2017年08月03日

Slick & Rose『Objects In The Mirror』

オーガニックな女性R&Bデュオ☆Slick & Rose『Objects In The Mirror』
オブジェクツ・イン・ザ・ミラー
発表年:2003年
ez的ジャンル:オーガニック系女性R&Bデュオ
気分は... :キュート&オーガニック!

今回は2000年代R&B作品からSlick & Rose『Objects In The Mirror』(2003年)です。

Slick & RoseNikki Ervin(アラバマ出身)とSabrina Harvey(N.Y.出身)が結成した女性R&Bデュオ。

2002年にフィリーの登竜門"Black Lily"に出演して注目を集めたことから、ネオ・フィリーの文脈で語られることもあるデュオですが、活動拠点はアトランタです。

元々トリオで活動していたようですが、1999年よりデュオとして再スタート。そんな時にA Tribe Called Questの活動を休止したばかりの故Phife Dawgと出会い、本作でもプロデュースを手掛けるDJ Rasta Rootを紹介されます。

その後、DJ Rasta RootがプロデュースしたPhife Dawgのシングルへのフィーチャリングを経て、リリースされたアルバムが本作『Objects In The Mirror』(2003年)です。

アルバム全体としてはキュート&オーガニックな女性R&B作品といった印象です。きっとJazzyfatnasteesFloetryLes Nubiansあたりがお好きな人であれば気に入る1枚になると思います。

アルバムにはDJ Rasta Rootをはじめ、元Arrested DevelopmentKemit HymanDJ Kemit)等多彩なプロデューサーが起用されています。

キュートなアコースティック・ソウル「Bonafide」、ラブリーな「Gods」、しっとりとした「Watch U Weary」、カリビアン・フレイヴァーの「Runaway」、メロウな「Love Is」、ダークなHip-Hopトラックにグッとくる「Number 9」あたりが僕のオススメです。

改めて聴き直すとサマー・モードにフィットするR&B作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「What You Hear」
ア・カペラによるオープニング。

「Hey You」
DJ Dan Speakプロデュース。Hip-Hop調トラックによるミディアム・グルーヴ。抑えたトーンながらも2人のキュートな魅力が伝わってきます。

「Runaway」
DJ Rasta Rootプロデュース。カリビアン・フレイヴァーの効いた哀愁グルーヴ。夏モードのR&Bグルーヴとしてフィットするのでは?

「Space」
DJ Kemitプロデュース。2人のコケティッシュで切ないヴォーカルと哀愁トラックがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Wb1U0XIKAf4

「Love Is」
Don Cannonプロデュース。メロウ・ギターと2人のキュートなヴォーカル・ワークが織り成す素敵なオーガニック・グルーヴ。

「Mean」
DJ Rasta Rootプロデュース。オーガニック感が印象的なR&Bグルーヴ。アンプラグドな雰囲気がお好きな人は気に入るはず!

「Bonafide」
Marc Baldwinプロデュース。本作のハイライト!このデュオのキュートな魅力を存分に堪能できるアコースティック・ソウル。こんなキュートな歌声を聴いたら、誰でもメロメロになるはず!

「Objects」
DJ Rasta Rootプロデュース。オトナな雰囲気ですが、哀愁メロウなギター・サウンドで夏モードのR&Bに仕上がっています。

「Watch U Weary」
Marc Baldwinプロデュース。「Bonafide」と同じく素敵なアコースティック・ソウルですが、ここではしっとりと雰囲気で楽しませてくれます。

「Gods」
DJ Rasta Root プロデュース。「Bonafide」と並ぶ僕のお気に入り。ラブリーな雰囲気にグッとくる素敵なメロウ・グルーヴ。毎日、こんな曲で目覚めたい!

「Number 9」
T. the Beat Specialistプロデュース。ビートの効いたダークな哀愁トラックが印象的です。Hip-Hop好きの人は一番グッとくる音かもしれません。

「Milk & Honey」
Slick & Roseプロデュース。フィリー出身のビートボクサーDres The Beatnikをフィーチャー。素敵なヴォイス・セッションで楽しませてくれます。

「Hip-Hop」
Fly Fridayプロデュース。ラストはラガ調で艶やかに締め括ってくれます。さらに隠れトラックとして、Slick & RoseをフィーチャーしたPhife Dawgのシングル「U Know U Want It」が収録されています。

こんな素敵なアルバムをリリースしたにも関わらず、次の作品をリリースできなかった事実に音楽ビジネスの厳しさを感じます。
posted by ez at 00:38| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月01日

Laurindo Almeida『Guitar From Ipanema』

サマー・モードの素敵なイージー・リスニング☆Laurindo Almeida『Guitar From Ipanema』
ギター・フロム・イパネマ
発表年:1964年
ez的ジャンル:偉大なブラジル人ギタリスト系イージー・リスニング
気分は... :8月突入・・・

今回はブラジル出身の偉大なギタリストLaurindo Almeida『Guitar From Ipanema』(1964年)です。

Laurindo Almeida(1917-1995年)はブラジルを代表する世界的ギタリスト。クラシック、ジャズ、ラテンと幅広い分野で長きに渡り活躍しました。

膨大なレコーディング作品を残している人ですが、ボサノヴァな魅力に満ちた本作『Guitar From Ipanema』(1964年)は今日ポピュラーなLaurindo Almeida作品の中の1枚だと思います。

レコーディング・メンバーはLaurindo Almeida(g)以下、Jack Marshall(g、whistling)、Al Hendrickson(g)、Djalma Ferreira (org)、Harry Klee(fl)、Justin Gordon(fl)、George Fields(harmonica)、Fafa Lemos(violin)、Irene Kral(vo)。

アルバム全体としては、ボサノヴァ/ジャズ・サンバ調のイージー・リスニングといった印象です。

曲構成としては、ボサノヴァ名曲カヴァーとオリジナルが半々となっています。アルバム全編をカヴァーが占めるのではなく、オリジナルも半分混ぜているあたりに、単なるイージー・リスニング・アルバムではない魅力があると思います。

と言いつつ、目立つのは「The Girl From Ipanema」「Manha De Carnaval」といったボサノヴァ名曲カヴァーです。Almeidaのギターが魅力的なのは勿論ですが、前者ではJack Marshallの口笛、後者ではGeorge Fieldsのハーモニカがいい味出しています。

オリジナルではジャズ・サンバ調の「Sarah's Samba」、素敵なボサノヴァ「Choro For People In Love」がオススメです。

また、「Winter Moon」「Old Guitaron」ではIrene Kralの女性ヴォーカルをフィーチャーしています。

参加メンバーFafa Lemosのオリジナル「The Fiddler's Wolf Whistle」も完成度の高いイージー・リスニングです。

ジャケも含めてサマー・モードの素敵なイージー・リスニング作品だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Girl From Ipanema」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius De Moraes作の名曲「イパネマの娘」をカヴァー。お馴染みの名曲をAlmeidaのギターとJack Marshallの口笛がリードするジャズ・サンバ調の極上イージー・リスニングに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=PMIEx24G5BQ

本曲について、当ブログではTamba TrioAgustin Pereyra LucenaDiane Denoir/Eduardo MateoRoberto MenescalBossacucanova & Roberto MenescalSheila Landis/Rick MatlePapikTrio 3DFreddie McCoyのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はチェックを!

「Manha De Carnaval」
Antonio Maria/Luiz Bonfa作の名曲「カーニバルの朝」をカヴァー。絶品の哀愁ギターにグッときます。George Fieldsのハーモニカもいい味出しています。サイコーのイージー・リスニングです。
https://www.youtube.com/watch?v=2-GKRUWRLhU

本曲について、当ブログではDexter GordonGerry MulliganBalancoAstrud GilbertoJack Marshall & Shelly ManneSteen Rasmussen Feat. Josefine CronholmOscar PetersonAkua AllrichClaude Ciari, Bernard Gerard And The Batucada's SevenDiana PantonCountry ComfortIsabelle AubretO QuartetoQuarteto Formaのカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はチェックを!

「Sarah's Samba」
Laurindo Almeida作。「The Girl From Ipanema」と同タイプの軽快な哀愁ジャズ・サンバ。フルートの音色が似合う演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=31qzEMGYg40

「Winter Moon」
Laurindo Almeida/Portia Nelson作。Irene Kralのヴォーカルをフィーチャーしたロマンティックな仕上がりです。タイトルは冬モードでしが・・・
https://www.youtube.com/watch?v=fy5cPmS8A6c

「Izabella」
Djalma Ferreira作。グルーヴィーなオルガンにAlmeidaのギターが絡む軽快なジャズ・サンバ。Walter Wanderleyあたりとセットで聴きたくなる音です。

「Choro For People In Love」
Laurindo Almeida作。(ジャズ・サンバではなく)ボサノヴァを期待する人にはコレが一番雰囲気があるのでは?

「Quiet Nights Of Quiet Stars (Corcovado)」
Antonio Carlos Jobim作のボサノヴァ名曲をカヴァー。さり気ないですが品のいいボサノヴァにまとまっています。

本曲について、当ブログではJoanie SommersCannonball AdderleyWanda Sa(Wanda De Sah)Mario Castro-Neves & Samba S.A.Diane Denoir/Eduardo MateoEarl OkinDardanellesCassandra WilsonO QuartetoJon HendricksGenaiTillery
のカヴァーも紹介済みです。ご興味がある方はチェックを!

「Old Guitaron」
Johnny Mercer/Laurindo Almeida作。Irene Kralのヴォーカルをフィーチャー。哀愁モードのサウンドにIreneの声質がよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=9sa1nzeSX_c

「Um Abraco No Bonfa」
Joao Gilberto作。『Getz/Gilberto Vol. 2』(1966年)にも収録されていた楽曲です。軽快なギター・アンサンブルにJack Marshallの口笛も絡む、実に小気味いい演奏です。

「Twilight In Rio」
Laurindo Almeida作。George Fieldsのハーモニカとフルートがトワイライト気分を盛り上げてくれます。

「The Fiddler's Wolf Whistle」
Fafa Lemos作。ヴァイオリンの軽やかな音色が先導する素敵なボッサ・イージー・リスニングでアルバムは幕を閉じます。
https://www.youtube.com/watch?v=KVvOjziEjYQ

Laurindo Almeidaの他作品もチェックを!

『Viva Bossa Nova!/Ol! Bossa Nova!』(1962/1963年) 2in1CD
Viva Bossa Nova + Ol! Bossa Nova!

Laurindo Almeida Feat. Bud Shank 『Brazilliance Vol. 1/Brazilliance Vol. 2』(1962/1963年) 2in1CD
Vol. 1&2 -Brazilliance of

Sammy Davis, Jr. & Laurindo Almeida 『Sammy Davis, Jr. Sings, Laurindo Almeida Plays』(1966年)
Sings & Plays

Stan Getz & Laurindo Almeida『Stan Getz With Guest Artist Laurindo Almeida』(1966年)
STAN GETZ WITH GUEST ARTIST LAURINDO ALMEIDA

『A Man and a Woman 』(1967年)
男と女

『The Look of Love』(1968年)
ザ・ルック・オブ・ラヴ
posted by ez at 02:55| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする