世界をさらに深化させた印象を受けます。
歴史・文学の世界に登場する"女王(レジーナ)"のようにジャケに写るBeccaの凛とした表情が、アーティストとしての自信を物語っているのでは?
もはや"Jazz The New Chapter"云々で語ることが全く不要な、素晴らしい女性SSW作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Venus」Laura Mvulaをフィーチャー。Lauraの最新作『The Dreaming Room』(2016年)もTroy Millerがプロデュースしており、Becca、Laura、Troy Millerの三者の音イメージが一致している感じがいいですね。インディー・ロック+エレクトロニカ+ソウルなが見事に融合したオープニングです。本作らしい素敵なヴォーカル・ワークを楽しめます。
Laura Mvula『The Dreaming Room』(2016年)
「Lean On」Attacca Quartetによる美しいストリングスを配した幻想的なフォーキー・ジャズ。Beccaの多重録音によるコーラスが幻想的な音世界に拡がりを持たせています。
「Both Still Here」Jacob Collierをフィーチャー。Beccaのチャランゴの音色が印象的な1曲で、Jacob Collierがマルチ・インストゥルメンタリストぶりを発揮しています。♪人生は一瞬の夢♪と歌い、その美しくも儚い世界観を見事に音で表現しています。
Jacob Collier『In My Room』(2016年)
「45 Bucks」過去に振り向かず、前へ進んでいく女性の潔さを感じるタフな仕上がり。チャランゴの持つ神秘的な響きとエレクトロニカなエッセンスをうまく融合させているのがいいですね。
「Queen Mab」Jo Lawryをフィーチャー。シェイクスピアによる有名な『ロミオとジュリエット』からインスパイアされた楽曲。インディー・ロックなサウンドをバックに、BeccaとJo Lawryが素晴らしいヴォーカル・ワークで聴く者を魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=XchJQV8accMJo Lawry『Taking Pictures』(2015年)
「We Know Love」Alan Hamptonをフィーチャー。初代レスター伯ロバート・ダドリーから女王エリザベス1世への手紙からインスパイアされた楽曲。当ブログでも紹介したHamptonの
『Origami for the Fire』(2014年)がお好きな人であれば、気に入るであろう幻想的&牧歌的なビューティフル・ソングに仕上がっています。
Alan Hampton『Origami for the Fire』(2014年)
「Mercury」Jo Lawryをフィーチャー。Freddie Mercuryに捧げられたドライブ感のあるロック・チューン。Becca Stevens Bandの仲間が力強いバッキングで好サポートしています。
「Regina」タイトル曲はギター、ウクレレ、チャランゴの響きが美しく重なった幻想的で美しいフォーキー・チューンに仕上がっています。Attacca Quartetの好サポートもグッド!
「Harbour Hawk」Jo Lawryをフィーチャー。静と動のコントラストが見事な1曲に仕上がっています。1曲の中にドラマがあります。
「Well Loved」Laura Mvulaをフィーチャー。「Venus」と同様に、Becca、Laura、Troy Millerの三者のコラボならではの世界観を楽しめる幻想的なビューティフル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4OBKmZVOMuk「Ophelia」Attacca Quartetを配したフォーキー・チューン。タイトルの通り、『ハムレット』のオフィーリアを歌ったものです。Beccaの歌声が時を超えていきます。
「The Muse」David Crosbyをフィーチャー。困難を乗り越えるために、ドアの向こうからノックしてくれる女神のことを歌います。
David Crosbyの作詞ですが、このミューズ(女神)とは正にBeccaのことかもしれませんね。
「As」Jacob Collierをフィーチャー。ラストは
Stevie Wonder『Songs In The Key Of Life』収録の名曲カヴァーで締め括ってくれます。チャランゴの音色をバックに、BeccaとJacob Collierが感動的なデュエットを聴かせてくれます。
国内盤には
「45 Bucks (Original Demo)」、
「Both Still Here (Original Demo)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
Becca Stevensの他作品もチェックを!
Becca Stevens Band『Tea Bye Sea』(2008年)
Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
Tillery『Tillery』(2016年)