2017年08月31日

RAab『You're The One』

後に911のメンバーにもなった男性R&Bシンガー唯一のソロ☆RAab『You're The One』
You're the One
発表年:1993年
ez的ジャンル:セクシー男性R&B
気分は... :いよいよ決戦日・・・

いよいよサッカーW杯アジア最終予選の大一番「日本対オーストラリア」戦ですね。

昨日、サウジアラビアがUAEに敗れたため、日本にとっては勝利のみを追求する(引き分けは意味がない)一戦、オーストラリアは負けさえしなければ、引き分けOKの一戦という構図が明確になりました。

日本にとっては、最悪引き分けでもOKという状況よりも、やるべきことがハッキリしたのはいいかもしれませんね。一方、オーストラリアがどんな出方をしてくるのかが気になりますね。引き分け狙いで守備的に戦ってきた場合、日本の攻撃が手詰まりにならないかが心配です。

最終メンバー23名の決定にも、こうした両国の構図が反映されているのかもしれませんね。個人的には植田、武藤、小林が外れたのは意外でしたが・・・ハリルがどんな先発11名を起用するのかが興味深いですね。

何としてもこの一戦でW杯の切符を手にして欲しいですね。

今回は90年男性R&B作品からRAab『You're The One』(1993年)です。

RAab(Robert Stevenson)は、唯一のソロ・アルバムとなる本作『You're The One』(1993年)をRip-It Recordsからリリースした後、元Basic BlackDarryl "Dezo" AdamsWalter "Mucho" Scottの3名で男性R&Bグループ9119*1*1)を結成します。

911は、アノTeddy Rileyプロデュースにより、アルバム『The Pressure』(1994年)を制作しましたが、結局お蔵入りになってしまったようです。その後、RAabはグループを離れ、代わりにMarkus Vance がグループに加入しています。

さて、本作RAab『You're The One』ですが、90年代前半の男性R&Bの魅力が伝わってくる佳作だと思います。

アルバム前半はスロウ〜ミディアム系バラード、後半はNJSをはじめとするダンサブル・チューンという構成になっていますが、バラードもダンサブル・チューン共に充実しています。

バラード系は濃厚すぎず、RAab自身の多重録音も含めてヴォーカル・ワークを重視しているの僕好みです。ダンサブル系はNJS調もありますが、むしろメロディアスなミディアム・グルーヴ系にRAabの魅力を感じます。Teddy Pendergrassの名曲カヴァー「Close The Door」もいい感じです。

傑出したキラー・チューンはありませんが、アルバム全編いい曲が揃っていると思います。

プロデュースはRip-It RecordsのオーナーBarry DuFae

ジャケも含めて、90年代男性R&Bらしさに溢れた1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Try My Love」
セクシーなミディアム・バラードがオープニング。いかにも90年代前半の男性R&Bらしいメロディ&ヴォーカルにグッときます。女性コーラスが花を添えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=qDHmX-qFYDg

「Foreplay」
シングルとして全米R&Bチャート第22位になったミディアム・バラード。この時期の男性R&Bらしいセクシーに歌い上げるバラードですが、濃厚すぎないのが僕好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=KZaMwCPkLfo

「Where She At?」
インタールード。この時期よくあった電話パターンですが、スマホ時代の今聴くと時代を感じますね(笑)

「Feel Me」
この曲もシングルになりました。RAab自身の多重録音によるヴォーカル・ワークが印象的な男性R&Bグループ的な1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=x5PeiDhdWhw

「Give In To Me」
美しい鍵盤の音色をバックに、しっとりと歌い上げるバラード。切ない感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=SlBReabdW0c

「Give It A Try」
Tyrone Wilsonとリード・ヴォーカルを分け合っていますが、このタッグがかなりいい感じです。楽曲の良さも含めて、かなり好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=z1nWAACSSQY

「You're The One」
タイトル曲はNJSなダンサブル・チューン。派手さはありませんがNJS好きの人であれば満足できる仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=s8v_iUNT9mE

「Close The Door」
Teddy Pendergrass、1978年の全米R&BチャートNo.1となった名曲をカヴァー(Kenny Gamble/Leon Huff作)。Teddy Pendergrassのオリジナルは『Life Is A Song Worth Singing』に収録されています。少しダンサブルなカヴァーで、オリジナルとは異なる魅力を伝えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=TLqe0ha-vks

「Can't Let Go」
妖艶な女性コーラスも含めてセクシーな哀愁ミディアム。サマー・モードにフィットする哀愁感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=WEwgEZkDaJQ

「Good Lovin」
美メロのミディアム・グルーヴ。RAabの声質の良さが伝わってきます。The Generalのラガ調ヴォーカルがいいアクセントになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=L58GgUR4Ne8

「It's Just Like That」
ラストはEPMD「So Wat Cha Sayin'」をサンプリングしたダンサブル・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=R7sGrCL_aXg

未入手ですが、911『The Pressure』も欲しいですね。さらにRAabの歌声を聴きたい方は、RAabと入れ替わりで911に加入したMarkus Vance のソロ・アルバム『Caught Up』 (2001年)にてRAabが6曲フィーチャリングされているのでチェックしてみては?、

Markus Vance『Caught Up』 (2001年)
markus vance caught up.jpg
posted by ez at 01:17| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月29日

The Bahama Soul Club『Rhythm Is What Makes Jazz Jazz』

ドイツ産ラテン・ジャズの1stアルバム☆The Bahama Soul Club『Rhythm Is What Makes Jazz Jazz』
Rhythm Is What Makes Jazz Jazz
発表年:2008年
ez的ジャンル:ドイツ産ラテン・ジャズ
気分は... :ヒップな魅力!

今回はドイツのラテン・ジャズ・ユニットThe Bahama Soul Clubの1stアルバム『Rhythm Is What Makes Jazz Jazz』(2008年)です。

クラブジャズ・ユニットThe Juju Orchestraの活動でも知られるドイツ人プロデューサーOliver Belzを中心としたラテン・ジャズ・ユニットThe Bahama Soul Clubの紹介は、3rdアルバムThe Bahama Soul Club『The Cuban Tapes』(2013年)に続き2回目となります。

1stアルバムとなる本作『Rhythm Is What Makes Jazz Jazz』では、フレンチ・ジャズ〜ボッサの女性人気シンガーIsabelle Antenaをはじめ、Bella WagnerPat AppletonMalenaといったヴォーカリストがフィーチャリングされています。

プロデュースは勿論Oliver Belz

レコーディングにはRalli King(g)、Jan-Heie Erchinger(key)、Eddie Filipp(ds)、Chris Winninghoff(tp)、George Bishop(sax)、Tom Wolter (sax)等も参加しています。

このユニットらしいレトロ・フューチャーなグルーヴを存分に楽しめるダンサブルなラテン・ジャズに仕上がっています。パーカッシヴ・サウンド大好きな僕にとって、ど真ん中のクラブジャズ/ラテン・ジャズかもしれません。

※8/31修正
本作のジャケに関して、Art Blakey & The Jazz Messengers『A Night In Tunisia(邦題:チュニジアの夜)』(1961年)を模したと記載しましたが、コメントにあるようにKenny Dorham『Trompeta Toccata』(1965年)を模したものとのご指摘を受けました。確かに文字デザインや色使いも『Trompeta Toccata』の方がズバリですね。訂正させていただきます。
Art Blakey & The Jazz Messengers『A Night In Tunisia』(1961年)
チュニジアの夜+2
Kenny Dorham『Trompeta Toccata』(1965年)
トランペット・トッカータ

やっぱり、僕はこの手のサウンドが心底好きなんですね。

全曲紹介しときやす。

「But Rich Rhythms」
アフロ/ラテン・パーカッションのダンサブルなリズムとヒップなジャズ・サウンドの組み合わせによるクラブジャズらしいオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=gEUXypukVxU

「A Bout De Souffle」
Isabelle Antenaをフィーチャー。フレンチ・ボッサの人気シンガーに相応しい、ボッサ・ビートが栄えるアンニュイ&グルーヴィーなダンサブル・チューンに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=P5lNDIes-48

「Nassau Jam」
軽快なギター・カッティング、グルーヴィーなオルガン、小粋なホーン・アンサンブルと共に一気に駆け抜けるパーカッシヴなダンシング・ジャズ。
https://www.youtube.com/watch?v=ejvParzip4Y

「Kind Of Cool」
Bella Wagnerをフィーチャー。レイジーなBella Wagnerのヴォーカルが妖しく響く、妖艶な女王様ラテン・ジャズに仕上がっています。クールなトランペットの音色もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=i517yAqdyHc

「Dejame Marchar」
Malenaをフィーチャー。Malenaのコケティッシュなヴォーカルが栄えるオシャレなボッサ&パーカッシヴ・グルーヴに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=B9J340iokGw

「Sugar Cane」
Pat Appletonをフィーチャー。このユニットらしいヒップな魅力のあるグルーヴィー・ジャズに仕上がっています。

「Boca Chica」
Nu Jazzモードのダンサブル・チューン。終盤のグルーヴィーなオルガンがグッド!

「Muchacho」
再びBella Wagnerをフィーチャー。彼女の圧倒的な存在感のあるヴォーカルは、レトロ・フューチャーなラテン・ジャズ・サウンドとよくマッチしますね。
https://www.youtube.com/watch?v=PUTZGPGyWu0

「Late Night Bossa」
Pat Appletonをフィーチャー。タイトルの通り、レイト・ナイト・モードのボッサ・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=NOqPLfrQEyg

国内盤には「The Rhythms Of.....But Rich Rhythms」「The Rhythms Of....Kind Of Cool」「The Rhythms Of....Boca Chica」というDJユースの音源がボーナス・トラックとして追加収録されています。

The Bahama Soul Clubの他作品やThe Juju Orchestraのアルバムもチェックを!

The Bahama Soul Club『Bossa Nova Just Smells Funky』(2010年)
Bossa Nova Just Smells Funky

The Bahama Soul Club『Bossa Nova Just Smells Funky Remixed』(2011年)
ボサ・ノヴァ・ジャスト・スメルズ・ファンキー・リミックスド

The Bahama Soul Club『The Cuban Tapes』(2013年)
Cuban Tapes

The Juju Orchestra『Bossa Nova Is Not A Crime』(2007年)
Bossa Nova Is Not A Crime
posted by ez at 01:14| Comment(4) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月28日

Johnny Bristol『Hang On In There Baby』

ソウル職人の1stソロ☆Johnny Bristol『Hang On In There Baby』
HANG ON IN THERE BABY
発表年:1974年
ez的ジャンル:職人ニュー・ソウル
気分は... :運を手繰り寄せる・・・

今回はソウル職人Johnny Bristolの1stソロ・アルバム『Hang On In There Baby』(1974年)です。

ソウル職人Johnny Bristolに関して、当ブログで紹介した作品は以下の3枚。

 『Feeling The Magic』(1975年)
 『Bristol's Creme』(1976年)
 『Strangers』(1978年)

本来、一番最初に紹介すべきJohnny Bristol作品ですが、そういう代表作を後回しにするのが僕の性分かもしれません。

長年Motownでソングライター/プロデューサーとして手腕を発揮してきたJohnny Bristolが、Motownでのキャリアに区切りをつけ、MGM Recordsからリリースした1stソロ・アルバムが本作『Hang On In There Baby』(1974年)です。

Bristol本人がプロデュースし、H.B. Barnumがアレンジを手掛けています。

やはり、ハイライトはBristolのソロ最大のヒットであり、フリーソウル・クラシックとしても大人気の「Hang On In There Baby」(全米チャート第8位、同R&Bチャート第2位)ですね。Bristolの魅力が凝縮された1曲だと思います。

格好良さでいえば、「You And I」「Woman, Woman」「Memories Don't Leave Like People Do」あたりも僕のオススメです。

それ以外にThe Osmondsの大ヒットのオリジナル「Love Me For A Reason」、フリーソウル人気曲Tamiko Jones「Touch Me Baby」のオリジナル「Reachin' Out For Your Love」にも注目です。

フリーソウル/ニュー・ソウル好きの人はぜひチェックを!
ソウル職人の代表作を楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Woman, Woman」
オススメその1。Johnny Bristol作。フォーキーなアコギにコンガのリズムが絡むスリリングなサウンドに魅了されるニュー・ソウル的なファンキー・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=HGerSKGY6Bs

「Hang On In There Baby」
オススメその2。Johnny Bristol作。前述のように全米チャート第8位、同R&Bチャート第2位のヒット曲であり、フリーソウル・クラシック。Johnny Bristolの代表曲といえばコレですね。いつ聴いてもヤング・ソウル〜メロウ・グルーヴな高揚感で僕のハートを鷲掴みにしてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ZVdzN1axrW8

Johnny Bristol本人が参加したAlton McClain & Destinyヴァージョンをはじめ、Curiosity Killed the Cat、K7、Gary Barlow、Blueがカヴァーしています。また、
9th Wonder feat. Heather Victoria & Rapsody「I Will Always Be Down」のサンプリング・ソースとなっています。
Alton McClain & Destiny & Johnny Bristol「Hang On In There Baby」
 https://www.youtube.com/watch?v=CLgh8BewKos
Curiosity Killed the Cat「Hang On In There Baby」
 https://www.youtube.com/watch?v=t6uWNJ3FHHM
Gary Barlow「Hang On In There Baby」
 https://www.youtube.com/watch?v=0_dv_P0ECtI
「Hang On In There Baby」
 https://www.youtube.com/watch?v=vx4o9MjZRio
9th Wonder feat. Heather Victoria & Rapsody「I Will Always Be Down」
 https://www.youtube.com/watch?v=cuUrDeZHsCo

「Reachin' Out For Your Love」
Johnny Bristol作。フリーソウル人気曲Tamiko Jones「Touch Me Baby」は本曲のカヴァーです。Tamiko Jones「Touch Me Baby」を聴いたうえで聴くと、何故かホッとした気分になります。
https://www.youtube.com/watch?v=oQX2I7d8Etk

Tamiko Jones「Touch Me Baby」と聴き比べるのも楽しいのでは?
Tamiko Jones「Touch Me Baby」
 https://www.youtube.com/watch?v=xJHisyw-wJ0

「You And I」
オススメその3。Johnny Bristol作。イントロのブレイクからして格好良いメロウ・グルーヴ。ニュー・ソウル的なピースフル感もグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=m2eBsOl4Llo

「Take Care Of You For Me」
Johnny Bristol作。女性コーラスを従え、噛みしめるように歌い上げるバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=Ly01q2jT9m8

「I Got Your Number」
Johnny Bristol/Greg Reeves作。ゴリゴリした推進力のあるニュー・ソウル調のファンキー・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=PCNLuQKrjmk

「It Don't Hurt No More」
Johnny Bristol作。しみじみと歌い上げるミディアム・バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=FJNRacuDzVo

「Memories Don't Leave Like People Do」
オススメその4。Johnny Bristol/James Dean/Jerry Butler/John Glover作。アレンジが秀逸のミディアム・グルーヴ。ジワジワと高揚してくれる感じはいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=QnUF2pyZA7k

DJ Honda feat. Mos Def「Travellin Man」で引用されています。
DJ Honda feat. Mos Def「Travellin Man」
 https://www.youtube.com/watch?v=_mIdeTnk8k0

「Love Me For A Reason」
Johnny Bristol/David Jones Jr./Wade Brown Jr.作。The Osmondsの大ヒットで知られる楽曲のオリジナル。Bristolの書く楽曲の確かさを再認識できます。
https://www.youtube.com/watch?v=xN5Gkt7LC9w

The Osmonds以外にも、 The Fabulous Five、Christopher De Leon、Bill Powerがカヴァーしています。
The Osmonds「Love Me For A Reason」
 https://www.youtube.com/watch?v=Fl5AK4R2g38
The Fabulous Five「Love Me For A Reason」
 https://www.youtube.com/watch?v=G5d64Qd3fFQ
Christopher De Leon「Love Me For A Reason」
 https://www.youtube.com/watch?v=xFN2I_p3LtA
Bill Power「Love Me For A Reason」
 https://www.youtube.com/watch?v=EIWCUZXmJW4

「Woman, Woman (Reprise)」
Johnny Bristol作。「Woman, Woman」のリプライスでアルバムは幕を閉じます。

Johnny Bristolの過去記事もご参照下さい。

『Feeling The Magic』(1975年)
フィーリング・ザ・マジック

『Bristol's Creme』(1976年)
Bristol's Creme

『Strangers』(1978年)
ストレンジャーズ(紙ジャケット仕様)
posted by ez at 00:49| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月27日

Kassin『Relax』

ブラジル新世代の重要ミュージシャンの新作☆Kassin『Relax』
リラックス
発表年:2017年
ez的ジャンル:ブラジル新世代サウンド
気分は... :進化は止まらない・・・

新作アルバムから、Moreno VelosoDomenico Lancellottiとの+ 2ユニットで知られるブラジル新世代サウンドの重要ミュージシャンAlexandre Kassinの最新ソロ・アルバム『Relax』です。

当ブログでもKassinの名は度々登場しますが、彼自身のアルバム紹介は今回が初めてとなります。

本作『Relax』は前作Kassin『Sonhando Devagar』(2011年)から約6年ぶりのアルバムとなります。Kassin自身のプロデュースです。

レコーディングには+ 2の盟友Domenico Lancellotti(ds)やKassinが近年組んでいるインスト・バンドCometaのメンバー、Alberto Continentino(b)、Danilo Andrade(p、org)、Stephane San Juan(ds、per)、Maria Ritaの公私のパートナーDavi Moraes(g)、70年代から活躍するブラジリアン・ソウルのベテランHyldon(vo、g)、ポルトガルのバンドOrelha Negra、Kassinプロデュースで昨年新作をリリースしたブラジルの女優/シンガーClarice Falcao(vo)等が参加しています。

また、ソングライティングにはHigh LlamasSean O'HaganGallianoTwo Banks Of Four、最近ではThe Diabolical Libertiesの活動で知られるUKクラブミュージックの重要アーティストRob Gallagher、Marker Starling名義でも知られるカナダ人シンガー・ソングライターChris Cummings等も参加しています。

+ 2ユニットのメンバーとSean O'HaganHigh Llamas)といえば、Domenico Lancellottiの最新作『Serra Dos Orgaos』はDomenicoとSean O'Haganとの共同プロデュースです。

Domenico Lancellotti『Serra Dos Orgaos』(2017年)
オルガンス山脈

話を本作に戻すと、国境や時代を超えた、さまざまな音楽を貪欲に取り込み、Kassinワールドをさらに進化させている点が素晴らしいですね。

ブラジル新世代サウンドを余すことなく伝えてくれる傑作アルバムだと思います。

コレを聴かずして何を聴くのか!と絶賛したくなる1枚です。

全曲紹介しときやす。

「O Anestesista」
Kassin作。元々はKassinがポーランドのバンドMitch & Mitchと共演したアルバム『Visitantes Nordestinos』(2017年)への提供曲をセルフ・カヴァー。中原 仁さんのライナー・ノーツに書かれているようにMarcos Valle調の爽快メロウ・チューンに仕上がっています。

「Estrada Errada」
70年代から活躍するブラジリアン・ソウルのベテランHyldonの作品をカヴァー。オリジナルは『Deus A Natureza E A Musica』(1976年)に収録されています。作者HyldonとポルトガルのバンドOrelha Negraとの共演です。キャッチーなギターが先導するポップ・ロック調の仕上がりです。

「Seria O Donut?」
Kassin/Rob Gallagher作。KassinとRob Gallagherの2人は、当ブログでも紹介したGilles Petersonのブラジリアン・オールスター・プロジェクト作品Sonzeira『Brasil Bam Bam Bam』で共同プロデューサーとしてタッグを組んだ仲です。この2人からはクラブ寄りのサウンドをイメージしてしまいますが、予想に反して+ 2ユニット的な音響ポップな仕上がりです。

「A Paisagem Morta」
Kassin作。僕好みの素敵なドリーミー・ポップ。Kassinのポップ職人的な才覚を再認識できます。Stephane San Juanのドラミングがいい感じです。

「Relax」
Kassin/Alberto Continentino作。タイトル曲は2015年に逝去したキーボード奏者/アレンジャー/プロデューサーLincoln Olivettiに捧げられたものらしいです。Kassin流のディスコ・サウンドを満喫できるキャッチーなダンス・チューンです。

「Enquanto Desaba O Mundo」
Kassin作。メキシコ滞在時に書かれたボレロ調の仕上がり。エクスペリメンタルなほのぼの感に和まされます。

「Sua Sugestao」
Kassin作。Domenicoのシャープなドラミングが牽引するダンサブルな近未来的ポップ・チューン。ブラジル新世代らしいサウンドを楽しめます。

「Comprimidos Demais」
Kassin/Alberto Continentino作。Kassin流ポップ・ワールドに魅了されます。ブラジルらしいサウダージなポップ感覚がグッド!

「Digerido」
Kassin/Sean O'Hagan作。High LlamasファンであるKassinは前作『Sonhando Devagar』でもSeanと共作していました。High Llamas的なエッセンスを自身の音世界に上手く取り込んだ仕上がりです。

「Coisinha Estupida」
Carson Parks作。Nancy Sinatra & Frank Sinatraが1967年に大ヒットさせた「Somethin' Stupid」のポルトガル語カヴァー。Kassinが昨年アルバム『Problema Meu』をプロデュースしたブラジル人女性シンガーClarice Falcaoをフィーチャーしています。スタンダードをレトロ・フューチャー感覚のKassinワールドに仕上げています。

ご興味がある方はKassinプロデュースのClarice Falcao『Problema Meu』(2016年)もチェックを!
Clarice Falcao『Problema Meu』(2016年)
PROBLEMA MEU

「As Coisas Que Nos Nao Fizemos」
Kassin/Chris Cummings作。KassinがChris Cummingsのファンということで実現した共作みたいですね。淡々としていますが、ジワジワと味わいが滲み出てきます。

「Momento De Clareza」
Kassin/Alberto Continentino作。70年代シティ・ミュージック好きの人であれば気に入るであろう都会的なメロウ・グルーヴです。Kassinの懐の深さを感じます。

「Estricnina」
Kassin作。以前に書いた曲のようですが、ようやく自身が納得するサウンドに辿り着いたようです。確かに、オルガン・トリオによるオルタナ・サンバは実に刺激的なサウンドに仕上がっています。

「Taxidermia」
Kassin作。ラストはSerge Gainsbourg調のポエトリー・リーディングで締め括ってくれます。

Kassinの他作品や盟友DomenicoMorenoの作品もチェックを!

Kassin + 2『Futurismo』(2006年)
Futurismo

Kassin『Sonhando Devagar』(2011年)
Sonhando Devagar by KASSIN

Domenico + 2『Sincerely Hot』(2002年)
Sincerely Hot

Domenico『Cine Prive』(2012年)
CINE PRIVE

Domenico Lancellotti『Serra Dos Orgaos』(2017年)
オルガンス山脈

Moreno + 2『Maquina de Escrever Musica』(2002年)
タイプライター・ミュージック

Moreno Veloso『Coisa Boa』(2014年)
コイザ・ボア
posted by ez at 02:19| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月26日

The Paragons『The Paragons』

「The Tide Is High」をはじめ、自らの名曲を再録音☆The Paragons『The Paragons』
The Paragons
発表年:1981年
ez的ジャンル:レゲエ・コーラス・グループ
気分は... :夢見るNo.1・・・

今回はジャマイカのヴォーカル・グループThe Paragonsのレゲエ・アルバム『The Paragons』(1981年)です。

The Paragonsは1960年代初期にジャマイカ、キングストンで結成されたスカ/ロックステディ/レゲエ・グループ。

オリジナル・メンバーはBob AndyGarth "Tyrone" EvansJunior MenzLeroy Stamp

その後メンバー・チェンジを経て、1960年代半ばからJohn HoltGarth "Tyrone" EvansHoward Barrettというラインナップで数多くのレコードをリリースします。しかしながら、1970年にJohn Holtがソロ活動のためグループを離れてしまいました。

残った2人は女性シンガーRoslyn Sweatを迎えて、1974年にThe Paragons With Roslyn Sweat名義のアルバムをリリースします。1978年には再び3人が集結してアルバム『The Paragons Return』をリリースしています。

そして、1980年に思わぬかたちで彼らに追い風が吹きます。人気ロック・バンドBlondieが彼らの楽曲「The Tide Is High」をカヴァーし、全米チャートNo.1をはじめ世界的に大ヒットさせたのです。日本でも「夢見るNo.1」の邦題でお馴染みですね。

こうした追い風の中で制作されたアルバムが本作『The Paragons』(1981年)です。

その「The Tide Is High」をはじめ、収録曲のすべてが彼らの60年代のレパートリーの再レコーディングです。

レコーディングにはSly Dunbar(ds)、Robbie Shakespeare(b)というレゲエ界の最強リズム・セクションSly & Robbieをはじめ、Mao Chung(g、org)、Robbie Lyn(p)、Sticky Thompson(per)、Nambo(tb)、Clive Hunt(tp)、David Madden(tp)、Dean Frazer(sax)、Everald Evans (sax)といったミュージシャンが参加しています。

プロデュースはLister Hewan Lowe

「The Tide Is High」「Man Next Door」といった人気曲をはじめ、The Paragonsの代表曲をSly & Robbieのバッキングで聴くことができると同時に、レゲエ初心者も楽しめるキャッチーな魅力を持ったレゲエ作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Happy Go Lucky Girl」
Sly & Robbieの強力リズム・セクションがParagonsのコーラス・ワークをしっかりサポートする開放的なオープニング。少しチープなオルガンの音色がいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=xyXjvlzfwFY

「I'll Be Back」
Beatlesのカヴァー。オリジナルは『A Hard Day's Night』(1964年)に収録されています(John Lennon/Paul McCartney作)。「I'll Be Back」のレゲエ・ヴァージョンになるとこんな感じになるんですね。一周回って新鮮です。
https://www.youtube.com/watch?v=rCa_oA8ThUU

「Man Next Door」
Massive Attackがアルバム『Mezzanine』(1998年)でカヴァーしていたことでも知られる曲ですね。それ以外にDennis Brown、The Slits等もカヴァーしています。今日的には「The Tide Is High」に次ぐ人気曲かもしれませんね。Robbie Shakespeareのベースをはじめ、サウンドの格好良さでいえば、本作随一だと思います。

YouTubeに本作ヴァージョンの音源がないので、オリジナル・ヴァージョンおよび前述のカヴァー・ヴァージョンを紹介しておきます。
The Paragon「Man Next Door」(1968年)
 https://www.youtube.com/watch?v=xKzG53ZuH5I
Massive Attack「Man Next Door」
 https://www.youtube.com/watch?v=S71_vIMQ0YY
Dennis Brown「Man Next Door」
 https://www.youtube.com/watch?v=9Q87PHE7wYU
The Slits「Man Next Door」
 https://www.youtube.com/watch?v=NRXY4dL1FYA

「Only A Smile」
素敵なラヴァーズとして楽しめるメロウ・チューン。レゲエ・ファン以外も楽しめる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=-NTiT1jGhfs

「My Best Girl」
UB40もカヴァーしていた楽曲。みんなで和みながらサマー・モードを楽しめるメロウ・チューンです。

「The Tide Is High」
前述のようにBlondieのカヴァーが世界的な大ヒットとなり、Paragonsの名を世に知らしめた名曲です。また、2002年にはAtomic Kittenが新しいブリッジを加えた「The Tide Is High (Get the Feeling)」でUKチャートNo.1のヒットを放っています。Blondieヴァージョンよりもゆったりしたテンポで、この曲の持つ魅力を存分に味わうことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=KGr9CQ-oZX4

Blondieヴァージョンと聴き比べるのも楽しいと思います。
Blondie「The Tide Is High」
 https://www.youtube.com/watch?v=ppYgrdJ0pWk

「Riding On A High And Windy Day」
哀愁のメロディが沁みてきます。リズムは軽快なのに、何とも物悲しい雰囲気にグッときてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=7i6EKBbtXG0

「Wear You To The Ball」
「The Tide Is High」と同タイプの曲です。コーラス・グループとしての彼らの魅力を実感できます。

「The Same Song」
開放的なホーン・セクションが心地好いサマー・モードにフィットするレゲエ・チューン。缶ビール片手に聴きたい気分ですね。

「On The Beach」
ラストは夏の余韻に浸れるレゲエ・チューンで締め括ってくれます。

僕の保有するCDにはオリジナル10曲に加え、『The Paragons Dubwise』として本作のダブ・ヴァージョン10曲が追加収録されています。コチラもなかなか楽しめます。

本作収録曲のオリジナル・ヴァージョンが多数収録されている『On the Beach』(1967年)や、Blondie「The Tide Is High」が収録された『AutoAmerican』(1980年)あたりもチェックしてみては?

『On the Beach』(1967年)
On the Beach

Blondie『AutoAmerican』(1980年)
Autoamerican
posted by ez at 03:11| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする