2017年09月07日

Cool Million『Going Out Tonight』

80年代ディスコ/ファンク・リバイバルの先駆的ユニットの1st☆Cool Million『Going Out Tonight』
GOING OUT TONIGHT
発表年:2008年
ez的ジャンル:80年代ディスコ/ファンク・リバイバル
気分は... :筋のいいサウンド!

今回は80年代ディスコ/ファンク・リバイバルの先駆的ユニットCool Millionの1stアルバム『Going Out Tonight』(2008年)です。

デンマーク人プロデューサーFrank Ryleとドイツ人プロデューサーRob HardtによるユニットCool Millionの紹介は、4thアルバム『Sumthin'Like This』(2015年)に続き2回目となります。

Tuxedoをはじめ、80年代ディスコ/ブギー・リバイバルの流れは今も続いていますが、その先駆者的な存在がCool Millionですね。

今から約9年前にリリースされた1stアルバムである本作『Going Out Tonight』(2008年)を聴けば、彼らの一貫した80年代ディスコ/ファンク愛を実感できると思います。

この1stアルバムでは、80年代に活躍したUS男性ソウル・シンガーC.J. Anthony、Cool Million作品には常連の女性シンガーLaura Jackson、当ブログでもアルバム『U Don't Want My Love』(2005年)を紹介したシカゴ出身でヨーロッパを拠点に活動する男性ソウル・シンガーDonald McCollumをはじめ、多彩なシンガーがフィーチャリングされています。

アルバム全体を通して充実した内容ですが、Cool Millionらしさ全開の「Going Out Tonight」、シングルにもなった「Naughty Girl」Donald McCollumをフィーチャーしたモダン・ソウル「Get Up On The Floor」、華やかなメロウ・ファンク「Make Me Yours」、ブラコン好きにはグッとくる「Pullin Me Back」、完成度の高いメロウ・ファンク「Closer」が僕のオススメです。

Cool Millionの細部まで行き届いた80年代ディスコ/ファンク愛を楽しみましょう。

全曲紹介しときやす。

「Going Out Tonight」
オススメその1。Natalie Dorraをフィーチャー。タイトル曲はCool Millionらしい華やかでキャッチーな80年代モードのディスコ/ファンクに仕上がっています。Natalie Dorraのキュートな女性ヴォーカルが栄えます。
https://www.youtube.com/watch?v=VsT_yRUqFAQ

「Give Me My Love」
C.J. Anthonyをフィーチャー。マニアの心をくすぐる起用かもしれませんね。煌びやかな音色のダンサブル・サウンドが時計の針を80年代へ引き戻してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=RRoPpMfRQY4

「Get Up On The Floor」
オススメその2。当ブログでも紹介した男性ソウル・シンガーDonald McCollumをフィーチャー。Cool Millionのセンスの良さを実感できるモダン・ソウルです。気の利いたホーン・アレンジもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=HYaivfzQeKs

「It's Too Late」
Karen Grothをフィーチャー。Carole Kingの名曲カヴァー。ミディアム・ファンクになった「It's Too Late」も悪くありませんよ!
https://www.youtube.com/watch?v=fTNGN1HQc3Q

「Damn Beautiful」
Laura Jacksonをフィーチャー。気分は80年代ブラコン・モード!Cool Million作品には常連Lauraが素敵な歌声で盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=VkQ8hlQpsug

「Walk Away」
Eleanaをフィーチャー。Eleanaのキュートなヴォーカルにフィットしたアーバンなメロウ・ファンクです。
https://www.youtube.com/watch?v=O-2VBglYGXY

「Musiq」
Jahahをフィーチャー。Jahahの何処となく切ないヴォーカルと共に疾走する感じにグッときます。
https://www.youtube.com/watch?v=vLUncCPwxkc

「Make Me Yours」
オススメその3。Diane Marshをフィーチャー。80年代モードをさらにCool Millionらしく誇張して2割増位になっている華やかなメロウ・ファンク。かなり好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=ehmARHjO90M

「Lift Me Up (To The Sky)」
Laura Jacksonをフィーチャー。アッパーなディスコ・ファンクで駆け抜けます。
https://www.youtube.com/watch?v=RyD40VN9B-Q

「Pullin Me Back」
オススメその4。C. Robert Walkerをフィーチャー。コレも80年代好きの心をくすぐる男性ブラコン調の仕上がりです。ツボを外さないのがCool Millionですね。
https://www.youtube.com/watch?v=cnr-szMBnyQ

「Everything Ain't Everything」
P.A.C.E.をフィーチャー。ミディアム・バラードで少し落ち着かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=V0dmyc7cUdc

「Pride」
Aaron Washingtonフィーチャー。Cool Millionの80年代サウンドへのこだわりを楽しめるミディアム・グルーヴ。
https://www.youtube.com/watch?v=bYxTvbGT9Fc

「Leave Me」
Laura Jacksonをフィーチャー。爽快メロウ・ファンク。夜モードの曲が多い中で、この曲は昼モードな仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=matDP2UWffQ

「Closer」
オススメその5。Diane Marshをフィーチャー。華のあるDianeのヴォーカルが牽引するメロウ・ファンク。ヴォーカル・アレンジも含めて完成度高いです。
https://www.youtube.com/watch?v=KkEhRo3vI7U

「Naughty Girl」
オススメその6。Lene Riebauをフィーチャー。ラストはシングルにもなったディスコ/ブギーで華やかに締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MxmMpGlP24w

Cool Millionの他作品やRob Hardtの別ユニットSeductive Soulsもチェックを!

『Back For More』(2010年)
Back for More

『The Tom Moulton Session』(2010年) ※リミックス・アルバム
Tom Moulton Session

『III』(2012年)
III

『Sumthin'Like This』(2015年)
Sumthin’ Like This

Seductive Souls『Spirit』(2010年)
Spirit
posted by ez at 03:12| Comment(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月06日

Willie Bobo『Uno Dos Tres 1-2-3』

N.Y.スパニッシュ・ハーレムらしいブーガルー/ラテン・ジャズ☆Willie Bobo『Uno Dos Tres 1-2-3』
Uno Dos Tres & Spanish Grease
発表年:1966年
ez的ジャンル:N.Y.ブーガルー/ラテン・ジャズ
気分は... :W杯最終予選、今晩は少し余裕で!

今回はラテン・パーカッション/ティンバレス奏者Willie Boboが1966年にリリースした『Uno Dos Tres 1-2-3』です。

N.Y.スパニッシュ・ハーレム出身のニューヨリカンWillie Bobo(本名:William Correa)(1934-1983年)の紹介は、『Juicy』(1967年)、『Bobo Motion』(1967年)に続き3回目となります。

厳密には上記ジャケにリンクしているのは、『Spanish Grease』(1965年)との2in1CDです。僕が保有しているのもこの2in1です。『Uno Dos Tres 1-2-3』単品でのCD化はされていないと思います。

本作は以前に紹介した2枚と同様に、Boboがノリに乗っていた60年代後半のVerveでのレコーディングです。プロデュースはCreed Taylor

レコーディング・メンバーはWillie Bobo(timbales)以下、Mel Lastie(cornet)、Bobby Brown(as、ts)、Sonny Henry(g)、Jon Hart(b)、Bobby Rodriguez(b)、Oswald Martinez(bongos、guiro)、Carlos Valdes(congas)、Jose Mangual(per)、Victor Pantoja(per)。

アルバム全体としては、N.Y.スパニッシュ・ハーレムのストリート感覚を楽しめるファンキー&グルーヴィーなブーガルー/ラテン・ジャズに仕上がっています。

アッパーなブーガルー/ラテン・グルーヴでいえば、「One, Two, Three (Uno, Dos, Tres) 」「Boogaloo in Room 802」「Rescue Me」「No Matter What Shape (Your Stomach's In)」「Ol' Man River」「The Breeze and I」あたりがオススメ。

テンポを落とした「Fried Neck Bones and Some Homefries」「Goin' Out of My Head」「I Remember Clifford」も僕好み。

この時期のBoboの勢いのあるサウンドを楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Boogaloo in Room 802」
Jon Hart/Melvin Lastie作。軽快で開放的なブーガルーがオープニング。ストリート感覚のラテン・グルーヴを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=uJaJgPlXzLA

「Come a Little Bit Closer」
Tommy Boyce/Wes Farrell/Bobby Hart作。Jay & The Americans、1964年のヒット曲をカヴァー。何の予備知識もなく聴いたとき、Ritchie Valens「La Bamba」のカヴァーだと思いました(笑)。「La Bamba」とマッシュアップしたらジャスト・フィットだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=mrRejBhRRIQ

「Goin' Out of My Head」
Teddy Randazzo/Bob Weinstein作。 Little Anthony & the Imperials、1964年のR&Bヒットをカヴァー。ゆったりとしたテンポながらも、気の利いたラテン・ジャズは魅力的です。
https://www.youtube.com/watch?v=givmPi-L7qQ

「I Remember Clifford」
天才トランぺッターClifford Brownに捧げられたBenny Golson作品をカヴァー。Donald Byrd/Gigi Gryceヴァージョンが初レコーディングですが、当ブログでも紹介したLee Morganのカヴァーが印象的ですね。ゆったりとしたラテン・リズムで聴く「I Remember Clifford」も悪くありません。
https://www.youtube.com/watch?v=OZe-PzPw3c8

「Rescue Me」
女性R&BシンガーFontella Bass、1965年の大ヒット曲をカヴァー(Raynard Miner/Carl Smith作)。アッパーなストレート感覚が魅力の1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=gBUGNAt4Mvc

「Michelle」
Beatlesの名曲カヴァー(John Lennon/Paul McCartney作)。オリジナルは『Rubber Soul』に収録されています。情熱的なラテン・グルーヴとなった「Michelle」もなかなかの珍味です。
https://www.youtube.com/watch?v=RRc1YifQXA4

「No Matter What Shape (Your Stomach's In)」
USロック・バンドThe T-Bones 、1965年のシングルをカヴァー(Granville Burland作)。 スリリングに疾走するラテン・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=_49ujR0etow

「Fried Neck Bones and Some Homefries」
Willie Bobo/Melvin Lastie作。今日的にはタイトル曲と並ぶハイライトかもしれませんね。抑えたトーンが格好良いビターなラテン・グルーヴです。
https://www.youtube.com/watch?v=VjLRkdVihJw

当ブログで紹介したCoke Escovedoヴァージョンをはじめ、Santana、Giants、Yeska等がカヴァーしています。また、Styles of Beyond「Survival Tactics」、Delinquent Habits feat. Michelle「Boulevard Star」のサンプリング・ソースとなっています。
Santana「Fried Neckbones」
 https://www.youtube.com/watch?v=dke84YMCFs0
Coke Escovedo「Fried Neckbones」
 https://www.youtube.com/watch?v=7NBksJWXfi0
Giants「Fried Neck Bones and Some Home Fries」
 https://www.youtube.com/watch?v=N5siaDUhHaU
Yeska「Fried Neck Bones and Some Home Fries」
 https://www.youtube.com/watch?v=xRfcdSoEd4A
Styles of Beyond「Survival Tactics」
 https://www.youtube.com/watch?v=coF-KsSb4iU
Delinquent Habits feat. Michelle「Boulevard Star」
 https://www.youtube.com/watch?v=9r5d8yCiVCY

「Ol' Man River」
Oscar Hammerstein II/Jerome Kern作のスタンダードをカヴァー。ラテン・ジャズ〜ブーガルーでいえば、当ブログで紹介したJimmy Castorによるカヴァーもあります。スピード感という点ではアルバム随一のの仕上がり。Boboのティンバレスも存分に楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=3lk89RQpWis

「One, Two, Three (Uno, Dos, Tres) 」
タイトル曲はブルーアイド・ソウル・シンガーLen Barry、1965年の大ヒット曲「1 - 2 - 3」をカヴァー(John Medora/David White/Len Barry作)。この曲自体、The Supremes「Ask Any Girl」(Holland-Dozier-Holland作)のリワークという位置づけです。N.Y.ブーガルーの魅力を存分に伝えてくれる本作のハイライトなのでは?演奏全体にストリートな男の色気があるのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=kCnHikW6BNQ

「Night Song」
1964年のミュージカル『Golden Boy』の挿入歌をカヴァー(Lee Adams/Charles Strouse作)。エレガントな古き良きラテン・ムードが漂います。
https://www.youtube.com/watch?v=hRKOphUBKTw

「The Breeze and I」
キューバ人コンポーザーErnesto Lecuona作、Al Stillmanが英詞をつけたスタンダードをカヴァー。「Ol' Man River」と並ぶスピード感でスタンダードをスリリングも聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bPOlsRFq3HA

Willie Boboの他作品もチェックを!

『Bobo's Beat』(1963年)
ボボズ・ビート

『Bobo! Do That Thing/Guajira』(1963年)
Do That Thing

『Let's Go Bobo!』(1964年)
レッツ・ゴー・ボボ

『Bobo Motion』(1967年)
Bobo Motion (Dig)

『Juicy』(1967年)
Juicy

『A New Dimension』(1968年)
New Dimension (Special Packaging)

Willie Bobo & The Bo-Gents『Do What You Want To Do, Tomorrow Is Here』(1971年)
Do What You Want to Do

『Tomorrow Is Here』(1977年)
トゥモロー・イズ・ヒア

『Bobo』(1979年)
ボボ【完全生産限定盤】
posted by ez at 00:09| Comment(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月04日

Wayne Davis『A View From Another Place』

Roberta Flacプロデュース。謎の黒人ピアニスト/シンガーのデビュー作☆Wayne Davis『A View From Another Place』
ア・ヴュー・フロム・アナザー・プレイス
発表年:1973年
ez的ジャンル:謎の黒人ピアニスト/シンガー
気分は... :別の場所からの眺めは・・・

今回は謎の黒人ピアニスト/シンガーのデビュー・アルバムWayne Davis『A View From Another Place』(1973年)です。

Wayne Davisの詳細なプロフィールは不明ですが、ケンタッキー州出身でAtlanticから本作『A View From Another Place』(1973年)、Black Fireから『Wayne Davis』(1976年)という2枚のアルバムをリリースしています。

Black Fireのレーベル・メイトということで、当ブログでも紹介したExperience Unlimited『Experience Unlimited』(1976年)にも参加しているようです。

そんな謎のシンガーWayne Davisですが、1stアルバムとなる本作Wayne Davis『A View From Another Place』(1973年)は、Roberta Flackが全面プロデュースしています。

レコーディング・メンバーもWayne Davis(vo、p)、Roberta Flack(el-p)以下、Bernard Purdie(ds)、Jerry Jemmott(b)、Richard Davis(b)、Richard Tee(org)、Carrie Cole(back vo)、Eugene Mcdaniels(back vo)という豪華なメンツです。

さらにWilliam Eatonがストリングス&ホーン・アレンジを手掛けています。

全体的に抑えたトーンで、Wayneのエモーショナル&スピリチュアルなヴォーカルをしっかり聴かせる感動的なソウル作品に仕上がっています。また、レア・グルーヴ好きの人は「Joel 2:28」「I Like The Things About Me That I Once Despised」といったグルーヴィーな楽曲がオススメです。特に「Joel 2:28」のBernard Purdieのドラミングが格好良すぎます。

スピリチュアルであると同時にレア・グルーヴな魅力を持つ素敵な1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Sweet Bird Of Youth」
ソウル・グループThe TrumainsのメンバーKenny Lewisの作品。ゴスペル・フィーリングのソウル・チューン。静寂の中でWayneのヴォーカルがジワジワと聴く者の胸に沁みてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=k5XEPsUy840

「Mixed Up Guy」
Jimmy Webb作品をカヴァー。オリジナルはThelma Houston「Mixed-Up Girl」(1968年)です。Jimmy Webb自身のヴァージョンはアルバム『El Mirage』(1977年)に収録されています。Wayneの魂のヴォーカルが感動的な至極のソウル・バラードです。抑えたトーンのバッキングもグッド!

「How's Mama's Baby」
「Sweet Bird Of Youth」に続くKenny Lewis作品。素敵なストリングスをバックに、Wayneがしみじみと歌い上げるゴスペル調バラード。
https://www.youtube.com/watch?v=KxrQ54AW2mA

「I Like The Things About Me That I Once Despised」
The Staple Swingersのカヴァー(Roebuck "Pops" Staples/Martha Stubb作)。オリジナルは『The Staple Swingers』(1971年)に収録されています。Bernard Purdie & Jerry Jemmottのリズム隊によるグルーヴが格好良い1曲。ニューソウルのフィーリングもある好カヴァーです。
https://www.youtube.com/watch?v=Kw72HGisXXI

「Somebody's Watching You」
Sly & The Family Stoneのカヴァー。オリジナルは名盤『Stand!』(1969年)に収録されています。お馴染みの楽曲を本作らしいエモーショナル&スピリチュアルなフィーリングでカヴァーしています。

「I Love You So」
Wayne Davis作。Roberta Flackはエレピを奏で、バック・コーラスにはEugene Mcdanielsも参加しているラブ・バラード。Wayneの歌声が聴く者を優しく包み込んでいきます。
https://www.youtube.com/watch?v=FilNEd72UjM

「Joel 2:28」
Wayne Davis作。ラストは10分超のグルーヴィー&スピリチュアルな骨太ミディアム・ファンク。ブレイクも含めてBernard Purdieのドラミングが格好良すぎます。Wayneなエモーショナルなヴォーカルも感動的です。
https://www.youtube.com/watch?v=JvCgZgAX9K0

レア。グルーヴで人気の2nd『Wayne Davis』(1976年)もCD化して欲しいですね。
posted by ez at 00:10| Comment(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月03日

Kero & Azure『Jazzhop』

原点回帰のジャジーHip-Hop☆Kero & Azure『Jazzhop』
ジャズホップ
発表年:2017年
ez的ジャンル:ベイエリア・ジャジーHip-Hop
気分は... :守破離・・・

今回はカリフォルニア生まれの韓国系アメリカ人MC/プロデューサーKero OneAzureと共同名義でリリースした最新アルバムKero & Azure『Jazzhop』です。

当ブログでこれまで紹介したKero One作品は以下の6枚。

 『Windmills of the Soul』(2005年)
 『Kero One Presents:Plug Label』(2007年) ※主宰するPlug Labelのコンピ
 『Early Believers』(2009年)
 『Kinetic World』(2010年)
 『Color Theory』(2012年)
 『Reflection Eternal』(2015年) ※Kero Uno名義

最新作はベイエリアのヒップホップ・クルーThe HBK Gangのラッパー/プロデューサーAzureとタッグを組み、デビュー・アルバム『Windmills of the Soul』(2005年)を思い出すような原点回帰のジャジーHip-Hopを聴かせてくれます。

Kero Uno名義の前作『Reflection Eternal』(2015年)を聴いたときには、もはや彼にとってHip-Hopというフィールドは狭すぎるのかとも思いましたが、本作ではしっかりHip-Hopのフィールド、しかも初期作品のようなジャズ・フィーリングを重視したトラックが多く収録されています。

おそらくKero Oneファンの中には"やはり1st『Windmills of the Soul』が最高だった"という人も多いと思うので、そういった人たちも満足できる1枚です。

オープニングの「Jazzhop」を聴き、歓喜する人も多いのでは?

全曲紹介しときやす。

「Jazzhop」
A Tribe Called Quest「Verses From the Abstract」の♪Comin' to The house of the jazz, of the funk♪のリリックに、Common「Resurrection '95」のサンプリングが絡むKero Oneらしいジャジー&メロウHip-Hop全開のオープニング。Kero Oneファンはずっとこういった音を待っていたのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=TYjTrtXKkpU

「Light It Up!」
澄み切ったジャジー&ソウルフルなフィーリングが心地好いトラックに仕上がっています。

「Real Ones」
涼しげなフルートが先導するジャジー&メロウ・チューン。クールな美学がたまりません。

「Let Me Show You」
ディスコ/ブギー調のダンサブル・チューン。途中、Ol' Dirty Bastard「Shimmy Shimmy Ya」のリリックを引用しています。
https://www.youtube.com/watch?v=tb_R2DfylH8

「Momma Said」
アーバンなソウル・フィーリングにグッときます。さり気ない中にもKero Oneならではのセンスを感じます。

「Rhodes Less Traveled」
70年代クロスオーヴァー/フュージョン風のエッセンスを散りばめたインスト。今ジャズ風のリズムもいい感じです。

「Winning」
ジャジーなトランペットとエッジーなギターのループをバックに、高速ラップで畳み掛けるクセになるトラック。ラガ風味が隠し味です。

「Pressure」
本編ラストはヴォコーダー入りのエレクトロ風味のトラックで締め括ってくれます。少し他のトラックとは異なる雰囲気です。

「Winning」
国内盤ボーナス・トラック。KANDYTOWNに所属する日本人ラッパー呂布をフィーチャーした「Winning」の別ヴァージョンです。日本語で聴くと、また別の魅力がありますね。

Kero One関連の過去記事もご参照下さい。

『Windmills of the Soul』(2005年)
Wildmills of the Soul

Various Artists『Kero One Presents:Plug Label』(2007年)
プリゼンツ・プラグ・レーベル

『Early Believers』(2009年)
アーリー・ビリーヴァーズ

『Kinetic World』(2010年)
キネティック・ワールド

『Color Theory』(2012年)
カラー・セオリー

『Reflection Eternal』(2015年)
リフレクション・エターナル
posted by ez at 00:10| Comment(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月02日

General Caine『Dangerous』

Dazz Band路線へ進んだTabu第2弾☆General Caine『Dangerous』
デンジャラス+3(期間限定特別盤)
発表年:1983年
ez的ジャンル:Tabu系アーバン・ファンク
気分は... :軌道修正...

今回は80年代ファンク作品General Caine『Dangerous』(1983年)です。

General Caineは、リーダーのMitch McDowellを中心にL.A.で結成されたファンク・ユニット。

Groove Time Recordsから『Let Me In』(1978年)、『General Caine II Get Down Attack』(1980年)、Tabu Recordsから『Girls』(1982年)、『Dangerous』(1983年)、さらにグループ名をGeneral Kaneに改めてMotownから『In Full Chill』(1986年)、『Wide Open』(1987年)という合計6枚のアルバムをリリースしています。

P-Funkの流れを汲む重量ファンクで評価されているグループですが、一般的にはGeneral Caine名義の4枚の人気が高く、MotownからリリースされたGeneral Kane名義の2枚は駄作という評価が多いかもしれませんね。

僕の場合、最初に聴いた彼らのアルバムがParliament「Flash Light」のカヴァー目当てにリアルタイムで購入した『Wide Open』(1987年)だったので、『Wide Open』にも愛着があるのですが・・・

General Kane 「Girl Pulled The Dog」
 https://www.youtube.com/watch?v=r0XiFxMNlcI
General Kane「Flashlight」
 https://www.youtube.com/watch?v=_5a_mkL2n7g

さて、本作『Dangerous』(1983年)はTabu Recordsからの第2弾アルバムとなります。Tabuからの第1弾アルバム『Girls』(1982年)では、Fred WesleyMaceo ParkerRay DavisといったP-Funk勢が参加したP-Funk色の強いアルバムでしたが、本作『Dangerous』は大きく路線変更し、よりアーバンなファンク作品に仕上がっています。

この路線変更を断行するために、グループは外部プロデューサーの招へいを選択しました。白羽の矢が立てられたのは全米チャート第5位、同R&Bチャート第1位となった「Let It Whip」をはじめ、Dazz Bandを商業的成功に導いたLeon "Ndugu" ChanclerReggie Andrewsのコンビ。

さらにメンバーも大幅に入れ替え、外部ミュージシャンも積極的に起用しています。元Graham Central StationHerschell "Happiness" Kennedy(key)、後にソロ・シンガーとしてデビューするVesta Williams(vo)等がレコーディングに参加しています。

決してGeneral Caineらしいアルバムとは言えませんが、80年代ファンク作品としては充実した1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Bomb Body」
従来からの路線変更を印象づける80年代らしいエレクトリック・ファンクがオープニング。
https://www.youtube.com/watch?v=QhJ2UVvS16A

「By My Side」
本作ならではのアーバンな雰囲気の漂うエレクトリック・ファンク。Tabuらしい雰囲気のファンク・サウンドに仕上がっているのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Ey4wbbIHgOQ

「Yellow Pages」
The Timeあたりのミネアポリス・ファンクに通じる魅力を持った仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=Rx6Ii_LezEA

「Upside Down」
アーバン・メロウなミディアム・スロウ。ブラコン好きの人は気に入る1曲なのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=Et7d3AKUMQE

「Ooh, Aah」
エレポップ的なダンサブル・チューン。これは今聴くと少しビミョーかもしれません。
https://www.youtube.com/watch?v=nhcFMqyW_4E

「The Bus」
Dazz BandRick James路線のキャッチーなファンク・グルーヴ。Leon "Ndugu" Chancler/Reggie Andrews起用の効果が表れた1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=6mZKXeC7p0E

「Get Closer」
キャッチーなアーバン・ファンクは僕の一番のお気に入り。Cameoあたりと一緒に聴きたくなります。気の利いたホーン・アンサンブルもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=zcv4eNhPHU4

「True Love」
ラストは素敵なサックスと共に始まるスロウ・チューンで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=JHpA_yv2HSk

国内再発CDには「Ooh Aah (Extended Version)」「Ooh Aah (Instrumental)」「Ooh Aah (7" Mix)」という3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。

General Caineの他作品もチェックを!

『Let Me In』(1978年)
Let Me in

『General Caine II Get Down Attack』(1980年)
Get Down Attack

『Girls』(1982年)
ガールズ+2(期間限定特別盤)
posted by ez at 06:12| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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