発表年:2007年
ez的ジャンル:進化形ジャズ・ピアノ・トリオ
気分は... :ピアノ・トリオによる『Black Radio』!
今日はジャズ・ピアノが聴きたい気分です。
セレクトしたのは、"今ジャズ"をリードするジャズ・ピアニストRobert Glasperの初期作品『In My Element』(2007年)です。
"今ジャズ"をリードするピアニストRobert Glasper率いる先鋭ジャズ・ユニット
1978年、テキサス州ヒューストン出身のジャズ・ピアニストRobert Glasperに関して、これまで当ブログで紹介した作品は以下の7枚(Robert Glasper Experiment(RGE)名義の作品も含む)。
『Double Booked』(2009年)
『Black Radio』(2012年)
『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年) ※リミックスEP
『Black Radio 2』(2013年)
『Covered』(2015年)
Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
『ArtScience』(2016年)
本作はジャズ界に大きなインパクトを与えたRobert Glasper Experiment(RGE)結成以前の作品であり、Robert Glasper(p)、Vicente Archer(b)、Damion Reid(ds)というピアノ・トリオ編成でのレコーディングです。
ジャズ・ピアノ・トリオらしい美しいアコースティック・ジャズに加え、故J Dillaが手掛けたHip-Hop作品の数々を奏でる「J Dillalude」、Radiohead「Everything in Its Right Place」のカヴァーなど、『Black Radio』を予感させる"今ジャズ"演奏も楽しめるのが本作の魅力です。
『Black Radio』からRobert Glasperを聴くようになったR&B/Hip-Hop系リスナーの方には、ピアノ・トリオ編成の本作に対する興味は薄いのかもしれません。
しかしながら、「J Dillalude」を聴けば、ピアノ・トリオでもJ Dillaの遺志を受け継ぐHip-Hop的なフィーリングを生み出すことができることを実感できるはずです。ピアノ・トリオによる『Black Radio』といった雰囲気ですよ。
進化形ジャズ・ピアノ・トリオを演奏を楽しみましょう!
全曲紹介しときやす。
「G&B」
小気味よいオープニング。こういったジャズ・ピアノ・トリオらしい演奏でも、決して小難しい感じがしないのがGlasperですね。
https://www.youtube.com/watch?v=HFB7ZEGzJRk
「Of Dreams to Come」
タイトルの通り、夢の中のピアノ・ジャズといった雰囲気が伝わってくるエレガントな演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=nCsB6pHZQcs
「F.T.B.」
衝撃作『Black Radio』で「Gonna Be Alright (F.T.B.)」として再演された楽曲です。『Black Radio』を聴いている人でれば、耳馴染みがあるので聴きやすいのでは?既にこの時点でピアノ・トリオによるBlack Radio感があってグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=uEh83c1wkMA
「Y'outta Praise Him (Intro)」
イントロといいながら3分半以上の叙情的な演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=3tEXOT4V2bU
「Y'outta Praise Him」
イントロに続く本編の方は"今ジャズ"のエッセンスがほんのり香る演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=oE3mFDcfMgM
「Beatrice」
サックス奏者Sam Riversの作品をカヴァー。オリジナルは『Fuchsia Swing Song 』(1965年)に収録されています。正統派ピアノ・トリオとしての実力も示してくれる演奏で、聴き応えがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=LXnXV2VvOLg
Sam Riversのオリジナルも素晴らしいのでチェックを!
Sam Rivers「Beatrice」
https://www.youtube.com/watch?v=HxMIiTW59Co
「Medley: Maiden Voyage/Everything in Its Right Place」
「J Dillalude」と並ぶ本作のハイライト。Herbie Hancock「Maiden Voyage」とRadiohead「Everything in Its Right Place」のカヴァー。ただし、単なるメドレーではなく、マッシュ・アップ感覚で聴かせるのが"今ジャズ"ミュージシャンらしいですね。深遠ながらも小粋な雰囲気が好きです。Radiohead「Everything in Its Right Place」が好きなので嬉しいカヴァーです。
https://www.youtube.com/watch?v=HJCFDlwMDxY
「J Dillalude」
故J Dillaへのトリビュート。Q-Tipのヴォイス・メッセージに続き、Common「Thelonius」、Jay Dee名義の「Doo Doo」、Slum Village「Fall in Love」、De La Soul「Stakes Is High」というJ Dilla作品が演奏されます。Hip-Hop経由のジャズを堪能できます。
https://www.youtube.com/watch?v=uNXosFXKll4
「Silly Rabbit」
スピーディー&スリリングな演奏です。終盤には「J Dillalude」の流れを汲むHip-Hopテイストの演奏で楽しませてくれます。
「One for 'Grew (for Mulgrew Miller)」
タイトルの通り、リスペクトするジャズ・ピアニストMulgrew Miller(1955-2013年)に捧げた曲です。オーセンティックな美しい演奏で魅了します。
https://www.youtube.com/watch?v=roX-vHvDr4U
「Tribute」
本編のラストはGlasperの魂の叫びと美しいピアノで締め括ってくれます。
国内盤CDにはボーナス・トラックとして、「Grey Days」が追加収録されています。
Robert Glasperの他作品もチェックを!
『Mood』(2003年)
『Canvas』(2005年)
『Double Booked』(2009年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio』(2012年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio Recovered: The Remix EP』(2012年)
Robert Glasper Experiment『Black Radio 2』(2013年)
『Covered』(2015年)
Miles Davis & Robert Glasper『Everything's Beautiful』(2016年)
Robert Glasper Experiment『ArtScience』(2016年)