2017年05月08日

Geoff & Maria Muldaur『Pottery Pie』

夫婦デュオの第1弾作品☆Geoff & Maria Muldaur『Pottery Pie』
ポテリィ・パイ
発表年:1968年
ez的ジャンル:ルーツ探求系夫婦フォーク/カントリー
気分は... :黒人音楽のエッセンス多めで・・・

今回はGeoff MuldaurMaria Muldaurの夫婦デュオGeoff & Maria Muldaurの1stアルバム『Pottery Pie』(1968年)です。

Maria Muldaurに関しては、これまで当ブログで『Maria Muldaur』(1973年)、『Open Your Eyes』(1979年)という2枚のアルバムを紹介済みです。

ジャグ・バンド・リヴァイヴァルの旗手であったJim Kweskin & The Jug Bandのメンバーとして共に活動し、プライベートでも結婚したGeoff MuldaurとMaria Muldaurが、1967年のJim Kweskin & The Jug Band解散後に組んだ夫婦デュオがGeoff & Maria Muldaurです。

2人はGeoff & Maria Muldaur名義で『Pottery Pie』(1968年)、『Sweet Potatoes』(1972年)という2枚のアルバムをReprise Recordsからリリースしています。

1972年に2人は離婚し、コンビも解消してソロ・アーティストとして別々の道を歩むことになります。特にMaria Muldaurは、1973年に「Midnight at the Oasis」を大ヒットさせたことは周知の通りです。

夫婦デュオの第1弾となる本作『Pottery Pie』(1968年)は、GeoffとMariaのリード・ヴォーカルが交互に配される構成となっています。

フォーク/カントリーをベースにしつつ、ブルース、R&B、オールド・ジャズ等のフィーリングを取り入れた幅広いルーツ・ミュージックに根差した作品になっています。特に黒人音楽のエッセンス多めなのが僕好みです。

また、ブラジル音楽の名曲「ブラジルの水彩画(Aquarela Do Brasil)」をカヴァーしている点も、僕にとってポイント高いです。ちなみにGeoffがヴォーカルをとる本ヴァージョンは、映画『未来世紀ブラジル』(1985年)のテーマ曲にもなりました。『未来世紀ブラジル』のサントラ紹介記事でも書きましたが、モンティ・パイソンのメンバーTerry Gilliam監督によるこの近未来ブラック・コメディは僕の大好きなカルト・ムービーです。

話を本作に戻すと、レコーディング。メンバーはGeoff Muldaur(vo、g、p)、Maria Muldaur(vo)以下、Amos Garrett(g)、Bill Keith(pedal steel)、Billy Mundi(ds)、Rick Marcus(ds)、Hal Grossman(horns)、Peter Ecklund(tp、whistling)、Betsy Siggins(vo)。

特に、コンビ解散後もGeoffとMariaの活動に深く関わることになり、Maria Muldaur「Midnight at the Oasis」でも見事なギターを聴かせてくれたギタリストAmos Garrettの貢献が目立ちます。

プロデュースはFairport Convention等を手掛けたJoe Boyd

一般的なハイライトは、「Brazil」「Georgia On My Mind」あたりだと思いますが、「Me And My Chauffeur Blues」「Catch It」「Trials, Troubles, Tribulations」も僕のオススメです。

フォーク/カントリーに収まらない魅力に溢れた1枚です。

全曲紹介しときやす。

「Catch It」
リヴァイヴァル・フォークの牽引者Eric Von Schmidtのカヴァー。GeoffがEric Von Schmidtのレコーディングに数多く参加しており、そういった縁でのセレクトでしょう。少しテンポを落としたユルめのブルース・フィーリングの演奏がグッド!ホーン・サウンドも含めてアレンジが絶妙です。

「I'll Be Your Baby Tonight」
Bob Dylan作品のカヴァー。Dylanのオリジナルは『John Wesley Harding』(1967年)に収録されています。Jim Kweskin & The Jug Band名義でもシングル・リリースしていた本曲を再び取り上げているのが興味深いですね。Mariaのソロ作にも通じるコケティッシュなカントリー・タッチがいい感じです。

「New Orleans Hopscop Blues」
1920〜30年代に活躍したクラリネット奏者/シンガーGeorge Thomasの作品をカヴァー。タイトルの通り、ジャズ/R&Bのエッセンスを取り入れたニューオリンズ・フィーリングの仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=edAcv7oJ9fE

「Trials, Troubles, Tribulations」
トラディショナル・ソングをMariaがアレンジ。淡々としていますが不思議な味わいに惹かれてしまいます。Mariaのヴォーカルに寄り添うBetsy Sigginsの歌声もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=3XHuS6HZ5sE

「Prairie Lullabye」
カントリー歌手Jimmie Rodgersヴァージョン(1932年)で知られるBilly Hill作品をカヴァー。Geoffがしみじみと歌い上げます。

「Guide Me, O Great Jehovah」
トラディショナル・ソングをMariaがア・カペラで歌い上げます。

「Me And My Chauffeur Blues」
女性ブルース・シンガー/ギタリストMemphis Minnieの作品をカヴァー。南部フィーリングの黒い音のバッキングを従え、Mariaが味のあるヴォーカルで魅了します。Amos Garrettのギターにもグッときます。個人的には「Brazil」と並ぶ本作のハイライト。

「Brazil」
偉大なブラジル人コンポーザーAry Barroso作の名曲「ブラジルの水彩画(Aquarela Do Brasil)」をカヴァー。前述のように、映画『未来世紀ブラジル』(1985年)のテーマ曲にもなりました。Geoffの少しわざとらしいヴォーカルとPeter Ecklundの口笛の組み合わせがいい感じです。僕の場合、映画と本ヴァージョンがセットで刷り込まれているので、曲を聴いていると映画も観たくなります。サイコー!
https://www.youtube.com/watch?v=urN7Pdzw5Cs

本曲に関して、前述の『未来世紀ブラジル』サントラ以外に、当ブログではElis ReginaSonzeiraGal Costaヴァージョンも紹介済みです。

「Georgia On My Mind」
Ray Charlesヴァージョンでお馴染み、ジョージア州歌にもなったスタンダードをカヴァー(Hoagy Carmichael/Stuart Gorrell作)。Ray Charlesヴァージョンがデフォルトで刷り込まれているので、Mariaの脱力ヴォーカルに癒される本ヴァージョンは新鮮です。Amos Garrettのギター・ソロにもグッときます。

「Death Letter Blues」
ラストはミシシッピー・デルタ・ブルースの偉大なギタリスト/シンガーSon Houseのカヴァーでブルージーに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_7tAGF6HYwY

ご興味がある方は、2nd『Sweet Potatoes』(1972年)やMaria Muldaur作品もチェックを!

『Sweet Potatoes』(1972年)
スウィート・ポテト

Maria Muldaur『Maria Muldaur』(1973年)
Maria Muldaur

Maria Muldaur『Open Your Eyes』(1979年)
Open Your Eyes
posted by ez at 01:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする