2017年03月25日

Joseph Malik『Aquarius Songs』

エディンバラ出身の男性SSW/DJの2ndアルバム☆Joseph Malik『Aquarius Songs』
Aquarius Songs
発表年:2004年
ez的ジャンル:コンポスト系フューチャー・ジャズ
気分は... :クールな美学!

今回はドイツの人気クロスオーヴァー・ジャズ・レーベルCompost Recordsの作品からJoseph Malik『Aquarius Songs』(2004年)です。

Joseph Malikはスコットランド、エディンバラ出身の男性シンガー・ソングライター/DJ。

A.J NutallとのユニットBlacka'nizedでの活動や、当ブログでも紹介したドイツのNu JazzユニットTruby Trioのフィーチャリング・ヴォーカリストとしても有名かもしれません。

自身の名義では『Diverse』(2002年)と『Aquarius Songs』(2004年)という2枚のアルバムをCompost Recordsからリリースしています。2枚共に実質上はUKのマルチ・インストゥルメンタリストDavid Donnellyとのコラボ作です。

2枚目のソロ・アルバムとなる本作『Aquarius Songs』では、1stの『Diverse』以上によりフロアを意識したダンサブル・チューンが目立つ1枚に仕上がっています。

4つ打ちのダンサブル・チューン「Believe & See」、フロア仕様のフューチャー・ジャズ「Dream Dancer」、クールなスパニッシュ・チューン「Diablo」、ブラジリアンな「Silent Fools」、フューチャー・アーバン・メロウ「Mistress Moonlight」、セピアなジャジー・ミディアム「Aquarius Song」あたりがオススメです。

アルバム全体に貫かれたクールな美学が魅力の1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Aquarius Song」
タイトル曲はミステリアスなムードに包まれたジャジー・ミディアム。雰囲気のあるホーン・アンサンブルをはじめ、セピアなジャジー・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=nnm5yDmChwM

「Diablo」
スパニッシュ・ギター、バンドネオン、フラメンコ調の手拍子が印象的なクロスオーヴァー・チューン。クールなスパニッシュ感にヤラれます。
https://www.youtube.com/watch?v=U0ID_Kp74-s

「Silent Fools」
シングルにもなりました。アコースティックな質感を生かしたメロウ&ミステリアスなダンサブル・チューン。中盤からブラジリアンなエレメンツも加わって盛り上がりが加速します。
https://www.youtube.com/watch?v=bpUYcbk9Nzw

「Nebula」
カリンバの音色をはじめ、トライバルな疾走感をフューチャリスティックに仕上げています。

「Dream Dancer」
Grand Unifiedプロデュース。クールなアッパー感にグッとくるフロア仕様のフューチャー・ジャズ。ミッドナイトな疾走感が格好良いです!
https://www.youtube.com/watch?v=yBYdZFGhbi0

「Believe & See」
4つ打ちのダンサブル・チューンはDJ人気の高い1曲なのでは?クールに疾走していくフューチャリスティック感がいいですね。

「Mistress Moonlight」
フューチャー・アーバン・メロウとでも呼びたくなるフューチャリスティックなジャジー・メロウ。今の僕の気分にかなりフィットする1曲です。

「Casualties Of War」
Steven Christieプロデュース。これまでの楽曲とは異なり生音重視のソウル・チューンに仕上がっています。

「Race Relations (Live)」
ラストはアコースティックなライブ・サウンドで締め括ってくれます。

未聴の方は『Diverse』(2002年)もチェックを!

『Diverse』(2002年)
Diverse
posted by ez at 14:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月24日

Grace Jones『Living My Life』

Sly & Robbieらが参加したコンパス・ポイント録音の第3弾☆Grace Jones『Living My Life』
Living My Life
発表年:1982年
ez的ジャンル:コンパス・ポイント系クロスオーヴァー
気分は... :完勝!

サッカー日本代表のアウェーでのUAE戦を2対0で勝利しました。
山口をアンカー、今野をインサイドハーフで起用した4-3-3がハマりましたね。

苦肉の策の4-3-3だったかもしれませんが、個人的には4-2-3-1より4-3-3を支持します。

モデル出身のクール・ビューティーGrace Jonesの久々の登場です。
紹介するのは『Living My Life』(1982年)。

ジャマイカ生まれの女性シンガーGrace Jonesの紹介は『Nightclubbing』(1981年)、『Slave To The Rhythm』(1985年)に続き3回目となります。

本作『Living My Life』(1982年)は、

『Warm Leatherette』(1980年)、『Nightclubbing』(1981年)に続くバハマのCompass Point Studiosでのレコーディング第3弾となります。

プロデュースはコンパス・ポイントでの前2作と同じくAlex SadkinChris Blackwell

レコーディング・メンバーはSly Dunbar (ds)、Robbie Shakespeare(b)、Barry Reynolds(g)、Mickey Chung(g)、Wally Badarou(key)、Uziah Thompson(per)。Sly & Robbieをはじめ、前2作にも参加していたミュージシャンで固めています。

Grace Jones作品でお馴染みJean-Paul Goudeデザインによるジャケはインパクトがあります。

「Nipple to the Bottle」「The Apple Stretching」「My Jamaican Guy」「Cry Now, Laugh Later」といったシングルをはじめ、Sly & Robbieを中心としたソリッド・サウンドを楽しむことができます。

ニューウェイヴ+レゲエ+ファンク+ポップなクロスオーヴァー感が今聴いてもいい感じです。

Grace Jonesのコンパス・ポイント3作品の集大成的な1枚に仕上がっているのでは?

全曲紹介しときやす。

「My Jamaican Guy」
Grace Jones作。本作のハイライト。コンパス・ポイント録音らしいレゲエ/ダブ調のダンサブル・チューン。シングルにもなりました。イントロの哀愁シンセが印象的です。クロスオーヴァー感のあるグルーヴが格好良いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=nhMA6attV0Y

定番サンプリング・ソースとして人気です。Donald D & DJ Chilly-D「Dope Jam」、Kid 'N Play feat. The Real Roxanne「Undercover」、2 Much「Wild Thang」 、Gee & Jay「X-Rated Lynn」、The New Style「Start Smokin'」、Big Daddy Kane「Children R the Future」、Lord-Pre N' the Funk Legacy「On a Hoe Stroll」、LL Cool J「Doin It」、Nitty「ABC」、Keri Hilson「Do It」、Mahagani feat. The Game「DJ (Stand Over There)」、Fabolous feat. Nicki Minaj and Trey Songz「Doin It Well」等ののサンプリング・ソースになっています。

Kid 'N Play feat. The Real Roxanne「Undercover」
 https://www.youtube.com/watch?v=3hqFovxvxa8
2 Much「Wild Thang」
 https://www.youtube.com/watch?v=kCkpRJtHvgk
Gee & Jay「X-Rated Lynn」
 https://www.youtube.com/watch?v=HzrdMB0B7oc
The New Style「Start Smokin'」
 https://www.youtube.com/watch?v=3YaxX0p049k
Lord-Pre N' the Funk Legacy「On a Hoe Stroll」
 https://www.youtube.com/watch?v=tWH5YobUFvY
LL Cool J「Doin It」
 https://www.youtube.com/watch?v=zK1lSBSJVH0
Nitty「ABC」
 https://www.youtube.com/watch?v=3bkN-1t7oko
Keri Hilson「Do It」
 https://www.youtube.com/watch?v=Znn1RJfOiB4
Mahagani feat. The Game「DJ (Stand Over There)」
 https://www.youtube.com/watch?v=jMFplIzJQ7s
Fabolous feat. Nicki Minaj and Trey Songz「Doin It Well」
 https://www.youtube.com/watch?v=AvC8BEXgNjI

「Nipple to the Bottle」
Sly Dunbar/Grace Jones作。アルバムからのリード・シングル。80年代初めらしいニューウェイヴ感のあるファンク・チューンに仕上がっています。ソリッドなサウンドとGraceの強烈キャラがマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=-oxhr0JCqvQ

Molecular Beats Squadron「Transmit Power」、Jurassic 5「「Verbal Gunfight」のサンプリング・ソースにもなっています。
Molecular Beats Squadron「Transmit Power」
 https://www.youtube.com/watch?v=IPbIuvGd4kE
Jurassic 5「Verbal Gunfight」
 https://www.youtube.com/watch?v=yAyRxtD6rqI

「The Apple Stretching」
Melvin Van Peebles作。「Nipple to the Bottle」と両面Aシングルになった楽曲。Melvin Van Peeblesのカヴァーですが、レゲエ調のコンテンポラリー感が心地好い1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=xzxl4NDnQvE

「Everybody Hold Still」
Barry Reynolds/Grace Jones作。キャッチーさでいえば、コレが一番かも?この時代らしいソリッド・グルーヴが格好良いファンク・チューンです。
https://www.youtube.com/watch?v=Qk5vK34rQk8

Mr. James Barth「Hold Still」のサンプリング・ソースにもなっています。
Mr. James Barth「Hold Still」
https://www.youtube.com/watch?v=i5lVbgXlXvs

「Cry Now, Laugh Later」
Barry Reynolds/Grace Jones作。この曲もシングルになりました。Wally Badarouのキーボードが印象的なニューウェイヴ感のあるファンク・チューン。今回久々に聴き直して一番シビれたのが本曲でした。
https://www.youtube.com/watch?v=olvUiELw5aM

「Inspiration」
Barry Reynolds/Grace Jones作。クール・ビューティーらしい哀愁メロウ・グルーヴ。哀愁のギター・カッティングがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=j1hYX2iRslo

「Unlimited Capacity for Love」
Barry Reynolds/Grace Jones作。Sly & Robbieの力強いリズムが牽引する哀愁シンセ・ポップ調のダンサブル・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=iaJ7wRj_qXM

Grace Jonesの他作品もチェックを!

『Portfolio』(1977年)
ポートフォリオ

『Fame』(1978年)
Fame

『Muse』(1979年)
Muse

『Warm Leatherette』(1980年)
Grace Jones - Warm Leatherette

『Nightclubbing』(1981年)
Nightclubbing

『Slave To The Rhythm』(1985年)
Slave to the Rhythm

『Inside Story』(1986年)
Inside Story by Jones, Grace (2004-05-18) 【並行輸入品】

『Inside Story』(1989年)
Bulletproof Heart (Rmxs)
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2017年03月22日

Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes『Cosmic Funk』

コズミックな瞑想ワールドへようこそ!☆Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes『Cosmic Funk』
Cosmic Funk
発表年:1974年
ez的ジャンル:コズミック系スピリチュアル・ジャズ/ジャズ・ファンク
気分は... :マインドフルネス!

今回はジャズ・キーボード奏者Lonnie Liston SmithによるThe Cosmic Echoes名義の第2弾アルバム『Cosmic Funk』(1974年)です。

これまで当ブログで紹介したLonnie Liston Smith作品は以下の5枚です。

 『Astral Traveling』(1973年)
 『Expansions』(1975年)
 『Visions of a New World』(1975年)
 『Reflections Of A Golden Dream』(1976年)
 『Loveland』(1978年)

The Cosmic Echoesらしいコズミックなスピリチュアル・ジャズ/ジャズ・ファンクを存分に楽しめる1枚です。

レコーディング・メンバーはLonnie Liston Smith(p、el-p、per)以下、Donald Smith(vo、p、fl)、George Barron(sax、fl、per)、Al Anderson(el-b)、Lawrence Killian(congas、per)、Art Gore(ds)、Doug Hammond(per)、Andrew Cyrille(per)、Ron Bridgewater(per)。

正にLonnie Liston Smithサウンドを象徴するタイトル曲「Cosmic Funk」をはじめ、「Footprints」Wayne Shorter作)、「Naima」John Coltrane作)といったジャズ名曲のカヴァー、躍動するスピリチュアル・ジャズ「Beautiful Woman」、メロウに瞑想する「Peaceful Ones」James Mtume作の「Sais (Egypt)」など何処を切ってもLonnie Liston Smithワールドで溢れています。

いつ聴いても目を閉じて瞑想したくジャズ作品です。

全曲紹介しときやす。

「Cosmic Funk」
Lonnie Liston Smith作。タイトルの通り、コズミックなジャズ・ファンク。Lonnieの弟Donaldがヴォーカルをとります。僕好みのパーカッシヴ感にグッときます。スピリチュアル・ジャズ好きの人も楽しめるはず!
https://www.youtube.com/watch?v=Vt1oQ_6vtZk

「Footprints」
Wayne Shorterの名曲カヴァー。オリジナルは当ブログで紹介した『Adam's Apple』(1966年)に収録されています。当ブログではMiles DavisCarl & Joanne BarryGretchen Parlatoのカヴァーも紹介済みです。Lonnie Liston Smithらしいコズミック&スピリチュアルな好きカヴァーで楽しませてくれます。George Barronのサックス、Al Andersonのベースが格好良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=O7I9FF1uELc

「Beautiful Woman」
Lonnie Liston Smith作。スピリチュアルな躍動感があるヴォーカル曲。Lonnieの美しいピアノにもスピリチュアル感があります。
https://www.youtube.com/watch?v=G2beX7GlWtc

「Sais (Egypt)」
James Mtume作。コズミック&ミステリアスな仕上がり。古代エジプトへタイムスリップした雰囲気のコズミック・スピリチュアル・ジャズ。
https://www.youtube.com/watch?v=WF4gKyZW0k8

「Peaceful Ones」
Lonnie Liston Smith作。メロウ・エレピが神秘的に響く、Cosmic Echoesらしい瞑想系サウンドです。
https://www.youtube.com/watch?v=LnRKvqWEkyY

AZ「Born Alone Die Alone」、Maury B feat. Kiave「Non Puoi Fermare Il Flow」のサンプリング・ソースとなっています。
AZ「Born Alone Die Alone」
 https://www.youtube.com/watch?v=5xwjVFA0TOw
Maury B feat. Kiave「Non Puoi Fermare Il Flow」
 https://www.youtube.com/watch?v=lvL7W_uWNKo

「Naima」
John Coltrane作の名曲をカヴァー。当ブログでは『Live At The Village Vanguard Again!』のColtraneヴァージョンや、Gene HarrisPucho & His Latin Soul BrothersDoug CarnTom ScottJon Hendricksのカヴァーを紹介済みです。この幻想的なバラード名曲を瞑想にピッタリなコズミック・スピリチュアル・ジャズで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=nR7i_MDeq4o

Lonnie Liston Smithの過去記事もご参照下さい。

『Astral Traveling』(1973年)
アストラル・トラヴェリング(紙ジャケット仕様)

『Expansions』(1975年)
Expansions

『Visions of a New World』(1975年)
ヴィジョンズ・オブ・ア・ニュー・ワールド(紙ジャケット仕様)

『Reflections Of A Golden Dream』(1976年)
Reflections of a Golden Dream

『Loveland』(1978年)
ラヴランド
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2017年03月20日

Becca Stevens『Regina』

注目の女性SSW、初のソロ名義作品☆Becca Stevens『Regina』
レジーナ【日本先行発売】
発表年:2017年
ez的ジャンル:ミューズ系ハイブリッド女性SSW
気分は... :ドアの向こうにミューズが・・・

連休なので昨日に続いて新作を・・・注目の女性シンガー・ソングライターBecca Stevensの最新作『Regina』です。

ノースカロライナ出身、N.Y.のニュースクール大学でジャズ・ヴォーカルを専攻した女性シンガー・ソングライターBecca Stevensの紹介は、Becca Stevens Band名義のBecca Stevens Band『Weightless』(2011年)、Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)に続き3回目となります。

また、昨年リリースされたBecca StevensGretchen ParlatoRebecca Martinという女性アーティスト3名によるスペシャル・ユニットTilleryのデビュー・アルバム『Tillery』も当ブログで紹介済みです。

最新作『Regina』は、初のソロ名義の作品となります。

現行ジャズを牽引するジャズ・ミクスチャー・バンドSnarky Puppyが設立したGroundUP Musicからのリリースです。

"女王"を意味するアルバム・タイトルに象徴されるように、本作『Regina』は歴史・文学の世界に登場する女性からインスパイアされた作品になっています。

また、ロンドンに赴きレコーディングを行うなど、様々なミュージシャンとの交流を通して、自身の音楽の幅を広げようとしている点にも注目です。

さらに、本作ではスタジオならではの多重録音によるヴォーカル・ワークも重視しています。このあたりはTilleryでの活動成果をソロ作に還元したのかもしれませんね。

プロデュースはTroy Miller。さらにBecca Stevens本人、Snarky PuppyのリーダーMichael League、デビュー・アルバム『In My Room』(2016年)でその才能を示したロンドン出身の若きSSW/マルチ・インストゥルメンタリストJacob Collierが共同プロデューサーとしてクレジットされています。

Michael League、Jacob CollierはBeccaやJacob CollierがフィーチャリングされていたSnarky Puppy『Family Dinner Volume Two』(2016年)で形成された人脈です。

Snarky Puppy『Family Dinner Volume Two』(2016年)
Family Dinner Volume T

レコーディングにはBecca Stevens(vo、g、charango、ukulele)以下、Troy Miller(ds、el-p、syn b、harmonium、vibe)、Michael League(back vo、g、moog、ds)に加え、Liam Robinson(p、el-p、syn、accordion)、Chris Tordini(b)、Jordan Perlson(ds、per)といったBecca Stevens Bandの仲間がバッキングを務めます。

さらに前述のJacob Collier、同じく『Family Dinner Volume Two』でフィーチャリングされていたUKの黒人女性SSW、Laura Mvula、GroundUP Musicから最新作『Lighthouse』(2016年)をリリースした大御所の男性SSW、David Crosby、"今ジャズ"好きにはお馴染みのSSW/ミュージシャンAlan Hampton、オーストラリア出身でBeccaと同じくジャズをバックボーンに持つ女性SSW/ヴァイオリン奏者Jo Lawryといったミュージシャンがフィーチャリングされています。

上記以外に以外にOli Rockberger(p)、日本人ヴァイオリン奏者の徳永慶子さんも所属するN.Y.の若手弦楽四重奏団Attacca Quartet(Amy Schroeder、Andrew Yee、Keiko Tokunaga、Luke Fleming)も参加しています。

アルバム全体として、歴史・文学からのインスパイアや、様々なミュージシャンからの刺激を糧に、これまでBeccaが構築してきた音世界をさらに深化させた印象を受けます。

歴史・文学の世界に登場する"女王(レジーナ)"のようにジャケに写るBeccaの凛とした表情が、アーティストとしての自信を物語っているのでは?

もはや"Jazz The New Chapter"云々で語ることが全く不要な、素晴らしい女性SSW作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Venus」
Laura Mvulaをフィーチャー。Lauraの最新作『The Dreaming Room』(2016年)もTroy Millerがプロデュースしており、Becca、Laura、Troy Millerの三者の音イメージが一致している感じがいいですね。インディー・ロック+エレクトロニカ+ソウルなが見事に融合したオープニングです。本作らしい素敵なヴォーカル・ワークを楽しめます。

Laura Mvula『The Dreaming Room』(2016年)
THE DREAMING ROOM

「Lean On」
Attacca Quartetによる美しいストリングスを配した幻想的なフォーキー・ジャズ。Beccaの多重録音によるコーラスが幻想的な音世界に拡がりを持たせています。

「Both Still Here」
Jacob Collierをフィーチャー。Beccaのチャランゴの音色が印象的な1曲で、Jacob Collierがマルチ・インストゥルメンタリストぶりを発揮しています。♪人生は一瞬の夢♪と歌い、その美しくも儚い世界観を見事に音で表現しています。

Jacob Collier『In My Room』(2016年)
イン・マイ・ルーム

「45 Bucks」
過去に振り向かず、前へ進んでいく女性の潔さを感じるタフな仕上がり。チャランゴの持つ神秘的な響きとエレクトロニカなエッセンスをうまく融合させているのがいいですね。

「Queen Mab」
Jo Lawryをフィーチャー。シェイクスピアによる有名な『ロミオとジュリエット』からインスパイアされた楽曲。インディー・ロックなサウンドをバックに、BeccaとJo Lawryが素晴らしいヴォーカル・ワークで聴く者を魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=XchJQV8accM

Jo Lawry『Taking Pictures』(2015年)
テイキング・ピクチャーズ

「We Know Love」
Alan Hamptonをフィーチャー。初代レスター伯ロバート・ダドリーから女王エリザベス1世への手紙からインスパイアされた楽曲。当ブログでも紹介したHamptonの『Origami for the Fire』(2014年)がお好きな人であれば、気に入るであろう幻想的&牧歌的なビューティフル・ソングに仕上がっています。

Alan Hampton『Origami for the Fire』(2014年)
Origami For The Fire

「Mercury」
Jo Lawryをフィーチャー。Freddie Mercuryに捧げられたドライブ感のあるロック・チューン。Becca Stevens Bandの仲間が力強いバッキングで好サポートしています。

「Regina」
タイトル曲はギター、ウクレレ、チャランゴの響きが美しく重なった幻想的で美しいフォーキー・チューンに仕上がっています。Attacca Quartetの好サポートもグッド!

「Harbour Hawk」
Jo Lawryをフィーチャー。静と動のコントラストが見事な1曲に仕上がっています。1曲の中にドラマがあります。

「Well Loved」
Laura Mvulaをフィーチャー。「Venus」と同様に、Becca、Laura、Troy Millerの三者のコラボならではの世界観を楽しめる幻想的なビューティフル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=4OBKmZVOMuk

「Ophelia」
Attacca Quartetを配したフォーキー・チューン。タイトルの通り、『ハムレット』のオフィーリアを歌ったものです。Beccaの歌声が時を超えていきます。

「The Muse」
David Crosbyをフィーチャー。困難を乗り越えるために、ドアの向こうからノックしてくれる女神のことを歌います。David Crosbyの作詞ですが、このミューズ(女神)とは正にBeccaのことかもしれませんね。

「As」
Jacob Collierをフィーチャー。ラストはStevie Wonder『Songs In The Key Of Life』収録の名曲カヴァーで締め括ってくれます。チャランゴの音色をバックに、BeccaとJacob Collierが感動的なデュエットを聴かせてくれます。


国内盤には「45 Bucks (Original Demo)」「Both Still Here (Original Demo)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

Becca Stevensの他作品もチェックを!

Becca Stevens Band『Tea Bye Sea』(2008年)
ティー・バイ・シー

Becca Stevens Band『Weightless』(2011年)
Weightless

Becca Stevens Band『Perfect Animal』(2014年)
パーフェクト・アニマル

Tillery『Tillery』(2016年)
ティレリー
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2017年03月19日

Sampha『Process』

UK期待の男性R&Bシンガーのデビュー・アルバム☆Sampha『Process』
Process [ライナーノーツ / 歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (YTCD158J)
発表年:2017年
ez的ジャンル:UK期待の男性R&Bシンガー
気分は... :内なる自分に向き合う・・・

UK期待の男性R&BシンガーSamphaのデビュー・アルバム『Process』です。

SamphaことSampha Sisayは1988年南ロンドン生まれのR&Bシンガー/プロデューサー。

これまで「Sundanza」(2010年)、「Dual」(2013年)という2枚のEPをリリースしています。また、Jessie WareSBTRKT作品で頻繁にフィーチャリングされています。

さらにDrake「Too Much」(2013年)、Kanye West「Saint Pablo」(2016年)、Frank Ocean「Alabama」(2016年)、Solange「Don't Touch My Hair」(2016年)等の大物アーティスト作品におけるフィーチャリングで、その名をシーンに轟かせることになります。

また、SBTRKT『SBTRKT』(2011年)を共同プロデュースするなどプロデューサーとしてもその手腕を発揮しています。

そんな期待の男性R&Bシンガーが満を持してリリースしたデビュー・アルバムが本作『Process』です。The XXSBTRKTFKA Twigsを輩出したレーベルYoung Turksからのリリースです。

プロデュースはSamphaRodaidh McDonald

レコーディングにはJosh Doughty(kora)、John Foyle(vo)、Laura Groves(back vo)、The PSMとして知られるPauli Stanley-McKenzie(ds)等も参加しています。

楽曲はすべてSamphaのオリジナルです(共作含む)。Kanye Westとの共作もあります。

全体的にはSamphaの内面を歌い上げたアルバムであり、音数は少なく、彼の心模様がダイレクトに伝わってきます。決して明るいアルバムではありませんが、Samphaの切なる歌声が聴く者に感動を与えます。

この飾り気のないサウンド・プロダクションで存在感を示すSamphaの歌声に、アーティストとしてのスケールの大きさや可能性を感じます。

聴いていると、内なる自分と真摯に向き合いたくなるような1枚です。

R&Bの新星の静かなるデビュー作を聴き込んでみてください。

全曲紹介しときやす。

「Plastic 100°C」
美しくも切ないオープニング。Josh Doughtyによる印象的なコラの音色をバックに、Samphaが愁いを帯びたヴォーカルで訴えます。

「Blood On Me」
アルバムに先駆け2016年シングル・リリースされた楽曲。切迫感のあるSamphaのヴォーカルが聴く者の心に刺さる哀愁R&Bグルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=_oM1DFL43Lk

「Kora Sings」
タイトルの通り、Josh Doughtyのコラを大きくフィーチャーしたエスニック+エレクトリックな仕上がり。このあたりはSBTRKTとの共演歴も多いR&Bの枠のみで収まらないSamphaらしさかもしれませんね。。

「(No One Knows Me) Like The Piano」
アルバムからのリード・シングル。2015年に亡くなった母のために書かれた歌のようです。母への想いが伝わってくる美しいピアノ・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=_NSuIYwBxu4

「Take Me Inside」
ピアノの弾き語りからエレクトリック・サウンドが加わり、心の葛藤を歌い上げます。

「Reverse Faults」
ダウナー・モードの哀愁チューン。噛み合わない歯がゆさが伝わってきます。

「Under」
揺らぎのあるエレクトリック・サウンドの中で、Samphaが懸命に戦っています。Samson & Delilah「I Can Feel Your Love Slipping Away」をサンプリング。

「Timmy's Prayer」
Kanye Westとの共作。アルバムに先駆け2016年シングル・リリースされた楽曲。派手さはありませんが、Samphaのアーティストとしてのスケール感が伝わってくる仕上がりです。後半のエレクトリックな盛り上がりがいいですね。Timmy Thomas「The Coldest Days of My Life」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=ZQXDVZf3akg

「Incomplete Kisses」
心の中の小宇宙を歌いきった美しい仕上がり。静寂の中に感情がジワジワとにじみ出てくる感じがSamphaらしいのかもしれませんね。

「What Shouldn't I Be?」
鍵盤とヴォーカルが織り成すビューティフルな音世界で本編を締め括ってくれます。

国内盤にはボーナス・トラックとして以下の6曲が追加収録されています。

「In-Between And Overseas」
美しいピアノをバックに優しく歌い上げる、静かなる闘志を感じる仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=vciLEByIcIE

「Answer」
本編ではあまり聴けなかったエレクトリックなビート感のあるインスト。サウンド・クリエイターとしてのSamphaを楽しめます。

「Too Much」
2013年にシングル・リリースしていたピアノ・バラード。本作に通じる内面から湧き起こるSamphaの心の声が感動的です。
https://www.youtube.com/watch?v=yC-0p4k0jw4

「Happens」
上記「Too Much」のカップリング曲。ピアノの弾き語りですが、聴く者に特別な感情を湧かせます。
https://www.youtube.com/watch?v=GxVdTQyEPQo

「Without」
EP「Dual」収録曲。ローファイな魅力に溢れた1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=KWEbYsXeDvE

「Indecision」
EP「Dual」収録曲。
https://www.youtube.com/watch?v=FF8okFt4bGg

急に腰痛が・・・
三連休は大人しくしています(泣)
posted by ez at 02:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする