2017年04月18日

Smoke City『I Really Want You』

謎のソウル・グループ唯一のアルバム☆Smoke City『I Really Want You』
I Really Want You
発表年:1985年
ez的ジャンル:シカゴ系モダン・ソウル/ファンク・グループ
気分は... :謎のグループ・・・

今回は謎のソウル/ファンク・グループSmoke City、唯一のアルバム『I Really Want You』(1985年)です。

以前にアルバム『Heroes Of Nature』(2001年)を紹介したロンドンのダウンテンポ/ブラジリアン・クラブジャズ・ユニットSmoke Cityは同名異グループです。

詳細不明のグループですがシカゴのグループのようです。アルバムのインナーを見ると、女性メンバー2名、男性メンバー6名という8名が写真に納まっています。

クレジットを見ると、Bee Starr(vo)、Daveon Overton(vo、per)、Aaron Almond, Jr.(ds、per)、Orlando Wright(b)、Michael Sterling(b)、Charles Radcliff(g)、Ronald Scott(key)、Edward Zeek Kimball(key)、Candyce D. Barr(key、horn、per)、Jeff Keys(key、horn)、Gerard Matthews(horn)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。

なお、メンバーのうち、男性リード・ヴォーカルDaveon Overtonは、本作から10年後の1995年にNJS系男性R&BグループMind, Heart & Soulのメンバーとして、アルバム『Mind, Heart & Soul』をリリースしています。

プロデュース&アレンジはThe Chi-Lites等のレコーディングに参加しているキーボード奏者のRonald Scott

シングルになったタイトル曲「I Really Want You」、本作の再評価を高めた絶品バラード「Dreams」あたりが人気かもしれませんね。

個人的には、アーバン・メロウ「In The World Of Fantasy」、キャッチーなダンス・チューン「Back Seat Kind Of Girl」、煌びやかなファンク・チューン「Life Of The Party」、フュージョン感のある「Cafe Francois」あたりもオススメです。

謎のグループに相応しいジャケもいいですね。

全曲紹介しときやす。

「I Really Want You」
Edward Zeek Kimball作。タイトル曲はシングル・カットもされたミディアム・グルーヴ。妖しげなダンサブル感が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=oWf6dkmnu9g

「Dreams」
Bee Starr/Charles Radcliff/Ronald Scott作。本作の再評価を高めた絶品バラード。男女リード・ヴォーカルが素晴らしい歌で魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=ek4SCNQt88I

「Life Of The Party」
Edward Zeek Kimball作。80年代らしい煌びやかなファンク・チューン。ミネアポリス・ファンクあたりを少し意識しているかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=oir5ZX5imW8

「Cafe Francois」
Bee Starr/Candyce D. Barr/Ronald Scott作。華やかなダンサブル・チューン。フュージョン的な雰囲気もありますね。。
https://www.youtube.com/watch?v=jGwpSi36D7I

「In The World Of Fantasy」
Edward Zeek Kimball作。僕の一番のお気に入りのアーバン・メロウ。男女リードが栄える生演奏ならではのコンテンポラリー感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=EFfyN_5aZs8

Statik Selektah feat. 2 Chainz「Smoke Break」、D.I.T.C.「Caviar Dreams」のサンプリング・ソースとなっています。
Statik Selektah feat. 2 Chainz「Smoke Break」
 https://www.youtube.com/watch?v=owkNI5kbNng
D.I.T.C.「Caviar Dreams」
 https://www.youtube.com/watch?v=TKKd7LwoFjU

「Tracy」
Daveon Overton作。いきなりレゲエ調です。悪くはないけど、少し唐突で違和感があるかも?

「Back Seat Kind Of Girl」
Edward Zeek Kimball作。「In The World Of Fantasy」と並ぶ僕のお気に入り。キャッチーなダンス・チューンはシングル向きだと思います。

「Time To Jam」
Charles Radcliff作。チャイムと始まる80年代らいしファンク・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MEqzqlSvC30

ご興味がある方はDaveon Overtonが参加したMind, Heart & Soul『Mind, Heart & Soul』(1995年)もチェックを!こちらも、そのうち取り上げたいと思います。

Mind, Heart & Soul『Mind, Heart & Soul』(1995年)
Mind Heart & Soul
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2017年04月17日

Michael Franks『The Art Of Tea』

都会派男性SSWの代表作☆Michael Franks『The Art Of Tea』
アート・オブ・ティー(紙ジャケット/SHM-CD)
発表年:1976年
ez的ジャンル:都会派男性SSW
気分は... :春はジャジー&メロウで・・・

AORファンから根強い人気の男性シンガーソングライターMichael Franksの出世作『The Art Of Tea』(1976年)です。

カリフォルニア出身の男性シンガーソングライターの紹介は、『Sleeping Gypsy』(1977年)、『Burchfield Nines』(1978年)に続き2回目となります。

本作『The Art Of Tea』(1976年)は、『Sleeping Gypsy』(1977年)と並ぶ代表作であり、ジャズ・フィーリングの良質なシティ・ミュージックで一躍脚光を浴びた出世作としてお馴染みですね。

鉄板すぎるアルバムで僕も6〜7年聴いていませんでしたが、久々に聴いたら春モードにフィットしたので取り上げることにしました。

プロデュースは今年惜しくも逝去したTommy LiPuma。エンジニアはAl Schmitt

レコーディングにはJoe Sample(key)、Wilton Felder(b)、Larry Carlton(g)といったCrusaders勢、John Guerin(ds)、Jerry Seinholtz(congas)、Michael Brecker(ts)、 Dave Sanborn(as)、Larry Bunker(vibe)が参加しています。Nick De Caroがストリングス・アレンジを手掛けています。

決して上手とは言えないFranksのジェントル・ヴォーカルが、Crusaders的ジャジー・メロウ・サウンドと調和しているのがいいですね。主張しすぎないヴォーカルが吉と出た感じです。

シングルになった「Popsicle Toes」「Nightmoves」「Eggplant」「Monkey See-Monkey Do」という前半3曲が注目されることが多いと思いますが、「I Don't Know Why I'm So Happy I'm Sad」「St. Elmo's Fire」あたりも個人的にはオススメです。

ど定番のAOR作品ですが、意外に飽きの来ない1枚かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「Nightmoves」
この曲のみMichael Franks作詞/Michael Small作曲。線の細いFranksのジェントル・ヴォーカル、Larry Carltonのジャジー&ブルージー・ギター、Joe Sampleのメロウ・エレピが織り成すオトナのミディアム・チューン。本作の魅力が凝縮されたオープニングです。Dee Dee Bridgewaterがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=KX4sVYTVx7A

「Eggplant」
都会的なジャズ・フィーリングが心地好い爽快メロウ。聴いていると、街へ繰り出したくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=peuy_DcJhp8

「Monkey See-Monkey Do」
都会的なファンキー・フィーリングが実にクールです。David Sanbornがサックス・ソロで盛り上げてくれます。Ringo Starrがカヴァーしていましたね。
https://www.youtube.com/watch?v=EPSHcYbBAf8

「St. Elmo's Fire」
SSWらしい楽曲をメロウ・サウンドで聴かせてくれます。Joe Sampleのエレピの響きがひたすら気持ちいいです。
https://www.youtube.com/watch?v=bcpGL-fyYQI

本曲はサンプリング・ソースとして大人気です。Fabolous「We Get High」、Logic「We Get High」、Problem feat. T.I. & Snoop Dogg「Roll Up」、Gym Class Heroes「6th Period: Viva La White Girl」、Tanya Morgan feat. Kay「We're Fly」、Smoke DZA feat. Cory Gunz & Big Sant「Crazy Glue」、C-Sick「We Get High」、Fiend feat. Corner Boy P「We Get High」、Issa Gold「Musical Chairs」等のサンプリング・ソースとなっています。
Fabolous「We Get High」
 https://www.youtube.com/watch?v=zkhV1NQg-9A
Logic「We Get High」
 https://www.youtube.com/watch?v=nG1IjDsK9Fs
Problem feat. T.I. & Snoop Dogg「Roll Up」
https://www.youtube.com/watch?v=4N4wGUEuxQ0
Tanya Morgan feat. Kay「We're Fly」
 https://www.youtube.com/watch?v=c4RNqRZF384
Smoke DZA feat. Cory Gunz & Big Sant「Crazy Glue」
 https://www.youtube.com/watch?v=EwjtH-Cqkac
C-Sick「We Get High」
 https://www.youtube.com/watch?v=T_5ucWqZE8Q
Fiend feat. Corner Boy P「We Get High」
 https://www.youtube.com/watch?v=aRx8tbGqyHg
Issa Gold「Musical Chairs」
 https://www.youtube.com/watch?v=Z-j5Du4VmYk

「I Don't Know Why I'm So Happy I'm Sad」
個人的には一番のお気に入り。程良くパーカッシヴなジェントルなメロウ・チューンです。ここでもJoe Sampleのエレピに魅せられます。フリーソウル好きの人は気に入る1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=2KL_rYttA5o

「Jive」
Michael Breckerのテナー・サックスも加わった小粋なジャズ・フィーリングにセンスの良さを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=sSQ4FwdXrCE

「Popsicle Toes」
シングル・カットされ、全米チャート第43位になった代表曲。本作らしいシティ感覚を存分に楽しめるジャジー・メロウ。ヴァイヴの音色がいいアクセントになっています。The Manhattan TransferやDiana Krall等がカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=3VGZ6M6t4vA

「Sometimes I Just Forget To Smile」
寛いだ気分にさせてくれる小粋なファンキー・メロウ。Ben Sidranあたりと一緒に聴きたくなるサウンドですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QqtmSVT42V8

「Mr. Blue」
ラストはJoe Sampleピアノをバックに、哀愁バラードで締め括ってくれます。David Sanbornのサックスが哀愁気分を高めます。
https://www.youtube.com/watch?v=DKuMRCrG6lA

Ginuwine「So Anxious」、Styles of Beyond feat. Space Boy Boogie X「Hollograms」のサンプリング・ソースとなっています。
Ginuwine「So Anxious」
 https://www.youtube.com/watch?v=DHpUtOcwhyU
Styles of Beyond feat. Space Boy Boogie X「Hollograms」
 https://www.youtube.com/watch?v=1gVzACCZy5Q

Michael Franksの他作品もチェックを!

『Sleeping Gypsy』(1977年)
スリーピング・ジプシー(紙ジャケット/SHM-CD)

『Burchfield Nines』(1978年)
シティ・エレガンス(紙ジャケット/SHM-CD)

『Tiger in the Rain』(1979年)
タイガー・イン・ザ・レイン(紙ジャケット/SHM-CD)

『One Bad Habit』(1980年)
N.Y.ストーリー(紙ジャケット/SHM-CD)

『Objects of Desire』(1982年)
愛のオブジェ(紙ジャケット/SHM-CD)

『Passionfruit』(1983年)
パッションフルーツ(紙ジャケット/SHM-CD)
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2017年04月16日

Ana Claudia Lomelino『Maeana』

ポストMarisa Monteとの期待!Tonoの女性ヴォーカリストのソロ・デビュー作☆Ana Claudia Lomelino『Maeana』
マイアナ
発表年:2015年
ez的ジャンル:新世代系ブラジル音響ポップ
気分は... :こんなブラジル作品を待っていた!

今回は新世代ブラジル音楽からAna Claudia Lomelino『Maeana』(2015年)です。あのCaetano Velosoが絶賛した新世代ブラジル作品として話題の1枚です。

本国ブラジルでのリリースは2015年10月ですが、国内盤リリースは今年3月なので新作アルバム扱いにさせてもらいます。

Ana Claudia Lomelinoはリオ生まれの女性シンガー。現在31歳。

Bem GilGilberto Gilの息子)、Rafael RochaBruno Di LulloEduardo Mansoと組むリオのエクスペリメンタル・ポップ・バンドTonoの紅一点シンガーとして、『Auge』(2008年)、『Tono』(2010年)、『Aquario』(2013年)という3枚のアルバムをリリースしています。

特に3rdアルバム『Aquario』(2013年)はArto Lindsayが全面プロデュースし、Gilberto GilやKassin、Moreno Velosoとの+2ユニットで知られるDomenico Lancellotti等も参加したことで大きな話題となりました。

ちなみにBem GilはAnaの公私のパートナーであり、二人の間には子息がいます。

本作『Maeana』Ana Claudia Lomelinoの1stソロ・アルバムとなります。アルバム・タイトルは"母Ana"を意味し、母親となったことがアルバム創作の源になっているようです。

Bem GilAna自身、Tonoの同僚Bruno Di Lullo、さらにはDomenico Lancellottiがプロデュースを務めています。

レコーディング・メンバーはAna Claudia Lomelino(vo)以下、Bem Gil(violao、g、per、vo)、Bruno Di Lullo(b)、Rafael Rocha(per)というTonoの同僚、Domenico Lancellotti(ds、per、mpc、vo)、Stephane San Juan(per)、Pedro Sa(g)、Berna Ceppas(syn)という+2ユニット関連のミュージシャン、さらにはMestrinho(accordion、syn)等が参加しています。

また、Caetano VelosoAdriana Calcanhottoが新曲を書き下ろすなどソングライティング陣もバラエティに富んでいます。

アルバム全体の印象は、Anaの透明感のある歌声に包み込まれる音響ドリーミー・ポップといった感じでしょうか。土着的なブラジリアン・リズムが印象的な曲が多いのも特徴です。また、+2ユニットに通じるエスプリを随所で楽しめます。

彼女が"ポストMarisa Monte"と期待されるのも納得の1枚です。

こんな新世代ブラジル作品を待っていた!
そう思わせてくれる充実作です。

全曲紹介しときやす。

「Perola - Poesia」
Domenico Lancellotti/Ana Claudia Lomelino作。穏やかな中にもエスプリの効いた音響ポップに癒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=jqXyBTkG4cI

「Sonho De Voo」
Bem Gil/Ana Claudia Lomelino作。エクスペリメンタル感のあるリズムとジャジーなトランペットが印象的です。Anaのヴォーカルがそんなサウンドの中に溶け込んでいきます。
https://www.youtube.com/watch?v=mesbrfBnbjI

「Nao Sei Amar」
Caetano Veloso作。バイーアの風を感じる土着的リズムが印象的なアコースティック・メロウです。
https://www.youtube.com/watch?v=KoYuFSth4R8

「Mae Ana」
Rubinho Jacobina作。愛する息子Domの声と共に始まるタイトル曲。緩急のあるドリーミー・ポップ。子供たちの歌声はAnaの息子のみならずMoreno Velosoの息子(Caetano Velosoの孫)等も参加しているとのこと。
https://www.youtube.com/watch?v=AfypKsfsCus

「Bem Feito」
Adriana Calcanhotto作。Mestrinhoのアコーディオンが雰囲気を醸し出す哀愁チューン。研ぎ澄まされたノスタルジック・フィーリングがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=I3zLAAjpFLE

「Dom」
Joao Bernardo/Ana Claudia Lomelino作。愛息Domの名を冠した曲。Anaの母性は滲み出たドリーミーな1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=M2kGCymFcKs

「Meu Filho」
Paulo Camacho作。ドリーミーなポップ・チューン。聴いていたら、『ezが選ぶ2008年の10枚』にも選んだ愛聴盤Alexia Bomtempo『Astrolabio』を思い出してしまいました。
https://www.youtube.com/watch?v=5U1qF10yTA4

「Vontade」
Andre Dahmer作。寛いだ雰囲気のサウンドとコケティッシュなAnaのヴォーカルが印象的なポップ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=26ub70Y8iJw

「Romance Espacial」
Bruno Di Lullo/Domenico Lancellotti作。しっとりと歌い上げる哀愁チューン。エクスペリメンタルなスパイスも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=JyrWiI58eDc

「Mae Ima」
Luana Carvalho作。ローファイ感のあるポップ・チューン。ミステリアス&スピリチュアルな魅力があります。

「Colo Do Mundo」
Cezar Mendes/Quito Ribeiro作。Anaの少し寂しげなヴォーカルが美しいメロディを歌い上げます。Domenicoの生み出すリズムがさり気なく新世代ブラジル感を醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=TMzYVo8_8Ps

「Conchinha」
Leticia Novaes作。エレクトロニカ・サウンドと土着的なブラジリアン・リズムの融合は+2ユニット的な魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=O7YG6t5WLlA

「Ufolclore (Porto Do Conde)」
Lou Caldeira作。バンド感のある硬質サウンドにMestrinhoのアコーディオンが加わり、いいアクセントになっています。

「Minha Cama」
Marcelo Callado作。土着的リズムとオリエンタルなサウンド&メロディが織り成すほのぼの感に癒されてアルバムは幕を閉じます。

ご興味がある方はTonoの作品もチェックを!

Tono『Auge』(2008年)
Tono Auge

Tono『Tono』(2010年)
Tono

Tono『Aquario』(2013年)
アクアリオ
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2017年04月15日

The Impressions『The Young Mods' Forgotten Story』

ニューソウルな雰囲気のCurtom第2弾☆The Impressions『The Young Mods' Forgotten Story』
ヤング・モッズ・フォゴットン・ストーリー
発表年:1969年
ez的ジャンル:シカゴ・ソウル・グループ
気分は... :Mighty Mighty!

今回は60年代ソウル作品からシカゴの名グループThe Impressions『The Young Mods' Forgotten Story』(1969年)です。

The Impressionsの前身はテネシー州チャタヌーガで結成されたThe Roosters。

シカゴへ拠点を移し、 Jerry ButlerCurtis Mayfieldが加わり、Jerry Butlerをフロントマンに据えた5人組のヴォーカル・グループJerry Butler & the Impressionsとして活動するようになります。

その後、Jerry Butlerらが抜けてしまい、Curtis MayfieldSam GoodenFred Cashという3人体制でThe Impressionsとしての再スタートを切ります。

グループは以下のようなヒット曲を生み出し、人気ソウル・グループの地位を確立します。
 「Gypsy Woman」(1961年、全米チャート第20位、同R&Bチャート第2位)
 「It's All Right」(1963年、全米チャート第4位、同R&Bチャート第1位)
 「Keep On Pushing」(1964年、全米チャート第10位)
 「People Get Ready」(1965年、全米チャート第14位、同R&Bチャート第3位)
 「We're A Winner」(1967年、全米チャート第14位、同R&Bチャート第1位)
 「Choice Of Colors」(1969年、全米チャート第21位、同R&Bチャート第1位)

1970年にはCurtis Mayfieldがソロ活動のために独立し、代わりにLeroy Hutsonが加入します(Hutsonは1973年に脱退)。

その後もメンバー交代を繰り返しながら、1980年代前半まで作品をリリースしています。

これまでCurtis Mayfield作品は10枚紹介してきましたが、The Impressionsの紹介は初めてになります。

僕の場合、前述のThe Impressionsのヒット曲は、オリジナルよりも『Curtis/Live!』(1971年)ヴァージョンの印象が強いです。そのせいもあって、Curtis Mayfield自身が設立したレーベルであるCurtom時代(1968-1976年)のImpressions作品への関心の方が高いですね。

本作『The Young Mods' Forgotten Story』(1969年)は、『This Is My Country』(1968年)に続くCurtom第2弾アルバムとなります。ニューソウル感の漂うジャケからして雰囲気があっていいですよね。

プロデュース&ソングライティングはCurtis Mayfield。アレンジはDonny HathawayJohnny Pate

「Choice Of Colors」「My Deceiving Heart」「Seven Years」の3曲がシングル・カットされ、前述のように「Choice Of Colors」が全米R&Bチャート第1位のヒットとなっています。

また、「Mighty Mighty (Spade & Whitey)」 は前述の『Curtis/Live!』(1971年)のオープニング曲としてもお馴染みですね。

Curtis Mayfieldの初期ソロ作に通じる魅力を持ったThe Impressions作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Young Mods' Forgotten Story」
美しいストリングス・アレンジがニューソウルを感じさせるオープニング。Curtisのソロにも繋がっていくようなサウンドにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=iQURvdyht4g

「Choice Of Colors」
アルバムからの1stシングルであり、全米チャート第21位、同R&Bチャート第1位のヒットとなっています。美しいメロディに乗って、痛烈なメッセージを投げかけるニューソウルらしい1曲。Donny Hathawayのアレンジも冴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=SNV1Y01xNk8

The Heptones、Gladys Knightがカヴァーしています。また、Project Pat feat. Lord Infamous「Choices」等のサンプリング・ソースとなっています。
The Heptones「Choice Of Colors」
 https://www.youtube.com/watch?v=vx8SOwcr6jE
Project Pat feat. Lord Infamous「Choices」
 https://www.youtube.com/watch?v=SD126VCl9lg

「The Girl I Find」
Curtisの遺作となった『New World Order』(1996年)でもセルフ・カヴァーしていたビューティフル・バラード。語り掛けるようなCurtisのジェントル・ヴォーカルにグッときます。。
https://www.youtube.com/watch?v=OAjPxdbEWoI

「Wherever You Leadeth Me」
少しイナたい軽やかさが魅力のミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=3y7GJE3SnDQ

「My Deceiving Heart」
シングル・カットされ、全米R&Bチャート第23位となっています。腹にジワジワと沁みてくるゴスペル調バラードです。Donny Hathawayの色が出ている1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Yi49YVZOKJQ

「Seven Years」
シングル・カットされ、全米R&Bチャート第15位となっています。Curtisのソロがお好きな人であれば気に入るであろう1曲に仕上がっています。Donny Hathawayの小粋なアレンジ・センスもいいですね。Blu「theRunAwaySlaveSong」、Trey Songz「Never Again」のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=--wgHJfGCns

「Love's Miracle」
シカゴ・ソウル・グループらしいヴォーカルワークを楽しめる1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=h_9Xy2JF1vo

「Jealous Man」
今回聴き直してみて、結構フィットしたのがこのミディアム・バラード。イントロの乾いたドラムはThe Rootsあたりにも通じる感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=gDsHPQWn8nA

「Soulful Love」
穏やかなバラード。さり気なさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=wTYmax1Nz7Y

「Mighty Mighty (Spade & Whitey)」
前述のように、『Curtis/Live!』(1971年)のオープニングを飾った名曲。疑似ライブ仕立てで盛り上げてくれるファンキー・チューン。当ブログではCurtis MayfieldがプロデュースしたCurtom所属の巨漢男性ソウル・シンガーBaby Hueyのカヴァーも紹介済みです。(多分)、同カヴァーは本オリジナルと同じトラックを使っていると思います。それ以外にAlexis Kornerもカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=u7Rdr22dBPE

The Impressionsの他作品もチェックを!

『The Impressions/Never Ending Impressions』(1963/1964年) ※2in1CD
Impressions/Never Ending Impressions

『Keep on Pushing/People Get Ready』(1964/1965年) ※2in1CD
Keep on Pushing/People Get Ready

『One by One/Ridin' High』(1965/1966年) ※2in1CD
ONE BY ONE/RIDIN!

『The Fabulous Impressions/We're a Winner』(1967/1968年) ※2in1CD
The Fabulous Impressions / We're A Winner

『This Is My Country』(1968年)
This Is My Country

『Check Out Your Mind!』(1970年)
チェック・アウト・ユア・マインド!

『Times Have Changed』(1972年)
タイムズ・ハヴ・チェンジド

『Preacher Man』(1973年)
プリーチャー・マン

『Finally Got Myself Together』(1974年)
ファイナリー・ガット・マイセルフ・トゥゲザー

『First Impressions/Loving Power』(1975/1976年) ※2in1CD
First Impressions & Loving

『It's About Time』(1976年)
It's About Time

『Come to My Party/Fan the Fire』(1979/1981年) ※2in1CD
Come to My Party/Fan the Fire
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2017年04月14日

Charlie Palmieri『ElectroDuro』

N.Y.ラテン"鍵盤の巨人"が全編オルガンを弾く異色作☆Charlie Palmieri『ElectroDuro』
Electro Duro
発表年:1974年
ez的ジャンル:N.Y.ラテン鍵盤の巨人
気分は... :異色の面白さ!

今回はN.Y.ラテン作品からCharlie Palmieri『ElectroDuro』(1974年)です。

これまで弟Eddie Palmieriの作品は何枚も紹介してきましたが、兄Charlie Palmieriの紹介は初めてになります。

Charlie Palmieri(1927-1988年)はN.Y.生まれの鍵盤奏者。

ニューヨーク・サルサを代表する人気ピアニストEddie Palmieriの兄としても有名ですが、Charlie本人もN.Y.ラテン"鍵盤の巨人"として存在感を示したピアニストです。自身のリーダー作以外にもThe Alegre All Starsでもお馴染みですね。

本作はN.Y.ラテン"鍵盤の巨人"であるCharlie Palmieriがピアノは一切弾かず、全編オルガンをプレイするという異色作です。

プロデュースはHarvey Averne

レコーディング・メンバーはCharlie Palmieri (leader、org、per)以下、Victor Velazquez(vo)、Rafael Cortijo(congas)、Louie Goicoichea(congas)、Manny Oquendo(timbales)、Mike Collazo(timbales)、Tito Puente(timbales)、Manny Gonzalez(bongos)、Roberto Roena(bongos)、Andy Gonzalez(b)、Israel "Cachao" Lopez(b)、Alberto (Panama) Demercado(tp)、Lou Laurita(tp)、Bobby Nelson(sax、fl)、Adalberto Santiago(coro)、Yayo El Indio(coro)等。

プエルトリコ出身の偉大なパーカッショニストCortijoをはじめ、名うてのラテン・ミュージシャン達が勢揃いしています。

伝統的ラテンとストリート感覚のN.Yラテンがバランス良く配されていますが、Palmieriのオルガンの音色がいいアクセントになっています。

ストリート感のある格好良いラテン・グルーヴ「The Taxi Driver」、強力リズム隊によるノリの良いソン・モントゥーソ「Maracaibo Oriental」、ハイテンション・パーカッシヴ・ラテン・グルーヴ「Las Negritas De Carnaval」、格好良いチャチャチャ「Al Vaiven De Mi Carretta」あたりがオススメです。

鍵盤の巨人によるラテン・オルガン・グルーヴ!
異色作ですが楽しめます。

全曲紹介しときやす。

「Para Caracas Me Voy」
Charlie Palmieri作。本作らしいオルガン・ラテン・グルーヴを楽しめるオープニング。タイトルの通り、ベネズエラの首都カラカスがモチーフになっています。南米有数の犯罪都市のレッテルも貼られているカラカスですが、本演奏では街の賑わいが伝わってきます。

「Swing Y Son」
Arsenio Rodriguez作のソン・モントゥーソ。ノスタルジックなスウィングの少しルーズな雰囲気がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=aFxNJbYhCB8

「Vista Hace Fe」
Chano Pozo作。オーセンティックなソンの演奏ですが、オルガンの音色が加わることでいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=Jk4mkk_wKX8

「Que Bien Los Haces」
Miguel Angel Amadeo作のボレロ。Victor Velazquezのヴォーカルをフィーチャーしたムーディーなラテン・ワールドをどうぞ!
https://www.youtube.com/watch?v=jbTSWY0Xx34

「Maracaibo Oriental」
Jose Artemio Castaneda作。Beny Moreヴァージョンで知られるソン・モントゥーソ。強力リズム隊によるノリの良いラテン・グルーヴを満喫できます。
https://www.youtube.com/watch?v=enRX7qv3kVs

「Salazon」
Charlie Palmieri作。オルガンの音色、開放的なホーン・アンサンブル、雰囲気のあるコロが織り成すチャチャチャ。寛いだラテン・グルーヴでリラックスできます。
https://www.youtube.com/watch?v=IzJ15b-aZBw

「Las Negritas De Carnaval」
Charlie Palmieri作。ハイテンションで加速する格好良いラテン・グルーヴ。押し寄せてくるパーカッション・シャワーにテンション上がりまくりです。
https://www.youtube.com/watch?v=8ISMa9AtoMo

「Cuando Te Fuiste De Mi」
Bobby Manrique作のボレロ。オルガン・ボレロ独特の味わいを楽しみましょう。
https://www.youtube.com/watch?v=6ErOQt9seh4

「The Taxi Driver」
Charlie Palmieri作。今日的にはこのラテン・ソウルが本作のハイライトでしょうね。ストリート感のあるラテン・グルーヴはかなりキマっています。ミュート・トランペット、サックスのホーン・サウンドもセクシーです。
https://www.youtube.com/watch?v=smh0mEfd4Kw

「Al Vaiven De Mi Carretta」
Antonio Fernandez作。Orquesta Aragonや映画『Our Latin Thing』におけるIsmael Miranda & Orquesta Harlowの演奏でも知られる楽曲ですね。個人的には90年代にAfro Cuban All Starsのヴァージョンで本曲を知りました。ここではオルガンの音色がハマったストリート感のあるチャチャチャに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=_Uuvg4uTTeY

Charlie Palmieriの他作品もチェックを!

『Latin Bugalu』(1968年)
Latin Bugalu

『Vuelve El Gigante』(1975年)
Vuelve El Gigante

『Adelante Gigante』(1975年)
Adelante Gigante

『Impulsos』(1975年)
インプルソス (BOM1444L)

Charlie Palmieri & Menique『Con Salsa Y Sabor』(1977年)
Con Salsa Y Sabor

『The Heavyweight』(1978年)
Heavyweight

『Giant Step』(1984年)
Giant Step

Alegre All-Stars『Alegre All-Stars Vol.2 - El Manicero』(1964年)
Vol. 2-El Manicero

Alegre All-Stars『Alegre All-Stars Vol.3 - Lost & Found』(1965年)
The Alegre All Stars in Lost & Found, Vol. 3

Alegre All-Stars『Alegre All-Stars Vol.4 - Way Out』(1966年)
Way Out - Vol. IV

Alegre All-Stars『Alegre All-Stars Vol.5 - They Don't Make 'Em Like Us Anymore』(1976年)
The Alegre All Stars (They Just Don't Makim Like Us Any More)

Alegre All-Stars『Alegre All-Stars Vol.6 - Perdido/Te Invita 』(1977年)
Te Envita
posted by ez at 01:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする