2017年05月22日

Rico Rodriguez『Man From Wareika』

伝説のトロンボーン奏者によるインストゥルメンタル・レゲエ名盤☆Rico Rodriguez『Man From Wareika』
マン・フロム・ワレイカ+9
発表年:1976年
ez的ジャンル:レジェンド系スカ/レゲエ・トロンボーン奏者
気分は... :ディープなレゲエ・ワールド・・・

今回はスカ/レゲエ伝説のトロンボーン奏者Rico Rodriguezの代表作Rico Rodriguez『Man From Wareika』(1976年)です。

Rico Rodriguez(1934-2015年)はキューバのハバナで生まれ、ジャマイカのキングストンで育ち。

スカの代表的バンドThe Skatalitesのオリジナル・メンバーであったトロンボーン奏者Don Drummond(1932-1969年)はAlpha Boys'Schoolの先輩です。

1958年にラスタファリアンとなったRicoは、ラスタファリアン・ドラマーCount Ossieワレイカ・ヒルのコミューンに身を置き、Count Ossie、Don Drummondらとセッションを重ねます。

1961年に渡英した後は、セッション・ミュージシャンとして活動しますが、70年代半ばには不遇の時代も過ごします。しかし、Bob Marley & The Wailersの成功が追い風となり、Island Recordsとの契約に成功し、本国ジャマイカでレコーディングした作品が本作『Man From Wareika』(1976年)です。

70年代後半のイギリスに一大スカ・ブーム時には、その中心グループThe Specialsの諸作に参加しています。

2015年にロンドンで逝去。

スカ黎明期に後のThe Skatalitesメンバーらとセッションを重ね、70年代後半のUKスカ・ブームにも身を置いたことから、"スカ/レゲエのレジェンド"として多くのミュージシャン、音楽ファンからリスペクトされる存在であったRico Rodriguez。

そんなレジェンドを代表する作品が、彼のキャリアのターニング・ポイントとなった本作『Man From Wareika』(1976年)です。インストゥルメンタル・レゲエの最高峰と称されることも多い作品ですね。

Karl Pittersonがプロデュースを務め、レコーディングにはRico Rodriguez(tb)以下、Karl Pitterson(g、key、per)、Sly Dunbar(ds)とRobbie Shakespeare(b)による最強リズム・セクションSly & Robbie、70〜80年代のジャマイカ・レゲエ・シーンを支えたLloyd Parks(g)、Ansell Collins(key)、Bernard "Touter" Harvey(key)、Tarzan Nelson(key)、Herman Marquis(sax)、Richard "Dirty Harry" Hall(sax)といった名プレイヤーたち、Bobby Ellis(tp)、Eddie "Tan Tan" Thornton(tp)、それにSkully(per)といったRicoと同じAlpha Boys'School出身のミュージシャンたち、UKでと共に活動していたDick Cuthell(tp)当ブログでもアルバムを紹介したUK出身の女性シンガーCandy McKenzie(back vo)、本作の後にソロ活動を開始し、人気男性レゲエ・シンガーとなるIjahman Levi(back vo)等が参加しています。

ヴォーカルがない分、レゲエ・サウンドの魅力とは何かを改めて確認できる1枚だと思います。また、レゲエにおけるトロンボーンという楽器の重要性を再認識できます。

なお、国内再発CDにはオリジナルLPの9曲に加え、本作の次作品としてレコーディングされながらもお蔵入りとなった『Midnight In Ethiopia』からの9曲が、ボーナス・トラックとして追加収録されており、お楽しみが倍増となります。『Midnight In Ethiopia』からの9曲は本編とは異なるテイストで、実に興味深い内容になっています。

ヴォーカル入り作品とは異なるレゲエの魅力を発見できる1枚かもしれません。

全曲紹介しときやす。

「This Day」
本作のハイライトにこのオープニングを挙げる方も多いのでは?ルードなレゲエ・グルーヴにのった哀愁のホーン・サウンドがたまりません。。
https://www.youtube.com/watch?v=Gdc12Eibf2I

「Ramble」
インスト・レゲエならではの自由なヴァイヴがあります。Ricoのトロンボーンの音色が醸し出すユルさがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=hbGAY56NAww

「Lumumba」
Bob Marley & The Wailersにも相通じるラスタファリアン・レゲエの魅力があります。
https://www.youtube.com/watch?v=6VzIgCwSFzs

「Africa」
「This Day」と並ぶ人気曲かもしれませんね。シングルにもなった曲です。ラスタファリアンのRicoらしいザイオン(アフリカ)への思いをサウンドに託した完成度の高い1曲。他の曲と異なり、Candy McKenzieとIjahman Leviによるバック・コーラス入りです。
https://www.youtube.com/watch?v=i0LaJO5h0LM

「Man From Wareika」
Ricoの原点はワレイカ・ヒルにあることを示すタイトル曲。ゆったりとしたグルーヴの中に、ラスタファリアンとしてのアイデンティを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=P9drTXCqOVA

「Rasta」
トロンボーンが主役のレゲエ・サウンドといった感じがいいですね。主役を引き立てるSly & Robbieのリズム隊の好サポートもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=eT_dh7wip8M

「Over The Mountain」
ルーツ・レゲエらしい魅力に溢れた演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=ByUp8dp42pE

「Gunga Din」
ジャズ・フィーリングを少し強調したホーン・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=_1vB2dzvSSQ

「Dial Africa」
ラストはアフリカへの思いが伝わってくるルーツ・レゲエ・サウンドで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZhFyoIQ1B0M

ここからはボーナス・トラック。幻のアルバム『Midnight In Ethiopia』に収録予定であった9曲です。

「Children Of Sanchez」
ジャズ・トランペット奏者Chuck Mangioneのカヴァー。『Man From Wareika』とは雰囲気の異なるダイナミックなレゲエ・サウンドが印象的です。

「You Really Got Me」
The Kinksのロック名曲をカヴァー。UKスカ・ブームを先取りするかの演奏を楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=AjAG-17zYxg

「Midnight In Ethiopia」
ザイオン(アフリカ)回帰のラスタ思想を反映した1曲。同じルーツ・レゲエ・サウンドでも『Man From Wareika』からの進化を感じることができます。
https://www.youtube.com/watch?v=0FGjaINvA_4

「Free Ganja」
ジャズ・フィーリングのホーン・サウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=QEQSOycakmM

「Take Five」
Dave Brubeckのジャズ名曲をカヴァー。ジャズ名曲をダビー・フィーリングのレゲエに変貌させています。お見事!
https://www.youtube.com/watch?v=J4PJ7MDbWec

「Far East」
ラヴァーズ調のメロウ・サウンドが魅力です。
https://www.youtube.com/watch?v=u37cl76hj5U

「No Politician」
ダビー&メロウなレゲエ・サウンドはMad ProfessorのAriwa作品あたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=xaRykCzC60o

「Firestick」
レゲエの枠に収まらないトロピカル・フィーリングの仕上がり。

「Ska Wars」
映画「Star Wars」のテーマ曲を大胆にカヴァー。ダースベイダーもビックリ!のレゲエ・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=2qGWTBUf1II

ご興味がある方はRico Rodriguezの他作品もチェックを!

『Wareika Dub』(1977年)
ワレイカ・ダブ

『You Must Be Crazy』(1994年)
You Must Be Crazy

『Wonderful World』(1995年)
ワンダフル・ワールド(紙ジャケット仕様)

『Wareika Vibes』(2006年)
Wareika Vibes
posted by ez at 00:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする