2017年09月12日

Vibraphonic『Vibraphonic 2』

アシッド・ジャズ界のRoy Ayers?☆Vibraphonic『Vibraphonic 2』
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発表年:1995年
ez的ジャンル:アシッド・ジャズ系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :前夜祭!

今回は90年代アシッド・ジャズ期のジャズ・ファンク・ユニットVibraphonicの2ndアルバム『Vibraphonic 2』(1995年)です。

Vibraphonicはヴァイヴ奏者Roger Beaujolaisが1990年に結成したジャズ・ファンク・ユニット。Roger Beaujolaisといえば、The Beaujolais Bandとしてもアシッド・ジャズ期に作品をリリースしています。

Vibraphonicとしては、当時の人気レーベルAcid Jazzからリリースした『Vibraphonic』(1993年)、『Vibraphonic 2』(1995年)といった作品で人気を博しました。

その後も『On a Roll』(1996年)、『Acidjazzizms』(2000年)といったアルバムをリリースしています。

2ndアルバムとなる本作『Vibraphonic 2』(1995年)は、アシッド・ジャズ界の"Roy Ayers"とでも呼びたくなるようなジャズ・ヴァイヴ・グルーヴを楽しめます。

プロデュースはRichard MarcangeloRoger Beaujolais

本作のレコーディング・メンバーはRoger Beaujolais (vibe、key、per)、Lennox Cameron(key、vo)、Tony Remy(g)、Nick Cohen(b)、Phil Steriopulos(b)、Pete Lewinson(ds)、Pete Eckford(per)、Richard Marcangelo (per、programming)、Mark Lockheart(ss、ts)、John Eacott(tp)。さらに前作に続き、当時のUKの人気女性シンガーAlison Limerickが参加しています。

Alison Limerick以外であれば、名ベーシストNick Cohenの参加も目を引きます。

Alison Limerickをフィーチャーした「Buck The System」「True Life」、Montana Sextetのカヴァー「Heavy Vibes」Syreeta Wrightのカヴァー「To Know You Is To Love You」といったヴォーカル入りの曲が目立ちますが、Roy Ayers的アシッド・ジャズを楽しむという点では、むしろインスト・チューンの方は楽しめるかもしれません。

アシッド・ジャズ好き、ヴァイヴ好き、Alison Limerick好きの方は、ぜひチェックを!

全曲紹介しときやす。

「Heavy Vibes」
Montana Sextetのカヴァー(Vincent Montana, Jr.作)。Lennox Cameronのヴォーカルと共にスタートする、タイトルの通りヴァイヴ栄えするメロウ・ジャズ・グルーヴです。ラテンなスパイスもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=NRB_iOkZflo

「Buck The System」
Alison Limerick/Roger Beaujolais作。Alison Limerickをフィーチャーしたソウルフル&ダンサブルな仕上がり。Alison Limerickの諸作がお好きなUKクラブミュージック好きの人でれば気に入ると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=8lJGI_EP2f4

「Down Home」
キレのあるシャープなジャズ・フィーリングが心地好いヴァイヴ・グルーヴ。アシッド・ジャズらしいインスト・チューンに仕上がっています。

「Can't Get Enough」
サックスがリードするインスト・ジャズ・ファンク。さり気ないセンスを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=8ooXAt_aEyo

「Strolling」
ブラジリアン・フレイヴァーのインスト・チューン。ヴァイヴの音色を楽しむには、こういう感じもいいかもしれませんね。

「To Know You Is To Love You」
Syreeta Wrightのカヴァー(Stevie Wonder/Syreeta Wright作)。オリジナルは『Syreeta』(1972年)に収録されています。Lennox CameronがヴォーカルをとるダンサブルなUKソウルに仕上がっています。抑えたトーンが逆にクールでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=6lrGKF14fpA

「Light And Shade」
Nick Cohenのベースが牽引するグルーヴが格好良いジャズ・ファンク。アシッド・ジャズを楽しむという点では、こういった演奏もいいのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=CT0pPe4npQE

「True Life」
Alison Limerick/Roger Beaujolais作。Alison Limerick参加の2曲目。少しテンポを落としたソウルフルなダンサブル・チューンでAlisonのヴォーカルを楽しめます。彼女のヴォーカルはいつ聴いても輝きのある声質がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ThCiMJgnFgU

「Funkly」
ヴァイヴを中心に据えたジャズ・ファンク・サウンドが印象的なインスト。

「Watch Out For This One」
ラストはダンシング・ジャズで締め括ってくれます。ダンサブルといっても熱くなりすぎず、全体を貫くクールネスが格好良いですね。

VibraphonicThe Beaujolais Bandの他作品もチェックを!

Vibraphonic『Vibraphonic』(1993年)

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Vibraphonic『On a Roll』(1996年)
On a Roll

The Beaujolais Band<『Mind How You Go』(1990年)
Mind How You Go

The Beaujolais Band<『Talk Talk & More Talk』(1993年)
Talk Talk & More Talk
posted by ez at 00:28| Comment(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月11日

Aldemaro Romero And His Onda Nueva『Aldemaro Romero And His Onda Nueva』

Onda Nuevaワールドを満喫できる1枚☆Aldemaro Romero And His Onda Nueva『Aldemaro Romero And His Onda Nueva』
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発表年:1972年
ez的ジャンル:オンダ・ヌエヴァ
気分は... :ソフィスティケイテッド!

今回はベネズエラの偉大な音楽家Aldemaro Romeroが提唱した音楽スタイル"Onda Nueva"を代表する1枚、Aldemaro Romero And His Onda Nueva『Aldemaro Romero And His Onda Nueva』(1972年)です。

ベネズエラ、ヴァレンシア出身のプロデューサー/アレンジャー/コンポーザー/ピアニストAldemaro Romero(1928-2007年)の紹介は、Aldemaro Y Su Onda Nueva『El Fabuloso』(1971年)に続き2回目となります。

ボサノヴァ、ラテン・ポップス、フォルクローレ、ソフトロック、ジャズ、クラシックなどを融合させたイージー・リスニング的な音楽スタイル"Onda Nueva"を提唱したAldemaro Romeroですが、本作『Aldemaro Romero And His Onda Nueva』(1972年)は、N.Y.とハリウッドでレコーディングされた全曲英語のUSマーケットを意識した作品です。

本国ベネズエラでは『La Onda En Ingles』のタイトルでリリースされています。

セルメン系の男女コーラス入りブラジリアン・ソフト・ロック/ボッサ・グルーヴがお好きな人であれば、間違いなく気に入るソフィスティケイテッド・ポップ作品です。

1枚だと思います。

とりあえず「It's Impossible (Somos Novios)」「And Still I Love Her (Carretera)」「Bluesette」「Sweet Madness (Folie Douce)」の4曲を聴けば、本作の素晴らしさを実感できるはずです。

"Onda Nueva"を堪能するという点では、素晴らしいヴォーカリーズを聴かせてくれる「Little Love Bird (Pajarillo In Onda Nueva)」の仕上がりも抜群です。

上記は再発CDのジャケですが、オリジナルLPのジャケがジャケ好きにはたまらないと思います。
※オリジナル・ジャケ
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聴く者をハッピーにするAldemaro RomeroのOnda Nuevaワールドを存分に楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「It's Impossible (Somos Novios)」
オススメその1。Armando Manzanero/Sid Wayne作。メキシコ人コンポーザーArmando Manzaneroの作品がオープニング。エレガントなオーケストレーションをバックに、美しい男女コーラスが軽やかに舞うメロディアスなソフト・ロック。
https://www.youtube.com/watch?v=6bwggGg8G2Q

「And Still I Love Her (Carretera)」
オススメその2。Aldemaro Romero/Sammy Cahn作。聴いているだけでハッピー・モードになる至極のブラジリアン・ソフト・ロック。サウンド、コーラス共に申し分なし!いつ聴いてもポジティブ&ラブリーなヴァイヴに溢れています。
https://www.youtube.com/watch?v=s7CtUadLu6I

「It Never Ends (Quinta Anauco)」
Aldemaro Romero/Sammy Cahn作。イージーリスニング的なバラードをしっとりと歌い上げます。。
https://www.youtube.com/watch?v=oFZLX_PIup4

「Little Love Bird (Pajarillo In Onda Nueva)」
Aldemaro Romero/Hermine Hilton作。バロック・スタイルの素晴らしいヴォーカリーズ・スタイルで聴かせます。Michel Legrandの実姉Christiane Legrandも在籍していたコーラス・グループThe Swingle Singersの影響らしいです。Onda Nuevaらしさという点では抜群の仕上がりかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=5yoxEdc2fFE

「Someone (El Catire)」
オススメその3。Aldemaro Romero/Sammy Cahn作。ダバダバ・スキャットが冴え渡るキュート&スリリングなブラジリアン・ソフト・ロック。中盤はゆったりとしたテンポで雰囲気を変え、後半再びダバダバ・スキャットへ突入するドラマチックな展開も印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=OfG9n95I2KQ

「Two (Chipoleando)」
オススメその4。Aldemaro Romero/Hermine Hilton作。素晴らしいコーラス・ワークと共にスピーディーに疾走します。グルーヴィーなオルガン・サウンドもグッド!

「Venezuela (Coplas A La Polaca)」
Aldemaro Romero/Sammy Cahn作。メロウネス漂うセルメン好きの人が気に入るであろうブラジリアン・・ソフト・ロック。
https://www.youtube.com/watch?v=Ao25ygf7AGM

「Bluesette」
オススメその5。Norman Gimbel/Toots Thielemans作。Toots Thielemansのジャズ・スタンダードをカヴァー。当ブログではQuincy Jonesのカヴァーも紹介済みです。また、ポーランドの女性ジャズ・シンガーUrszula Dudziakのカヴァー・ヴァージョン(アルバム『Midnight Rain』収録)もクラブ・クラシックとして再評価が高いですね。本ヴァージョンもUrszula Dudziakに負けない魅力を持った至極のブラジリアン・メロウ・ジャズに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=0Spr3iIXE8k

Urszula Dudziak「Bluesette」
 https://www.youtube.com/watch?v=3-6xw7vIrik

「Sweet Madness (Folie Douce)」
オススメその6。Franck Pourcel/Hermine Hilton作。軽快なリズムと共にキュートな女性ヴォーカルが躍動する至極のボッサ・グルーヴ

「Sunrise, Sunset」
Jerry Bock/Sheldon Harnick作。ミュージカル『Fiddler on the Roof(邦題:屋根の上のバイオリン弾き)』の主題歌をカヴァー。哀愁モードのヴォーカルを品良く聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=hhVWe_Y8Yso

「Never Can Say Goodbye」
オススメその7。Clifton Davis作。Jackson 5、1971年の大ヒット曲をカヴァー。お馴染みの人気曲をボッサなソフト・ロックで聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=9S-hC67v5dw

Aldemaro Romeroの他作品もチェックを!

Monna Bell & Aldemaro Romero『La Onda Nueva En Mexico』(1970年)
La Nueva Onda Nueva En Mexico

Aldemaro Y Su Onda Nueva『El Fabuloso』(1971年)
エル・ファブローゾ

Aldemaro Romero Y Su Onda Nueva『La Onda Maxima』(1972年)
La Onda Maxima

Aldemaro Romero Y Su Onda Nueva『Toma Lo Que Te Ofreci』(1974年)
TOMA LO QUE TE OFRECI

Aldemaro Romero『Istituto Italo-Latino Americano/Roma』(1976年)
イスティトゥート・イタロ=ラティーノ・アメリカーノ
posted by ez at 00:18| Comment(2) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月10日

Noah Slee『Otherland』

NZ出身、ベルリンを拠点にする新世代R&Bシンガーのデビュー作☆Noah Slee『Otherland』
アザーランド
発表年:2017年
ez的ジャンル:ベルリン産新世代R&Bシンガー
気分は... :未踏の地へ・・・

今回は新作アルバムからベルリンを拠点にする新世代R&BシンガーNoah Sleeのデビュー・アルバム『Otherland』です。

Noah Slee(多分、本名はKautau Molia Manukia)は、ニュージーランド出身の男性R&Bシンガー。ライナーノーツを読むと、幼少期をトンガで過ごした後に、NZのオークランドへ移住と書かれており、本名も考慮すると彼のルーツはNZというよりもトンガと説明した方が適切かもしれません。

自ら音楽制作を手掛けるようになり、NZの音楽シーンで頭角を現し始めます。当ブログで紹介した作品でいえば、NZのフューチャー・ソウル作品Sola Rosa『Magnetics』(2014年)でNoah Sleeがフィーチャリングされています。

その後、1stシングル「Can't Let Go」をリリースし、そのリミックスを手掛けたJuri Nathan Ben Esserと意気投合します。そして、彼がスタジオを所有するベルリンを拠点に、共同プロデュースで本作『Otherland』の制作を開始します。

ちなみにJuri Nathan Ben Esserは、Ben Esserの名で知られるUK出身の男性SSW/プロデューサーであり、かつてはUKのバンドLadyfuzzのドラマーとしても活躍していました。

話を本作『Otherland』に戻すと、販売元のインフォやCD帯の宣伝文句には、各方面から絶賛の新世代US女性R&BグループKING、UK期待の男性R&BシンガーSampha、デトロイト出身の次世代ビートメイカーTall Black Guyといった当ブログで紹介したアーティストの名前が引き合いに出されています。

さらに参加メンバーには、当ブログでも少し前にデビュー・アルバム『Freedom TV』を絶賛したナイジェリア出身、ベルリン在住の男性R&BシンガーWayne Snow、当ブログでもお馴染み、USアンダーグラウンドR&Bの女王である異才Georgia Anne Muldrow『Cloak』(2016年)で注目されたオーストラリア、ブリスベン出身で現在はロンドンを拠点とする男性シンガー・ソングライターJordan Rakei、さらには全世界が注目するオーストラリアのフューチャー・ソウル・ユニットHiatus KaiyoteのメンバーPaul Bender(b)とSimon Mavin(key)という要注目アーティストの名がズラリと並びます。

ここまで挙げたアーティストの名を眺めただけで、本作の充実ぶりが想像できちゃいますよね(笑)

実際の音も、そんな事前期待を裏切らない内容です。随所で新世代アーティストらしいR&Bを満喫できます。また、ハウスのエッセンスを取り入れた楽曲あたりはベルリンならではの音かもしれません。また、ゴスペル色の強い楽曲なども収録されています。

楽曲はすべてNoah自身とBen Esser等によるオリジナルです。

次世代R&B好きの方は要チェックな音だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Komata’anga (Intro) 」
トンガ語で「はじまり」を意味するイントロ。Noahのルーツはトンガにアリ!

「Instore」
ナイジェリア出身、ベルリン在住の男性R&BシンガーWayne Snowと同郷の友人であるNZの女性シンガーRachel Fraserをフィーチャー。さらにHiatus KaiyoteのPaul BenderとSimon Mavinも参加しています。揺らめく哀愁サウンドと共に3人のヴォーカルがジワジワと脳内を侵食します。
https://www.youtube.com/watch?v=2mlicLZ-ozU

「Radar」
ベルリン産らしいハウスの影響を感じるダンサブル・チューン。今のR&Bとハウスを自然に融合させているのが新世代アーティストなのかもしれませんね。このあたりはWayne Snowにも通じますね。
https://www.youtube.com/watch?v=jE-eiVF7_-A

「Invite (Interlude)」
インタールード。

「Lips」
MeloDownzをフィーチャー。Hiatus Kaiyoteの2人も参加。アンビエントな雰囲気の今時R&Bらしい1曲に仕上がっています。音空間の広がりでいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MmhTmsz4Ad4

「Told」
現在、僕の移動中のヘビロテはコレ!ベルリン産R&Bならではのダンサブル・チューンだと思います。アンダーグラウンドなアッパー感がたまらなく僕好みです。トランペットのアクセントもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=n2wDsnGABkw

「Sunrise」
スクラッチと共に始まる新世代らしいR&Bグルーヴ。Noahのファルセット・ヴォーカルが浮遊する感じがいいですね。Georgia Anne Muldrowも参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=fCaqD-H3qts

「Dawn(Interlude)」
Georgia Anne Muldrowをフィーチャー。MuldrowからNoahへのエールのようなトライバルな小曲。

「Reality」
最新作『Wallflower』が間もなくリリースされる期待の男性SSW、Jordan Rakeiをフィーチャー。オセアニアからヨーロッパ経由で世界中のR&Bファンを魅了するという点で、NoahとRakeiは共通していますね。そんな期待のホープの共演らしい次世代R&Bの音世界を満喫できます。むやみに尺を長くせず2分半強で収めるのも新世代らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=UUaUfN-EoL8

「DGAF」
Shiloh Dynastyをフィーチャー。Noahのギターがさり気なく牽引します。歌い回しが新世代R&Bらしいですね。Shiloh Dynastyのサウンド・エフェクトのようにサウンドに溶け込む高音ヴォーカルが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=lNgSeq3dC2w

「Wander (Interlude)」
ゴスペル調のインタールード。

「Stayed」
前曲からの流れを汲むゴスペル調のバラード。アンビエント+ゴスペルな感じが新世代アーティストらしいかもしれません。

「Way Back」
祈りのような哀愁のヴォーカルワークが印象的です。

「Kiez (Interlude)」
インタールード。

「100」
Hiatus Kaiyoteの2人も参加。参加メンバー達のハイブリッドな音楽センスが凝縮されたフューチャー・ソウルに仕上がっています。コレも大好き!

「Silence」
タイトルの通り、静寂の中でNoahのヴォーカルは揺らめきます。新世代のスピリチュアル・ソウルといった趣です。

「Ngata’anga (Outro)」
Ben Esserのピアノによるアウトロ。

販売元の宣伝文句に従い(笑)、KINGSamphaTall Black Guyとセットで聴いてみては?

KING『We Are KING』(2016年)
We Are King

Sampha『Process』(2017年)
Process [ライナーノーツ / 歌詞対訳 / ボーナストラック収録 / 国内盤] (YTCD158J)

Tall Black Guy『Let's Take A Trip』(2016年)
Let's Take A Trip
posted by ez at 01:56| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月09日

Far Cry『The More Things Change...』

AORファンにはお馴染みの1枚☆Far Cry『The More Things Change...』
ファー・クライ(期間生産限定盤)
発表年:1980年
ez的ジャンル:メイン・ストリームAOR
気分は... :心機一・・・

今回はAORファンにはお馴染みの1枚、Far Cry『The More Things Change...』(1980年)です。

Far CryはN.Y.出身のPhil Gladstonとカナダ、モントリオール出身のPeter Thomによるデュオ。特にPhil Gladstonは、後にVanessa Williams等のプロデュースでも活躍しています。

1973年に出会い、ソングライティング・チームとして頭角を表してきた2人は、1977年にGaldston & Thom名義のアルバム『American Gypsies』をリリースします。しかしながら、John Simonがプロデュースを手掛けた『American Gypsies』は商業的には不発に終わりました。

そこで心機一転、ユニット名をFar CryとしてAOR路線へ大きく舵を切って制作されたアルバムが本作『The More Things Change...』(1980年)です。

Steely Dan作品のエンジニアElliot Scheinerがプロデュースを務めています。

レコーディング・メンバーにはDonald Fagen(back vo)をはじめ、Rob Mounsey(key、syn)、Elliott Randall(g)といったSteely Dan人脈や、Billy Joelのバンド・メンバーDoug Stegmeyer(b)とLiberty DeVitto(ds)の名がクレジットされています。

さらにSteve Khan(g)、Jeff Mironov(g)、Mark Doyle(g)、Tony Levin(b)、Neil Jason(b)、Will Lee(b)、Chris Parker(ds)、Bernard Purdie(ds)、Ed Greene(ds)、Ralph MacDonald(per)、Randy Brecker(tp、flh)、Marvin Stamm(tp、flh)、Timmy Cappello(sax)、Ronnie Cuber(sax)、Barry Roger(tb)、Patti Austin(back vo)、John Barranco(back vo)、Zachary Sander(back vo)、Frank Floyd(back vo)等の名うてのミュージシャンが参加しています。

この豪華メンバーを見ると、まずSteely Dan的なサウンドのAOR作品を期待してしますね。実際、「Eldorado Escape」「It's Not As Simple As That」「Some Things Will Never Change」などSteely Dan的な楽曲が数多く収録されており、そのサウンドを聴きながらニンマリするのも本作の楽しみ方かもしれません。

一方で、Steely Dan的サウンドのみで終わらないのも本作の魅力だと思います。その意味では主役である2人のソングライティングの良さを実感できる「The One And Lonely」「Ocean Eyes」「Suddenly Strings」、ウエストコースト・ロックな「The Hits Just Keep On Comin'」あたりもオススメです。

いずれにしてもAORファンには間違いのない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Hits Just Keep On Comin'」
僕の一番のお気に入り。この曲に関しては、Steely Danというよりもウエストコースト・ロック系の爽快チューンに仕上がっています。コレがDonald Fagen参加曲というのも面白いですね。僕のiTinesのプレイリストではVapour Trails「Don't Worry Baby」とセットになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=24P4FDPDluU

「Eldorado Escape」
サウンド、曲調共にSteely Dan好きの人はニンマリの1曲。Bernard Purdieのドラミングがサウンド全体にダイナミックな印象を与えてくれます。

「The One And Lonely」
ソングライティング・チームらしい楽曲の良さを楽しめる哀愁メロウ。Rob Mounseyのシンセ・ソロの音色もグッド!もう9月ですが、去りゆく夏の余韻に浸りたい気分になる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=BltH6WOJ9Ow

「Because It's There」
派手さはありませんが、楽曲の良さとツボを押さえた好バッキングが噛み合ったメロウ・チューン。Patti Austinらも加わったコーラスワークもグッド!Neil Jasonのベースが牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=PuHS3gCitYU

「It's Not As Simple As That」
Donald Fagen参加の2曲目。先の「The Hits Just Keep On Comin'」と異なり、コレはモロにSteely Dan/Donald Fagen色の強い仕上がりです。しかも、リード・ギターはElliott RandallなのでSteely Dan好きの人はグッとくるはずなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=am43cmaeIrQ

「Fight, Fight, Fight」
リラックスしたサウンドが印象的です。ヴォーカルも含めてSteely Danに寄せている感じが面白いですね。Timmy Cappelloがサックス・ソロで盛り上げてくれます。

「Ocean Eyes」
この曲はウエストースト風の仕上がり。僕好みのメロウ・チューンであり、このデュオの魅力を楽しむという点でもオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=WhKqNTaCS5E

「Suddenly Strings」
Rob Mounseyのメロウ・エレピのソフトな響きにグッとくるビューティフル・バラード。このデュオらしい仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=rTE07YM-UGA

「Tell Jack」
Elliott Randallのギターが目立つポップ・ロック調の仕上がり。

「Some Things Will Never Change」
Donald Fagen参加の3曲目。ラストは派手さはないものの、Steely Dan風のいい味のサウンドで締め括ってくれます。Steve Khanのギター・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=fJGdta6eZ1Q

ご興味がある方はGaldston & Thom『American Gypsies』(1977年)もチェックを!

Galdston & Thom『American Gypsies』(1977年)
アメリカン・ジプシーズ <SHM-CD>
posted by ez at 12:20| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月08日

Patti LaBelle『Patti LaBelle』

パワフルなソロ・デビュー・アルバム☆Patti LaBelle『Patti LaBelle』
Patti Labelle
発表年:1977年
ez的ジャンル:レディソウル
気分は... :湯を沸かすほどの熱い愛・・・

今回はパワフルなレディソウル・シンガーPatti LaBelleがソロ・デビュー・アルバム『Patti LaBelle』(1977年)です。

1944年フィラデルフィア生まれ。Nona HendryxSarah Dashとの3人組レディソウル・グループLabelleのメンバーとしても活躍した女性ソウル・シンガーPatti LaBelleの紹介は、『I'm In Love Again』(1983年)に続き2回目となります。

Labelle解散後の初ソロ・アルバムとなる本作『Patti LaBelle』ですが、奇をてらうことなく、ありのままのPatti LaBelleを表現した1枚だと思います。

プロデュースはLabelle時代と同じくDavid Rubinson

Ray Parker, Jr.(g、b)、Leo Nocentelli(g、key)、David Shields(b)、George Porter, Jr.(b)、Mac Cridlin(b)、James Budd Ellison(key)、James Gadson(ds)、Natcho(harmonica)、Cecil Womack(back vo)、Curtis Womack(back vo)、Friendly Womack(back vo)、The WatersJulia Waters(back vo)、Maxine Waters(back vo)、Oren Waters(back vo)、Norma Harris(back vo)、Rosie Casals(back vo)、Sherri Barman(back vo)、(back vo)、Yvonne Fair(back vo)、

シングル・カットされたダンス・クラシック「Joy to Have Your Love」がハイライトですかね。それ以外にもEdwin Starrのカヴァー「Funky Music」、少しビッチな「You Can't Judge a Book by the Cover」Bob Dylanのカヴァー「Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)」といったファンキー・チューンが収録されています、

バラードであれば、シングルにもなった「You Are My Friend」、The Skylinersのカヴァー「Since I Don't Have You」が印象的です。さらにアーシーなミディアム「I Think About You」も味わい深いです。

意外に地味な存在のソロ・デビュー作かもしれませんが、なかなかの佳作だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Joy to Have Your Love」
Jeffrey Cohen/Ray Parker, Jr./Budd Ellison作。シングル・カットされたダンサブル・チューン。個人的には本作のハイライト。ダンス・クラシック然としたサウンドをバックに、Pattiのパワフルなヴォーカルが栄えます。男性ゴスペル・シンガーD'Morea Johnsonがカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=mzTkQtm9g1o

「Funky Music」
Edwin Starr、1971年のR&Bヒット「Funky Music Sho Nuff Turns Me On」をカヴァー(Barrett Strong/Norman Whitfield作)。タイトル通りのファンキー・グルーヴで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=LmHHtA10G3E

Reflection Eternal(Talib Kweli & Hi Tek) feat. De La Soul「Soul Rebels」のサンプリング・ソースとなっています。
Edwin Starr「Funky Music Sho Nuff Turns Me On」
 https://www.youtube.com/watch?v=QY9pJf0FHAo
Reflection Eternal feat. De La Soul「Soul Rebels」
 https://www.youtube.com/watch?v=2RyhgZWuQgI

「Since I Don't Have You」
ドゥーワップ・グループThe Skyliners、1958年のヒット曲をカヴァー(Wally Lester/Joe VerScharen/Joseph Rock/James Beaumont/Jackie Taylor作)。しっとりとした中にも風格のあるヴォーカルで歌い上げるバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=W5ZigyDPlqw

「Dan Swit Me」
Jeffrey Cohen/Ray Parker, Jr./David Rubinson/Armstead Edwards作。ファンキー・ピアノが印象的なダンサブル・チューン。Pattiのヴォーカルが躍動します。
https://www.youtube.com/watch?v=O5gpLhH3WLg

「You Are My Friend」
Patti LaBelle/Budd Ellison/Armstead Edwards作。シングル・カットもされたバラード。オーセンティックなバラードですが、Pattiの圧倒的なヴォーカルで味わい深い仕上がりになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=LpFK45IPCO8

「You Can't Judge a Book by the Cover」
Bo Diddley、1962年のヒット曲をカヴァー(Willie Dixon作)。Pattiの少しビッチなヴォーカルがフィットしたファンキー・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=ec_YwUuVIho

The Alamo「Never Judge a Book」のサンプリング・ソースとなっています。
The Alamo「Never Judge a Book」
 https://www.youtube.com/watch?v=AaQ6KeAmGs0

「I Think About You」
Angelo "Funky Knuckles" Nocentelli作。Pattiのヴォーカリストとしての魅力を存分に堪能できるアーシーなミディアム・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=AZO-NoyVXHE

「Do I Stand a Chance?」
Patti LaBelle/Budd Ellison/Armstead Edwards作。Pattiの情感たっぷりのヴォーカルがたまらない感動的なバラード。
https://www.youtube.com/watch?v=KuHzXAguhsc

「Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)」
Bob Dylanのカヴァー。オリジナルは名盤『Blonde on Blonde』(1966年)に収録されています。Dylan作品をPattiらしくファンキーにカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=zAevA1V86OQ

ご興味のある方は、他のソロ作もチェックしてみて下さい。

『The Spirit's in It』(1981年)
SPIRIT'S IN IT

『I'm In Love Again』(1983年)
アイム・イン・ラヴ・アゲイン(紙ジャケット仕様)

『Winner in You』(1986年)
Winner in You

『Be Yourself』(1989年)
Be Yourself

『Burnin'』(1991年)
Burnin

『Gems』(1994年)、
Gems

『Flame』(1997年)
Flame

LaBelleの過去記事もご参照ください。

『Pressure Cookin'』(1973年)
Pressure Cookin'

『Nightbirds』(1974年)
Nightbirds

『Chameleon』(1976年)
Chameleon
posted by ez at 01:39| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする