
発表年:1998年
ez的ジャンル:UK男性R&Bシンガー
気分は... :コレってUS産じゃないの!
今回は90年代R&B作品からUK男性R&BシンガーAlの『Crucial』(1998年)です。当時から評価の高かった男性R&B/ソウル・アルバムです。
AlことAlistair Tennantは、1973年ロンドン生まれの男性R&Bシンガー
Wayne HectorらとのユニットRhythm-N-Bassとして90年代前半にシングルを数枚リリースしています。その後、Wayne HectorとはAliwayというユニットでも活動しています。
そのAlistair Tennantがソロ・シンガーとしてリリースしたアルバムが本作『Crucial』(1998年)です。本国UKではアルバム・タイトルが『Bitter Honey』の盤もあります。
このアルバム1枚のみでシーンから消えてしまい、あの人は今・・・というアーティストになっていましたが、今年に入って突如Ali Tennant名義でアルバム『Get Loved』をリリースしています。
Ali Tennant『Get Loved』(2017年)

アルバム『Crucial』に話を戻すと、UK男性R&Bシンガーとは思えない、70年代サザン・ソウル調のソウル・チューンが印象的です。90年代後半にこの路線で勝負しようとする心意気も本作の支持が高い理由なのでは?
The Family Stand、The Characters(Charles Farrar/Troy Taylor)、Salaam RemiといったUS R&Bシーンでお馴染みのアーティスト/プロデューサーがプロデュースを手掛けています。それ以外にBob Brockman/Roger Russell、Glen Sun、Dexter Simmonsがプロデューサーとして名を連ねます。また、Aliwayの盟友Wayne Hectorもヴォーカル・アレンジ&バック・ヴォーカル等でアルバムに大きく貢献しています。
前述のようなソウル・モードのAliを満喫したいのであれば、シングルになった「Love Letters」をはじめ、「So In Love」、「Crucial」、「Tomorrow」あたりがオススメです。
キャッチーさでいえば、大ネタKeni Burke「Risin' To The Top」をサンプリングしたSalaam Remiプロデュースの「Feelin' You」、Smif-N-Wessun「Bucktown」をサンプリングしたThe Charactersプロデュース曲「In And Out Of My Life」、Steve Parks「Movin' In The Right Direction」をサンプリングした「Bitter Honey」、William Bell「I Forgot To Be Your Lover」をサンプリングした「Whatever You Want」あたりもオススメです。
ソウルフルですが、キャッチーさも忘れていないバランス感覚が絶妙の1枚です。
僕が所有するのはUS輸入盤ですが、盤によって多少収録曲が異なるのでご注意ください。
全曲紹介しときやす。 ※US盤仕様
「Love Letters」
The Family Standプロデュース。アルバムに先駆けてシングルにもなりました。70年代USサザン・ソウルの香り漂うキャッチーなミディアム。伸びやかなAliのソウルフル・ヴォーカルを満喫できます。
「Tomorrow」
Bob Brockman/Roger Russellプロデュース。Aliのソウル魂を満喫できるオーセンティックなミディアム・バラード。しみじみと伝わってくる正攻法のバラードです。
https://www.youtube.com/watch?v=rMPagzPPRJo
「In And Out Of My Life」
The Charactersプロデュース。Smif-N-Wessun「Bucktown」をサンプリングしたダンサブルなミディアム・グルーヴ。男性R&Bグループ調のヴォーカル・ワークがグッド!
https://www.youtube.com/watch?v=an0v3qZbW1Y
「Whatever You Want」
Glen Sunプロデュース。William Bell「I Forgot To Be Your Lover」をサンプリングした少しイナたいミディアム・グルーヴ。Wayne HectorとAliのAliwayコンビによるヴォーカル・アレンジが冴えます。
https://www.youtube.com/watch?v=xS2zwp_qVi0
「Sure」
Bob Brockman/Roger Russell作。これもイナたいサザン・ソウル調の仕上がり。予備知識がなければUKソウルだとは思わないでしょう。
「Wish You Better」
The Family Standプロデュース。ポジティブなヴァイヴのミディアム。一歩前へ進む後押しをしてくれそうな1曲です。
「Crucial」
The Family Standプロデュース。タイトル曲はオーセンティックなソウルフル・バラード。Aliの自信に満ちた歌いっぷりがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=bhMs5oyCJMc
「Since Loving You Is Crucial (Reprise)」
The Family Standプロデュース。「Crucial」の余韻に浸るリプライズ。
「It Only Takes A Minute」
本作では裏方に徹していたAliwayの盟友Wayne Hectorをフィーチャー。ソウル調のバラードとは雰囲気が異なるR&B系美メロ・バラードに仕上がっています。The Family Standプロデュース。
https://www.youtube.com/watch?v=G6Rj4_kD1c0
「Crazy Don't」
The Family Standプロデュース。都会的なミディアムR&B。Aliのセクシーな側面を満喫できます。
「Bitter Honey」
Dexter Simmonsプロデュース。Steve Parks「Movin' In The Right Direction」をサンプリングしたミディアム・グルーヴ。Steve Parks「Movin' In The Right Direction」大好きな僕としては嬉しい1曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=UcAe5vjhi6c
「So In Love」
Bob Brockman/Roger Russellプロデュース。再びソウル・モードで歌い上げるビューティフル・バラード。このバラードをイチオシする人も多いのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=LdNjFPcPRuo
「Feelin' You」
Salaam Remiプロデュース。Keni Burke「Risin' To The Top」をサンプリングしたキャッチーなアーバン・ミディアム。シングルにもなりました。さすがはSalaam Remiという仕事ぶりです。
https://www.youtube.com/watch?v=eKuWYoKW_kM
「Maybe Today」
The Family Standプロデュース。ラストは伸びやかに歌い上げるミディアムで爽やかに締め括ってくれます。
ちなみに国内盤にはStevie Wonder「Lately」のカヴァーがボーナス・トラックとして追加収録されています。
Ali『Crucial』(1998年) ※国内盤
