発表年:1974年
ez的ジャンル:実力派女性ジャズ・シンガー
気分は... :スペシャルな1曲!
人気女性ジャズ・シンガーDee Dee Bridgewaterのデビュー・アルバム『Afro Blue』(1974年)です。
Dee Dee Bridgewaterは1950年テネシー州メンフィス出身の女性ジャズ・シンガー。
トランペット奏者Cecil Bridgewaterと結婚し、N.Y.に拠点を移してからジャズ・シンガーとしての活動を活発化させ、1974年に1stアルバム『Afro Blue』をリリースしています。
その後はシンガーと同時にミュージカル女優としても活躍しています。シンガーとしては『Dear Ella』(1997年)でグラミーのBest Jazz Vocal Performanceを受賞しています。
デビュー・アルバムとなる本作『Afro Blue』(1974年)は、Dee Dee BridgewaterがThad Jones-Mel Lewis Jazz Orchestraのメンバーの一人として来日したとき、東京AOI Studiosでレコーディングし、日本のレーベルTrioからリリースされました。
レコーディング・メンバーはDee Dee Bridgewater(vo)、Cecil Bridgewater(tp、kalimba)、Ron Bridgewater(ts、per)、Roland Hanna (p、el-p)、George Mraz(b)、日野 元彦(ds、per)。Thad Jones-Mel Lewis Jazz Orchestraの来日メンバーに加え、当時日本人期待の若手ドラマーであった日野 元彦氏が抜擢されています。
プロデュースはプロモーターでもあった石塚貴夫氏。
随所でDee Deeが最高の女性ジャズ・シンガーであることを実感できます。透明感のある歌声が心の奥まですっと入り込んできます。
ハイライトは何と言っても、スピリチュアルな名演で知られる人気曲「Afro Blue」ですね。このスペシャルな1曲のために本作をゲットしたと言っても過言ではありません。
それ以外にRoy Ayers Ubiquity『Virgo Red』(1973年)やNorman Connors『Love From The Sun』(1974年)でもDee Deeが歌っていた名曲「Love From The Sun」、Bobby Hutchersonの人気曲カヴァー「Little B's Poem」、The Stylisticsのソウル名曲をジャジー・フィーリングで聴かせる「People Make The World Go Round」あたりが僕のオススメです。
日本産のジャズ名盤をご堪能あれ!
全曲紹介しときやす。
「Afro Blue」
Mongo Santamaria作の人気アフロ・キューバン・クラシックをカヴァー(作詞はOscar Brown Jr.)。本作をジャズ名盤たらしめるスピリチュアルな名演であり、Dee Dee Bridgewaterの代名詞と呼べる1曲です。Dee Deeのヴォーカルとバッキングが一体となって"Afro Blue"な音世界を奏でます。序盤の静と本編の動のコントラストもいいですね。日野 元彦氏もドラム・ソロで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=zpArofkoVfA
当ブログではCal Tjader、Robert Glasper Experiment feat. Erykah Badu、Two Banks Of Fourのカヴァーを紹介済みです。また、当ブログでも紹介したSlum Village feat. Pete Rock「Once Upon a Time」でサンプリングされています。
Robert Glasper Experiment feat. Erykah Badu「Afro Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=3-0JZlrk4xA
Two Banks Of Four「Afro Blue」
https://www.youtube.com/watch?v=jLWYeetHVG4
Slum Village feat. Pete Rock「Once Upon a Time」
https://www.youtube.com/watch?v=pcwyiXEM53U
「Love Vibrations」
Horace Silver作品をカヴァー。オリジナルは『That Healin' Feelin' (The United States Of Mind / Phase 1) 』(1970年)に収録されています。夫のCecilがかつてHorace Silverのグループにいたことが影響しているセレクトかもしれませんね。寛いだ雰囲気のバッキングを従えて、Dee Deeがしっとりと歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=CBjVTV-ncmw
「Blues Medley (Everyday I Have The Blues/Stormy Monday Blues)」
トラディショナル・ブルースのメドレー。リラックスした雰囲気な中でブルージーな演奏を展開します。
「Little B's Poem」
Bobby Hutcherson作の人気曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Components』(1965年)に収録されています。当ヴァージョンは1970年のDoug Carnヴァージョン(アルバム『Infant Eyes』収録)を手本にしているものと思われます。Doug Carnヴァージョンほどブラック・ジャズ寄りではありませんが・・・Dee Deeのヴォーカリストとしての実力を存分に堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=kUfine0GAdE
「Raindrops Keep Fallin' On My Head」
映画『明日に向って撃て!』の挿入歌としてお馴染みB.J.Thomasによる全米No.1ヒット「雨にぬれても」のカヴァー(Hal David/Burt Bacharach作)。お馴染みのポップ・ソングを、グッとテンポを落としたリリカルなバラードで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=k_ybp9SiKAw
「Love From The Sun」
Carl Clay/Richard Clay/Wayne Garfield作。当ブログでも紹介したRoy Ayers Ubiquity『Virgo Red』(1973年)やNorman Connors『Love From The Sun』(1974年)に収録されたヴァージョンでもDee Deeがリード・ヴォーカルをとっており、「Afro Blue」と並びDee Deeを印象付ける1曲かもしれませんね。僕の場合、グルーヴィーなRoy Ayersヴァージョンを聴くことが最も多いのですが、スピリチュアルで荘厳な本ヴァージョンも魅力的だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=J3tFiyNdNuU
当ブログではJose JamesをフィーチャーしたNicola Conteヴァージョンを紹介済みです。
Roy Ayers Ubiquity「Love From The Sun」
https://www.youtube.com/watch?v=dMh4b9HzI9Q
Norman Connors「Love From The Sun」
https://www.youtube.com/watch?v=FOHg5SyLqGc
Nicola Conte「Love From The Sun」
https://www.youtube.com/watch?v=K5npQOv5AIg
「People Make The World Go Round」
The Stylistics、1971年のヒット曲をカヴァー(Linda Creed/Thom Bell作)。ソウル名曲を小粋なジャジー・アレンジで聴かせてくれます。Dee Deeの透明感のあるヴォーカルが栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=a-0pgG76QVo
Dextrous「Sunny Smiles...(People)」のサンプリング・ソースとなっています。
Dextrous「Sunny Smiles...(People)」
https://www.youtube.com/watch?v=aKOe0izOOuQ
Dee Dee Bridgewaterの他の初期作品もチェックを!
『Dee Dee Bridgewater』(1976年)
『Just Family』(1978年)
『Bad For Me』(1979年)