発表年:1981年
ez的ジャンル:レゲエ・コーラス・グループ
気分は... :夢見るNo.1・・・
今回はジャマイカのヴォーカル・グループThe Paragonsのレゲエ・アルバム『The Paragons』(1981年)です。
The Paragonsは1960年代初期にジャマイカ、キングストンで結成されたスカ/ロックステディ/レゲエ・グループ。
オリジナル・メンバーはBob Andy、Garth "Tyrone" Evans、Junior Menz、Leroy Stamp。
その後メンバー・チェンジを経て、1960年代半ばからJohn Holt、Garth "Tyrone" Evans、Howard Barrettというラインナップで数多くのレコードをリリースします。しかしながら、1970年にJohn Holtがソロ活動のためグループを離れてしまいました。
残った2人は女性シンガーRoslyn Sweatを迎えて、1974年にThe Paragons With Roslyn Sweat名義のアルバムをリリースします。1978年には再び3人が集結してアルバム『The Paragons Return』をリリースしています。
そして、1980年に思わぬかたちで彼らに追い風が吹きます。人気ロック・バンドBlondieが彼らの楽曲「The Tide Is High」をカヴァーし、全米チャートNo.1をはじめ世界的に大ヒットさせたのです。日本でも「夢見るNo.1」の邦題でお馴染みですね。
こうした追い風の中で制作されたアルバムが本作『The Paragons』(1981年)です。
その「The Tide Is High」をはじめ、収録曲のすべてが彼らの60年代のレパートリーの再レコーディングです。
レコーディングにはSly Dunbar(ds)、Robbie Shakespeare(b)というレゲエ界の最強リズム・セクションSly & Robbieをはじめ、Mao Chung(g、org)、Robbie Lyn(p)、Sticky Thompson(per)、Nambo(tb)、Clive Hunt(tp)、David Madden(tp)、Dean Frazer(sax)、Everald Evans (sax)といったミュージシャンが参加しています。
プロデュースはLister Hewan Lowe。
「The Tide Is High」、「Man Next Door」といった人気曲をはじめ、The Paragonsの代表曲をSly & Robbieのバッキングで聴くことができると同時に、レゲエ初心者も楽しめるキャッチーな魅力を持ったレゲエ作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Happy Go Lucky Girl」
Sly & Robbieの強力リズム・セクションがParagonsのコーラス・ワークをしっかりサポートする開放的なオープニング。少しチープなオルガンの音色がいい味出しています。
https://www.youtube.com/watch?v=xyXjvlzfwFY
「I'll Be Back」
Beatlesのカヴァー。オリジナルは『A Hard Day's Night』(1964年)に収録されています(John Lennon/Paul McCartney作)。「I'll Be Back」のレゲエ・ヴァージョンになるとこんな感じになるんですね。一周回って新鮮です。
https://www.youtube.com/watch?v=rCa_oA8ThUU
「Man Next Door」
Massive Attackがアルバム『Mezzanine』(1998年)でカヴァーしていたことでも知られる曲ですね。それ以外にDennis Brown、The Slits等もカヴァーしています。今日的には「The Tide Is High」に次ぐ人気曲かもしれませんね。Robbie Shakespeareのベースをはじめ、サウンドの格好良さでいえば、本作随一だと思います。
YouTubeに本作ヴァージョンの音源がないので、オリジナル・ヴァージョンおよび前述のカヴァー・ヴァージョンを紹介しておきます。
The Paragon「Man Next Door」(1968年)
https://www.youtube.com/watch?v=xKzG53ZuH5I
Massive Attack「Man Next Door」
https://www.youtube.com/watch?v=S71_vIMQ0YY
Dennis Brown「Man Next Door」
https://www.youtube.com/watch?v=9Q87PHE7wYU
The Slits「Man Next Door」
https://www.youtube.com/watch?v=NRXY4dL1FYA
「Only A Smile」
素敵なラヴァーズとして楽しめるメロウ・チューン。レゲエ・ファン以外も楽しめる1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=-NTiT1jGhfs
「My Best Girl」
UB40もカヴァーしていた楽曲。みんなで和みながらサマー・モードを楽しめるメロウ・チューンです。
「The Tide Is High」
前述のようにBlondieのカヴァーが世界的な大ヒットとなり、Paragonsの名を世に知らしめた名曲です。また、2002年にはAtomic Kittenが新しいブリッジを加えた「The Tide Is High (Get the Feeling)」でUKチャートNo.1のヒットを放っています。Blondieヴァージョンよりもゆったりしたテンポで、この曲の持つ魅力を存分に味わうことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=KGr9CQ-oZX4
Blondieヴァージョンと聴き比べるのも楽しいと思います。
Blondie「The Tide Is High」
https://www.youtube.com/watch?v=ppYgrdJ0pWk
「Riding On A High And Windy Day」
哀愁のメロディが沁みてきます。リズムは軽快なのに、何とも物悲しい雰囲気にグッときてしまいます。
https://www.youtube.com/watch?v=7i6EKBbtXG0
「Wear You To The Ball」
「The Tide Is High」と同タイプの曲です。コーラス・グループとしての彼らの魅力を実感できます。
「The Same Song」
開放的なホーン・セクションが心地好いサマー・モードにフィットするレゲエ・チューン。缶ビール片手に聴きたい気分ですね。
「On The Beach」
ラストは夏の余韻に浸れるレゲエ・チューンで締め括ってくれます。
僕の保有するCDにはオリジナル10曲に加え、『The Paragons Dubwise』として本作のダブ・ヴァージョン10曲が追加収録されています。コチラもなかなか楽しめます。
本作収録曲のオリジナル・ヴァージョンが多数収録されている『On the Beach』(1967年)や、Blondie「The Tide Is High」が収録された『AutoAmerican』(1980年)あたりもチェックしてみては?
『On the Beach』(1967年)
Blondie『AutoAmerican』(1980年)