発表年:2003年
ez的ジャンル:オーガニック系女性R&Bデュオ
気分は... :キュート&オーガニック!
今回は2000年代R&B作品からSlick & Rose『Objects In The Mirror』(2003年)です。
Slick & RoseはNikki Ervin(アラバマ出身)とSabrina Harvey(N.Y.出身)が結成した女性R&Bデュオ。
2002年にフィリーの登竜門"Black Lily"に出演して注目を集めたことから、ネオ・フィリーの文脈で語られることもあるデュオですが、活動拠点はアトランタです。
元々トリオで活動していたようですが、1999年よりデュオとして再スタート。そんな時にA Tribe Called Questの活動を休止したばかりの故Phife Dawgと出会い、本作でもプロデュースを手掛けるDJ Rasta Rootを紹介されます。
その後、DJ Rasta RootがプロデュースしたPhife Dawgのシングルへのフィーチャリングを経て、リリースされたアルバムが本作『Objects In The Mirror』(2003年)です。
アルバム全体としてはキュート&オーガニックな女性R&B作品といった印象です。きっとJazzyfatnastees、Floetry、Les Nubiansあたりがお好きな人であれば気に入る1枚になると思います。
アルバムにはDJ Rasta Rootをはじめ、元Arrested DevelopmentのKemit Hyman(DJ Kemit)等多彩なプロデューサーが起用されています。
キュートなアコースティック・ソウル「Bonafide」、ラブリーな「Gods」、しっとりとした「Watch U Weary」、カリビアン・フレイヴァーの「Runaway」、メロウな「Love Is」、ダークなHip-Hopトラックにグッとくる「Number 9」あたりが僕のオススメです。
改めて聴き直すとサマー・モードにフィットするR&B作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「What You Hear」
ア・カペラによるオープニング。
「Hey You」
DJ Dan Speakプロデュース。Hip-Hop調トラックによるミディアム・グルーヴ。抑えたトーンながらも2人のキュートな魅力が伝わってきます。
「Runaway」
DJ Rasta Rootプロデュース。カリビアン・フレイヴァーの効いた哀愁グルーヴ。夏モードのR&Bグルーヴとしてフィットするのでは?
「Space」
DJ Kemitプロデュース。2人のコケティッシュで切ないヴォーカルと哀愁トラックがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=Wb1U0XIKAf4
「Love Is」
Don Cannonプロデュース。メロウ・ギターと2人のキュートなヴォーカル・ワークが織り成す素敵なオーガニック・グルーヴ。
「Mean」
DJ Rasta Rootプロデュース。オーガニック感が印象的なR&Bグルーヴ。アンプラグドな雰囲気がお好きな人は気に入るはず!
「Bonafide」
Marc Baldwinプロデュース。本作のハイライト!このデュオのキュートな魅力を存分に堪能できるアコースティック・ソウル。こんなキュートな歌声を聴いたら、誰でもメロメロになるはず!
「Objects」
DJ Rasta Rootプロデュース。オトナな雰囲気ですが、哀愁メロウなギター・サウンドで夏モードのR&Bに仕上がっています。
「Watch U Weary」
Marc Baldwinプロデュース。「Bonafide」と同じく素敵なアコースティック・ソウルですが、ここではしっとりと雰囲気で楽しませてくれます。
「Gods」
DJ Rasta Root プロデュース。「Bonafide」と並ぶ僕のお気に入り。ラブリーな雰囲気にグッとくる素敵なメロウ・グルーヴ。毎日、こんな曲で目覚めたい!
「Number 9」
T. the Beat Specialistプロデュース。ビートの効いたダークな哀愁トラックが印象的です。Hip-Hop好きの人は一番グッとくる音かもしれません。
「Milk & Honey」
Slick & Roseプロデュース。フィリー出身のビートボクサーDres The Beatnikをフィーチャー。素敵なヴォイス・セッションで楽しませてくれます。
「Hip-Hop」
Fly Fridayプロデュース。ラストはラガ調で艶やかに締め括ってくれます。さらに隠れトラックとして、Slick & RoseをフィーチャーしたPhife Dawgのシングル「U Know U Want It」が収録されています。
こんな素敵なアルバムをリリースしたにも関わらず、次の作品をリリースできなかった事実に音楽ビジネスの厳しさを感じます。