2017年03月05日

Thundercat『Drunk』

メロディアスな新境地を示した3rdアルバム☆Thundercat『Drunk』
Drunk [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤]  (BRC542)
発表年:2017年
ez的ジャンル:Brainfeeder系天才ベーシスト
気分は... :酔・・・

今回は新作アルバムから最も旬な天才ベーシストThundercatの最新作『Drunk』です。

黒人ドラマーRonald Bruner Sr.を父に、グラミー受賞歴を持つ敏腕ドラマーRonald Bruner Jr.を兄に持つ天才ベーシストであり、Flying Lotusの右腕としてBrainfeederを牽引するThundercat(本名Stephen Bruner)の紹介は、2ndアルバム『Apocalypse』(2013年)、1stアルバム『The Golden Age of Apocalypse』(2011年)に続き3回目となります。

3rdアルバムとなる最新作『Drunk』では、従来にはないヴォーカル重視のメロディアスな新境地を示しています。

一昨年末にリリースしたミニ・アルバム『The Beyond / Where The Giants Roam』(2015年)でメロディアスな方向性の予感はありましたが、それを前面に打ち出してきたのは少し意外でした。

『The Beyond / Where The Giants Roam』(2015年) ※ミニ・アルバム
【Amazon.co.jp限定】The Beyond / Where the Giants Roam [解説・ボーナストラック収録 / 国内盤] (BRC491AMZ)

(クレジットはありませんが多分)Thundercat自身がプロデュースし、Flying Lotusがアディショナル・プロデューサーとして名を連ねています。また、Kendrick Lamar『To Pimp A Butterfly』にもプロデューサーとして関与したSounwaveが3曲でプロデュースしています。

アルバムにはMichael McDonaldKenny LogginsKendrick LamarWiz KhalifaPharrell WilliamsMac Millerといったアーティストがフィーチャリングされています。

また、Brainfeederの仲間であるKamasi Washington(sax)やMiguel Atwood-Ferguson(strings)といった現在L.A.ジャズ・シーンを代表するミュージシャンをはじめ、Genevieve ArtadiとのユニットKNOWERとしても活動するLouis Cole(ds、key、Programming)、Zack Sekoff(Programming)、Dennis Hamm(key)、Zane Carney(g)、Deantoni Parks(ds)、Charles Dickerson(key、Programming)、Taylor Graves(key、Programming)といったミュージシャンが参加しています。

個人的には超絶ベース・プレイ全開の演奏がもっと欲しかった気もしますが、新境地に挑んだ姿勢は評価したいと思いますし、彼のファルセット・ヴォーカルは意外に悪くありません。

Thundercatの新たな魅力を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Rabbot Ho」
Thundercatのヴォーカル&ベース、Dennis Hammのキーボードによるメロディアスなアルバムのイントロ。
https://www.youtube.com/watch?v=V4xGQDKDHBI

「Captain Stupido」
「Rabbot Ho」の流れを受け継ぐメロディアスな仕上がり。そんな中でもThundercatらしいベース・プレイも忘れず楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=66Vrcyqu0_Q

「Uh Uh」
Thundercatの超絶ベース全開!Brainfeederらしいビートミュージック的な演奏で楽しませてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9lHjeEkS1WE

「Bus In These Streets」
Genevieve ArtadiとのユニットKNOWERとしても活動するLouis Coleが参加しています。Thundercatのポップな新境地を示してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zxNHJXpH9QM

「A Fan's Mail (Tron Song Suite II)」
Sounwaveプロデュースの1曲目。本作らしいメロディアスな仕上がり。♪ミャオウ、ミャオウ♪という猫の鳴き声ヴォーカルまで披露してくれます。Mountain「Long Red」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=g8f5CtP0nT4

「Lava Lamp」
Sounwaveプロデュースの2曲目。Thundercatのファルセット・ヴォーカルが栄えるメロウ・チューンで彼の新たな魅力を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=KMPjX_3snfM

「Jethro」
1分半の小曲ですが、コズミックなメロウ・チューンはBrainfeederらしいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=_ukKdTBwxCA

「Day & Night」
コズミック・ファンクな調のインタールード的な小曲。Mutiny「Go Away From Here」ネタ。
https://www.youtube.com/watch?v=i4pNOBIAaLI

「Show You The Way」
Michael McDonaldKenny Logginsという往年のAORの人気ミュージシャン2人をフィーチャー。意外な人選にも思えますが、Thundercatがファンなのだとか。Michael McDonaldのスモーキー・ヴォイスが似合う、Thundercat作品とは思えないメロウなAORに仕上がっています。終盤にはソニック・ザ・ヘッジホッグの効果音のサンプリングも聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=62EmHhZSjEI

「Walk On By」
Kendrick Lamarをフィーチャー。Thundercatが『To Pimp A Butterfly』に参加したお返しといったところでしょうか。本作らしいメロウ・トラックと、Kendrick Lamarのフロウがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=GNCd_ERZvZM

「Blackkk」
Sounwaveプロデュースの3曲目。従来のThundercat作品らしいミニマル感と本作らしいメロディアス感が融合した仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=REF5JzqQa4c

「Tokyo」
日本人には気になる東京を歌った曲。ビートミュージックらしいミニマル・サウンドにのって、♪ガンダムカフェ〜♪パチンコ屋〜♪(北斗の拳の)ケンシロウ〜♪なんてフレーズも聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=gN2PjkfH8CI

「Jameel's Space Ride」
「Bus In These Streets」に続くLouis Cole参加曲。1分強の小曲ながらもポップな魅力に溢れています。
https://www.youtube.com/watch?v=pt0qx99PzDs

「Friend Zone」
コズミック・ファンク調の仕上がり。個人的なこういった演奏がもう少し多くても良かった気がします。Kendrick Lamar「Bitch, Don't Kill My Vibe」のヴォーカルの引用も挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=FqE_H1A-8B4

「Them Changes」
ミニ・アルバム『The Beyond/Where The Giants Roam』収録曲。Thundercat本人が甲冑姿で登場するMVも印象的でした。The Isley Brothers「Footsteps in the Dark」のドラム・ループにのったヴォーカル重視のミディアム・ファンクは『Drunk』の予告編のような1曲でした。ソニック・ザ・ヘッジホッグの効果音もサンプリングしています。
https://www.youtube.com/watch?v=GNCd_ERZvZM

「Where I'm Going」
ミニ・アルバム『The Beyond / Where The Giants Roam』収録曲。Deantoni ParksのドラムとThundercatのベースの絡みがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=VDWSQ6fI9TE

「Drink Dat」
Wiz Khalifaをフィーチャー。哀愁サウンドにThundercatの寂しげなヴォーカルとWiz Khalifaのラップが絡みます。
https://www.youtube.com/watch?v=_pxpTZpdZ-U

「Inferno」
本作らしいヴォーカルワーク重視の1曲。Miguel Atwood-Fergusonによる美しいストリングスも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=5VshM5FjpDo

「I Am Crazy」
30秒に満たないインタールード的小曲。
https://www.youtube.com/watch?v=KnA6ZG6sxTQ

「3AM」
1分強の小曲ですが、美しいヴォーカル&サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=C1y2aFFD8Ok

「Drunk」
タイトル曲はFlying Lotusとの共作。メロディアスな中にもBrainfeederらしさを感じることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=McA_CgwoG-w

「The Turn Down」
Pharrellをフィーチャー。内省的なサウンド&歌詞が印象的な哀愁メロウ・ソウル
https://www.youtube.com/watch?v=wktuQhDLYic

「DUI」
本編のラストはDennis HammのシンセとMiguel Atwood-Fergusonのストリングスを配した美しくも儚いサウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=DA9DLEyo1e0

「Hi」
国内盤ボーナス・トラック。Mac Millerをフィーチャーしたシンプルながらも深淵な仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=_lRqsAVBonI

Thundercatの過去記事もご参照下さい。

『The Golden Age of Apocalypse』(2011年)
The Golden Age of Apocalypse [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC302)

『Apocalypse』(2013年)
Apocalypse [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC383)
posted by ez at 02:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする