2017年04月13日

Jade『Jade To The Max』

大ヒット「Don't Walk Away」収録!実力派女性R&Bグループのデビュー作☆Jade『Jade To The Max』
Jade to the Max
発表年:1992年
ez的ジャンル:実力派女性R&Bグループ
気分は... :ポテンシャルの高さ!

今回は90年代に活躍した女性R&BグループJadeのデビュー・アルバム『Jade To The Max』(1992年)です。

シカゴ出身のJoi MarshallTonya Kelly、ヒューストン出身Di ReedによりL.A.で結成された女性R&BグループJadeの紹介は、2ndスタジオ・アルバム『Mind, Body & Song』(1994年)に続き2回目となります。

1992年にリリースされた本デビュー・アルバム『Jade to the Max』からは、「I Wanna Love You」(全米チャート第16位、同R&Bチャート第7位)、「Don't Walk Away」(全米チャート第4位、同R&Bチャート第2位)、「One Woman」(全米チャート第22位、同R&Bチャート第16位)といったヒットが生まれ、アルバムもプラチナ・ディスクを獲得しました。

1曲を除き、Vassal Benfordがプロデュースしています。

90年代女性R&Bグループらしいキャッチーさと実力派グループらしい歌力が両立している好アルバムだと思います。

前述の「I Wanna Love You」「Don't Walk Away」「One Woman」というヒットした3曲がハイライトだと思います。まず、この3曲を聴けば、本作が買いであることがすぐに分かるでしょう。

それ以外では「Don't Ask My Neighbor」「Blessed」というThe Emotionsのカヴァー2曲や、4thシングルとなった「Looking for Mr. Do Right」、グループの実力が反映された「That Boy」、僕好みのダンス・チューン「Out with the Girls」あたりがオススメです。

特に、The Emotionsのカヴァー2曲にグループの目指す方向性が表れているのでは?

90年代女性R&Bグループには間違いない、ポテンシャルの高さを示した1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Don't Walk Away」
Vassal Benford/Ronald Spearman作。アルバムからの2ndシングルであり、全米チャート第4位、同R&Bチャート第2位となったグループ最大のヒット曲。Kool & The Gang「Jungle Jazz」、Stevie Wonder「That Girl」をサンプリングしたJam & Lewisライクなトラックがキャッチーなダンサブル・チューン。キュートな魅力と実力派グループとしての貫禄を兼ね備えたR&Bクラシックだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=oCwlZgIQN1c

Javineがカヴァーしています。
Javine「Don't Walk Away」
 https://www.youtube.com/watch?v=bNsWdeM2AzE

「I Wanna Love You」
Vassal Benford/Ronald Spearman作。記念すべきデビュー・シングルであり、全米チャート第16位、同R&Bチャート第7位のヒットとなりました。映画『Class Act』(1992年)のサントラにも収録されていました。キャッチーなコーラスワークと共に始まるキュートなミディアム・ダンサー。90年代女性R&Bグループ好きの人ならばツボの1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=bk4zURoO3qQ

「I Want 'Cha Baby」
Vassal Benford/Ronald Spearman作。ダンサブルなミディアム・グルーヴ。悪くはないですが、1、2曲があまりにキャッチーなので少し分が悪いかも?
https://www.youtube.com/watch?v=9Pfa0gnkOj8

「That Boy」
Vassal Benford/Carol Duboc作。キャッチーなダンサブル感の中にも実力派グループの片鱗を感じる1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=RcNIintk6dA

「Out with the Girls」
Vassal Benford/Ronald Spearman作。僕好みのクールなダンサブル・チューン。Vassal Benfordがいい仕事しているのでは?プッシュ音での電話のやりとりが時代を感じますが、逆に90年代らしくて良いのでは(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=cFmOAD0bxOk

「Hold Me Close」
Vassal Benford/Tony Haynes作。素敵なア・カペラ・コーラスと共に始まるハネハネのダンス・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=hHB6TALtDmk

「One Woman」
Vassal Benford/Ronald Spearman作。アルバムからの3rdシングル。全米R&Bチャート第16位となりました。実力派グループであることを実感できるビューティフルなミディアム・バラード。楽曲の良さとヴォーカルワークの素晴らしさが嚙み合った名曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=Yuz78H_LKjM

「Give Me What I'm Missing」
Joi Marshall/Myron McKinley/Angela Slates作。哀愁バラードをしっとりと歌い上げます。

「Looking for Mr. Do Right」
Alton "Wokie" Stewartプロデュース&作。この曲のみVassal Benford以外のプロデュース曲。アルバムからの4thシングルにもなりました。実力派グループならではのラブ・バラードです。派手さはありませんが、甘く切ない雰囲気が90年代女性R&Bグループらしくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=VNqFNgb2opw

「Don't Ask My Neighbor」
The Emotionsのカヴァー(Skip Scarborough作)。オリジナルはアルバム『Rejoice』(1977年)に収録されています。当ブログでも紹介したオリジナルも大好きなので、このカヴァーも大歓迎です。オリジナルを尊重した仕上がりは、実力派女性ヴォーカルのバトンを受け継いでいる感じでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=gez5hUbtyjo

「Blessed」
The Emotionsのカヴァー(Jerry Peters/Maurice White作)。オリジナルは「Don't Ask My Neighbor」と同じくアルバム『Rejoice』(1977年)に収録されています。オリジナルはKalimba Productionらしいサウンドでしたが、ここでは90年代R&Bならではのアーバンな雰囲気の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=TuYIlTPvgKY

未聴の方は『Mind, Body & Song』(1994年)もチェックを!

『Mind, Body & Song』(1994年)
Mind Body & Song
posted by ez at 18:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月12日

Two Banks Of Four『Three Street Worlds』

人気曲「Banks Of The Nile」、「One Day」収録☆Two Banks Of Four『Three Street Worlds』
Three Street Worlds
発表年:2003年
ez的ジャンル:UKクラブジャズ
気分は... :流儀を貫く!

今回はUKクラブジャズ作品より、Two Banks Of Four『Three Street Worlds』(2003年)です。

GallianoRob Gallagherと、Young Disciples等を手掛けた敏腕エンジニアのDemusDill Harris)によるクラブジャズ・ユニットTwo Banks Of Four2BO4)の紹介は、1stアルバム『City Watching』(2000年)に続き2回目となります。

『Three Street Worlds』(2003年)は、完成度の高い2BO4作品として評価の高い1枚ですね。勢いが魅力だった1stアルバム『City Watching』に対して、本作『Three Street Worlds』はより深みが増した印象を受けます。

Rob Gallagherの奥方Valerie Etienne、前作にも参加していたPaul Jason Fredericks、西ロンドンの歌姫Bembe Segueがヴォーカリストとしてフィーチャリングされています。

それ以外にSki Oakenfull(p、el-p)、Robbie Taylor(p)、Shawn Lee(g)、Robin Mullarkey(b)、
Andy Hammil(b)、Chris Bowden(sax)、Andy Ross(sax、fl)、Ben Castle(sax、fl)、Chris Storr(tp、flh)、Matt Colman(tb)といったミュージシャンが参加しています。

本作のハイライトは、ジャズ・サックス奏者Carlos Garnettのジャズ・クラシック・カヴァー「Banks Of The Nile」Gilles Peterson『Worldwide Programme 3』にも収録されていたクラブジャズ人気曲「One Day」の2曲。

それ以外の曲も派手さはないものの、2BO4の美学が貫かれたディープで美しいUKクラブジャズ・サウンドを楽しむことができます。

聴き直すほどに完成度の高さを実感できる1枚です。

クラブジャズ好きの人であれば、ぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Two Miles Before Dawn」
Paul Jason Fredericksをフィーチャー。派手さはありませんが、ジワジワと盛り上がってくるオープニング。ダンディズムがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=aRvrfNx2rvw

「Angel's Walk」
Paul Jason Fredericksをフィーチャー。抑えたトーンの落ち着きがいいですね。Chris Storrのフリューゲルホーンの音色が心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=JeNbXEmY9VA

「One Day」
Gilles Peterson『Worldwide Programme 3』にも収録されていたクラブジャズ人気曲。 Valerie Etienneのヴォーカルをフィーチャーし、Andy Hammilの格好良いベース・ラインとエレガントなホーン・アンサンブルがキマった極上のワルツ・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=HbrASYyV0w4

「Banks Of The Nile」
ジャズ・サックス奏者Carlos Garnettのジャズ・ダンサー・クラシックをカヴァー。Dee Dee Bridgewaterのヴォーカルをフィーチャーしたオリジナルはアルバム『Black Love 』(1974年)に収録されています。Ski Oakenfullの小粋なピアノとRobin Mullarkeyのベースに先導され、Valerie Etienneのヴォーカル、Ben CastleとChris Storrの二管が存在感を示します。
https://www.youtube.com/watch?v=9lDEbh5ooA0

Carlos Garnettのオリジナルもチェックを!
Carlos Garnett「Banks Of The Nile」
 https://www.youtube.com/watch?v=OyQk2VYcdpU

「Stiles」
アブストラクトHip-Hop的な小曲。

「Bluse For Brother」
Paul Jason Fredericks/Valerie Etienneをフィーチャー。Shawn LeeのギターとHip-Hop調の乾いたビートが印象的な哀愁フォーキー・ジャズ。

「Unclaimed」
Valerie Etienneをフィーチャー。Valerieの美しいヴォーカルが栄えるビューティフル・バラード。さり気ないですが愛があります。
https://www.youtube.com/watch?v=5IYBE_Tqf2Q

「Endless」
Paul Jason Fredericks/Valerie Etienneをフィーチャー。淡々とした中にもUKクラブジャズならではの美学が貫かれていてクールです。

「Closer」
Valerie Etienneをフィーチャー。ミステリアスな雰囲気の哀愁チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=ShX5ATcIljg

「The Bird Monstar」
アヴァンギャルド感のあるインタルード的な小曲。

「Three Street Worlds」
Valerie Etienneをフィーチャー。ダンサブルなビートでクールに疾走します。

「Rising」
本編のラストは西ロンドンの歌姫Bembe Segueをフィーチャーした約9分の大作です。ダンサブルなクロスオーヴァー・サウンドとBembe Segueの個性的なソウルフル・ヴォーカルが織り成すコズミックな仕上がりです。

「Moving」
国内盤ボーナス・トラック。Valerie Etienneをフィーチャーしたクラブジャズらしいダンサブルな仕上がり。

Two Banks Of Fourの他作品もチェックを!

『City Watching』(2000年)
シティ・ウォッチング

『Junkyard Gods』(2008年)
ジャンクヤード・ゴッズ
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2017年04月10日

The New Rotary Connection『Hey, Love』

ラスト作にはクロスオーヴァーな魅力があります☆The New Rotary Connection『Hey, Love』
ヘイ、ラヴ
発表年:1971年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー系ソウル
気分は... :そこに愛はある?

今回はサイケデリック・ソウル・グループRotary ConnectionThe New Rotary Connection名義でリリースしたラスト・アルバム『Hey, Love』(1971年)です。

Minnie Ripertonが在籍し、Charles Stepneyがプロデュース&アレンジを手掛けていたサイケデリック・ソウル・グループRotary Connectionの紹介は、1stアルバム『Rotary Connection』(1967年)、4thアルバム『Songs』(1969年)に続き3回目となります。

結果的にグループのラスト作となった本作『Hey, Love』(1971年)は、The New Rotary Connection名義でのリリースとなっています。

Charles Stepneyのプロデュース&アレンジは不変ですが、メンバーは大幅に再編されています。

本作におけるレコーディング・メンバーはMinnie Riperton(vo)、
Kitty Haywood(vo)、Shirley Wahls(vo)、Dave Scott(vo)、Charles Stepney(p、el-p、org、harpsichord)、Phil Upchurch(g)、Pat Ferreri(g)、Sydney Simms(b)、Donny Simmons(ds)、Master Henry Gibson(congas)。女性3名+男性1名のヴォーカル陣の再編が目立ちます。

Minnie Ripertonは、既に『Come To My Garden』(1970年)でソロ・デビューしており、本作ではヴォーカル陣の中に1名という感じで特別目立っている感じではありません。

本作で目立つのはCharles Stepneyがプロデュース&アレンジの手腕です。初期のサイケデリック・ソウルというよりは、ソウル/ゴスペル、ジャズ、フォークのフィーリングを強調したクロスオーヴァー・サウンドと美しいヴォーカルワークが魅力の1枚に仕上がっています。

楽曲はCharles StepneyMinnie Ripertonの公私のパートナーであったRichard Rudolphの楽曲が殆どです。同じCadet Recordsのレーベル・メイトTerry Callierの作品も1曲取り上げています。

Jocelyn BrownをフィーチャーしたNuyorican Soulのカヴァーでもお馴染みの「I Am The Blackgold Of The Sun」Chaka Khanもカヴァーした「Love Has Fallen On Me」、ピースフル・ソウルなタイトル曲「Hey, Love」、本作らしいクロスオーヴァー感のある「Vine Of Happiness」、美しいハーモニーの「If I Sing My Song」あたりがオススメです。

"Minnie Riperton在籍のグループ"ということを抜きにして楽しめる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「If I Sing My Song」
Charles Stepney/Richard Rudolph作。Charles Stepneyのドラマチックなストリングス・アレンジをバックに美しいハーモニーで魅了するオープニング。軽いジャズ・フィーリングがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=-nY2fln55Rs

「The Sea & She」
Richard Rudolph作。ヘブンリー・モードのビューティフル・ソング。ある意味Rotary Connectionらしい雰囲気かもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=6l4z2E7LI0Y

「I Am The Blackgold Of The Sun」
Charles Stepney/Richard Rudolph作。ゴスペル/ソウル+ロック+ラテンなクロスオーヴァー・チューンは本作のハイライトかもしれませんね。。イントロのアコギの美しい音色もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=SsY_rRFncGU

当ブログでも紹介したJocelyn BrownをフィーチャーしたNuyorican Soulのカヴァーでもお馴染みの曲ですね。
Nuyorican Soul feat. Jocelyn Brown「I Am The Blackgold Of The Sun」
 https://www.youtube.com/watch?v=ZBeFJZnU1Ag

「Hanging Round The Bee Tree」
Richard Rudolph作。Dave Scottの男性ヴォーカルを前面フィーチャーした感動バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=od5Vt1w12dE

「Hey, Love」
Charles Stepney/Richard Rudolph作。タイトル曲はDave Scottの男性ヴォーカルがリードをとるピースフル・ソウル。バック・コーラスとの掛け合いも素晴らしいですね。ニューソウル的な魅力もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=sjPMLLWZHMU

「Love Has Fallen On Me」
Charles Stepney/Lloyd Webber作。女性ヴォーカル陣が素晴らしいヴォーカルワークで楽しませてくれます。本作らしいゴスペル/ソウル色の強い1曲い仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=6gH9XX_5hIc

Chaka Khanがアルバム『Chaka』(1978年)でカヴァーしていましたね。また、Common feat. Lily Allen「Drivin' Me Wild」、Pigeon John「As We Know It」のサンプリング・ソースとなっています。
Chaka Khan「Love Has Fallen On Me」
 https://www.youtube.com/watch?v=P6JhYpVB6K8
Common feat. Lily Allen「Drivin' Me Wild」
 https://www.youtube.com/watch?v=M6Mj6wPgQso

「Song For Everyman」
Terry Callier作。Terry Callierからなのか、フォーキーな味わいに仕上げています。
https://www.youtube.com/watch?v=n9CV0XrfXTc

「Love Is」
Charles Stepney/Richard Rudolph作。美しいヴォーカル・ワークを重視したラブ&ピースな仕上がり。Charles Stepneyらしいドラマチックなアレンジが栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=OfmJ23fDLW4

「Vine Of Happiness」
Charles Stepney/Richard Rudolph作。ラストも美しいヴォーカル・ワークで締め括ってくれます。ソウル+ジャズ+フォーキーなクロスオーヴァー感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=b1Db6YSfs3E

Rotary Connectionの他作品もチェックを!

『Rotary Connection』(1967年)
Rotary Connection

『Aladdin/Dinner Music』(1968年、1970年) ※2in1CD
Aladdin / Dinner Music

『Songs』(1969年)
ソングス

『Songs/Hey, Love』(1969年、1971年) ※2in1CD
SONGS/HEY-LOVE
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2017年04月09日

Tall Black Guy『Let's Take A Trip』

Diggs Dukeらも参加!デトロイト出身の次世代ビートメイカー☆Tall Black Guy『Let's Take A Trip』
Let's Take A Trip
発表年:2016年
ez的ジャンル:デトロイト系ビートメイカー
気分は... :探偵ジョー!

今回はデトロイト出身の気鋭ビートメイカーTall Black Guyの2ndアルバム『Let's Take A Trip』です。

Tall Black Guy(TBG)(本名:Terrel Wallace)はデトロイト出身のビートメイカー。名前の通り長身らしいです。現在はUKを拠点にしています。

シカゴ出身のラッパーDee JacksonとのHip-Hopユニット80's Babiesとして活動すると同時に、Fela Kutiのリメイク「Water No Enemy」Gilles Petersonの人気コンピ『Brownswood Bubblers Seven』(2011年)に収録されたことで注目されるようになります。

2013年にはTall Black Guy名義の1stアルバム『8 Miles to Moenart』をリリース。1stアルバム『Offering For Anxious』が話題となり、もうすぐ発売される2ndアルバム『Civil Circus』への注目度も高まっている、ワシントン出身の異才シンガーソングライター/マルチ・インストゥルメンタリストDiggs Duke、ジャジーHip-Hop好きにはお馴染み、Othello名義の作品を当ブログでも数多く紹介してきたOzay Moore等をフィーチャリングしています。

同作は?uestloveThe Roots)、D'Angeloといった大物アーティストからも称賛されています。

さらにはJazzy Jeffが主催し、先進アーティストを集めるプロジェクトPlaylist Reteartに招かれ、当ブログでもイチオシの新進R&BアーティストSiRらとコラボしています。

2016年にはYusef Rumperfield名義でのアルバム『Jazz In Motion‎』(※アナログ盤のみ)をリリースしています。

そして、昨年11月にTall Black Guy名義でリリースされた2ndアルバムが本作『Let's Take A Trip』です。今年2月に国内盤がリリースされました。

僕が所有するのは国内盤であり、ジャケも上記のものですがオリジナルUK盤はジャケが異なるのでご注意を!

Tall Black Guy『Let's Take A Trip』 ※UK盤
Let's Take a Trip

デトロイト出身ということで故J Dillaの系譜を継ぎつつ、次世代ビートメイカーとしての進化も見せてくれる濃密な1枚に仕上がっています。

80's BabiesYusef Rumperfield名義で自身をフィーチャリングしています。

また、前作にも参加していたDiggs DukeOzay MooreOthello)に加え、当ブログでも紹介したL.A.ネオソウル・バンドMoonChild、L.A.出身のピアニストで当ブログでも2ndアルバム『The Awakening』(2014年)を紹介したDaniel Crawford、Hip-HopユニットEulorhythmicsのメンバーとしても活動していたKenny Keys、僕も好きなジャジーHip-HopユニットSounds Goodのメンバーとしても活動し、ドイツの気鋭レーベルMelting Pot Musicにも所属していたプロデューサー/MC/トランぺッターMiles Bonny、さらにはMario SweetRommel DonaldMasegoといったアーティストをフィーチャリングしています。

TBGのこれまでのキャリアや本作の参加メンバーのピープルツリーを見ただけでも、僕好みのアーティストであると言えるでしょう。Diggs DukeOzay MooreOthelloMoonChildというフィーチャリング・アーティストの名前だけで購買意欲がそそられました。

決して派手なアルバムではありませんが、J Dilla経由の次世代ビートメイカーとしての才能を存分に見せつけてくれます。Hip-Hop×ネオソウル×ジャズなフィーリングはThe SoulquariansやジャジーHip-Hop好きの人にフィットするはずです。あるいは、JTNC的なHip-Hop/ネオソウルを探している方も楽しめるかも・・・

今の僕の音楽嗜好にフィットするHip-Hop作品です。

全曲紹介しときやす。

「A Train Is Coming.....」
Eric B & Rakim等でもお馴染みの声ネタ♪This is a journey into Sound♪(「Train Sequence」ネタ)と共に始まるアルバムのイントロ。浮遊するJ Dilla的ビートを聴くことができます。

「One Device, One Method, One Thing」
哀愁モードのジャジーHip-Hop。寂しげなドープ感がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=27o5ujv6cQ4

「Rockin From Beginning To End」
Kenny Keysのフェンダーローズをフィーチャー。メロウなローズの音色がミステリアスに響きます。

「This One Is For The Ladies And Gents」
Miles Bonnyをフィーチャー。トランペット、フリューゲルホーン、ヴォーカルを披露してくれます。ジャジー&メロウHip-Hop好きには間違いないトラックに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=1T4OIw8fj7c

Miles BonnyがJoe Goodと組むHip-HopユニットSounds Goodの3rdアルバム『Midnight Music』(2006年)が大好きで、当ブログでも紹介したつもりでいたのですが、未紹介であることに気づきました。そのうち紹介したいと思います。

Sounds Good『Midnight Music』(2006年)
MIDNIGHT MUS

「The Kids Are Listening Interlude」
インタールード。

「Don't Box Me In」
80's Babiesをフィーチャー。盟友Dee JacksonとのタッグでThe Soulquarians的なネオソウル・フィーリングのHip-Hopを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=1ljOQNeL_F0

「Beware Of The Groove」
Mario Sweetのヴォーカルをフィーチャー。少しダークトーンのトラックは不気味な中に哀愁が漂います。

「Come With Me And Fly」
Yusef Rumperfield名義で自身をフィーチャリング。今ジャズ・フィーリングのトラックがいい感じです。Tall Black Guyのセンスを実感できる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=UFCi_WLJ1N4

「Is There More To Life」
Diggs Dukeをフィーチャー。YouTubeに音源がないのが残念ですが、本作のハイライト的なトラックなのでは?派手さはありませんが、Diggs DukeとTall Black Guyの音世界がシンクロしている感じにグッときます。

「I Will Never Know」
L.A.ネオソウル・バンドMoonChildをフィーチャー。次世代らしい引き算のネオソウルを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=dXH-ImXGHJo

「Mario Smith Speaks On」
Daniel Crawfordの鍵盤をフィーチャー。Mario Smithのスポークン・ワードによるインタールード的な小曲です。

「Things Deeper Than My Skin」
Ozay Moore(Othello)をフィーチャー。Othello大好きだった僕には嬉しいコラボです。哀愁メロウなフィーリングにグッときます。

「Peace And Love」
Rommel DonaldのギターとMasegoのサックス&ヴォーカルをフィーチャー。美しくも寂しげな哀愁メロウ・トラックが印象的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=jFnoTS86va8

国内盤には「I Will Never Know (TBG Remix)」「This Is For You Gee (ATHII 1990-2015)」の2曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。リミキサーとしての評価の高いTBGなので、「I Will Never Know (TBG Remix)」あたりはオリジナル・ヴァージョンと聴き比べると楽しいと思います。
「I Will Never Know (TBG Remix)」
https://www.youtube.com/watch?v=ab-OjoM4WQA

セットで1stアルバム『8 Miles to Moenart』(2013年)もチェックを!

『8 Miles to Moenart』(2013年)
8 Miles to Moenart
posted by ez at 02:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月08日

Lava『Prime Time』

"北欧のToto"と称されるグループの3rd☆Lava『Prime Time』
プライム・タイム (PRIME TIME) (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)
発表年:1982年
ez的ジャンル:フュージョン系北欧AOR
気分は... :トライ・イット!

今回は北欧AORからLava『Prime Time』(1982年)です。

Lavaはノルウェーで1977年に結成されたバンド。オリジナル・メンバーはPer HillestadSvein Dag Haugeら4名。

グループは『Lava』(1980年)、『Cruisin』(1981年)、『Prime Time』(1982年)、『Fire』(1984年)、『The Rhythm Of Love』(1990年)、『Polarity』(2003年)、『Alibi』(‎2005年)、『Symphonic Journey』(2009年)といったアルバムをリリースしています。

"北欧のToto"として3rdアルバムとなる本作『Prime Time』(1982年)も含めて、初期作品の再評価が高いグループですね。

しかしながら、グループの基本はAORというより、インストゥルメンタル中心のジャズ・ファンク/フュージョン・バンドという感じではないでしょうか。本作も本編全8曲をヴォーカル曲とインスト曲が半分ずつ占めます。

CDインナーのクレジットによれば、本作におけるメンバーはPer Kolstad(p、org、el-p)、Geir Langslet(syn、org、el-p)、Sigurd Kohn(as)、Svein Dag Hauge(g)、Per Hillestad(ds、per)、Rolf Graf(b)、Egil Eldoen(vo)の7名。ライナーノーツによれば、Egil Eldoenはサブメンバー扱いのようですが・・・

オリジナルLP8曲のみで聴くと、少し物足りなさも感じますが、国内盤CDにはヴォーカル入りの3曲がボーナス・トラックで追加収録されており、それらが加わることでAOR作品としての魅力が向上していると思います。

個人的には、メロウ・グルーヴ「Late At Night」、"北欧のToto"らしいアーバン・ミディアム「Hard Times」、ライト・ジャズ・ファンク「Prime Time」、ブラジリアン・フュージョン調の「Holiday」、ボーナス・トラックの「Hold On」「Take Me To The Water」がオススメです。

とりあえず、「Late At Night」「Hold On」の2曲を聴けば、本盤の魅力を実感できると思います。

全曲紹介しときやす。

「Hard Times」
前作『Cruisin』にも参加していた女性シンガーSidsel Endresenが参加し、Egil Eldoenとデュエットしています。"北欧のToto"と称されるのがよく分かるアーバン・ミディアムです。Dag Haugeの雰囲気のあるギターがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=1Auasg6gvbY

「Juliet」
ポップ・ロック調のヴォーカル曲。個人的にはタイプの曲ではありませんが、AOR好きの人は楽しめるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=fpXkDPUCvn8

「Empty Shadows」
Egil Eldoenのヴォーカルを前面に打ち出したビューティフル・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=vHl3kpSyP30

「2.12」
Sigurd Kohnのサックスをフィーチャーしたインスト。サマー・フュージョン感があります。

「Prime Time」
タイトル曲はライトなジャズ・ファンク・チューン。聴いていると、昔大好きだったSpyro Gyra「Jubilee」あたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=5MCD_-xlCDM

「Late At Night」
僕の一番のお気に入り。ブリージーなメロウ・グルーヴはモロに僕好み!初めて聴くのに懐かしい気分にさせてくれます!
https://www.youtube.com/watch?v=rSysxbB_B5E

「Tea Beat」
80年代フュージョン作品らしいメロウなインスト。当時のフュージョン作品にありがちなパターンの音ですがコレが80年代ですよね。

「Holiday」
本編のラストはアコギの美しい響きにグッとくるブラジリアン・フュージョン調のインスト。インスト曲ではコレが一番好き!
https://www.youtube.com/watch?v=ndYLNHZO2iw

国内盤CDにはボーナス・トラックとして以下の3曲のヴォーカル曲が追加収録されています。この3曲でCD全体の充実度がかなりアップしていると思います。

「DJ (Long Version)」
タイトルから連想するように、ダンサブルな仕上がり。ラテン風味の隠し味の効いたファンキーなドライブ感がいいですね。

「Hold On」
歌ものであれば、「Late At Night」に次ぐお気に入り。AOR好きの人にはグッとくるロマンティックなメロウ・バラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=dddKSATdrWo

「Take Me To The Water」
躍動するポップ・ロック。このグループのロック・グループとしての側面を楽しめる演奏です。

Lavaの他作品もチェックを!

『Lava』(1980年)
ラーヴァ (LAVA)

『Cruisin』(1981年)
クルージン (CRUISIN) (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)

『Fire』(1984年)
ファイア (FIRE) (直輸入盤帯ライナー付国内仕様)

『The Rhythm Of Love』(1990年)
The Rhythm of Love

『Polarity』(2003年)
Polarity

『Alibi』(‎2005年)
Alibi
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