発表年:1995年
ez的ジャンル:イーストコースト系ハードコアHip-Hop
気分は... :ハードコアだけどメロディアス!
今回は90年代Hip-Hop作品からAZ『Doe Or Die』(1995年)です。
AZ(本名:Anthony Cruz)は1972年N.Y.ブルックリン生まれのラッパー。
AZが知られるようになったのはNasの名盤『Illmatic』(1994年)収録曲「Life's a Bitch」への参加です。
これで注目を集めたAZはEMIとの契約に成功し、制作されたのが本作『Doe Or Die』(1995年)です。アルバムは全米R&Bアルバム・チャート第1位に輝き、シングル「Sugar Hill」もヒットするなど上々のデビューを飾りました。
その後も『Pieces of a Man』(1998年)、『9 Lives』(2001年)、『Aziatic』(2002年)、『A.W.O.L. 』(2005年)、『The Format』(2006年)、『Undeniable』(2008年)、『Legendary』(2009年)といったアルバムをリリースしています。
また、Nasの2ndアルバム『It Was Written』(1996年)への参加がきっかけで、Nas、Foxy Brown、Cormegaとのスーパー・ユニットThe Firmを結成し、アルバム『The Album 』(1997年)をリリースしています。
そして、 Wikipediaによれば、今年『Doe Or Die』の22年越しの第2弾『Doe or Die 2』がリリースされるみたいです。
デビュー・アルバムとなる本作『Doe Or Die』(1995年)は90年代Hip-Hop黄金期のヒット作であり、文句なしのクラシック作品ですが、意外に脚光を浴びる機会が少ないようにも思えます。
ジャケからはハードコアなイメージが先行しますが、トラックはメロディアスなものも多く、R&Bファンの方も馴染みやすいHip-Hop作品に仕上がっていると思います。
AZ本人に加え、Pete Rock、Lunatic Mind
Loose、D.I.T.C.クルーの一員Buckwild、Amar(Amar Pep)、L.E.S.、DR Period、N.O. Joe、Spunk Biggaといったプロデューサーが起用されています。
また、Nas、Erica Scott、Miss Jones、Amarといったアーティストがフィーチャリングされています。
シングル・ヒットしたクラシック「Sugar Hill」やリミックスの「Sugar Hill (Remix)」、Pete Rockプロデュースの「Gimme Your's」と「Rather Unique」、僕好みのメロウ・トラック「Ho Happy Jackie」、ソウル・フィーリングのタイトル・トラック「Doe Or Die」
、哀愁モードの「Your World Don't Stop」あたりが僕のお気に入りです。
2010年には『Doe Or Die』のリリース15周年を記念し、新録ヴァージョンや新録曲を追加収録した『Doe Or Die (15th Anniversay Edition)』もリリースされています。
『Doe Or Die (15th Anniversay Edition)』(2010年)
全曲紹介しときやす。
「Intro」
AZ/Lunatic Mindプロデュース。アルバムのイントロ。The Crooklyn Dodgers「Crooklyn」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=AFJbmhLzVsA
「Uncut Raw」
Looseプロデュース。ストリートの現実を訴えるハードコア・トラック。King Errisson「Back From the Dead」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=vydRy28WWkE
「Gimme Your's」
Pete Rockプロデュース。Nasをフィーチャーしています。本作らしいメロディアスな仕上がりであり、Minnie Riperton feat. Peabo Bryson「Here We Go」のネタのメロウ・トラックに、I-Level「Give Me」ネタのフレーズを印象的に使っています。AZとNasを繋いだ「Life's a Bitch」ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=WQkQG4k-Z-k
「Ho Happy Jackie」
Buckwildプロデュース。Kool & The Gang「Little Children」ネタとMilly & Silly「Gettin Down for Xmas」のブレイクを組み合わせたメロウ・トラックが僕好み。 「Sugar Hill」と並ぶ僕のお気に入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=nM4N5svMcII
「Rather Unique」
Pete Rockプロデュース。Les McCann「Anticipation」ネタを使ったPete Rockらしい洗練されたトラックを楽しめます。James Brown「Funky Drummer」やBig Daddy Kane feat. Biz Markie「Just Rhymin' With Biz 」の声ネタも挿入されています。
https://www.youtube.com/watch?v=Q0PccPy_pTM
「I Feel For You」
AZ/Amarプロデュース。Erica Scottの女性ヴォーカルをフィーチャー。胸の鼓動のようなビートとリンクすうように、AZがフロウを投げかけます。
https://www.youtube.com/watch?v=i_idK1cC178
「Sugar Hill」
L.E.S.プロデュース。デビュー・シングルとして全米チャート第25位、同R&Bチャート第12位のヒットとなったHip-Hopクラシック。Miss Jonesの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。Juicy「Sugar Free」ネタのメロウ・トラックにのって、AZがライムを畳み掛けます。ここでもNas「Life's a Bitch」を小ネタ使い。
https://www.youtube.com/watch?v=S8tHa0z0I8s
「Mo Money, Mo Murder "Homicide"」
DR Periodプロデュース。Nasをフィーチャリングした2曲目。The O'Jays「Cry Together」をサンプリングした哀愁トラックをバックに、NasとAZが丁寧にライムを重ねます。CD上は本トラックの終盤にAZ/Lunatic Mindプロデュースの「Born Alone Die Alone」も含まれています。コチラはLonnie Liston Smith「Peaceful Ones」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=_siy-GbRV-Q
「Doe Or Die」
N.O. Joeプロデュース。タイトル曲は都会的なソウル・フィーリングのあるトラックがいい感じです。Grandmaster Flash & The Furious Five feat. Grandmaster Melle Mel & Duke Bootee「The Message」とNas「Life's a Bitch」ネタを挿入しています。
https://www.youtube.com/watch?v=miSShXMP9es
「We Can't Win」
AZ/Amarプロデュース。Amarがフィーチャリングしています。少しダークなピアノ・ループが不穏なムードを醸し出します。
https://www.youtube.com/watch?v=X7CPrTvQdVI
「Your World Don't Stop」
Spunk Biggsプロデュース、Skiがリミックスしています。The O'Jays「Who Am I」、Average White Band「School Boy Crush」、Lou Donaldson「You're Welcome, Stop on By」をサンプリングした哀愁トラックが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=3EMMhJ5CUzc
「Sugar Hill (Remix)」
L.E.S.プロデュース/リミックス。オリジナル・ヴァージョンに加え、こちらのリミックスも人気です。EPMD「It Wasn't Me, It Was the Fame」ネタの本ヴァージョンはハードコア感が魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=q2yL412W48I
AZの他作品もチェックを!
『Pieces of a Man』(1998年)
『9 Lives』(2001年)
『Aziatic』(2002年)
『A.W.O.L. 』(2005年)
『The Format』(2006年)
『Undeniable』(2008年)
『Legendary』(2009年)
The Firm『The Album』(1997年)