伝説のトロンボーン奏者によるインストゥルメンタル・レゲエ名盤☆
Rico Rodriguez『Man From Wareika』♪
発表年:1976年
ez的ジャンル:レジェンド系スカ/レゲエ・トロンボーン奏者
気分は... :ディープなレゲエ・ワールド・・・
今回はスカ/レゲエ伝説のトロンボーン奏者
Rico Rodriguezの代表作
Rico Rodriguez『Man From Wareika』(1976年)です。
Rico Rodriguez(1934-2015年)はキューバのハバナで生まれ、ジャマイカのキングストンで育ち。
スカの代表的バンド
The Skatalitesのオリジナル・メンバーであったトロンボーン奏者
Don Drummond(1932-1969年)はAlpha Boys'Schoolの先輩です。
1958年にラスタファリアンとなったRicoは、ラスタファリアン・ドラマー
Count Ossieの
ワレイカ・ヒルのコミューンに身を置き、Count Ossie、Don Drummondらとセッションを重ねます。
1961年に渡英した後は、セッション・ミュージシャンとして活動しますが、70年代半ばには不遇の時代も過ごします。しかし、
Bob Marley & The Wailersの成功が追い風となり、Island Recordsとの契約に成功し、本国ジャマイカでレコーディングした作品が本作
『Man From Wareika』(1976年)です。
70年代後半のイギリスに一大スカ・ブーム時には、その中心グループ
The Specialsの諸作に参加しています。
2015年にロンドンで逝去。
スカ黎明期に後のThe Skatalitesメンバーらとセッションを重ね、70年代後半のUKスカ・ブームにも身を置いたことから、"スカ/レゲエのレジェンド"として多くのミュージシャン、音楽ファンからリスペクトされる存在であったRico Rodriguez。
そんなレジェンドを代表する作品が、彼のキャリアのターニング・ポイントとなった本作
『Man From Wareika』(1976年)です。インストゥルメンタル・レゲエの最高峰と称されることも多い作品ですね。
Karl Pittersonがプロデュースを務め、レコーディングには
Rico Rodriguez(tb)以下、
Karl Pitterson(g、key、per)、
Sly Dunbar(ds)と
Robbie Shakespeare(b)による最強リズム・セクション
Sly & Robbie、70〜80年代のジャマイカ・レゲエ・シーンを支えた
Lloyd Parks(g)、
Ansell Collins(key)、
Bernard "Touter" Harvey(key)、
Tarzan Nelson(key)、
Herman Marquis(sax)、
Richard "Dirty Harry" Hall(sax)といった名プレイヤーたち、
Bobby Ellis(tp)、
Eddie "Tan Tan" Thornton(tp)、それに
Skully(per)といったRicoと同じAlpha Boys'School出身のミュージシャンたち、UKでと共に活動していた
Dick Cuthell(tp)当ブログでもアルバムを紹介したUK出身の女性シンガー
Candy McKenzie(back vo)、本作の後にソロ活動を開始し、人気男性レゲエ・シンガーとなる
Ijahman Levi(back vo)等が参加しています。
ヴォーカルがない分、レゲエ・サウンドの魅力とは何かを改めて確認できる1枚だと思います。また、レゲエにおけるトロンボーンという楽器の重要性を再認識できます。
なお、国内再発CDにはオリジナルLPの9曲に加え、本作の次作品としてレコーディングされながらもお蔵入りとなった
『Midnight In Ethiopia』からの9曲が、ボーナス・トラックとして追加収録されており、お楽しみが倍増となります。『Midnight In Ethiopia』からの9曲は本編とは異なるテイストで、実に興味深い内容になっています。
ヴォーカル入り作品とは異なるレゲエの魅力を発見できる1枚かもしれません。
全曲紹介しときやす。
「This Day」本作のハイライトにこのオープニングを挙げる方も多いのでは?ルードなレゲエ・グルーヴにのった哀愁のホーン・サウンドがたまりません。。
https://www.youtube.com/watch?v=Gdc12Eibf2I「Ramble」インスト・レゲエならではの自由なヴァイヴがあります。Ricoのトロンボーンの音色が醸し出すユルさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hbGAY56NAww「Lumumba」Bob Marley & The Wailersにも相通じるラスタファリアン・レゲエの魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=6VzIgCwSFzs「Africa」「This Day」と並ぶ人気曲かもしれませんね。シングルにもなった曲です。ラスタファリアンのRicoらしいザイオン(アフリカ)への思いをサウンドに託した完成度の高い1曲。他の曲と異なり、
Candy McKenzieとIjahman Leviによるバック・コーラス入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=i0LaJO5h0LM「Man From Wareika」Ricoの原点はワレイカ・ヒルにあることを示すタイトル曲。ゆったりとしたグルーヴの中に、ラスタファリアンとしてのアイデンティを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=P9drTXCqOVA「Rasta」トロンボーンが主役のレゲエ・サウンドといった感じがいいですね。主役を引き立てるSly & Robbieのリズム隊の好サポートもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=eT_dh7wip8M「Over The Mountain」ルーツ・レゲエらしい魅力に溢れた演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=ByUp8dp42pE「Gunga Din」ジャズ・フィーリングを少し強調したホーン・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=_1vB2dzvSSQ「Dial Africa」ラストはアフリカへの思いが伝わってくるルーツ・レゲエ・サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZhFyoIQ1B0Mここからはボーナス・トラック。幻のアルバム
『Midnight In Ethiopia』に収録予定であった9曲です。
「Children Of Sanchez」ジャズ・トランペット奏者Chuck Mangioneのカヴァー。『Man From Wareika』とは雰囲気の異なるダイナミックなレゲエ・サウンドが印象的です。
「You Really Got Me」The Kinksのロック名曲をカヴァー。UKスカ・ブームを先取りするかの演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=AjAG-17zYxg「Midnight In Ethiopia」ザイオン(アフリカ)回帰のラスタ思想を反映した1曲。同じルーツ・レゲエ・サウンドでも『Man From Wareika』からの進化を感じることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=0FGjaINvA_4「Free Ganja」ジャズ・フィーリングのホーン・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=QEQSOycakmM「Take Five」Dave Brubeckのジャズ名曲をカヴァー。ジャズ名曲をダビー・フィーリングのレゲエに変貌させています。お見事!
https://www.youtube.com/watch?v=J4PJ7MDbWec「Far East」ラヴァーズ調のメロウ・サウンドが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=u37cl76hj5U「No Politician」ダビー&メロウなレゲエ・サウンドはMad ProfessorのAriwa作品あたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=xaRykCzC60o「Firestick」レゲエの枠に収まらないトロピカル・フィーリングの仕上がり。
「Ska Wars」映画「Star Wars」のテーマ曲を大胆にカヴァー。ダースベイダーもビックリ!のレゲエ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=2qGWTBUf1IIご興味がある方は
Rico Rodriguezの他作品もチェックを!
『Wareika Dub』(1977年)
『You Must Be Crazy』(1994年)
『Wonderful World』(1995年)
『Wareika Vibes』(2006年)