『Jazz The New Chapter 4』
『Jazz The New Chapter』(左)
『Jazz The New Chapter 2』(中央)
『Jazz The New Chapter 3』(右)
当ブログでは『Jazz The New Chapter 2』が発売された2014年9月に、"Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間"と称して、『Jazz The New Chapter』および『Jazz The New Chapter 2』の掲載ディスクを集中的に紹介しました。
さらに、その月の終わりにJazz The New Chapterと自分の音楽嗜好を整理した記事『Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間のおわりに』をエントリーしたところ、大きな反響をいただきました。
また、『Jazz The New Chapter 3』発売時には、掲載ディスクの紹介記事をエントリーしました。
2014年9月30日
『Jazz The New Chapter(JTNC)強化月間のおわりに』
2015年9月16日
特別企画:『Jazz The New Chapter 3』が発売になりました・・・
こんな流れなので、『Jazz The New Chapter 4』にも触れないわけはいかないでしょう(笑)
ということで、『Jazz The New Chapter 4』で紹介されている作品から、当ブログでもエントリー済みの作品26枚を紹介したいと思います。
僕自身のスタンスを最初に明確にしておきたいと思います。僕自身はJazz The New Chapter(JTNC)の熱狂的な信奉者というわけではありません。特に『Jazz The New Chapter 3』あたりから、音楽シーンの新しい動きを無理矢理"JTNC"という枠に押し込めようとする窮屈さを感じるようになりました。
したがって、『Jazz The New Chapter 4』も楽しく読めた部分と、少し批判的に読んだ部分とがありました。掲載ディスクについても、大層な謳い文句の割には、ショップで試聴して僕にはピンと来なかった作品がかなりあるのも事実です。
まぁ、今回紹介する26枚は当ブログで紹介した作品なので、僕のお気に入りの26枚であることは間違いありません。
★JTNCのトップ・ランナーたち★
Robert Glasper Experiment『ArtScience』(2016年)(上段左)
Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)(上段右)
Gregory Porter『Take Me To The Alley』(2016年)(下段左)
Jose James『Love In A Time Of Madness』(2017年)(下段右)
JTNCという流れを生み出すのに、大きな役割を果たしたRobert Glasper。やはり、彼の動向は気になりますね。ただし、Robert Glasper参加というだけで、今ジャズ重要作品のように持ち上げるやり口にはウンザリしてきますが。
Gregory Porter、Jose JamesというJTNCを代表する男性ヴォーカリストの作品も僕の中では別格です。ただし、Joseの新作は既にJTNCという枠からはみ出していると思います。
★JTNCを支える女性アーティストたち★
Tillery『Tillery』(2016年)(上段左)
Becca Stevens『Regina』(2017年)(上段右)
Esperanza Spalding『Emily's D+Evolution』(2016年)(下段左)
Camila Meza『Traces』(2016年)(下段右)
Gretchen Parlato、Rebecca Martin、Becca Stevensによるスペシャル・ユニットTilleryの初アルバムは本当に嬉しかったですね。そのTilleryを経由してリリースされたBecca Stevensの最新作は強力でした。
プレイヤーとしても今ジャズらしいEsperanza SpaldingとCamila Meza。Esperanzaの最新作はコンセプト・アルバムなのにスタジオ・ライヴというのがジャズの才女らしいですね。『ezが選ぶ2016年の10枚』にも選んだCamilaはワールド・ジャズ感と今ジャズ感が絶妙にバランスしている逸品でした。
★L.A.シーンの注目アーティストたち★
Carlos Nino & Friends『Flutes, Echoes, It's All Happening!』(2016年)(上段左)
Dexter Story『Wondem』(2016年)(上段右)
Terrace Martin『Velvet Portraits』(2016年)(中段左)
Josef Leimberg『Astral Progressions』(2016年)(中段右)
Thundercat『Drunk』(2017年)(下段左)
Anderson .Paak『Malibu』(2016年)(下段右)
L.A.ジャズの首領Carlos Ninoや彼の盟友Dexter Storyの動きは、今ジャズとは別文脈でも興味深いですね。
プロデュース・ユニットLoveDragonを組むTerrace MartinとJosef Leimbergの作品は、ジャズ・ミュージシャン兼Hip-Hopプロデューサーという点で、J Dilla等の影響を受けた今ジャズを楽しむことができます。
Flying Lotusの右腕としても活躍する天才ベーシストThundercatは、JTNCという枠で語るには窮屈なアーティストかもしれませんね。昨年R&B/Hip-Hopシーンを席巻したAnderson .Paakに関しては、JTNCではないですよね(笑)
★ブラジル音楽とJTNC★
Kurt Rosenwinkel『Caipi』(2017年)(上段左)
Luciana Souza『Speaking In Tongues』(2015年)(上段右)
Antonio Loureiro『So』(2012年)(下段左)
Andre Mehmari & Antonio Loureiro『MehmariLoureiro Duo』(2016年)(下段右)
『Jazz The New Chapter 4』で印象的であったのが、ブラジル音楽と今ジャズとの関わりでした。それを象徴するのが現在ジャズ・ギターの皇帝Kurt Rosenwinkelの最新作です。
Luciana Souza、Antonio Loureiro、Andre MehmariはJTNC云々を抜きにしても楽しめるジャズ作品です。
★ネオ・ソウル/Hip−HopとJTNC★
The Roots『...And Then You Shoot Your Cousin』(2014年)(上段左)
A Tribe Called Quest『We Got It From Here…Thank You 4 Your Service』(2016年)(上段右)
Common『Black America Again』(2016年)(下段左)
Musiq Soulchild『Life On Earth』(2016年)(下段右)
JTNCの流れでいくと、The Soulquarians系アーティストやネオソウル・アーティストと今ジャズの接点は大事なんだろうけど、JTNCという枠に強引に押し込めるのはどうなんですかね。上記4枚で僕がJTNC的なものを感じたのはCommonのアルバムくらいです。
★その他★
GoGo Penguin『Man Made Object』(2016年)(上段左)
Corey King『Lashes』(2016年)(上段右)
New Zion w. Cyro『Sunshine Seas』(2016年)(下段左)
Jordan Rakei『Cloak』(2016年)(下段右)
GoGo PenguinこそがJTNCという形容が最も相応しい新世代ジャズ・ユニットかもしれませんね。Corey Kingは期待のジャズ・トロンボーン奏者ですが、本作はSSWサイドの1枚に仕上がっています。
ピアノ・ジャズ・ミーツ・レゲエ/ダブなNew Zion w. Cyroの独自の音世界はJTNCを超越しているのでは?オーストラリア出身の男性SSW、Jordan Rakeiのデビュー作にはRichard Spavenも参加していますが、これをJTNCで括るのは少し無理がある気がします。
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この26枚はいずれも作品自体としては充実していると思います。
ただし、これをJTNCと感じるか否かはあなたの感性次第・・・
僕自身はこれからも少し斜め視線で、賛否両論含めてJTNCの動きを注視したいと思います。