2017年09月09日

Far Cry『The More Things Change...』

AORファンにはお馴染みの1枚☆Far Cry『The More Things Change...』
ファー・クライ(期間生産限定盤)
発表年:1980年
ez的ジャンル:メイン・ストリームAOR
気分は... :心機一・・・

今回はAORファンにはお馴染みの1枚、Far Cry『The More Things Change...』(1980年)です。

Far CryはN.Y.出身のPhil Gladstonとカナダ、モントリオール出身のPeter Thomによるデュオ。特にPhil Gladstonは、後にVanessa Williams等のプロデュースでも活躍しています。

1973年に出会い、ソングライティング・チームとして頭角を表してきた2人は、1977年にGaldston & Thom名義のアルバム『American Gypsies』をリリースします。しかしながら、John Simonがプロデュースを手掛けた『American Gypsies』は商業的には不発に終わりました。

そこで心機一転、ユニット名をFar CryとしてAOR路線へ大きく舵を切って制作されたアルバムが本作『The More Things Change...』(1980年)です。

Steely Dan作品のエンジニアElliot Scheinerがプロデュースを務めています。

レコーディング・メンバーにはDonald Fagen(back vo)をはじめ、Rob Mounsey(key、syn)、Elliott Randall(g)といったSteely Dan人脈や、Billy Joelのバンド・メンバーDoug Stegmeyer(b)とLiberty DeVitto(ds)の名がクレジットされています。

さらにSteve Khan(g)、Jeff Mironov(g)、Mark Doyle(g)、Tony Levin(b)、Neil Jason(b)、Will Lee(b)、Chris Parker(ds)、Bernard Purdie(ds)、Ed Greene(ds)、Ralph MacDonald(per)、Randy Brecker(tp、flh)、Marvin Stamm(tp、flh)、Timmy Cappello(sax)、Ronnie Cuber(sax)、Barry Roger(tb)、Patti Austin(back vo)、John Barranco(back vo)、Zachary Sander(back vo)、Frank Floyd(back vo)等の名うてのミュージシャンが参加しています。

この豪華メンバーを見ると、まずSteely Dan的なサウンドのAOR作品を期待してしますね。実際、「Eldorado Escape」「It's Not As Simple As That」「Some Things Will Never Change」などSteely Dan的な楽曲が数多く収録されており、そのサウンドを聴きながらニンマリするのも本作の楽しみ方かもしれません。

一方で、Steely Dan的サウンドのみで終わらないのも本作の魅力だと思います。その意味では主役である2人のソングライティングの良さを実感できる「The One And Lonely」「Ocean Eyes」「Suddenly Strings」、ウエストコースト・ロックな「The Hits Just Keep On Comin'」あたりもオススメです。

いずれにしてもAORファンには間違いのない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「The Hits Just Keep On Comin'」
僕の一番のお気に入り。この曲に関しては、Steely Danというよりもウエストコースト・ロック系の爽快チューンに仕上がっています。コレがDonald Fagen参加曲というのも面白いですね。僕のiTinesのプレイリストではVapour Trails「Don't Worry Baby」とセットになっています。
https://www.youtube.com/watch?v=24P4FDPDluU

「Eldorado Escape」
サウンド、曲調共にSteely Dan好きの人はニンマリの1曲。Bernard Purdieのドラミングがサウンド全体にダイナミックな印象を与えてくれます。

「The One And Lonely」
ソングライティング・チームらしい楽曲の良さを楽しめる哀愁メロウ。Rob Mounseyのシンセ・ソロの音色もグッド!もう9月ですが、去りゆく夏の余韻に浸りたい気分になる1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=BltH6WOJ9Ow

「Because It's There」
派手さはありませんが、楽曲の良さとツボを押さえた好バッキングが噛み合ったメロウ・チューン。Patti Austinらも加わったコーラスワークもグッド!Neil Jasonのベースが牽引します。
https://www.youtube.com/watch?v=PuHS3gCitYU

「It's Not As Simple As That」
Donald Fagen参加の2曲目。先の「The Hits Just Keep On Comin'」と異なり、コレはモロにSteely Dan/Donald Fagen色の強い仕上がりです。しかも、リード・ギターはElliott RandallなのでSteely Dan好きの人はグッとくるはずなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=am43cmaeIrQ

「Fight, Fight, Fight」
リラックスしたサウンドが印象的です。ヴォーカルも含めてSteely Danに寄せている感じが面白いですね。Timmy Cappelloがサックス・ソロで盛り上げてくれます。

「Ocean Eyes」
この曲はウエストースト風の仕上がり。僕好みのメロウ・チューンであり、このデュオの魅力を楽しむという点でもオススメです。
https://www.youtube.com/watch?v=WhKqNTaCS5E

「Suddenly Strings」
Rob Mounseyのメロウ・エレピのソフトな響きにグッとくるビューティフル・バラード。このデュオらしい仕上がりなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=rTE07YM-UGA

「Tell Jack」
Elliott Randallのギターが目立つポップ・ロック調の仕上がり。

「Some Things Will Never Change」
Donald Fagen参加の3曲目。ラストは派手さはないものの、Steely Dan風のいい味のサウンドで締め括ってくれます。Steve Khanのギター・ソロもグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=fJGdta6eZ1Q

ご興味がある方はGaldston & Thom『American Gypsies』(1977年)もチェックを!

Galdston & Thom『American Gypsies』(1977年)
アメリカン・ジプシーズ <SHM-CD>
posted by ez at 12:20| Comment(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする